宇宙船という閉鎖空間でエイリアンな敵をバラバラに倒す、過激なゴア表現で話題を呼んだ海外ゲーム『Dead Space』。ついに登場したシリーズ最新作の魅力をお伝えする。
海外ではスゲー売れたシリーズなんですよ!
今世代、もっとも面白かったシューター作品は何か? その答えは人それぞれだと思うが、筆者なら「『Dead Space』と『バイオショック』シリーズ!」と即答するだろう。そんな、個人的にスゲーおもしろかった双璧のひとつである『Dead Space』シリーズ最新作が、ついに発売された。
そもそも『Dead Space』なんてよく知らん、という人のために、ざっくりとシリーズを紹介しよう。初代『Dead Space』は2008年に海外で登場した、SFサバイバルホラーのTPS。エンジニアであるアイザック・クラークは、“USG 石村”という巨大宇宙船で寄生生命体と激しい戦いをくり広げるのだ。
で、その寄生生命体“ネクロモーフ”が生まれたのはどうやら“Marker(マーカー)”という巨大遺跡らしきものに関係があるらしく、続編の『Dead Space 2』ではマーカーの破壊を目指した。今作では、アイザックがまたもやマーカーがらみの事件に巻き込まれる……というストーリーだ。
ちなみに『Dead Space』は、基本的には海外で展開されているシリーズだが、日本でも外伝的な作品であるWii用の『デッドスペース エクストラクション』が2009年に発売された。また(中身は英語版だが)スマートフォン版やPC版もひっそりと日本で発売されている。
生き残るために敵の手足を吹き飛ばせ
というわけで、ここからは『Dead Space 3』の魅力をガシッと紹介していこう。なお初代から完成度が高かったためか、基本システムはシリーズ通して大きな変更はなく、これから紹介する大部分はシリーズ通しての魅力と思ってもらっても大丈夫だ。
本シリーズ一番の魅力といえるのが、敵キャラクターであるネクロモーフ。簡単に言えば“死体に寄生して増殖をくり返す生命体”で、どことなく人間の面影を残したグロテスクなヤツらが大量に襲いかかってくる。
ネクロモーフは大量の種類が存在するが、その大半は四肢を切断できることが特長。たとえば比較的人間に近いタイプの場合、足を切り落とせば立てなくなり、以降は地面をはって攻撃してくる。刃物のような腕を切り落とせば、敵の攻撃手段が減り、驚異が下がるという具合だ。単にゴア表現的な魅力だけでなく、上手に活用すれば戦闘が楽になるという、ナイスなシステムに仕上がっているのだ。
また、敵の大半に弱点が設定されているのもポイント。たとえば腕が弱点のネクロモーフの場合は、胴体を打ちまくっても倒せるが、両腕を切り落とせばより簡単に息の根を止められる。“特定部位を狙う”ためシューティングの楽しさは跳ね上がるし、弾薬の節約にもなる。
超能力を活用するのがタマラナイ!
もうひとつの大きな特長が、主人公アイザックが使える超能力“Kinesis(キネシス)”と“Stasis(ステイシス)”だ。
キネシスは、遠くにある物体を持ち上げたり操作できる能力。離れた場所のアイテムを引き寄せたり、遠くのスイッチを操作するなど、使用頻度は高い。もうひとつのステイシスは、対象の行動速度をスローにする能力で、さまざまな局面で役立つ。なおステイシスのみ使用するのにゲージが必要で、ゲージはアイテムかステージに設置されている補給ポイントで回復可能。また『Dead Space 2』以降は時間経過でも回復するようになった。
このふたつの能力を活用した謎解きもシリーズの魅力だ。たとえば高速で回転する巨大なファンを通り抜ける局面では、そのまま進めばファンに切り刻まれてしまう。そこで、ステイシスでファンの回転速度を遅くし、そのスキに通り抜けるといった具合だ。キネシスは、手が届かない場所のバルブを回したり、巨大なアイテムを運んだりするのに活用する。
これらの能力は、謎解き以外にバトルでも大変役立つ。ネクロモーフにステイシスをかけると、動きがスローになるため、バトルが大幅に楽になる。さきほど説明した部位切断も狙いやすくなるため、なかば必須の能力ともいえるほど。敵の刃のような腕を切り落とし、それをキネシスで投げつけて攻撃することも可能だ。
今度の『Dead Space』はオリジナル武器を作れる!
