恒例のできたて素材チラ見せも

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▲番組開始前。吉田氏にはめずらしく緊張気味の面持ち。

 2012年12月26日、ニコニコ生放送にて「吉田プロデューサーと生実況! ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼアα版」という番組が公開された。これはα版テスト最終日を翌日に控えた晩に、ひろゆき(西村博之)氏とともに『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』(以下、『新生FFXIV』)の最新の状況を公開するというもの。番組の内容は、同サービスのプレミア会員であればタイムシフト再生で確認可能だ(視聴はコチラから)。

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▲ひろゆき氏独特の冗談も。
▲番組が始まると、笑いが絶えない展開に。

 番組の大きな流れを解説すると、『新生FFXIV』とはの説明に始まり、インスタンスダンジョンのムービーを数時間だけ先行公開(ムービーはコチラ)。次いで今後控えるβテストのロードマップ公開日時が告知され(詳細はコチラの記事を参照)、その後、ひろゆき氏らとαテスト版をプレイ。インスタンスダンジョン"タムタラの墓所"に潜り、中ボスまでを撃破するというもの。その際、3人のプレイヤーで性能に差のあるPCを使い、どれほど表現力が違うか、また低スペックのPCでもどれだけ快適に『新生FFXIV』が動くかを確認できた。さらにタッチ液晶を備えたWindows8導入済みのノートPCで『新生FFXIV』をタッチ操作で動かしてみせた場面や、ゲーム内でテレポ移動に要するポイント"アニマ"を『新生FFXIV』では廃止するなどの発言も。公式のストリーミング放送では恒例となっている、できたて素材のチラ見せなども行われ、最後はテストプレイヤーを巻き込んでGMが配置した通常ならαテストでは登場しないような強いモンスターとの戦いなどを披露。αテストの場合、通常では起こり得ない1エリアあたり1000人前後のプレイヤーが集まり、いっせいに移動システムを利用したためサーバーがダウンするするなどのアクシデントもあったが、ゲーム内、番組に寄せられたコメントとも大盛り上がりのうちに幕を閉じた。

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▲スタジオには性能の異なる3つのPCが設置されていた。
▲1000人前後のプレイヤーが集まるとこうなる。ロースペックでも表示されているのがすごい。
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▲スクリーンタッチで操作する吉田氏。
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甲冑師のアーティファクト
ヒューラン女性の初期防具
裁縫師のアーティファクト
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『新生FFXIV』から登場するルガディン女性の初期防具
『新生FFXIV』から登場するミコッテ男性の初期防具
鍛冶師のアーティファクト
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サービスカット
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▲最後に大きく盛り上がった戦いの模様。

 注目すべきは、かなりの低スペックPCでもゲームが快適に動いていた点と、Windows 8に対応していた点。今回のゲームプレイに使用していたPCは以下のとおり。OSはいずれもWindows8 pro(64bit)だ。ハイスペックPC……CPU:Intel Corei7 3.5GHz、グラフィックボード:nvidea GeForce GTX 680 ミドルスペックPC……CPU:Intel Core i5 750 2.66GHz、グラフィックボード:ATi Radeon HD5750 ロースペックPC……CPU:Intel Core2 Duo 3.0GHz、グラフィックボード:nvidea GeForce 8800GTこのうち、ロースペックPCに使用しているCore2 Duoは2006年後半に、GeForce 8800GTは2007年後半に登場したパーツ。つまり、最新鋭のPCであればより快適に、5~6年前に購入したPCなどでも動く可能性が高いことを示唆している。
 一方、Windows 8のタッチ操作によるプレイについては、最高画質(High)の設定で番組終了後にあらためて見るチャンスを得た。画面内にはマウスカーソルがなく、指先で触れた部分がクリックされるという形式。タッチパネルの反応速度も良好で、マウスと同じ感覚で操作できているようだった。指で画面をなぞることで行うドラッグ&ドロップもじつにスムーズで、2本の指によるカメラの"寄り引き"も問題なく実行できていた。まだまだ開発途上とのことだが、キーボードとタッチパネルを駆使した操作に十分耐えうる印象。将来的に可能になるというMOD(プレイヤーによるUIのカスタマイズ)と組み合わせれば、いろいろな操作が仕込めるようになるのだろう。吉田氏は「単なるリローンチで終わらせるのではなく、こうしたガワの部分も徹底的に作り込んでいきたい」と意気込みを語っていた。

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▲ゲーム中に登場するモーグリ、クプル・ポコのぬいぐるみを抱いて応答する吉田氏。

