世界よ、これがサバイバルホラーだ!

 ついに発表された、三上真司氏率いるTango Gameworksの新作『Psychobreak(サイコブレイク)』。ベセスダ・ソフトワークスやid Softwareなどを傘下に収めるZenimax Mediaグループの傘下になったのが2010年、“Project Zwei”なるサバイバルホラーを手掛けていることが明かされたのが2012年。いよいよベールを脱いだ本作の最新デモの模様と、開発陣へのインタビューをまとめてお届けする。

三上真司氏が放つ『PSYCHOBREAK (サイコブレイク)』、かつてない恐怖を切り取ったSSが公開_01

 三上氏とサバイバルホラーと言えば、どうしても『バイオハザード』シリーズを連想してしまう人も多いだろう。
 本作は、初代『バイオハザード』と『バイオハザード4』同様、三上氏が「現場ベタづき」(関係者談)でディレクションを行なっているサバイバルホラーである(ちなみにこの3つのタイトル、『サイコブレイク』が2014年に出るのなら見事に9年間隔で並ぶ)。
 プラットフォームは今のところ、プレイステーション3、Xbox 360、PC、そして“その他次世代機”で、2014年発売予定。“マスター・オブ・サバイバルホラー”が直接手掛ける新作として日本のみならず、世界が注目するタイトルであるのは間違いない。

圧倒的な不穏さと生理的恐怖!――“純粋なサバイバルホラー”を目指す『サイコブレイク』最新デモリポート&インタビュー_06
圧倒的な不穏さと生理的恐怖!――“純粋なサバイバルホラー”を目指す『サイコブレイク』最新デモリポート&インタビュー_07

Demo Report Part1: 舞台は現代、だが何かがおかしい……。

三上真司氏が放つ『PSYCHOBREAK (サイコブレイク)』、かつてない恐怖を切り取ったSSが公開_06
▲アートワークのごとき密度感! 明かりの広がり、パトライトの色が路面の反射に影響している点なども注目。

 デモは2パートに分けて行われ、前半部は主人公セバスチャン・カステヤノス以下、相棒のジョセフ、若い女性刑事キッドの3人が、市街地に建つ精神病院へと駆けつけるシーンから始まった。
 いわく、この病院では全職員と患者が突如死亡する事件が発生、警官隊を送り込んだところ、彼らとの連絡も途絶えてしまったというのだ……。

 本作ではゲームエンジンに、Tango Gameworksと同グループに属するid Softwareのid Tech 5エンジンのカスタマイズ版を採用。デモはPCで行われたのだが、画面の密度感はさすがの出来。病院は静かにそびえ立ち、病院前に止められた何台もの無人のパトカーのライトがレンズフレアを起こし、濡れた路面はライトの光を鈍く反射している……。これから始まる恐怖の宴に備えて息を潜めているかのように、異常な光景が静かに迫ってくる。

 キッドを残し、意を決して病院へと踏み込むセバスチャンとジョセフ。エントランスにはそこら中に物言わぬ死体が転がっているが、依然として世界は沈黙を保っている。この不穏さは一体何なのだろうか? ようやく生存者を発見するが、彼はうわ言を繰り返すと、気を失ってしまう。

 彼にジョセフをつけて守衛室に監視カメラを覗きにいくと、何者かに追われる人の姿が。しかし追ってきた異常な速度で動く者に屠られてしまう。そして次の瞬間、セバスチャンの背後に謎の影が!

Demo Report Part2: 想像と恐怖、そしてスニーキング

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▲何体もの犠牲者が吊るされている部屋。いったい何の目的で?

