変わり者どうし!? ユニークなふたりが“ゲーム”を語る!

 東京大学で“ゲーム学”という異色のテーマを研究する馬場章教授と、世界を驚かせるゲームを作り続けているサイバーコネクトツー代表取締役社長の松山洋氏。異色の顔合わせによる特別インタビューをお届けしよう。

 なおこのインタビューは、馬場氏の要請に応えて、松山氏が東京大学で講義を行った際に収録したものだ。松山氏の講義の内容を受けてのインタビューとなっているので、まずは松山氏の講義をリポートした記事をチェックしてからご覧いただきたい。
※リポート記事はコチラ→【サイバーコネクトツー松山洋社長が東京大学で講義

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【写真左】
東京大学 大学院情報学環 社会情報研究資料センター長
馬場 章教授
【写真右】
サイバーコネクトツー 代表取締役社長 松山 洋氏

馬場教授の授業に集まるのは“普通の東大生”じゃない!?

――講義はとても盛り上がっていましたね。内容については、事前に打ち合わせをされていたのでしょうか?

松山 洋氏(以下、松山) まったくしていませんよ。

馬場 章氏(以下、馬場) ただ、今回はゲストスピーカー第1回目というか、おひとり目だったのですが、ひとり目で松山さんにお願いしようと思ったのは、意図というか魂胆がありました。ひとつは、今回の受講者の中に、“松山ファン”がいるんですね。

松山 おお、そうなんだ(笑)。

馬場 サイバーコネクトツーのゲームのファンというより、松山ファン。どこかで松山さんの講演を聴いたのか、何らかの接点があるのかないのか、詳しくはわかりませんが。それともうひとつの理由は、松山さんが東大で講演するのは今回が2回目なのですが、前回のお話の評判が非常に良かったんです。業界の表と裏をうまいバランスで紹介していただけて、それが学生にとって、非常にためになると。普段私がやっている授業は、本当に堅い話をやるだけですから。

松山 それはそうでしょう。あなた教授なんだから(笑)。

馬場 そうですね(笑)。「ゲームのおもしろさとは何か?」とか、ゲームの歴史などの堅い話ばかりなんです。私のウィークポイントは、業界人ではないので、ゲーム業界のことを知らない。いまリアルに業界がどう動いているのか、どこに向かっているのかは、現場の方にお話を聞くしかないんです。それで、前回評判がよかったというのもあって、ひとり目は松山さんしかないな、と。

松山 なるほど。そこまで詳しい話はいま初めて聞きました(笑)。

――そもそも、松山さんと馬場さんの出会いはいつ、どんなきっかけだったのですか?

松山 もともとどこでしたっけ?

馬場 GDC(※)ですよ。休憩所でいっしょになって。
※編集部注:GDC……Game Developers Conference。毎年アメリカで開催される、世界中のゲーム開発者が集まる会議。

松山 2002年でしたっけ……10年以上前ですよね。うちは『.hack』をやりはじめころで、海外のGDCとかもちゃんと勉強しなければいけないということで、参加し始めた時期でした。たまたま休憩スペースに馬場さんがいて、そこで初めてご挨拶させていただいたんでしたね。

馬場 同じ日本人だということで(笑)。

松山 GDCって20000人以上集まるけど、ほとんどアメリカとヨーロッパの人間ばかり。いまでこそ日本からの参加者も増えましたが、あのころはまだぜんぜん少なくて、心細かったんですよ。「あ、日本人がいた!」と思って、話しかけてしまいました(笑)。それで、「日本に戻ったら、また機会もあるでしょうから」とお話ししたのですが、実際、何かにつけてお会いする機会はあるんですよね。東京ゲームショウでもCEDEC(※)でも、いろいろな会場でお会いして、そのたびに「最近どうすか?」と(笑)。
※編集部注:CEDEC……毎年、コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が主催して開催される、日本最大級のゲーム開発者カンファレンス。

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――来週以降の講義では、松山さんの講義を受けたお話もされるのでしょうか?

