自分が何をしたいかを、その場その場で決められる
2013年8月21日~25日(現地時間)、ドイツ・ケルンメッセにて欧州最大のゲームイベントgamescom 2013が開催。ファミ通.comでは、エレクトロニック。アーツのレースシリーズ最新作『ニード・フォー・スピード・ライバルズ』のエグゼクティブ・プロデューサー、ジェイミー・キーン氏にインタビューをする機会を得た。本作は、警察もしくはレーサーとして、公道で名を馳せていくことが目的のレースゲーム。プレイステーション3とXbox 360、PC版が2013年11月21日に発売されることが明らかにされたばかり。同作は、プレイステーション4とXbox Oneでの発売も予定されているが、そちらの発売日は未定だ。まずは、gamescomに合わせて公開された、最新トレーラーをお届けしよう。
ニード・フォー・スピード・ライバルズ
――さっそくですが、本作を作るにあたって注力したポイントを教えてください。
ジェイミー やっぱり“オールドライブシステム”を採用したことが大きかったですね。そこから芋づる式に取り組むべきチャレンジがでてきました。“オールドライブシステム”というのは、シングルプレイ⇔マルチプレイをシームレスに行き来するようなシステムになっているのですが、メニュー回りもすごく苦労しましたし、実際に自分がレースに入るといろいろなことが巻き起こるんです。リアルタイムで起きてくるいろいろな出来事を、スムーズに見せなければいけない。それをユーザーさんにストレスなく楽しんでいただけるようにもっていくのに、テクニカルな意味で苦労しました。
――シームレスに行き来することのもたらす楽しさは、どのようなものがありますか?
ジェイミー マルチプレイを遊ぶにあたり、自分がオンラインに入るとその場にいる人たちによって、やれることが変わってくるんです。たとえば、ドライブしていると友だちなどのタイムが表示されたりして、自分がそのタイムと競い合いたいか、ということをすぐにチェックできる。ふつうに友だちとタイムを競うこともできますし、ぜんぜん違った遊びとして、警察になりかわって、友だちがやっているイベントに参加することもできます。自分が何をしたいかを、その場その場で決められるんです。それをスムーズに行えることが魅力ですね。
――ユーザーさんに対して、『ニード・フォー・スピード・ライバルズ』が、自由に遊べる場を提供するということですね?
ジェイミー そうですね。世界全体を作るという感じです。加えて、その世界でどんな決定もできるような選択肢をいっぱい用意してあげるということに注力しています。私たちのできることは世界を作り、ユーザーさんが楽しめるような要素とか、目的をいっぱい作ってあげることです。そこからあとは、いつ何をやりたいか、いつ誰とどういうふうに遊びたいかは、ユーザーさんが選ぶ。そういうふうに遊んでもらうための場所を作ったことになります。
――決定を委ねるということは?
ジェイミー 本作には7つのゲームモードがあって、それぞれにイベントがしっかりと用意されています。“ストレートレーシングモード”のように、シンプルにほかのプレイヤーとタイムを競うモードもあれば、“ピックアップレース”のように、その場にいる人たちに自分からレースを仕掛けて遊ぶこともできる。“ホットパスー”では、自分は警察になって、なるべく多くのクルマをバーストします。その場合レーサー側は追われる立場になるので、バーストされないように逃げまくることになります。さらには“インターセプト”といって、1回1回警察と追われる側が入れ替わるモードもあります。“エクスポートリー”は、各ワールドに設定されているジャンピングポイントでジャンプをするという、パフォーマンスを競うモードですね。
――とくにオススメのモードは?