 昏倒したセバスチャンが目を覚ますと、どうやら彼が足から逆さ吊りにされていることがわかってくる。周囲には同じような“犠牲者”と思しき人体が肉屋さながらに吊られている。
 そして気がつけば目前に血にまみれたエプロンをつけズタ袋を被った巨漢が。隣に吊られた人体へと彼が向かうと、鈍い音が聞こえてくる。そう、まるで大型の動物の肉を力任せに解体しているかのような……。やがて、何か湿ったものが地面に勢い良く零れ落ちる音がし、“ヤツ”が哀れな人間、その上半身だけを引き摺って行くのが見える……。

 ここでは決定的な場面こそ見られなかったが、音響、そして鉄錆と血汚れだらけのじっとりとした周囲の環境が、生理的嫌悪感を伴う絶妙な恐怖を煽り立てていた。なにも人は怖いものを直接見せられなくとも、もっとも怖いこと、起こって欲しくないことを想像させてしまえば、それだけで恐怖するものなのである。

 この後、とある方法で拘束を解くことに成功するのだが、依然として武器もない無力な状態。どう考えても勝ち目のなさそうなこの謎の巨漢から逃げ出すことになる。
 そう、スニーキングも本作の重要な要素だ。物陰に咄嗟に身を隠したり、物をあらぬ方向に投げて注意を逸らしたりしながら、じりじりと脱出を試みる。

 それにしても病院にいたハズであり、確かにそれらしき車椅子なども転がっているのだが、何とも様子がおかしい。何でこんな人間解体場があるのか? 逃走経路には、洗車機のブラシをすべて刃物に替えたような代物まで登場する。大きな疑問と後ろから追われる恐怖(足を引き摺りながら振り返らずに逃げなければいけないシーンもある)に耐えて脱出すると、外には信じがたい光景が広がっていた。これは現実なのか、天変地異が起きたのか、それとも狂気の世界に迷い込んでしまったのか……。

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▲恐怖からの脱出。脚を引き摺りながら生還を目指す。

Demo Report Part3: 罠

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▲異形の者たちの襲撃。

 デモの2本目では、寂れた村の民家での戦闘メインのシーンが舞台となっていた。
 ここでもセバスチャンは一人きり。しかし今度はハンドガンと、センサーと爆発物を組み合わせた“MINE TRAP”というふたつの武器を持っている。
 戦闘は比較的オーソドックスなTPSスタイルだ。まずは地下で異形の住人と遭遇。ヘッドショットで倒したり、足を撃って転倒させて、地に這いつくばった所を焼いて片付ける。

 地下から2階に上がって民家を探索していると、集まってきた異形の住人が窓などから侵入し襲撃してくる。トラップを仕掛け、銃で抵抗するが、多勢に無勢。たまらず階下に逃げると……あれ、ここ行き止まりだったっけ? どうにもおかしい。やがて奥から流れてきた血のような奔流にセバスチャンが包まれると、そこはまた病院のような場所!
 何が起こったのかあっけにとられていると、突如出術室のような部屋から現れた、蜘蛛のように何本もの脚が生えた異形のクリーチャーに襲われ、後退しながら戦うも飛び掛られて万事休す、というところでデモは終了。

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▲突如出現した異形の存在。

「コントローラーを握った手が冷や汗でビチョビチョになるように」

 公式サイトで公開されている実写動画はイメージ映像のような内容だったが、デモではまさにあの映像の通り、不穏な空気に満ちた、絶妙にプレイヤーの心理を追い込んでいくサバイバルホラーの真髄を感じることができた。
 では、本作は実際どのような意思や方向性で開発されているのか? 本作のディレクターである三上真司氏、プロデューサーの木村雅人氏、アートディレクターの片貝直紀氏に話を聞いた。

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『サイコブレイク』
ディレクター 三上真司氏

――今回サバイバルホラーに再挑戦するにあたって、ホラーゲームの怖さの本質をどう捉えられているのか教えてください。
三上真司氏(以下、三上) 怖い雰囲気の時に怖い敵が出てきたら怖いなという、そこの掛け合わせですかね。
木村雅人氏(以下、木村) 敵に関して言うと、得体の知れない怖さ、理解できないからこそ怖いといった部分は大事にして作っています。
――画面から伝わってくるネチャネチャした感じに圧倒されたのですが、そこはやはりグラフィック的に力を入れられている部分なのでしょうか?
片貝直紀氏(以下、片貝) そうですね、明るい暗いという人間が直感的に怖さを感じる演出もそうなんですけど、ちょっと生理的に嫌悪感を抱くような雰囲気だとかそういったものは大事にしていますし、あとは空間的なもの、「こういう狭いところで出てきたら嫌だなぁ」といったアプローチもやっています。