馬場 そうですね。すべてを取り上げようとすると、それこそ何年もかかってしまうので、ポイントを絞って。来週以降は私が講義をするので、なるべく授業としてつながりは持たせていこうと思います。

――具体的には、どのあたりを広げていかれるご予定ですか?

馬場 学生の食いつきがよかったのは、任天堂の話題でしたね。あの様子を見て、「今日はもらったな」と思いました(笑)。やはり学生は、マリオなど任天堂のゲームをやって成長してきていますからね。「先日の授業で松山さんがおっしゃっていたけれども……」というふうに発展させようと思っています。

松山 任天堂の宮本さんが過去におっしゃった発言ですばらしいなと思ったのが、ゲーム開発はトラブルだらけなんですね。問題しか起きない、というくらい。予算が減少されたり、時間が短縮されたり、スタッフがある日突然倒れて欠員ができたり、版元やお上からコレはダメ、とある日突然言われたり。ゲーム開発においては、問題が起きるのは日常で、当たり前のことなんです。でも宮本さんは、「そのたくさんの問題を、同時にすべて解決する行為を、アイデアと言うんだよ」と。ああこの人は、なるべくしてゲームの神様になったんやな、と思いました(笑)。

――うーん、カッコイイですねぇ……!

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松山 それを開発者に言うと、勇気が湧くんですよ。「よし、それなら自分がやるべきことは、考えること、アイデアを出すことなんだ」と。問題を避けようという後ろ向きな方向ではなく、「たくさんの問題を解決すればヒーローになれるぞ」という前向きな方向に目が向くんです。だからサイバーコネクトツーでも、「来週起きそうな問題に対して、傾向と対策を準備してがんばっておけ」というやりかたはしません。「いま起きた問題に対して、いま解決できる力を実力っていうんだよ」と言っています。そう言うとうちのスタッフたちは、「まーたピロシが言ってるよ。やれやれだぜ」ってなるんですが(笑)。

馬場 でもそういうところを、東大生に教えたいというのがあるんです。私の授業を受けにくるのは、みんなゲームが好きだったり、将来ゲーム業界に行きたいとか、何らかの形でゲームが頭にある連中です。就職についても、普通の就職はあまり考えていない、普通の東大生ではない学生が多いんです。どこが普通じゃないかというと、普通の東大生は、負ける戦はやらないんですね。

松山 おおー!(笑)。

馬場 トラブルが起こるようなところには首を突っ込まない。でも逆に、トラブルが起きたときに弱いんです。最初からそういうところに近づかず、成功する道にしか行かないわけです。そういう彼らに対して、いまのようなお話をしていただくこと。まさにゲーム開発だけではなく、人生訓ですよね。それを学生に投げかけていただけるというのは、すごく大切なんですよ。しかも、本当に現場を知っている人、自分達が好きな、ゲームの現場を知っている人の口からそれが聞けるというのは、すごく役に立つはずです。それは就職本に書いてあるようなことではなくてね。おそらく、僕の授業の価値はそこにあるのかな、とも思うんです。たぶん、一生懸命ぼくが授業をしても、みんな忘れちゃうんですよ(笑)。現場からのゲストスピーカーの言葉のほうが、みんな頭に残るんです。

――とくに松山さんの言葉は刺激的ですからね(笑)。

松山 はっきり言わないと聞いてくれませんから(笑)。うちのスタッフたちにも同じですが、「この業界、いいこともあれば悪いこともあるよ」なんてやんわり言たって、何も残らないでしょう。いいものはいい、ダメなものはダメ、とはっきり言わないと。

エリートたちのゲーム事情とは……?

――馬場先生の授業を通してのテーマとは、どんなものなのですか?

