雷電の復讐劇が始まる!

 KONAMIの小島プロダクションとプラチナゲームズのコラボレーションによって、まったく新しい『メタルギア』として誕生した『メタルギア ライジング リベンジェンス』。本作の主人公は、『メタルギア ソリッド 2 サンズ オブ リバティ』でFOX HOUNDの新人隊員として活躍し、のちの『メタルギア ソリッド 4 ガンズ オブ ザ パトリオット』にも登場した雷電だ。

 物語は、『メタルギア ソリッド 4』で描かれた“ガンズ・オブ・ザ・パトリオット事件”の4年後から始まる。民間軍事警備会社(PMSCs)のマヴェリック社に入社した雷電は、ンマニ首相の警護に就く。そんな最中、突如現れたサムエルの奇襲を受け、ンマニ首相をサンダウナーに連れ去られ、さらにはメタルギアRAY改まで上陸してくる怒涛の開幕劇。いつもなら、静かに敵地に潜入するところから始まる印象が強い『メタルギア』シリーズだが、今回は手厚い歓迎っぷり。心の準備もできていないというのに、いきなり大物が襲ってくるという、のっけからクライマックスの展開なのだ。そうこうしているあいだに、サイボーグが3体登場。退路を塞ぐサイボーグを倒すため、車から降りた雷電が剣を抜いてこう言い放つ。

「ゲーム開始だ」

しびれる!
プレイヤーにとっての初陣であり、まさにゲームが始まるという直球ストレートなセリフなのだ。

『メタルギア ライジング リベンジェンス』インプレッション_01
『メタルギア ライジング リベンジェンス』インプレッション_02
▲首相を逃がすために、周囲のコンテナを斬り刻んで、道を封鎖。剣を構え、バイザーを装着する雷電の姿が凛々しすぎて、男の自分でも惚れてしまいそうになる。そんな雷電を操作できるなんて夢のようだ。

簡単操作かつ雷電の動きがかっこいい!

 操作面に話を移すと、攻撃ボタンは□と△のふたつだけで、ただ押し続けるだけでも派手なアクションがつぎつぎとくり出される。仕様としては、一連の連続攻撃にはれっきとした技名がつけられていて、ボタンを押す順番も決められている。しかし、それをあまり気にせずとも遊べるお手軽さに驚かされたのが第一印象だった。そうしたゲーム側の懐の深さも相まって、プレイ中はサイボーグイケメンの雷電の姿がやけに目に入る。疲れ知らずの大立ち回りで、つぎつぎと現れる敵をスパッと斬りまくる姿には、いつも見とれてしまうほどだ。

 敵の攻撃を防ぐアクション“シノギ”も、敵の方向に左スティックを倒すと同時に□ボタンを押すと発動、とじつにシンプル。しかも、シノギの構えは少しのあいだ続くので、相手が仕掛けてきそうになったら攻撃を中断。シノギを入力して待ち構えておくだけで耐えることができる。シノギが成功した瞬間の演出もかっこよく、新しい敵と遭遇するたび、「おまえの攻撃を見せてみな」という感じに、追い回しながらシノギで反撃するのが生き甲斐になっていたのは自然の流れというものだ。

『メタルギア ライジング リベンジェンス』インプレッション_03
▲雷電にとって重要な防御手段“シノギ”は、サイボーグだけでなく巨大な無人機にも使える。これをマスターしないと、とくにゲーム後半の敵の猛攻に耐えることは難しい。各攻撃は、予備動作と同時に赤い光が出るので、それに合わせて入力すれば間に合う。
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『メタルギア ライジング リベンジェンス』インプレッション_05
▲スニーキングを軸とする従来の『メタルギア』シリーズとは正反対の直球バトル。隠れたりはせず、真正面から敵陣に飛び込んでいくのはとても新鮮。もちろん、敵に発見されないように背後から忍び寄って一撃で仕留める、といった特殊アクションも用意されている。プレイスタイルは幅広く、存分に剣戟アクションを楽しめる作りになっているのがうれしい。

LIFEの回復はとてもお手軽! 斬奪すっげぇ!!

 本作の醍醐味のひとつ、敵を斬り刻む斬撃モード。ある程度ダメージを与えると切断可能な部位が青く光り、斬撃モードでその箇所を目がけて刀を振り抜けば、ズバッと斬り落とせる。その切断面というのが、じつに美しい! ただ斬れるだけではなく、断面までデザインされている徹底ぶり。「そうか、サイボーグの上腕二頭筋はこうなってるのか」、「メタルギアRAY改の脚はこんな装甲で守られていたのか!」と、軽く興奮を覚えることもしばしば。これも、チラリズムのたぐい……? そんな斬撃から派生するのが、“斬奪”と呼ばれるアクション。これは、敵の体内から自己修復ユニットを奪い取り、自身のLIFEとFC(燃料電池)を回復させるというもの。斬りまくった挙げ句、LIFEやエネルギーまで奪ってしまうというわけだ。攻撃が回復の起点になるという、まさに本作のアグレッシブさを象徴するアクションと言えるだろう。いつしか、眼のまえに群がる敵が回復アイテムにしか見えなくなったのはここだけの秘密だ。

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『メタルギア ライジング リベンジェンス』インプレッション_07
▲斬撃モードを開始したアングルによっては、斬奪可能AR(赤い四角のマーク)が斬りにくい場合もある。そんなときは、左スティックでカメラを素早く調整するといい。強い敵と通常のサイボーグが同時に襲ってきた場合は、あえてザコを泳がせておき、ダメージを受けたらそいつから斬奪するというのがオススメ。

メタルギア戦だって、もちろんある!