――最初は現代のリアルな刑事劇のような入り方をして、敵もまぁ人間でもおかしくないようなのが出てきて、それがデモの後半ではどんどん混乱させられて、クリーチャーも明らかにおかしなのが出てきました。
三上 リアルだけでは起こり得ないシチュエーションをどう作っていくか、入り口は現実だけど、そこからスタートしてだんだんおかしくなってくる、そこが現実なのか、果たしてそうでないのか……。敵のクリーチャーデザインもそうですが、全体としてはサスペンスではなくてミステリアス。何が何だか分からない、だから不安で怖いというテーマに絞ってデザインしています。

――最初は相棒と歩いているようなシーンもあって、「AIが同行する形になるのかな」と思ったんですけど、結構すぐ一人きりになって、しかも武器もない状態に叩き込まれました。この不安感は大事にされている部分ということですね。
三上 そうですね。仲間は一杯いた方が、何となく広がりがありそうな感じがするじゃないですか。でも実際ホラーゲームとしては、いつも仲間がいる状況は怖くないんですね。
 だから実際に遊ぶ時は単独で怖さを堪能してもらって、仲間が一緒にいる時は大体ヤバいシチュエーションで、協力して頑張らないと生き残れないよという、そういう(単独の場合とは異なる)シチュエーションに頼った形でのホラー。そういう使い分けをしています。
木村 すごいバラエティに富んだいろんなシチュエーションがあると思って頂いていいと思います。

――今日のデモでは前半と後半でかなり違うステージでしたが、それでも何か“いやーな感じ”というのは共通していて伝わって来ました。ローディング画面でチャプターと書いてあるのに気がついたのですが、チャプター(章立て)形式で進んでいくということでいいでしょうか?
三上 そうですね。チャプター形式にしたのは、まぁデータを読み込む部分も必要なのですが、ユーザーとしてもチャプターで切ってうまくリズムを作ったほうが「ここまで生き延びた」というのがわかりやすくなるかなと。

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圧倒的な不穏さと生理的恐怖!――“純粋なサバイバルホラー”を目指す『サイコブレイク』最新デモリポート&インタビュー_20
▲初公開となるスクリーンショット

――『フォールアウト』や『エルダースクロールズ』シリーズのベセスダ・ソフトワークスがパブリッシャーということで「オープンワールドなの?」と思っている人もいると思うのですが、いかがでしょう。
三上 開発当初はオープン気味なスタイルをやろうとしてみたんですが、怖さに特化して、暗い、狭い、怖いといったシンプルな部分の調整を入れていく中で、流れとしては一本道にして、(オープンな空間の広がりではなく)怖さのパターンや遊びの幅でゲームの幅を出していこうかなと。2回目、3回目でもそれなりに楽しめると思います。
木村 波ってすごい大事だと思うんですね。怖かったり、爽快感があったり。それをうまくリズムを制御していくにあたり、オープンワールド的な作り方をするよりも、ある程度一本道でクリアーしていくようなゲーム性に特化させたという感じですね。
三上 でも(一本道の)ダンジョンみたいな所ばかりだと、僕でもゲームを投げちゃうんですよ。抜けがある広いシチュエーションがリズムよく来ないと嫌だし、世界観的にも「これダンジョンゲーか?」となってしまって、広がりがない。
 だから広いシチュエーションのいい所は残しつつ、暗い、狭い、怖いところがうまく出てくれば、最後までいろんなシチュエーションで怖い思いができるかなと。広いところはそれに向いたシーンを用意してますし、狭いところはギューっとしんどくて怖いところ。かといってピクニックしているわけではないので、広いシーンもそれなりの緊張感を維持しながら狭いところに入っていく。基本的にそのくり返しですね。