ジェイミー 私は、警察になってみんなを追いかけるのが好きなんです。プレイスタイルとしては、突然ライトをつけて、「オラオラ、警察だぞ!」といって、みんなを驚かせるという(笑)。みんなオンラインで、それぞれのイベントをやっているわけですが、私が警察になることによって、急に雰囲気を変えるというプレイスタイルが好きです。
――逃げるのが好きな人もいそうですね(笑)。
ジェイミー 追うものと追われるもの。両方とも楽しめるのはスタイルとしておもしろいと思いますよ。昔子どものころにやっていた“ケイドロ”と同じような形で、すごく早いペースで警察になったり、追われる側になれる。同じ気持を味わえると思います。
――では、グラフィック回りのことを聞かせてください。今回の特徴は?
ジェイミー ゲームエンジンの“フロストバイト3”を採用したことが、いちばんの大きな進歩につながったと思っています。“フロストバイト3”は本当にパワフルで、すごく広い世界を作ることを可能にしてくれました。さらに、天気とかも変わるんです。雨が降ったりとか、嵐に見舞われたりとか……。描画能力に関しても、世界がリアルに見えるような情動を与えてくれます。私もしばし、コースの途中で止まって、「なにここ、すごいじゃん!」と見とれてしまうようなところもあったりします。世界の息遣いを感じられるんですね。
――クルマもよりリアルに?
ジェイミー そうですね。シミュレーションシステムを持っているので、その中でなるべくリアルにクルマの動きを実現しようとしています。とくに注目してほしいのは音響です。音響に関しては、本物のクルマのそこかしこにマイクをつけて、実際にドライブをして音を収録しています。ドライブの仕方によって音も変わるので、全部収録して落とし込む……ということをやっています。本物のプロドライバーさんにお願いして、いろいろなタイプのドライブをしてもらって、そのときそのときのエンジン音を取り込んでいるんですよ。
――では、シリーズ全体の話を聞かせてください。『ニード・フォー・スピード』はゲームファンにすっかり定着していますが、シリーズの目指す方向性は?
ジェイミー 次世代機に向けて、大きな変更がどんどん出てきていると思います。その中で、とくに注目しているのが“ソーシャル体験”です。もっと友だちといっしょにプレイしてほしいと思っています。それに対しては『ニード・フォー・スピード』のネットワークサービス“ニード・フォー・スピード ネットワーク”を今後も拡張させていくことになると思っています。たとえば、本作でも楽しめる“オーヴァーウォッチモード”。俯瞰でゲームを楽しめるこのモードでは、自分がクルマを操作するわけではなくて、iPadなどで操作をして、レースをしているプレイヤーに影響を及ぼせるんですね。ひとつのコンソールにとどまらずに、複数のプラットフォームでも楽しめることを目指しています。
――シームレスかつ、プラットフォームの垣根も乗り越えるということですね。“ソーシャル”性は、さらに追求する?
ジェイミー はい。“オールドライブシステム”が、“ソーシャル性”をつぎのレベルに進めてくれると思います。
――ちなみに、ほかのクルマゲームを遊んで参考にされたりなんてします?
ジェイミー ほかの開発者の作品を見ることはすごく重要で、いろいろなメーカーさんの作品はしっかりと見ていますよ。一方で、映画のような見せかたはすごく意識しています。映画で感じるかっこよさだったり、演出だったり……。クルマを運転する、という“ルック&フィール”を感じてもらえるにはどうすればいいのか? ということで、映画から受ける影響は大きいです。開発サイドとしては、ゲームの中に不自然なドリフトとかは入れたくないのですが、それが“映画によく出てくるシーンだから”ということで、プレイヤーさんが期待されるのであれば、あえて実現できる形にしています。
――ほう! 映画つながりで聞いてしまいますが、『ニード・フォー・スピード』ファンに推奨の映画は?
ジェイミー うーん。何だろうなあ。じつは来年アーロン・ポール主演で『ニード・フォー・スピード』の映画が公開されるんですけどね。それかな(笑)。
――最後に、ファミ通.comの読者に向けてのメッセージをお願いします。
ジェイミー 皆さんにこうしてメッセージを届けられることをうれしく思います。起き上がって、レースに参加してください。レース場で会いましょう!