技術向上も、ストーリーへの注力も、すべてはより深い体験のために

 米時間の3月25日から29日にかけて行われたGDC 2013会期中に発表された、エレクトロニック・アーツのミリタリーFPSシリーズ最新作『バトルフィールド 4』。本作で目指すものは何か? エグゼクティブ・プロデューサーのパトリック・バック氏と、シングルプレイ部分のプロデューサーのトビアス・ダール氏に話を聞いた。

「次世代のプレイヤー体験を目指す」 『バトルフィールド 4』開発トップを直撃!【GDCスペシャルインタビュー】_04

――発表会でゲームを見て、「ああ、これは本当に次世代のバトルフィールドだ」と思いました。何年ぐらいかかったんですか?
パトリック・バック エンジンの開発では『バトルフィールド3』の物にさらに上積みを行っていった感じなので、その辺りも含めるともっと長くなりますが、基本的には『バトルフィールド3』の開発が終わる前からスタートしていて、2年ぐらいになると思います。
トビアス・ダール エンジンはつねに向上させてどんどん新しいものを取り入れていくので、我々はその最新版と取り組んでいるチームなわけです。後に続くチームはフィードバックなどが反映されたものを使うわけで、テスターとも言えますね(笑)。

――我々はPCでのデモを見せてもらったわけですが、FrostBite3はプレイステーション4などに対応できるのでしょうか? また現行機であるプレイステーション3やXbox 360での予約もスタートしていますが、これらのハードではPC版とは違った画面になるのでしょうか?
バック うーん、私達はまだすべてのプラットフォームについて話せるわけではないですから……ね?
 現行機については6年前のハードですから、当然エンジンのフル性能を引き出せるわけではありません。しかしながらFrostBite 3はスケーラビリティも重要視しているので、どの機能をオン・オフするかを選んで最適化することで、コアなプレイ体験や画面の雰囲気は同等のものを提供できると思います。
ダール こういった調整はいつもやっていて、今までもPCで動かしてみてから対応させてきたわけですが、従来通り満足できるものを送り出したいですね。

――今回すごくいいなと思ったのが、ストーリーに注力するとおっしゃった部分です。『バトルフィールド3』は技術も画面もものすごいのですが、通して遊んでみたらストーリーがちょっと足りない気がしたんです。画面がすごくなるならそれだけ物語もすごくならないといけないと思うんです。
ダール その通りですね。今回は人間というものに重点を置いていて、戦争の中に置かれた人間の感情、そこにプレイヤーを引き込んで、さまざまなイベントを経験してもらいたいと思っています。プレイヤーにどちらを選ぶかといった選択も与えることで、その場にいるような感じを味わってもらおうと考えています。
 選択はゲームプレイ面でも重要で、戦場の状況をよく見ながら最善の選択を行い、チームをリードしていってもらいたいと思います。
バック “次世代”ということについて、よくポリゴンの数やメモリーの容量なんかが引き合いに出ますが、私達としてはゲームが大事だと思っています。となるとストーリーテリングも次のレベルに進まなければいけませんし、プレイヤーをもっとゲームに引きこんで体験してもらうことも必要です。もちろんゲームを綺麗にするということも大事なのですが、それはそういったことの一部だと思うんですね。テクノロジーを次世代に跳躍させるのではなくて、経験を次世代に跳躍させたいと考えています。
ダール プレイヤーがどこにいて何が起こっているかを身近に感じてもらうのを大事にしています。クルマに閉じ込められて沈んでいくシーンで「あぁ、出ないとヤバいな」と感じたと思いますが、これが単に戦争とか政治の話をしていたら、中々入っていけないと思うんですね。

――イベント前に公開されていた画像では、どうも海戦ぽい画面がありましたが、マルチプレイで海戦要素の大々的な復活は期待していいですか?
バック まだ詳細についてはお話出来ませんが、見ていただいたものについては期待して頂いていいんじゃないですかね……今日言えるのはここまでです(笑)。

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――昨日各メディアの記者が集まって話していて、僕は“草”がすごいと思ったんですが、あるベテラン記者は「鳥がすごい」と言っていて、また別のライターは「(兵士が跳ね上げる)小石がすごい」と言ってたんですね。あなたはあのデモで何が一番気に入っていますか?
バック どこかひとつというよりも、全体がまとまった経験として向上すればいいなと考えています。ただ、草にせよ鳥にせよ小石にせよ、あるいはキャラクターのアニメーションにせよ、それぞれ専門のスタッフが関わっていることですから、いろいろな所が注目されるクオリティになっているのはうれしいことですね。
ダール 道を歩くことひとつを取っても、細かな所がすべて向上することで、実際に歩いているような感覚を味わってもらいたいんです。テクノロジーはリッチな体験をしてもらうためにこそあって、全面に出るものではないと思っています。

――そう、キャラクターの顔の表現やアニメーションもすごいと思いました。あれはキャプチャーしているんですか?
バック あれはキャプチャーしています。
ダール リアル以上にリアルなものはないので、表情、声、モーションを全部取り込むという形です。取り込んだデータはあまりいじらずにできるだけそれを活かすようにしています。これもいろんなテクノロジーを積み上げてきたものなので、目の動きや微細な表情まで取り込むのは大変ですが、これからも向上させていきたい部分ですね。
バック 私達はクリエイティビティを向上させるためにテクノロジーを使うことをゴールとしています。今回も映画の撮影のようにキャプチャーしたわけですけども、俳優のパフォーマンスが活きるようにしました。これによって、よりキャラクターの感情などが細やかに伝えられるようになったと考えています。

「次世代のプレイヤー体験を目指す」 『バトルフィールド 4』開発トップを直撃!【GDCスペシャルインタビュー】_02
「次世代のプレイヤー体験を目指す」 『バトルフィールド 4』開発トップを直撃!【GDCスペシャルインタビュー】_03

――発表会でのデモは「これが『バトルフィールド4』です!」という全世界への挨拶となったと思いますが、あらためて日本のバトルフィールドファンにメッセージをお願いします。
バック 『バトルフィールド3』を気に入った方なら、必ず本作を気に入って頂けると思います。数々の進化を加えていますし、全体的にこれまでの壁を乗り越えるゲームをお届けします。これからもっと詳細を明かしていきますが、今回の17分もある大きな挨拶となったデモの映像やスクリーンショットを見て頂ければ、たくさんのヒントが隠されていますので、お楽しみにお待ちください。