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『サイコブレイク』
プロデューサー 木村雅人氏(右)
アートディレクター 片貝直紀氏(左)

――デストラップのようなものはあるんでしょうか? 解法をうまく見つけないと終了という感じの。
木村 トラップにはふたつあると思うんですけど、ひとつはプレイヤーがかかってしまうもの、もうひとつはプレイヤーがかけるもの。その両方があります。デモでも壁に爆弾をつけるシーンがありましたが、あれもトラップですね。
 三上が作るゲームですので、いつもながら銃弾が少なかったりするんですけども、ああいった物は、その少なさを補う武器であったりもするんです。うまく使うことですごく戦略的に倒せたりとか、銃弾を節約してクリアーしていけたり。プレイヤーがかかるトラップも、そういうシチュエーションの場所を用意しています。
三上 敵も仕掛けてきて、ひっかかったら死んじゃうし、学習するとそれを使って敵を殺すこともできるというものもありますし、あらかじめマップにセットされている奴、持ち運びできるようなトラップも何種類か。
 銃で撃つ、接近戦で何とかその場を凌ぐ、スニーキングで敵に気付かれないように抜ける、トラップを仕掛けると。今までのゲームよりちょっと幅が広いので、銃弾はいつもより少なめです。時代はエコなので、それに乗っかって弾も少なめで。それで生き残るのが今エコ(笑)。

三上真司氏が放つ『PSYCHOBREAK (サイコブレイク)』、かつてない恐怖を切り取ったSSが公開_04

――正面から銃をバンバン撃って力技でなぎ倒すようなゲームではないということですね。
三上 そこはかなりシリアスですね。
木村 シチュエーションによってはゴリゴリ戦うようなところもありますし、トラップをうまく使うところもありますし、仲間と協力して戦うような所もあるので、そこはいろんなシチュエーションを用意しています。
三上 ゴリゴリ(戦うシーン)は若干少なめにはなっていると思います。弾も少ないし、だからこそ敵に見つかりたくないからスニーキングもするし、あり物をうまく利用してトラップで敵を潰していかないと生きて向こう側に辿りつけないというところですよね。

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――拘束を抜けだした後、巨漢が部屋で何かしているのを隠れて覗くシーンがあったじゃないですか。あそこで気がついたらこっちを向いててびっくりしたんですが、あれは見つかってしまうと終了ですか?
三上 すべてのパターンをチェック出来ているわけではないんですが、99%ぐらい死にますね。見つかると襲ってくるんですが、絶対逃げられないかというと、そこまではやり込んでいないので……ひょっとしたら超絶プレイの人が抜けるかもしれませんが。
――まぁ基本的には「隠れないと本当にヤバい」というのを学習してもらうための場所と。
三上 そうですね。

――デモで脚を執拗に撃っていたと思うのですが、あれはヘッドショットよりも有効な場面があるということでしょうか?
三上 基本的にはヘッドショットの方が倒しやすいんです。うまく当たれば弾の消費も少なくてラッキー。でも脚を撃つとコケて、そこに火を放つと一発で倒せる。つまりこの方法でも弾が節約できるんですが、今はなかなか倒れてくれないんで、調整していきます。そういった部分でも、今まで以上に「敵があと何体、弾があと何発」というのが重要になってくるゲームスタイルですね。

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――オープニングの病院前のレンズフレアとか濡れた地面が印象に残ったのですが、ゲームエンジンは?
片貝 ファミリーであるid Softwareのid Tech 5をベースに、三人称視点に合わせてアレンジを加えたものになります。
――ライティングなどはホラーゲームでは非常に重要な要素だと思うのですが、実際かなり力を入れられている部分なのでしょうか?
片貝 そうですね、ホラーの場合はライティングはホラーの演出のかなりの割合を占めると思いますので。影だったり、暗さ明るさもかなり重要になってきますね。そこは力を入れています。
三上 片貝はこれがめちゃくちゃ得意なんですよ。
片貝 以前からホラーゲームでライティング周りをずっとやっているので、やりがいはありますよね。(プレイヤーが)気になる所を作ったりとか、行きたくないところを作ったりとか。
木村 その辺は本当に、好きこそものの上手なれって奴だと思うんですけど、ほんとスゴいですね。「あぁ、そっち行きたくなるなぁ」って思ったりしますもん。