馬場 今年度でいうと、まずゲームが多様化しているのは間違いないですよね。ジャンルだけではなく、デバイスも多様化している。そんな中で、「どこを掴まえれば将来が見えてくるか?」というところで、いくつか問題提起をしていこうと。結論があるわけではなく、そこは学生に考えさせます。みんな「ゲームが好き」というところから出発して授業を聞いているのだと思いますが、単に好きなだけで終わるのではなく、もうちょっと客観的に、作っている人のこと、売っている人のこと、いろいろな視点から考えてみようと。大げさにいうと“ゲーム産業の将来”なのですが、もうちょっと簡単にいうと、「自分たちが好きなゲームの将来はどうなるのかな」と考えてもらおうと。そういう問題提起的な授業ですね。
 後は、大げさに言えば、みんなエリートですから、将来的には社会の上層部に行くわけです。やがて役人になったときに、日本のゲーム政策をなんとかしてくれよと(笑)。財務省に行く人がいたなら、もうちょっとゲーム会社への税金をなんとかしてよとか、開発経費を控除してあげてよとか。

――おおー。それはぜひともお願いしたいです(笑)。

馬場 実際には、そこまではっきりは言いませんが(笑)。でも、ゲームについて半年間学んだことで、彼らのさまざまな進路に対して、何か得ること、教えてくれることがあるだろうと思っています。その受け止めかたは、学生によっていろいろだと思います。

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――東大生のゲームライフというところには非常に興味があるのですが、彼らはどんなふうにゲームと接しているのでしょうか?

馬場 東大生だけを対象にアンケートを採ると、やはり偏りはありますね。まず受験勉強が大きな壁になっていて、中学までは遊んでいても、高校生になって、大学受験が見えてくると、ゲームから離れていくんです。

松山 なるほど。だから低年齢のときに遊んだゲームが、思い出のゲームなんですね。

馬場 だから、『ポケモン』であり、『マリオ』なんですよ。

松山 ああ、任天堂のゲームだ(笑)。

馬場 実際には、いろいろな会社の、いろいろなゲームも遊ばれていますが、いちばんマスの部分は任天堂。彼らが、小学生から中学1、2年のころまでに遊んだゲームですね。さらに最近は不景気なので、東大生でも、就職活動がすごくたいへんなんです。そうすると、大学3年から就活を始めるので、ゲームをやっている余裕がなくなる。それでも遊べるものというと、ソーシャルゲームです。

――ああ、なるほど。ソーシャルゲームはそういう層にも訴求しているんですね。

馬場 電車の中で、会社説明会の合間に遊べますから。一方で、本格的な、とくに据え置き型のゲームからはどんどん離れていく。それが一般的な傾向だと思います。でもそこで、学生に問題提起するわけですよ。一度離れた学生、あるいは社会人を、どうやってもう一度ゲームに戻せばいいのか。どういうタイトルを作ればいいのか、どういうデバイスならいいのか。そういう問題提起をしていくわけです。それは自分たちが実際に体験していることでもあるので、いちばんわかりやすく、とっつきやすいですよね。それで、だいたい私がダメ出しするんです。「甘い、そんなゲームじゃ人は呼べないよ」って(笑)。

――しかし、いまの学生さんって忙しいんですね……。

松山 私が学生のころは、時間だけはいくらでもありましたよ(笑)。

馬場 まあ彼らも、思ったよりはゲームを遊んでいるんですよ。だんだん時間が減っていく傾向はありますが、完全にゲームから離れているのかというと、そうではないんです。東大生と言っても、一浪したって二浪したって、ゲームを遊んでいる人はいます。ゲームは好きだけど、たまたま偏差値が高かったから東大に入っちゃいました、と。そんな感じですよ。

――そういう優秀でゲーム好きな人たちが、馬場先生の授業を聞きにきているんですね。

馬場 ただ私としては、ゲーム好きな連中にゲームのおもしろさを教えたいというのもありますが、ゲームを知らない連中にこそ、おもしろさを教えたいんですけどね。じつはゲーム作りってこんなにおもしろいし、こんなに学べることがある。そこからできあがった作品としてのゲームは、こんなにおもしろい表現があるし、それを商品として考えると、こんなビジネスの醍醐味があるんだと。それを、エリート然とした東大生たちに教えたいのですが、そういう連中は、私の授業にはこないんですよね(笑)。

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――馬場先生ご自身が研究されている内容を、改めて教えていただけますか?

