シリーズ初代作品が“MODEL2 COLLECTION”に登場! 『電脳戦機バーチャロン』プレイインプレッション

1995年にアーケードで稼動した『電脳戦機バーチャロン』が、“MODEL2 COLLECTION”シリーズとして、プレイステーション・ネットワークとXbox LIVE アーケード(XBLA)で、2013年2月13日にダウンロード配信された。ハイセンスなデザインの“VR”も話題を集めた、歴代シリーズの原点たる初代作品のプレイインプレッションをお届け。

●3Dロボット対戦アクションの革命児が現代に甦る

 1995年末に、アーケードで稼動した『電脳戦機バーチャロン』が、セガの展開する“MODEL 2 COLLECTION”シリーズとして、プレイステーション・ネットワークとXbox LIVE アーケードにて2013年2月13日に配信された。Xbox 360でリリースされた『電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム』(オラタン)、『電脳戦機バーチャロン フォース』(VO4)に続いての登場となり、これでアーケード版のシリーズ3作がすべて家庭でオンライン対戦できるようになった。ちなみに、初代『バーチャロン』はほかの2作と区別するために、作品の背景設定にある作戦名“Operation Moon Gate”の頭文字をとって『OMG』と呼ばれることが多い。

▲シリーズの原点が満を持して登場。思う存分対戦に挑んでいただきたい。

▲女性型メカ(バーチャロイド)の存在も、当時はかなり大きなインパクトだった。

 いまでこそ『機動戦士ガンダム VS.』シリーズや『アーマード・コア』シリーズなど、ロボットもので、いわゆる“ガチ対戦”が行えるタイトルは充実しているが、当時は、とくにアーケードにおいては、ロボットものでしかも本格的な対戦ができるものは存在していなかったといってもいいだろう(『バトルテック』などをやりこんでいたプレイヤーには申し訳ないが、どちらかというとシミュレーターの印象なのである……プレイできる場所も限られていたし)。そんななか登場した本作は、ガンダムでおなじみカトキハジメ氏のデザインによる、クールなバーチャロイド(VR)、当時最先端の基板だった“MODEL 2”による美麗な3Dグラフィック、そして2本の操縦桿(ツインスティック)の操作によりハイレベルなバトルが可能な点が、多くの熱狂的なファンを生み出した。当時は、“オリジナルのロボットものはタブー”といわれるほどヒット作を生み出すのが難しかったそうだが、そのような一般認識を本作がぶち壊してくれたといっても言い過ぎではないだろう。

●移植の出来は必要十分

 本作は“MODEL 2 COLLECTION”シリーズの他タイトルと同様に、基本的にアーケード版を忠実に移植したもの。アーケード版当時そのままの雰囲気を完全再現しているので、とくに当時ゲームセンターで100円玉を湯水のごとく消費していたようなプレイヤー(筆者含む)にとっては、純粋に対戦に集中しつつ、当時のことを思い出すことができるのでありがたい。

▲テムジンやバイパーIIなど、アーケード版でもともと特殊攻撃があった機体はもちろんそのまま。

 ゲームモードも基本的なところはしっかりと押さえている。“アーケードモード”やCPUの動作などを設定して自由に練習できる“トレーニング”、最近のオンライン対戦のモードではおなじみの“ランクマッチ”や“プレイヤーマッチ”、“リーダーボード(ランキング)”、“リプレイのアップロード”はフォローしているので、サクサクと対戦をくり返すことができる。また、おもしろいところでは、Xbox LIVE アーケード版限定になるが、ハード本体どうしを直接接続することによるオフライン(システムリンク)対戦にも対応している。これにより、もし仮にXbox LIVEのサービスが終了したとしても、対戦を行うことができるのだ。

▲アップロードされたリプレイをダウンロードして試合を観戦することも。便利な時代になったものだ。

▲“トレーニング”では、いろいろと細かい設定が可能。テクニックの練習に役立つだろう。

 ちなみに『OMG』は、セガサターンのX-BAND版とWindows版でオンライン対戦が可能だったが、ダイヤルアップ接続が主流だった当時は、回線品質の問題もあり、まともに対戦するのが難しかった。それが17年近い時を経て、ゲームハードの基本機能を使って、快適なオンライン対戦ができるようになったのだから、非常に感慨深いものがある。
 なお、セガのダウンロードタイトルに共通するトロフィー/実績の解除しやすさは本作でも同じで、ひととおりアーケードモードをクリアーすればコンプリートできる。とはいえ、『バーチャロン』シリーズ独特な操作感に慣れない人には、ちょっとクリアーは難しいかもしれないし、シリーズの中でもCPU戦は難しい部類に入る。ただ、本作では難易度を変更できるし、“VERY EASY”に設定すれば、かなりプレイしやすくなるだろう。あきらめずにクリアーを目指してもらいたい。