以下は、番組が放送された後で行われた合同インタビューの内容だ。放送の裏側は『新生FFXIV』の開発者ブログ(コチラ) にも詳しい紹介があるのでぜひ見てほしい。

──ニコニコ生放送への出演を終えた感想は?
吉田直樹氏(以下、吉田) 単純な感想なんですが、本当に少し緊張しました。ニコニコ生放送という、ある意味公式の放送ですし、『新生FFXIV』に初めて触れる方も多いはずなので……。ですが幸いにも盛り上げていただいて、楽しくできました(笑)。

──緊張ですか。キツいと感じたのは、どの場面でしたか?
吉田 それはやはり、人が集まりすぎてワールドが落ちてしまったあたりですね(笑)。以前僕が『ドラゴンクエスト モンスターバトルロード』のイベントをやっていたときに、大魔王がフリーズしてしまったことがあったのですが、これはあのときと同じくらいヤバいなと(笑)。ちょっとヒヤッとしましたが、素早くフォローできたのでよかったです。

──ひろゆきさんとの共演でしたが、どのような印象を持たれましたか?
吉田 めっちゃ楽しかったです(笑)。正直、このままいっしょに飲みにいきたいくらいです(笑)
(西村氏が「ごちそうさまです!」と叫ぶ)。

──MMOプレイヤーとしての西村氏の印象は?
吉田 サイト上で『ドラゴンクエストX』のキッズタイム(無料で遊べる時間帯)を題材にして、計画的にゲームをプレイすることの大切さを説いておられて、さすがだなと。『ドラゴンクエストX』チームのスタッフひとりに、このページは読んでおけよと伝えておきました(笑)。(直後に、西村氏が「いやいやいや(笑)」と苦笑いで謙遜する)。ゲームが好きな方といっしょにお話するのは、やはり楽しいですよね。

──製品版ではタッチパネルでチャットもできる?
吉田 タブレットPCでも、チャットはキーボードで行います。完全にタッチパネルだけで操作する場合はソフトウェアキーボードが必要になってくるので、製品化の際は乗り越えねばならない山がきっと出てくるはずです。ですが今回のWindows 8は、マイクロソフトさんがかなり優秀なインターフェースを構築しているので、先ほど発表した程度の機能はすんなりと盛り込めました。『新生FFXIV』は描画エンジンを相当フレキシブルに作っているのですが、タブレットPCに対応させるためのフルチューンアップをとくに行わなくても、あっさりと動いたというのが正直なところです。じつは僕も昨日(12月25日)の夜中までタブレットによる操作があれほど動いていたことを認識していなくて、運よくそれを見つけて、これ明日の生放送で使えるよねと(笑)。担当者は、もっと精度を上げてから報告しようと思っていたらしいのですが、「これ持っていくから」と宣言しました(笑)。

──タッチパネルは、いつぐらいから実装しようと思っていたのですか?
吉田 E3(エレクトロニック エンターテイメント エキスポ)が終わったあとくらいから、タッチだけでなくいろいろなお話が進んでいました。

──マイクロソフトから話を持ちかけられた?
吉田 いろいろなメーカーさんと協業させていただく話が進んでいまして、そのなかのひとつとして実現した要素です。まだ発表は先になると思いますが、ほかにもいろいろなことを仕込んでいます。

──正式サービスイン時にタッチパネルで遊べる?
吉田 その時点では、まだ不可能です。(我々が要求するレベルまで)スペックが追いついてきたり、その機器のシェアが見えてきた段階で、対応を検討します。ですが、店頭プロモーションの一環として、いち早くタッチパネルを使ってキャラクタークリエイションを体験してもらうということは、いろいろなメーカーさんとお話させていただいた結果として、実現する可能性はあります。将来的に、家ではハイスペックPC、出張先ではノートPC、移動中はタブレットPCという感じで、場所に応じて使い分けできるようになればと思っています。

──解像度をVery Highに設定できると発表されましたが、逆にVery Lowに設定できたりもする?
吉田 放送中に動かしたロースペックPCが、現状ではもっとも”Low”の状態になります。正直にいえば、あのPCでこれだけ多人数を描画してよく動いたなと驚いたくらいです。動くだけならもっと低いスペックでも動くと思いますが、動作保証範囲としては今回のスペックが最低ラインということになります。

──アニマを廃止したら、そのあとの乗り物の扱いはどうなる?
吉田 アニマ消費がゼロになったからといって、乗り物の意義がなくなるわけではありません。ストーリーに沿って利用可能になる乗り物は最初は重宝しますが、各地のエーテライトが確保できた時点でファストトラベルが可能になるため、たしかに使う頻度は減るでしょう。ですが、それらの乗り物に焦点を当てたコンテンツがいずれ必ず公開されます。たとえば、飛空艇に乗っていると空賊に襲われるバトルイベントが発生するという内容です。船の場合は、クラーケンに攻撃される、とかですね。そうしたコンテンツが実装されて、はじめて乗り物としての意味が出てくると思っているのですが、順序としてはメインストーリーの(公開を終えた)つぎの段階で導入すべきものと考えています。