馬場 “コンテンツ創造科学”と言っています。研究室としてやっているのは、ゲームだけではく、デジタルコンテンツですね。ですから、映画やアニメも対象にしていますし、「松山さんがこんな映画を作った」というのもじつは話題にしたりしています。その中でも、昔からやっていて、メインになっているのがゲームなんです。というのは、デジタルコンテンツの中で、ゲームがいちばん研究の対象としておもしろいんですよ。デバイスの進化や、表現の多様性などがありますから。言い方としてはコンテンツ創造科学、あるいはゲーム学と言っていますが……おもしろければなんでもやります(笑)。

――ビジネスモデルとしての研究などというよりも、おもしろさそのものを研究されている、ということでしょうか?

馬場 重視しているのは、なかなか日本では定着していないのですが、ゲームを中心に据えた“ゲーム学”、“ゲームサイエンス”ということです。ですから、ゲームとは何か、ゲームのおもしろさとは何か、というのが核心的な話題となります。ただ学生たちの研究としては、それを経営学からアプローチしている連中なら、ビジネスモデルの話をしますし、コンピュータサイエンスからアプローチしている連中は、「CPUがどういうふうに進化しているか?」といった内容になります。最近では、「UNITYを使ってさらに効率的にゲームを開発するにはどうしたらいいか?」という研究をしていた学生もいましたね。卒業してグリーに行きましたけど(笑)。

――なるほど(笑)。そこは学生さんごとにいろいろなんですね。

馬場 ええ。ただ、いままでのゲーム研究では、ほかに自分の専門があって、たまたまゲームが研究の対象だった、というパターンが多かったのですが、私の研究室では、ゲームが真ん中にあって、そこにいろいろな方面からアプローチしようと。立場が逆なんです。

東大で“ゲーム”を教える意義――“人材育成”という形で“産学連携”を

――最後に、今後の講義に向けての予定などを教えてください。

馬場 はっきりとは学生には言わないと思いますが、「エンターテインメントって大事だね」ということは伝えていきたいと思っています。我々、アカデミックな世界では、たとえば人の生き死にに関わる研究などは、研究費もたくさんつくし、社会的にも注目されます。でも「エンターテインメントを研究しています」と言うと、だいたいお金がつかないので、自分たちで工面することになる。いまなら、グリーさんやDeNAさんにお願いして、ご協力をいただいたりしています。
 でも、エンターテインメントがないと、じつは人は生きていけない。そこを伝えられれば、私としては本望です。それをいちばんよく教えてくれるのがゲームだと思っています。もちろんエンターテイメントはゲームだけではないですし、授業でもゲームだけではなく、メディアミックスという観点からいろいろなコンテンツを取り上げますが……ゲームって、作っている人がおもしろいじゃないですか。もちろん、ゲームそのものもおもしろいし、売りかた、ビジネスとしてもおもしろい。研究対象としてすごくおもしろいんですよ。そういうのをひっくるめたエンターテインメントだと理解して、わかってもらいたい。
 ゲームって本当に社会にとって、存在しなければいけないし、存在することによって、僕らの生活が豊かになっているんだ、ということ。それは隠しテーマですね。あんまりはっきり言ってしまうと、なんだかクサイので。でも、そうだという確信が私にはあるので、こういう授業ができるんです。

――東京大学という場で、そういう授業をしていただけるのは、ゲーム業界としても本当にありがたいことです。

馬場 じつは、最初はたいへんでした。7年くらいまえに、第一期、第一回の授業がこれから10分後に始まるぞ、というときに、学部長に呼ばれたんです。行ってみたら、教務主任も隣にいて、「先生、今日からゲームの授業をされるそうですが、ゲームって学問なんですか? 東大でゲームを教えられるんですか?」と。そのときの学部長――いまの学部長とは別の方ですが――に私が申し上げたのは、「もし疑っていらっしゃるなら、いまから授業をするので、見に来てください」と。そうしたら、教室には、もう学生が入り切らないくらい集まっていて。教室の窓枠を外して、外にも臨時の席を作るくらいでした。「それくらい学生はゲームに興味があって、知りたがっている。それを教えない東大ってなんですか?」と(笑)。

――カッコイイ!!

