1980年代のあの名車、あのドライバーで夢のレースを

 2013年9月19日から22日までの期間(19日、20日はビジネスデイ)、幕張メッセで開催中の東京ゲームショウ2013。会期に合わせて、コードマスターズによるプレイステーション3およびXbox360用レースゲーム『F1 2013』のプレゼンテーションが行われた。プレゼンターを務めたのは、コードマスターズのシニアプロデューサー・大庭将司氏。大庭氏は、日本語版『F1 2013』の開発などを担当している。

『F1 2013』最新作最大の特徴は1980年代の名車と人気ドライバー【TGS2013】_01
▲『F1 2013』のプレゼンを行った、コードマスターズの大庭氏。

 コードマスターズの『F1』シリーズは、FIAフォーミュラ1世界選手権の公式データをもとに再現された、オフィシャルF1レースゲームだ。2009年に1作目がリリースされて以来、毎年新作が発売され、この『F1 2013』で5作目となる。

 大庭氏は、開発中の『F1 2013』をデモンストレーションしながら、前作と最新作の違いについて説明。シーズンごとにマシンやドライバー、開催コースなどが変わるF1の世界だが、『F1 2013』にはもちろん、今シーズンのデータが反映されているとのこと。しかし、レギュレーション面において大規模な変更がなかったこともあり、マシンの見た目は昨シーズンに近いものとなっている。F1に詳しい人でないと、『F1 2012』登場マシンとの違いがわかりづらいかもしれない。

 そこで、まず『F1 2013』は「F1が大好きな人向けに作る」(大庭氏)よう企画されたという。そして、変化のわかりづらさを補うためには付加価値が必要という認識もあったそうだ。こうした経緯もあり、マニアを喜ばせる付加価値として、1980年代のマシンとドライバーを収録する新モード“F1 CLASSICS”が搭載されるに至った。

『F1 2013』最新作最大の特徴は1980年代の名車と人気ドライバー【TGS2013】_04
『F1 2013』最新作最大の特徴は1980年代の名車と人気ドライバー【TGS2013】_05

 1980年代と言えば、1987年からはF1グランプリが鈴鹿サーキットで開催されるようになり、テレビ中継も開始され、ホンダエンジン搭載マシンが連勝して、日本でF1ブームが起こった時期。こうしたモードを待ち望んでいたファンも多いのではないだろうか。収録データはマシンが1988 Ferrari F1-87/88C、1988 Williams FW12など5台、ドライバーが中嶋悟、ゲルハルト・ベルガー、ナイジェル・マンセルなど10名だが、ダウンロードコンテンツとして1990年代のマシン&ドライバーも配信予定。また、今回収録されなかったマシンやドライバーとも交渉していきたいとのことで、今後も『F1』シリーズが更新されていくようなら、あのトップチームのマシンや音速の貴公子にも期待してしまう!?

 ちなみに“F1 CLASSICS”収録マシンも、ボディやシャーシはもちろん、ステアリングやエキゾーストノートまで実車を取材して再現している。「フェラーリは、本社工場のあるマラネロまで実際に行って、保管されているものを取材したんですよ」と大庭氏は語った。

『F1 2013』最新作最大の特徴は1980年代の名車と人気ドライバー【TGS2013】_02

“キャリアモード”でスポーツとしての駆け引きを体感

 さて、“F1 CLASSICS”以外には、実際のF1と同様の流れでグランプリを戦う“キャリアモード”、好きなドライバーとコースを選択してすぐに決勝レースを走れる“グランプリモード”、設定された目標を達成したりゴーストカーとタイムを競ったりする“トライアルモード”などが用意されており、2013シーズンの最新データで遊ぶことができる。“東京ゲームショウ2013”会場では、そのうち“グランプリモード”の試遊が可能となっていた。

 大庭氏がプレゼンでとくに薦めていたのは“キャリアモード”だ。数ラップ速く走れば勝てるレースゲームとは違う、「スポーツであるF1ならではの駆け引きを体感してほしい」(大庭氏)と言う。F1は、ピットインや天候によって順位が変動する。たとえば雨がポツポツ降ってきたとき、本降りになると読んで真っ先にレインタイヤに交換するか(ピットインで順位は落ちるが、本降りになればライバルが脱落する)、天候の回復を期待してコースに残るか(ピットインによるタイムロスはないが、本降りになれば順位を落とす)という駆け引きがある。このような駆け引きは、気軽な“グランプリモード”では体験する人は少ないが、総周回数の25%を走るよう決められている“キャリアモード”なら、「1回はピットに入るでしょう。それだけでもわかると思います」(大庭氏)とのこと。

 じつは“キャリアモード”で体験できるのは走りの駆け引きだけではない。たとえば、シーズン途中に舞い込むほかのチームからのオファー。「自分が中堅ドライバーだとして、上位チームから来たセカンドドライバーのオファーに応じてチャレンジするか、下位チームから来たファーストドライバーのオファーに応じて優先的な待遇を受けるか、これも駆け引き」と大庭氏は解説してくれた。

『F1 2013』最新作最大の特徴は1980年代の名車と人気ドライバー【TGS2013】_03

 そのほか、“トライアルモード”内の“シナリオモード”を充実させ、いろいろなシチュエーションを用意することに、よりF1の世界を身近に感じられるようにしていること、強引な抜き方をすると相手が手をあげて怒るモーションを追加していることなど、大庭氏から大小さまざまな変更点の説明があった。

 最後に、来シーズンの新作のリリースはまだ予定がないとしながら、大庭氏は「2014シーズンはF1のレギュレーションが大幅に変更されるので、もし新作を出すのであれば相当がんばらないと」、「もし次世代機で出すのであれば、ハードのパフォーマンスを最大限に引き出したいが、2014シーズンのF1の詳細が判明するのは年明け。それからスタートすることになるので、開発期間が足りないかもしれない」と展望を語った。

『F1 2013』は2013年10月10日発売予定。プレイステーション3用とXbox360用がリリースされ、どちらも7770円[税込]となっている。

 では、最後に東京ゲームショウ2013に合わせて公開された、最新の映像を公開しよう。収録サーキットは、なつかしのスペイン・ヘレスだ。

(取材・文:ライター/櫛田理子)