▲中ボスのヤガランデは、コンティニューをくり返すとだんだん小さくなって防御力が下がる。

▲最終ボスのジグラットは、色が変わってレーザーを発射するときに攻撃することで、大ダメージを与えられる。

●いまもなお通用するゲーム性

 本作の基本的なところを簡単に解説すると、3人称視点の画面で“VR”を操作し、右トリガー(RW)、左トリガー(LW)、左右同時押し(CW)の3種類の攻撃を使い分けて対戦する。攻撃はダッシュ方向によって違い、基本的に前方向へのダッシュを伴う攻撃は威力が高く、横方向は攻撃範囲が広いなどの違いがあるので、相手との位置関係によって使い分ける必要がある。また、ダッシュ攻撃のあとには硬直が発生して隙が生まれるので、そこを狙うといった戦術も必要。とはいえ、後述のキャンセルテクニックにより隙を軽減することができるので、いかに相手の動きを読んで的確に攻撃をくり出していくか、攻撃を出す際にどれだけ相手からの被弾を避けられるかが重要になってくるのだ。
 機体の動きは全体的にクイックでストレートなので、思考速度を極限まで高めて対戦することになる。上級者同士の対戦などは、観戦していても緊張しすぎて手に汗握るどころのレベルじゃなくなるので、プレイしている当人たちは相当精神的にも疲弊するのではないかと思う。
 なお、『オラタン』、『VO4』経験者で、本作を未プレイの人が陥りやすいポイントとして、ダッシュキャンセルの入力がある。『OMG』ではダッシュキャンセルを行うにはダッシュ方向と反対方向へレバーを入力しないといけないので、とっさにキャンセルできず焦らないように気をつけたい。

▲小刻みにダッシュをくり返してけん制しつつ、隙を狙って大ダメージを狙う。位置取りが重要なので、MAPをちゃんと覚えるのが大切。

▲登場する“VR”は全部で8機。世界設定的にも『オラタン』、『VO4』に連なるベースとなる機体なので、デザインの変遷を見るのもおもしろいだろう。

 このように、“ちょっと気軽に遊ぶ”というよりは、割とじっくりと“やり込む”のに向いているタイトルといえるかもしれない。それはほかの対戦格闘ゲームなどでも同じだが、対戦格闘ゲームはタイトルによる細かな違いこそあれど、ベースとなる操作のテクニックなどは流用が利く。それに対し『バーチャロン』シリーズは、ツインスティックという独自の操作性(スタンダードならボタンによるジャンプやキャンセルなども可能だが)と3次元空間を自由自在に動けることによる戦術の幅から、セオリーを掴むのがちょっとムズカシイという側面があるかもしれない。これは決してネガティブなことではなく、だからこその“自由に動けるようになる楽しさ”は、ほかの何ものにも替えがたいものがあると思う。この、『バーチャロン』シリーズでしか味わえない気持ちよさがあるからこそ、シリーズ新作がリリースされなくなって久しいいまでも、多くの『バーチャロン』プレイヤーが対戦にいそしんでいるのだろう。一部のゲームセンターでは、いまだに『OMG』、『オラタン』、『VO4』ともに対戦が盛んに行われていたり、ユーザー主導の大規模な大会が開催されているというのだから驚きだ。
 今回の“MODEL 2 COLLECTION”版でも、近々ユーザー主導のオンライン対戦大会が開催されるそうなので、興味のある人はチェックしてみていただきたい。

▼お手並み拝見・みんなのOMGオンライン大会(シングル形式)

●基本テクニックを覚えてオンライン対戦に挑戦!

 最後に、覚えておくと役立つ基本的なテクニックを紹介。ほかにも細かなテクニックはあるが、最低限以下を覚えておけばアーケードモードはクリアーできるはず。さらにプレイヤーマッチで上手いプレイヤーの対戦を観戦することでも勉強になるはず。なにぶん古いタイトルなので、現時点でのプレイヤー数はそれほど多くないが、ゲームデザインはいまでも十分通用するだけのものがあると思うので、当時プレイしていた人はもちろん、当時を知らない対戦ゲーム好きの人にもぜひ触ってみていただきたい。

<キャンセルジャンプ>▲ダッシュ攻撃が終了すると同時にジャンプを入力すると、攻撃の硬直をキャンセルすることが可能。ダッシュ攻撃後は、ジャンプで硬直をキャンセルしつつ、相手を捕捉するのが基本だ。

<CWキャンセル>▲ダッシュ攻撃後の硬直は、CW入力でもキャンセルできる。そのCWをさらにキャンセルしてダッシュすることができ、切れ目ないダッシュ攻撃が可能になる。ドルカスのCW攻撃で展開する右肩のユニットが開いたままになっているのに注目。

<漕ぎ>▲ベルグドルとバルバスバウで可能なテクニック。“ツインスティック入力”の左右のスティックを、交互に進みたい横方向の斜め前と後ろに入力すると、画面を引っ張るくらいまで移動速度がアップする。ベルグドルは地上、バルバスバウは空中で顕著。

<マシンガン入力>▲立ち攻撃を撃った後の隙をしゃがみ入力でキャンセルする。テムジンやライデンなどのRWを連射することができる。左がふつうに連射した場合、右がキャンセルした場合。

■著者紹介:黒鉄タカスエ
編集・DTP屋兼ゲームライター。『バーチャロン』シリーズのおかげでこの業界で働きだしたようなものなので、シリーズ3作すべてが気軽に遊べるようになったいまの時代に感謝。下手の横好きなので、ランクマッチで見つけてもいじめないでください……。せめて2軍のファンタジスタを目指したい。


電脳戦機バーチャロン
メーカー セガ
対応機種 PS3プレイステーション3 / X360Xbox 360
発売日 2013年2月13日(PSN・XBLAでダウンロード配信)
価格 PSN:800円/XBLA:800マイクロソフトポイント
ジャンル 3D対戦アクションシューティング
備考 専用ツインスティック対応

(c)SEGA