PS Vita用『うた組み575』へと続く、女子高生דVOCALOID”×五七五で紡ぐ『Project 575』とは?

“『Project 575』発表会”の模様をリポート。PS Vita版『うた組み 575』へと続く『Project 575』の詳細が明らかに。

●正岡小豆ちゃんと小林抹茶ちゃんが魅力的なんですってば!

▲司会をつとめたセガ・森本兼次郎氏(右)と磯村知美さん(左)。

 ティザーサイトなども公開され、注目を集めてきたセガの新規プロジェクトの全貌が明らかに。2013年7月18日に“『Project 575』発表会”が行われ、『Project 575』の詳細が発表された。既報の通り(⇒関連記事はこちら)、『Project 575』は、日本人になじみの深い五・七・五形式のコトバを組み合せて、キャラクターたちの歌声にのせて発信する新しい遊び“575”を軸としたプロジェクト。まずは、iOSアプリ『うた詠み575』の配信に始まり、マンガやノベルなどに展開。いろいろなコンテンツが最終的にはPS Vita版『うた組み575』につながるという。

 『Project 575』の入り口となるのは、2013年7月26日に配信されるiOSアプリ『うた詠み575』。“コトバコミュニケーションツール”と銘打たれた本作は、アプリに配信されている楽曲(テーマ)に沿って、五・七・五形式でコトバを入力していくだけで、誰でも簡単に“575”で歌作品を作ることができるというもの。作った歌作品は、おなじみ“VOCALOID”によって、キャラクターがその歌声で熱唱してくれるというのが何よりの魅力だ。詠んだ歌作品はアプリ内の“作品掲示板”にて披露でき、それがユーザーから一定以上評価されると、“ニコニコ動画”にアプリ上から作品が投稿できるようになるという仕組みだ。なお、『うた詠み575』は、2013年7月18日~7月24日24時まで、事前登録キャンペーンが行われる。

 2014年に発売される予定のPS Vita版『うた組み575』は、ユーザーから投稿された“575”の力作の数々を収録。さらに、流れてくる歌詞にはところどころ空欄があり、その欄に収まるようにコトバを選ぶことで歌詞が完成し歌となって続いていく……といったパズルとリズムゲームの楽しさを兼ね備えた要素もあるようだ。なお、『うた組み575』は東京ゲームショウ2013への出展も明らかにされている。

 と、『Project 575』の概要を書き連ねてきたわけであるが、実際のところ本プロジェクトのキモとなるのは、“575”を歌ってくれるキャラクターにある。『Project 575』のプロデューサーを務める森本兼次郎氏いわく「生命をかけて作った」という気合いの入ったキャラクターは、正岡小豆(まさおか あずき)と小林抹茶(こばやし まっちゃ)のふたり。『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』などの挿絵でおなじみのかんざきひろ氏がキャラクター原案を担当しているという女子高生キャラクターだ。声を担当するのは、大坪由佳さん(正岡小豆役)と、大橋彩香さん(小林抹茶)だ。

 発表会では、大坪さんと大橋さんが、小豆と抹茶が在籍する鎌倉の女子高の制服に身を包んで登場。ラマーズP氏作曲によるテーマ曲『飛び出せ授業』を熱唱し、会場を“575”ワールドに包み込んだ。大坪さんも大橋さんも「自分の声が“VOCALOID”になるということでうれしかった」とのことだが、さすがに収録はたいへんだった模様。「同じ台本を何回も読んで、途中で心が折れそうになりました」(大坪さん)のだとか。それでも、「“VOCALOID”の声に憧れていたので、先輩たちはこれを乗り越えたんだ!という気持ちでがんばって収録しました」(大坪さん)という。なお、収録にあたっては、森本プロデューサーも相当尽力したよう。ふたりの収録は単独で行われたらしいが、森本氏は小豆の収録のときは抹茶役を、抹茶の収録のときは小豆のパートを演じてくれたのだとか。

 ゲームや“ニコニコ静画”でのマンガ・ノベル配信(毎月新作を追加予定!)、さらにはグッズ展開や舞台となった鎌倉の全面バックアップなど、さまざまなメディアミックス展開を予定している『Project 575』だが、特筆すべきは非営利目的に限り、二次創作を全面的にバックアップしていること。「セガとしても初の試み」(森本氏)とのことで、『Project 575』がどのような広がりを見せるのか、注目したい。ゆくゆくはアニメ展開もしたいとのことだ。