馬場 学部長も教務主任も実際に教室に来て、いちばん前で授業を聞いていたのですが、授業が終わってから、「来週からも続けていいですか?」と聞いたら、「ぜひ!」と(笑)。

――おおお。完全に「映画化決定!」的な展開ですね(笑)。

馬場 やはり集まった学生の数を見て、わかってもらえたようです。それからですよね。国もコンテンツ政策を積極的に打ち出し始めたので、「これはたいへんだ、やらなきゃいかん」という流れがより強くなりました。いまでは教養学部だけではなく、本郷の本部キャンパスのほうでも、コンテンツ関係の授業はけっこうありますね。

――まさにパイオニア的な授業なんですね。

馬場 このエピソードは、最後の講義で必ず学生に言っています。「みんな毎回、俺の冗談でケラケラ笑っているけど、東大ってこんなに頭が硬いんだぞ」と。ゲームは社会になくてはならない存在で、それが研究の対象にならないはずはない。「東大がそれを取り上げないなら、それは東大の恥なんだよ」と。最後にそれを言うと、「ああ、じつはこの授業、そんなにマジメな授業だったのか」と思ってくれます(笑)。

――研究される側として、松山さんはいかがですか?

松山 正直、研究される側として自覚してしゃべっていたわけではありませんが(笑)。ただ私の自覚としてあるのは、エンターテインメントはいろいろありますし、世の中にいろいろなお仕事がありますが、客観的に見ても、ゲーム業界で働いている人たちは、普通じゃないですし、実際にやっているビジネスも、その多様性も含めて、すごくユニークな業界だと思います。だからゲーム業界って、間違いなく、おもしろいお話の塊だと思いますね。今回はきっかけもあって、馬場さんに呼ばれて私が講義をしましたが、私だけではなく、ゲームクリエイターはみんなユニークでおもしろいですし、ゲームってそういうおもしろい人間が作っているものなんですよ。
 まだまだ、ゲームクリエイターやゲーム業界に対する偏見はあります。いまのお父さんお母さんたちの世代ですら、「ゲーム? 遊んでモノ作れるの?」と思っている人もいるかもしれません。でもゲーム作りって、思いのほか科学ですし、数学ですし、もちろん英語も必要です。そういう一般の人たちに対する誤解を、少しでも解くために貢献できればいいかな、と思っています。まあ、私はふだんやっていることをただ話しているだけですから、なんのプロットもないですし、いつものとおり思っていることを言っているだけですが(笑)。つぎはいつ呼ばれるかわかりませんが、定期的にご協力できればと思います。

馬場 来年もぜひお願いします(笑)。

松山 もちろん!(笑) そのときは、その時点の最新の話をさせていただきますよ。そして何年後になるかはわかりませんが、東京大学の学生さんが、いずれゲーム業界の門を叩いてくれて、偏差値の低い我々とは違う(笑)、新しいクリエイティブを発揮してくれると楽しみだな、と思います。

馬場 いやいや、そこは偏差値は関係ないですよ(笑)。よく“産学連携”と言われますが、それは技術的な面だけのものではないだろうと思うんです。私は、授業を通して人を育てていくことで、“産学連携”していると思っています。授業の中から優秀なクリエイターが生まれる、という直接的な形ももちろんですが、ほかの分野に進むにしても、“ゲーム作りの話からコレを学んだ”ということをほかの分野で活かしてくれれば、それはすごく貴重な、人作り、人材育成になると思っています。

――すばらしいお話ですね。どうもありがとうございました!

東京大学・馬場教授&CC2松山社長 異色の顔合わせによる特別インタビュー!_01