『Dead Space』は武器も特徴的。主人公アイザックはエンジニアのため、おもに工具を武器として使用するのがシリーズの伝統。資材を切断するプラズマカッター、丸ノコのようなリッパーなど、ほかのシュータータイトルではありえないような武器で戦えるのだ。なおジャベリンガンやショットガン、シーカーライフルなど、銃器っぽい武器も登場する。
今作では、この武器システムが大きく変化。各パーツを組み合わせてオリジナルの武器を作成できるようになったのだ。武器は選択したフレームとツールによって基本的な機能が決まり、そこにツールチップ(武器の先端パーツ)を装着すると方向性が変化するという仕組み。たとえばフレームに“Heavy Standard Frame”を選び、ツールに“Plasma Core”を使用すれば、敵を吹き飛ばす衝撃波を出す“Force Gun”となる。ここに“Precision Tip”というチップをつけると、強力なビームを放つ“Contact Beam”になる。
またツールには“Upper”と“Lower”のふたつが存在し、それぞれ異なるものを装着できる。要するに、本作の武器はふたつの武器が組み合わさったようなスタイルになっているのだ。これらに加えて、武器の機能を追加するアタッチメント、武器の能力を強化するアップグレードサーキットも装着可能。
このパーツの組み合わせである設計図を“ブループリント”とよび、ゲーム中ではさまざまな設計図を入手可能。また自作した武器のブループリントを保存することもできる。システムが複雑でよくわからん!という人は、ブループリントから気になった武器を選ぶだけ(たとえば前作のお気に入り武器とかね)で、簡単に武器を作れてしまう。
素材を集めて武器やアイテムを作れ
上記の武器作成システムに関係してか、本作ではアイテムまわりも大きく変貌を遂げている。体力回復アイテムやステイシスのゲージを回復できるアイテムが登場するのはこれまで通りだが、まず武器の弾薬は“AMMO CLIP”というアイテムに統一された。使用する武器によって消費するAMMO CLIP数が異なるよう調整されている。またお金の概念もなくなり、ショップも削除された。その代わり、“TUNGSTEN”や“SCRAP METAL”といった素材が登場。これらを材料にして、“BENCH”という施設で武器やアイテムを作成する。
アイテムシステムの変更は、主人公のパワーアップにも影響を及ぼしている。本シリーズでは“Power Node”というアイテムで主人公(が背中に装備している装置)や武器を強化できたのだが、今作ではPower Nodeは登場せず、さきほどの素材で強化するように変更された。武器は素材でアップグレードサーキットを作成し、それをはめ込んで強化するというスタイルだ。
本編はオンラインCO-OPにも対応
『Dead Space 3』ならではの新要素も、もちろん存在する。そのひとつがオンライン協力プレイに対応したことだ。専用のモードが用意されているわけではなく、本編を最大ふたりで進めていくという、『Gears of War』に近いシステムといえる。
というわけで筆者も本編クリアー後にフレンドと遊んでみたのだが、これがかなりおもしろい! 『Dead Space 3』の敵は、高速でこちらに突っ込んでくるタイプが多く、気づけば囲まれてタコ殴り、という局面が多々あった。だが協力プレイならば、仲間に向かっている敵にステイシスをかけて窮地を救うという、協力プレイならではのバトルが楽しめる。ひとりは仲間の背後を索敵しながら通路を進み、挟撃されるリスクを減らすなど、さまざまな戦いかたが楽しめる。むしろ敵の能力や出現パターンは、協力プレイが前提で調整されているようにすら感じた。
また今作では“オプショナルミッション”も存在する。隠し扉や特定の地域へ行くと発生するサイドクエスト的な内容で、本編クリアーに必須ではないが、ミッションを通じてシナリオの細部が明らかになったり、特別な武器パーツを入手できるなどのメリットがある。シリーズ定番のテキストログを集める収集要素に加えて、より探索の楽しさが増したといえるだろう。なおオプショナルミッションには協力プレイでなければチャレンジできないものも存在するため、本作のコンプリートを狙う人は、オンライン協力プレイが必須であることを留意しておこう。
TPSファンならぜひとも遊ぶべき作品だ!
本作の魅力を好き勝手に語ってきたが、いかがだっただろうか。個人的には協力プレイが楽しく、本編のボリュームもたっぷりで、とても楽しめた。突っ込んでくる敵がやたら多いのはちょっと微妙に感じたが、まあそれでも『Dead Space』らしさはしっかり残っていたので満足。さすがに衝撃度とかトータルの完成度は初代『Dead Space』のほうが上だとは思うが、これは仕方がない。初代がスゴすぎた。
というわけで、本作に興味を持たれた方はぜひともプレイしていただきたい。個人的にはぜひとも初代からのプレイをオススメしたいところだが……公式にローカライズされてはいないので、お好みのハードで楽しんでいただきたい。ちなみに今作はPC版が日本でも発売されており(ゲーム自体は英語の、いわゆる日本語付きマニュアル版ではあるが)、EAのオンラインストア“Origin”でも日本から全作購入可能だ!
■著者紹介 喫茶板東
ファミ通Xbox 360で海外ゲームマニアックス、実績解除愛好会などを担当していたフリーライター。『Dead Space』は初代も『2』も実績コンプリートするまでやりこんだのに、先日“安かったから”という理由でPC版も買ってしまった変なヤツです。500円なら買うでしょー!