▲大坪由佳さん(左)と大橋彩香さん(右)。発表会では楽曲を熱唱。「みんなの前で歌いたい」とのことです。

▲PS Vita版のオープニングアニメのほんの一部が紹介。こちら、ギリギリで完成したできたてのほやほや。

▲4コママンガのセリフを大坪さんと大橋さんが生披露。

▲鎌倉を舞台にした本作には、地域のゲーム内協力企業がずらり。このへんは、『龍が如く』で培ったノウハウが活きているのかも。

▲詳しくは割愛させていただきますが、グッズ展開も多彩。Tシャツやカラータオル、iPhone5カバーなどを予定。

▲右から、ヤマハ・剣持氏、ドワンゴ・坂本氏、アニプレックス・山内氏。

 発表会では、『Project 575』に参画する“VOCALOID”のヤマハ・剣持秀紀氏、ドワンゴの坂本将樹氏、アニプレックスの山内真治氏が登壇。それぞれプロジェクトに対する抱負を語った。『Project 575』の第一印象を問われたヤマハ・剣持氏は「“575”だったら、“VOCALOID”がさらに使いやすくなるのではないか」と思ったとのこと。さらに、「“VOCALOID Every Where”というのが我々の合言葉ですが、こういうところで“VOCALOID”を使っていただけるのはうれしいです」と、感慨深げだった。一方、ドワンゴの坂本氏は「iOS版では、“575”で作った作品をアプリから直接投稿できるようになっています。二次創作もオーケーということで、広がりが出るのではないかと思います」とコメント。オープニングアニメなどを担当するアニプレックスの山内氏は、「一線のクリエイターが作っているので期待してほしい」と語った。

▲そうそうたるアーティストが楽曲を提供。

 また、そうそうたるアーティストが集結するのも『Project 575』の魅力だが、発表会ではラマーズPさん、Dios/シグナルPさん、cosMo@暴走Pさん、デッドボールP さんといった有名アーティストさんが出席し、楽曲制作のいきさつなどを語ってくれた。楽曲をオーダーするにあたっては、縛りを設けたという森本氏。ひとつは、基本は五・七・五の組み合わせであること。そしてもうひとつが「1年間の生活を通してシナリオを描きたいと思ったので、年間行事をお伝えして、自由に作ってくださいとお願いしました」(森本氏)とのこと。そんな縛りがありながらも、みなさん楽しく楽曲を作ったようだ。

  『飛び出せ授業』を作ったラマーズPさんは、「女子高生の日常を描こうと思いました。五・七・五の組み合わせは、自由に組み合わせられることを意識したので、苦労しました。自由に好きなように、五・七・五を歌に乗せて詠んでほしいです」とのこと。

 『夏休み』を担当したDios/シグナルPさんは、「夏休みは、長いと思ってもぐだぐだしているとあっという間に終わってしまうもの。そんな“あるあるネタ”を盛り込みました」のだとか。「それは、ご自身の経験が反映されているのでは?」との森本氏からのツッコミには、「気がついたら、夏休みが終わりかけているのに宿題をしてないことはありますね」と、ニッコリ。

 cosMo@暴走Pさんが手がけたのは、その名もずばり『575』。「女子高生の日常のいろいろな出来事を歌詞にしました」とのことだ。『575』では、cosMo@暴走Pさんお得意の早口が封印されているようだが、歌があがってきて、ふつうの調子に「ちょっとびっくりしました」という森本氏に対して、「ふたりとも女子高生なので、無茶がないようにしました」と気を使ったようだ。

 いちばん物議をかもしたふうだったのが、デッドボールPさんの楽曲。『顔面クリスマスケーキ』というタイトル名からして物騒だが、「カップルにクリスマスケーキをぶつけていこう」がテーマなのだとか。さらに、「自分の素直に湧き上がる気持ちを歌にしたら、セガさんから“オブラートに包め”と言われた」とのこと。2回ほどリテイクを出されてようやくオーケーになったらしい。デキに関しては、「放送には耐えますが、デッドボールPさんらしい曲になっていますよ」(森本氏)とのことだ。記者もちょっと聞いてみたいかも。

 さらに発表会では、大坪さんと大橋さんがテーマ曲『コトバ・カラフル』を初々しく熱唱。最後に、森本氏が「広げよう みんなで作る “575”」と、お約束(?)とでも言える五七五を披露して幕を閉じた。ユーザーが作る『Project 575』がいよいよスタートした! 最後に、発表会のあとに行われた、森本兼次郎氏、大坪由佳さん、大橋彩香さんが参加しての囲み取材の模様をお届けしよう。

▲発表会の模様はニコ生でも生中継。「広げよう みんなで作る “575”」と出演陣が声を合わせるときには、司会者が“575”の弾幕をリクエスト。ニコ生らしいフィナーレと相成ったのでした。

――Android版の予定はありますか?

森本 現状は、iOS版の予定しかありません。今後は広がりが出て行くなかで、Androidのニーズが出てくると思いますので、そのときにお話しさせていただきたいと思っています。

――森本さんに、おふたり(大坪さん、大橋さん)の声の魅力をお聞かせください。

森本 キャラクターのほうが先行して考えられていたのですが、小豆ちゃんのほうは幼さの残ったイメージが先行していました。抹茶ちゃんのほうは内向的で中二病で、さらっと毒のある言葉を吐くんだけど、冷静な声を持っているということで(声優さんを)探していたんですね。大坪さんに関しては、イメージにぴったりということですぐにオファーをさせていただきました。大橋さんに関しては、何人か候補がいたのですが、ご自身が声がデカイというところをウリにさせていただいているところに興味を惹かれたこともあって、1度お会いさせていたいだたんです。“この手の役は初めて”というので、そのときにシミュレーションさせていただいたら、意外と“これはいいんじゃないか!”ということになりまして、決めさせていただきました。

▲セガの森本兼次郎氏(発表会時の模様から)。

――かんざきひろさんを起用された理由は?