──街中だけでなく、飛空艇や船といった乗り物にもモンスターを出現させることができる?
吉田 ゾーンを用意すれば可能です。先日のカンファレンスでも発表しましたが、『新生FFXIV』ではパスという概念がなく、ナビゲーションメッシュからすべて移動ルートを生成しているので、技術面における制約はありません。

──対応PCの要求スペックが変わる可能性は?
吉田 αテストではサーバーの負荷試験が第一目標だったので、ハイスペックなPCをお持ちの方から優先的に抽選させていただきました。その後、クライアントの安定性を見て、スペックの間口を広げていくという方法です。これからは大規模なβテストに向けて、ロースペックPCに対してのQA(品質管理)を強化しますので、その期間中に動作確認が済んだものからさらに保証を出していく予定です。このため、必要スペックに関しては多少変わる可能性があります。Very Highの設定については、今後もっと上限が引き上げられていくでしょう。

──オンエアー中に巨大な敵と戦っている場面で、冒険者の表示が減ってしまった原因は?
吉田 αテスト版には、表示の優先順位に関する指示がクライアント処理のなかに入っていないのが原因です。現状は100体までのモデルを単純に自分との距離だけで無条件に表示する設定になっています。β版からは優先順位処理が入ります。順番としてはまずパーティメンバー、つぎに仲間に対して敵視を持っているモンスター、そのあとリンクしているモンスター、とかですね。それ以降は、たとえば同じフリーカンパニーに所属しているメンバーを優先的に表示、という感じになります。β版では敵が表示されなくなるのではなく、周囲の無関係のプレイヤーが消えていくようになります。

──表示制限を100体以下まで減らせるようになる?
吉田 上限を伸ばすのはいいのですが、下限を拡張するつもりはありません。理由は、スクリーンショットを撮影した際に、人数が減った状態でネット上で公開されてしまうよりは、たくさん写っているいるほうがいいなぁ、と。スクリーンショットはお客様が行ってくれるPR活動というと僕は捉えているので、キャラクター表示数を制限した状態の写真を撮ってもらいたくない、というのが本音ですね。(その画像を見た人が)”こんなに人が少ないゲームなの?”と思ってしまいますので。

──100人が下限で、それ以上は無制限という感じ?
吉田 そうですね。上のほうの設定をフレキシブルに設定できるようにする可能性が高いです。PCのスペック差は、グラフィックスのクオリティではなく、最大表示人数のほうで顕著に現れると思います。

──テストの最終段階で、最終スペックが決まる?
吉田 はい。ですが現状で発表しているものから極端にかけ離れたものにはならないはずです。αテスト版のスペックを念頭に置いていただければ、ほぼ間違いはないと思います。ちなみにCPUに関しては、Core2 Duoは確実に大丈夫です。

──ビデオカードは、場合によってはオンボードレベルの性能しかない製品でも動いたりする?
吉田 はい。いけますね。動作させるだけなら、充分に可能です。ただ、あくまで動作保証はさせていただいている範囲になります。

──βテストに参加できる人数の規模は?
吉田 フェーズ3開始のタイミングで、ほぼ全員が参加できるというイメージを持っていただければ。数十万人単位でプレイしていただくことを考えています。

──βテストは、間断なく実施される?
吉田 各フェーズのあいだには、もちろん修正期間を設けています。このあと公開するβテストロードマップをご覧になった方は”まだ時間がかかるな”と思われるかもしれません。ですが我々は、αテスト版の完成度の高さを評価していただいているとはいえ、まだまだ開発のスタート地点にいるという認識です。ここから、ほかのMMORPGと比較しても大丈夫なレベルまで時間をかけて作り上げてからリリースしたいと考えています。

──オープンβテストはどのフェーズで行われる?
吉田 フェーズ4を、オープンテストとするつもりです。これがテストの最終段階になります。

──βテストロードマップを、プレイヤーの方々にどのように受け止めてもらいたい?
吉田 『新生FFXIV』が完成していく様子を、βテスト版を通じて味わえる……と受け取ってもらえればと。『新生FFXIV』のβテストは、従来のMMORPGで行われるβテストとはまったく違います。フェーズ3から、(ゲーム内に登場する新しいギルドシステムである)フリーカンパニーを活用したコミュニティが作れるようになりますし、その途中で、『旧FFXIV』のプレイデータが引き継がれるテストが行われたりもします。いきなりレベル50の状態でβテスト版がプレイできるなんて、ふつうありえないですよね(笑)。規定概念からかけ離れた試験が行われるので、それを僕らといっしょに楽しんでいただければと思っています