『怒首領蜂最大往生』の基本システム

 『怒首領蜂最大往生』は、弾幕シューティングの始祖とも言える『怒首領蜂』(1997年)のシリーズ4作目。アーケード版は2012年4月に稼動を開始し、約1年のインターバルを置いてXbox 360に高解像度移植された。本作は2作目に当たる『怒首領蜂大往生』のポリシーを受け継ぎ、基本的な難易度は高め。システムを利用して敵弾を破壊したり、消したりする手段はきわめて少なく、弾幕をガチ避けする、真っ向勝負感の強い作風が特徴だ。その点では、生粋のケイブシューターに向けた一面がある。

 しかしながら、それはあくまでアーケード版オンリーの話。家庭用やスマートフォンへの移植にあたり、ケイブは毎作品で間口を広げるための施策を貪欲に取り入れている。これまでには新キャラクターであったり、新モードであったり、初心者向けのモードであったり、本編に関係ないパズルゲームであったり、実験的なものも含めて、さまざまな試行錯誤があった。その中でもやはり好評だったのは、あまり奇をてらわずに、ていねいに作り込んだアレンジモードや初心者向けのノービスモードだ。もちろん本作にもそれらは用意され、そのほかにもゲーム内通貨でさまざまなアイテムを購入できるショップ、イラストなどを閲覧できるギャラリーなどもあり、ボリュームは満点。本作は、Xbox 360でのケイブ最後の作品になることが公言されているが、まさに『デススマイルズ』からの4年間を総括する、集大成的な作品に仕上がっていると思う。

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▲メインメニューでは4つのゲームモードのほか、“ショップ”と“ギャラリー”を選べる。いつにも増して盛りだくさんのメニューが揃っている。

 操作は方向キー+3ボタン。ボタンはショット、ボム、連射ショットという内訳で、ショットを押しっぱなしにすると高威力のレーザーを放てる。レーザーを射出中は移動速度がダウンするが、微調整しやすくなるという利点もあり、絡みつくような弾幕の中で細かい弾避けをするときには、ショットよりもむしろ避けやすい。この高速ショットと低速レーザーの使い分けは、『怒首領蜂』シリーズに限らずケイブ作品、ひいては弾幕シューティング全般にも波及している共通システムだ。とりわけ『怒首領蜂』シリーズの場合は、レーザーの根元部分に別途攻撃判定があり、敵に張り付いて高攻撃力を実現する“オーラ撃ち”と呼ばれるテクニックがある。『怒首領蜂大往生』以降はシステム化され、攻撃力アップの恩恵もさることながら、“ハイパーゲージ”を迅速に溜めることができるため、回を追うごとに重要度は増している。

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▲敵への撃ち込みは、攻撃力の高いレーザーがメイン。ショットを使うのは低速移動の解除と、コンボをつなぐ意味合いが大きい。

 また、自機とは別に強化タイプを選ぶスタイルセレクトや、コンボをつないでスコアを稼ぐシリーズ伝統の“ゲットポイントシステム”、地形に隠された“蜂アイテム”の収集といった要素もある。ちなみに、本作の場合は自機のサポートAI“エレメントドール”のドレスを戦闘服、私服、水着から選ぶことで、難易度選択とスタイル選択を兼ねたドレスシステムを採用。ドレス選択時は、被弾した際に残ボムをすべて消費してボムを放つ“オートボム”もセレクト可能だ。ただし、“オートボム”の威力は通常のボムに比べてきわめて低く、オフにした場合はミスのたびにボムの最大数が増えていく。そのため、自力できっちり撃てるなら“オートボム”はオフにしたほうがベター。

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▲多機能な機体セレクト画面。“エレメントドール”のドレスを選ぶことで、強化スタイルと難易度を同時に選べる。この画面で、“オートボム”のオン/オフも選ぶことになる。“オートボム”は全弾を発射するため、ミスは防止できるがその後ピンチに。

4つのゲームモードで“理想の街”の秘密を暴け!

 ゲームモードは“新Xbox 360”、“Arcade HD”、“Ver1.5”、“Novice”という4つがあり、その中でもメインモードとして打ち出しているのが“新Xbox 360”モードだ。これは、オリジナルキャラクターの“桜夜(さや)”が搭乗する機体・TYPE-Zを操作して、“陽菜(ひな)”と対決するオリジナルモード。ゲーム画面の両サイドには凝った演出が施され、“桜夜”とオペレーターが会話を続ける賑やかなモードだ。ゲームシステムもライフとボムストックを兼ねた“マルチエネルギーゲージ”という独自の仕組みが採用され、新鮮な気分で遊べるのが魅力だ。

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▲“新Xbox 360”モードは、ハイパー中に被弾しないことが重要。ショット強化ならば、全モード中、いちばんクリアーしやすい。

 “Arcade HD”はアーケード版を高解像度移植したおなじみのモードで、“Ver1.5”はスコアラーの意見を取り入れて再調整したアレンジ版。“Novice”は『怒首領蜂最大往生』を未体験のユーザー向けに調整した入門モードで、こちらもケイブのXbox 360作品ではおなじみ。