――ユーザーインターフェースがほとんど出ていなかったのは、開発中だからということなんでしょうか?
三上 「できるだけ出したくないよね、でも製品になる頃にはある程度出さなきゃだめなんだろうね」と、いまは(UIを極力出さずに)踏ん張れるところまでは踏ん張って、内部だけじゃなくてチームの外側の人にも触ってもらって反応を見ている所です。
木村 今回、画面の中の主人公が感じているだろう感情と、コントローラーを持っているユーザーが思うだろう感情をできるだけ近くしたいという考えを基に開発を進めていて、その時に邪魔にならないUI、できるだけ没入感を阻害しないものにしたいなと思っています。できるだけ出さない方向でやってはいるんですけど、ゼロにするのは無理なので、そこを調整しているところですね。
片貝 アートの面でも、できるだけ出したくないですね。(負傷などの)いろんな情報をキャラクターの挙動などから取得できるのがベストだと思うんですけど、ゲームとして見るとある程度は出したほうがいいという意見はやっぱり出ますし、そこはまだちょっと時間があるので。
三上 UIに携わっているデザイナーもこだわりが強いんですよ。あんまり邪魔したくないと。

――刃がついた巨大洗車機のような機械が出てくるシーン、脚を怪我して引きずっていて、でも背後から追われていて、さらに刃が迫る前に走り抜けなきゃいけないと、てんやわんやのいいシーンだったと思うんですけど、ああいった感じに画面で語りたいと。
片貝 そうですね。要所要所に、ああいう三重苦というか、追い込むようなシチュエーションを用意しています。

三上真司氏が放つ『PSYCHOBREAK (サイコブレイク)』、かつてない恐怖を切り取ったSSが公開_02

――ちなみにビジュアル面で、クリーチャーデザインなどで影響を受けたものなどはありますか?
片貝 ウチのスタッフは結構ホラーファンが多いんです。70年代80年代90年代、日本海外を問わず観ているんですけど、そういう背景を少なからず持っているので、何かしらの影響は出ていると思うし、作品に投影されていると思うんですけど、このタイトルというのはちょっと言いにくいですね。特に意識したつもりはないです。
 ただクリーチャーデザインは、ゲームデザインの観点からも、ゾンビなどからちょっと一線を画したビジュアル的なインパクトを狙っているので、面白いものになっているかなと思います。
――ステージも、吊るされている辺りのシーンの湿った汚れと鉄錆の感じ、刃物がギラギラと回転している凶悪な感じなどが結構キました。
片貝 今回色んな面で、ホラーとして怖くあるべきという思いが強いですね。かっこいい、美しいグラフィックよりも、より怖く、より不気味さを強く、生理的に近寄りたくない感じのグラフィックになってきているという気がします。
木村 嫌な感じを感じて頂けたとしたら、狙い通りではないかなと思いますね。

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――ちなみに、武器ってどれぐらい持てるんですか?
三上 そんなに種類が多くはないですね。順当にハンドガンですとか、ショットガンとか、そこら辺は当然あって、手持ちのその場を凌ぐ武器、それとトラップですね。武器で戦うのも生き残るためのひとつの手段だし、戦わずして勝つとか、敵を罠にかけてずる賢く勝つのも手段。
 今までサバイバルホラーで隠れるということはあまりしてきませんでしたけど、隠れる、そしてトラップがあって、少ない弾薬を活かすというのが今回の遊びの幅を広げると考えています。
――スニーキングアタックのようなものはあったりしますか? 死角から攻撃すると一発で終了というような。
三上 はい、そういう感じのはあります。後ろから銃で撃ったら一発でアウトというのも考えて、最初は入っていたんですけど、それはなくそうかなと。イージーすぎるので。
木村 戦略的な幅はすごいあると思いますね。