 冒頭から出現するメタルギアRAY改とは、早々に戦うことになる。『メタルギア ソリッド 2』、『メタルギア ソリッド 4』と、雷電が関係する作品に姿を現すこの機体(厳密には、本作に登場するRayは改造されている)は、とても生物的で、俊敏な動きで襲ってくる相手。そんな強敵でも、本作の雷電にとっては恐れる相手ではない。巨大な脚の装甲を斬り刻んで引っ剥がし、斬撃で巨大ブレードを真っぷたつ! これまでのシリーズなら、ロケットランチャーや重火器で応戦するところだが、本作では右手に握り締めている剣1本で万事解決なのだ。

『メタルギア ライジング リベンジェンス』インプレッション_08
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『メタルギア ライジング リベンジェンス』インプレッション_10
▲厄介な攻撃は、降り注ぐ大型ミサイルと、足の踏みつけ。どちらも落ちてくる場所が事前に表示されるので、ニンジャランで回避しやすい。

 そして、物語の中盤に遭遇するグラートは、どことなくメタルギアREX(『メタルギア ソリッド』、『メタルギア ソリッド 4』に登場)を連想させるデザイン。REXが時代の流れに合わせて小型化、可変式へと進化したのかと勝手に想像するだけで、テンションが上がってくる。戦う場所は屋内のため逃げ場がほとんどなく、シリーズのセオリー通りに、周囲の障害物に身を隠そうとしたら、それをあっさりと壊されてしまう。そのときは、思わず「えっ」と声が漏れたくらい驚かされた。

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『メタルギア ライジング リベンジェンス』インプレッション_13
▲4枚のシールドは、武器にもなる厄介な兵装。相手は重火器系も備え、フットワークも軽いので、ニンジャランを使って間合いを詰めながら応戦。初挑戦のときは一瞬で負けて悔しい思いをしたが、シールド攻撃に対してシノギを確実に決めることが突破口になった。

個性派揃い! 敵対する登場人物にも注目

 冒頭から登場する、まるで浪人のようなサムエルと、ンマニ首相を連れ去るサンダウナー。仔月光の腕を背中に接合して襲ってくる女性サイボーグのミストラル、そして、“斬れない敵”モンスーンなど、個性的でインパクトのある敵が多いのもシリーズ譲りだ。とくに強烈な印象を受けるのが、サムエルという男。物語の序盤で雷電を完封し、左目と片腕を奪う。肉体、そして精神的にも傷ついてしまう雷電と、圧倒的な強さを見せつけるサムエル。ふたりのあいだで交わされた会話が、その後の雷電を大きく変えていく。サムエル役が平田広明さんなのも、個人的にはしびれる要素! 序盤のサムエル戦は、ストーリー上、敗北が確定しているのだが、シノギを使いながら応戦していれば耐えることはできる。LIFEの残りが1ドットになってからの数分間は、呼吸を忘れるくらい集中してしまったのは、いい思い出だ。

『メタルギア ライジング リベンジェンス』インプレッション_14
『メタルギア ライジング リベンジェンス』インプレッション_15
『メタルギア ライジング リベンジェンス』インプレッション_16
▲左からサンダウナー、モンスーン、ミストラル。彼らはデスペラード社に属する兵士で、サンダウナーが実質的なリーダーとなる。

 そして忘れてはいけないのが、LQ-84iと呼ばれる、対話インターフェースを搭載した無人機。始めたばかりのプレイヤーを唸らせる難敵だが、勝利後はわけあって雷電の相棒となる。名前もブレードウルフと変わり、あらゆる場面で雷電をサポートしてくれる存在。対峙したときは、「なんてヤバい相手だ」と思ったが、雷電の相棒になってからは、「こいつかわいいな!」っと愛でたくなる何かを持っている。

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▲動きが速くて戸惑うが、目が赤く光ったタイミングでシノギを発動すれば、対応できるはず。苦戦する場合は無理に追撃せず、シノギ後に相手が怯んだところを反撃だ。

体験版だけで判断しないで!

 まったく隠れることなく、豪快に暴れまくる『メタルギア ライジング リベンジェンス』。もしかすると、「こんなのメタルギアじゃない」と決めつけている人もいるかもしれない。私自身も、じつはプレイするまではそうだった。発売前に配信された体験版は、私にとっては難度が高く、シノギもうまく発動できなかった。何度挑んでもLQ-84iを倒せず、自分とは縁のないゲームなのかと、シリーズのファンとしては涙で枕を濡らす思いをしたが、いざ製品版をプレイした瞬間、そんな思い、不安は一瞬で吹き飛んだ。操作性、難易度などが体験版からさらに磨かれ、より遊びやすく間口が広がったことで、これは新しい『メタルギア』だと、誰にでも実感できる作品へと昇華した。

 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット事件から4年。世界情勢がどう移り変わり、雷電たちがどう生きてきたのかを、ぜひその目で確かめてほしい!

■著者紹介 深津庵
月刊ファミ通コネクト!オンで『FFXI』や『MH3(tri)G』の記事を担当。ファミ通Appではアプリのことを自由気ままに語り、最近はこっそり週刊ファミ通でもお仕事をさせてもらっている。しかし、その実態はゲーム以外の記事も書くフリーライター。Twitterではアニメや食べもの、日常のことばかり呟くけど、それじゃいかんと、ときどき思い出したかのようにゲームのことも語ってライターらしさをアピールしようとする。


メタルギア ライジング リベンジェンス
メーカー KONAMI
対応機種 PS3プレイステーション3
発売日 2013年2月21日発売
価格 6980円[税込]
ジャンル アクション / 戦略諜報
備考 PS Store ダウンロード版は6480円[税込]、プレミアムパッケージは9980円[税込]、斬奪 パッケージは31960円[税込]、プロデューサー:是角有二、稲葉敦志、ディレクター:齋藤健治、開発:プラチナゲームズ