テロリストのリーダー、マジードが秘めるものとは

 ユービーアイソフトから2013年9月5日に発売されたWii U/プレイステーション3/Xbox 360用ソフト『スプリンターセル ブラックリスト』。ファミ通ドットコムでは、本作に出演している豪華キャストへのインタビューを、3回にわたってお届け。最終回となる今回は、主人公サムと対立するテロリスト集団“エンジニア”のリーダー、マジード・サディークを演じた立木文彦さんにお話をうかがった。

※キャストインタビューその1(玄田哲章さん)は→こちら
※キャストインタビューその2(田中敦子さん)は→こちら

『スプリンターセル ブラックリスト』キャストインタビューその3 マジード・サディーク役 立木文彦_01
■立木文彦さん プロフィール
4月29日生まれ、長崎県出身。代表作はアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』碇ゲンドウ役など。『世界の果てまでイッテQ!』を始め、テレビ番組のナレーションを担当することも多い。

――立木さんが演じられたマジード・サディークは、シリーズ初登場となりますが、どのようなキャラクターなのでしょうか。
立木 残酷きわまりない、テロリストの極みのような人物です。内面には、特定の個人に対する憎悪どころではない、アメリカへの深い憎悪を秘めているんだと思います。マジードの目つきの鋭さにも、それは表れていると思います。そんな自分ではわかりようがない憎悪を、想像しながら演じました。

――マジードを演じるうえで、気をつけた点はありますか?
立木 アメリカに対してテロを仕掛けるという、かなり大きなことに手を染めている男なので、セリフが安っぽくならないように心がけました。最初にマジードの絵を見せていただいたとき、セリフには感情を出さないようにしたほうがいいのではないか、と思ったんですよね。ふつうの人間であれば、会話の中で興奮や動揺を隠せないものですが、マジードはそういうものはぜったいに出さないよう、訓練されている気がしました。

――マジードのセリフの中で、印象に残ったものを教えてください。
立木 長いセリフよりも、シンプルなセリフのほうが印象に残りました。部下に何かを説明したり、敵対する相手と話したりするときの会話では、感情を押し殺していると思うんです。自分自身のあらを見せないようにしている。一方、短いセリフには、その人となりが出てきます。おもしろいと感じたセリフは、「数字で報告しろ。主観に興味はない」ですね。まさに、そのとおりだなと思って。自分の日常生活でも使えるな、と思いました(笑)。

――(笑)。では、マジードの登場するシーンで、ここが見どころだと感じる場面を教えてください。
立木 それは、マジードがクールに喋っているシーンですね。

――いずれ来るであろうサムとの対決も、見どころでしょうか。
立木 そうですね。後半は、なかなか収録がたいへんでした。極限の状態での、そのキャラクターの魂が表れるようなシーンは、いかに印象に残る演技ができるか、つねに考えています。

――収録を終えて、『スプリンターセル ブラックリスト』の物語に対して、どのような感想を抱かれましたか?
立木 対峙するものがはっきりしている、男臭い物語で、とても好きですね。マジードは全体を通して一貫した考えを持っていて、とてもやり甲斐がありました。ゲームの収録は、基本的にひとりで行いますが、相手の声を想像しながら取り組みました。

――今回は、玄田さんの声を想像しながら演じられたのですね。サムとマジードは敵どうしですが、玄田さんと立木さんはどのような関係ですか?
立木 玄田さんは、兄貴みたいな感じなんですよね。20数年前に初めてお会いしてから、アニメや洋画で共演することが多かったですから。玄田さんの声は、ガッシリと重く、存在感がありますから、自分も負けないように演じなければ、と思いました。そこで対等でなければいけませんから。そういう意味では、収録は玄田さんとの戦いでしたね。役者として、声優としての戦いでした。

――『スプリンターセル ブラックリスト』の物語をひと言で表現するとしたら、どのような言葉になりますか?
立木 “静と漢(おとこ)”ですね。静かなる漢の物語です。

――最後に、ゲームファンにメッセージをお願いします。
立木 『スプリンターセル』シリーズに、マジード役で初めて出演させていただきました。これまでいろいろな悪役を担当してきましたが、今回、新しい路線の悪役を演じられたと思っています。皆さんが、少しでも彼の恐ろしさを感じてくれたら、うれしいですね。ぜひ、ひとつひとつのセリフを聞き逃さず、じっくりとプレイしてください。