――物を投げて敵の注意を自分とは別の方向に引き付けるシーンがありましたが、敵は視覚と聴覚があるということでよろしいですか?
三上 基本的にあります。
――何かAI的に変わったことはやられていますか?
三上 特に変わったことはしていないですね。索敵して見失ってという当たり前のことをどれだけ詰め込めるか。
木村 ちゃんと当たり前のことをします。
三上 そこにトラップをどう作動させてどう引っかかるか、今のところはすごく頭の悪い敵から始まって、後半に行くに従ってちょっと駆け引きが必要な賢い敵を入れようかなと考えています。
片貝 AIの特徴というわけではないですけど、完全な人間ではなくてあくまで敵クリーチャーとしてのものなので、あんまり頭がいいというよりは、コイツは本能的に動いているという感じのAIになっています。
三上 あんまり頭が良くてもゲームが複雑になって、怖さも減っちゃうので。後半どれだけ上げていけるかですね。

圧倒的な不穏さと生理的恐怖!――“純粋なサバイバルホラー”を目指す『サイコブレイク』最新デモリポート&インタビュー_05

――クリーチャーの種類のバリエーションは期待していいでしょうか?
木村 楽しみにお待ち頂ければ。面白いものが見られると思います。
三上 ちなみに今日見てもらったのは中ボスぐらいの扱いです。どうやって倒したらいいのかちょっと分かりづらいような敵が中ボスクラスには結構いますね。
片貝 そこは結構でかいですね。
三上 なかなか死なないというのもひとつのキーワードです。
――それはどこかライトが何故か当たってたりするような、ヒントを探さないといけない感じでしょうか?
片貝 そういう露骨なのがあるかわからないですけど、隠れる動作があるということは、隠れなければいけないこともある、普通に倒せるわけじゃないこともあるということですね。
木村 デザイン的にもバラエティに富んでいるのですが、倒し方にもいろんなバリエーションがあるのが特徴です。
――弾の少ない中で、そういったシチュエーションをどうやって切り抜けていくかも大事なゲームと。
三上 少ないからこそ手段を選んでどうするか、トラップや隠れる動作も含めて考えて欲しいですね。

――ちなみに、詰む時は詰む感じですか?
三上 詰みます。
木村 進行不可能なことはないように作っていますけど、「これ結構しんどいぞ?」ということにはなりますね。
三上 弾が少なくて、強引に弾で何とかするという方法論が取れないからこそ、スニーキングやトラップを使って行かないといけない。とはいえ、進行不能な所がちょくちょくあると困るので、どう調整・フォローするかを考えています。

――では最後に、Project Zweiとして発表された時点から期待していた人は多かったと思うんですけれども、今後こういうものを期待して欲しいというメッセージをお願いします。
片貝 久しぶりに本格的にホラーゲームを作っています。本当にみんなに怖がってもらえる、画面の美しさももちろんあるんですけども、より怖さに特化したグラフィックを作っているので、そういった怖さを楽しんで欲しいなと思います。期待してください。
木村 サバイバルホラーって、怖さとそれを打ち破る気持ちよさが大事だと思うんですけど、そのバランスのすごく取れたものを作ろうとしています。甘辛いものを食べ始めると止まらなくなるように、バランスの良さで遊び始めたらどんどん進んでいってしまうようなものを目指していますので、ぜひ触って頂いて、本当にいろんな方に中毒性というか“止まらなさ”を実感して頂きたいですね。
三上 僕はもうシンプルに、「コントローラーを握った手が冷や汗でビチョビチョになるような怖いゲームを久しぶりに味わった」と言ってもらえるよう、そのお客さんの声を一番の目標にして一生懸命に制作しています。なおかつ、ジャパンメイドのワールドワイドに通用するようなビッグタイトルであるということで、日本の皆さんにはぜひとも応援していただきたいと思っていますので、よろしくお願いします。