森本 かんざきさんに関しては、開発のほうから、アニメの世界でも、“VOCALOID”の文化の中でも通用するキャラクターを立てていきたいという意向がありました。何人かイラストレーターさんの候補がいたのですが、かんざきさんが両方とも強いのではないか、ということで決めさせていただきました。かんざきさんが非常にお忙しい方なので、ギリギリのタイミングでキャラが上がってきました。

――アプリの有料コンテンツはどのようなものを予定していますか?

森本 歌を詠むという行為のなかで、“白短冊”というイテムを使って歌を残すのですが、それを使用すると一句詠めることになっています。“白短冊”自体は1日1枚補充されるのですが、多くの歌を残したいときのための有料コンテンツとなります。一方で、アプリ自体が友だち自体で共作しながらコンテンツを作れるようになっていまして、友だちから依頼があった場合に短冊が足りないときに、ぜひ購入していただきたいと思っています。一方で、キャラクターを愛でたいというときは、彼女たちの衣装でもあります。あるいはじかにコミュニケーションを楽しみたいというときに、イベントなどを購入していただければ……と思っています。

――大坪さんと大橋さんにお聞きします。ご自身の声を使っていろいろなことができるということで、どういうものを作ってもらいたいですか?

大坪 自分でも実際にプレイしてみて、自分でも新しい発見があったので、自分の知らない自分を見てみたいです。大坪由佳にも聞こえない、新しい表現をユーザーの皆さんにしていただきたいです。たとえば、早口言葉で“VOCALOID”がしゃべったらどんなふうに聞こえるのか、とか。本当にいろいろなことが試せると思うので、いろいろな使いかたをしていただけたら、本望です。

大橋 私自身が五七五を作るのが少し苦手なので、ぜひユーザーの皆さんに詠んでいただいて、自分で聞いてみて、「けっこう頭がよく聞こえるな」って感慨に耽りたいです。歌のほうでしたら、人間では歌えないような歌を聞いてみたいです。

――大坪さんと大橋さんの役柄に対する印象は?

大坪 私の演じる正岡小豆ちゃんは、本当に私にそっくりで動きとかも、びっくりの仕方もそっくりで、「いつ見ていたんだろう?」という感じです(笑)。彼女は元気で明るくて、女子高生の鑑のような存在ですね。こんな子がいたらいいな……という私の理想像です。挨拶とかも好きな子で、猫にも挨拶するような子ですね。抹茶とは仲がよくで、素が出るというか、彼女といるとツッコミ役になりますね。抹茶好きっぷりがすごく発揮されるので、そういうところを見てもらいたいです。

大橋 抹茶ちゃんは、ちょっと内向的で、さらっと毒のある言葉を言うような女の子です。ちょっと素直になれない部分もあって、「素直になりたいのに……」というときに、かわいらしい一面が見られたりします。あとは、小豆ちゃんのことが、ときどき「ちょっとめんどうくさいな」と思ったりするのですが(笑)、いちばん心を許せる相手なので、だからこそ素が出せたりします。そんな関係です。

――演じるにあたって気をつけたことを教えてください。

大坪 演じるにあたっては、どんな状況でも元気にハキハキとすることはもちろん、女子高生という幼さの面も持っていて、悩むときにはすごく沈むし、テンションの上がるときにはすごく上がる。上がったときと下がったときの振り幅がたくさんある子なので、その差を出すのに苦労しました。

大橋 演じるうえ気をつけたのは、毒のある言葉をさらっと言ったりするので、怖くなりすぎないように注意しました。しゃべりかける相手を突き放しすぎないように気をつけましたね。

 ちなみに、最後にこれまたお約束のように(?)「五七五でキャラの魅力を語ってほしい」と言われた大坪さんと大橋さん。森本さんが助け舟を出すように、「キャラクターを作るときに、彼女たちが五七五を作るとしたらこんな感じかな」ということで、それぞれ作ってあった歌「詠うなら 沸かせてやんよ 盛り上がれ」(大坪さん)、「詠うなら 酔わせてあげる 素敵でしょ」(大橋さん)をそれぞれ役柄の調子で披露。取材陣からは拍手が上がったものの、一部の「ふたりの作った歌が聞きたいです」とのさらなる要望に、大坪さんが「赤色が とっても似合う おいしそう」という句を披露。一方の大橋さんは、さんざん悩んだ挙句、「緑色 抹茶だから……」のあとが続かずしばしタイムアップ。「かわいいからいいか!」ということで、囲み取材はお開きとなった。早くも“575”の魅力にメロメロとなった取材陣でした(きっとファミ通.comの記者だけではなかったはず!)。

▲前列左から、cosMo@暴走Pさん、大坪由佳さん、大橋彩香さん、森本兼次郎氏、Dios/シグナルP。後列左からデッドボールPさん、ヤマハ・剣持氏、ドワンゴ・坂本氏、アニプレックス・山内氏、ラマーズPさん。