 難易度的には“新Xbox 360”か“Novice”が遊びやすいが、もともとがガチシューター向けのゲームなだけに、これまでのケイブ作品と比較すると歯ごたえのある内容になっている。しかし、本作はモードに関係なくプレイするたびにコインがもらえて、ショップで壁紙や音声、ゲームの仕様を変更・調整するゲームオプションを購入できる。このうち、ゲームオプションは当たり判定の縮小や敵弾の縮小、“オートハイパー”や“オートシールド”(被弾時にボムをひとつ消費して弾消し)、“蜂アイテム”視認、“オートパイロット”など、ゲームの仕様を大きく変えるものもある。これらを駆使すれば劇的に遊びやすくなるうえに、実績解除にも適応されるので、本作はケイブシューティングのファンだけでなく、シューティング初心者にもオススメしたい。

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▲高額のアイテムもあるが、コイン100~200のアイテムだけでも十分。“オートハイパー”、“オートシールド”、“自機小”の3つがあれば相当楽になる。

 また、“Arcade HD”にはお題をクリアーしていく“CHALLENGE”がある。これは一種のクエストモードで、条件を達成するとクリアー。このときの報酬としてもコインがもらえる。攻略テクニックを会得しながらアイテム購入資金を貯められるので一石二鳥! 積極的に活用しよう。

 ここまでが本作の概要になるが、ファミ通ドットコムではインプレッションをすでに掲載済み。そこで今回は、インプレッションの時点では体験できなかった、“オンラインチームバトル”について詳しくリポートしたい。

ひと粒で二度オイシイ!? チームバトルで遊ぼう!

 “オンラインチームバトル”は、“新Xbox 360”、“Arcade HD”、“Ver1.5”、“Novice”のすべてのモードに用意されている。正式には“SCORE ATTACK(Team)”という名称で、オンラインランキングに対応したスコアアタックモードのことだ。従来はひとりで参加する個人戦のみだったが、チームバトルはそれに対する団体戦という扱いになっている。
 チームバトルへの参加方法は至って簡単。どのモードでもいいので“SCORE ATTACK(Team)”を選択すると、A~Eの5チームのいずれかにランダムで振り分けられる。各チームの人数はほぼ同じくらいと思われるが、どのチームに誰が属しているか、あるいは何人いるかなどは非公開なため、詳細はわからない。

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▲腕に関係なく、とにかく遊べばチームに貢献できるのはうれしいポイント。獲得コインも2倍とお得!

 エントリーが終わったら準備完了。あとは“SCORE ATTACK(Team)”をひたすらプレイすればいい。ゲームオーバーになると、獲得スコアの一定率がチームポイントとして加算され、リアルタイムにチームポイントが変動していく。注意点としては、“SCORE ATTACK(Team)”で出したスコアは個人ランキングには反映されず、リプレイを残すこともできない。
 遊ぶゲーム自体は同じでも、みんなで共闘しているシチュエーションとなれば、気分も変わってくるものだ。リーダーボードをチェックするたびにスコアが細かく伸びていたりすると、ほかにも誰かがやっていることがわかってモチベーションはうなぎ上り。張り合うようにがんばってしまった場面もあった。それに、1位になるともらえる報酬も魅力的だ。現状では報酬が何かは公開されていないが、“ここでしか手に入らないもの”ということらしいので期待したい。

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▲どのモードで遊んでも、チームスコアは共通。プレイが終わったら、リーダーボードのONLINE(Team)をチェックしてみよう。

 ただ、個人的には、もう少しみんなで共闘しているライブ感が得られるような仕掛けがあるとよかったと思う。自分のプレイで何ポイント加算されたのかもわからず、自分がチームにどの程度貢献できているのかもわかりにくかった。また、今回は1周目(第1回)で、今後も2周目、3周目と続くものと思われるが、第1回の開催期間がいつまでなのかも判然としない。もちろん、チームバトルは初の試みだし、お金を取って運営しているわけでもない。実験的な試みという向きも多分にあるだろう。だから、あまり注文をつけるのは酷なことは重々承知しているが、先述のような基本情報がゲームの中でもわかるようにしてもらえるとうれしいところ。
 ちなみに“SCORE ATTACK”は、個人、団体ともにコンティニューおよびアイテムセットアップができない縛りがある。その代わり、獲得できるコインは何と2倍! 1面で全滅するようなことがない限り、ローカルプレイよりもコイン効率がいいので、オンライン環境がある人はドシドシ参加してほしい。チームバトルでオススメなのは、“オートボム”が何回も発動する“新Xbox 360モード”。スコアアタック、コイン集め、チームバトル報酬と、オンラインならではの魅力は多い。自分なりに目的を持って、オンラインモードを堪能してほしい。

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▲“新Xbox 360”モードは、アイテムの“オートシールド”が適用できない。アイテムセットアップの有無による、難易度の変化が小さいが変わらない利点(?)がある。

■筆者紹介:バロンマサール
古参ライター。某アーケードゲーム雑誌の終焉を看取ってから早14年……ゲームセンターの風景はずいぶん変わり、いまやビデオゲームは格闘ゲームを除いて激減。それでもなお、年に数本はシューティングゲームの新作が出続けている。何だかんだで、あと15年くらいは大丈夫なんじゃないだろうか(根拠なし)。ちなみに、本作の“SCORE ATTACK(Team)”ではDチームに配属。幸運にも、Dチームが優勢の状態が続いているので、このまま突っ走ってほしい!