シリーズ3作+αがこの1本で楽しめる!
2012年11月22日にプレイステーション3版とXbox 360版が発売された『DOOM 3 BFG Edition』。本作は初代『DOOM』、『DOOM II』、『DOOM 3』および拡張パックと、『DOOM』シリーズ全作品が盛り込まれたお得なパッケージだ。そもそも『DOOM』とは、id softwareが開発したFPSの原点ともいえる記念すべきタイトル。だが「名前は聞いたことがあるけど、実際にプレイしたことは……」という人も多いと思う。そんな『DOOM』シリーズに興味を持っているプレイヤーにとって、本作はシリーズのすべてを体験できる、またとない機会といえるだろう。今回はXbox 360版をプレイすることができたので、プレイインプレッションをお届けする。
目玉の『DOOM 3』は初の完全日本語化!
まずは、シリーズ最新作にして本作のタイトルにもなっている『DOOM 3』から紹介していく。オリジナルの『DOOM 3』は2004年にPC版が発売され、その後、拡張パック『DOOM 3: Resurrection of Evil』も登場して大きな話題を呼んだ。日本でもPC版が発売されたが、いわゆる“日本語マニュアル付き英語版”だったため、ゲーム本編は未ローカライズであった。
しかし、今回の『DOOM 3』はひと味違う。なんとゲーム中のテキストはもちろん、音声までも完全に日本語化されている。「当時、英語版を遊んだけどシナリオはよくわからんかったなー」なんて筆者がやり直しても、十分に楽しめる作品に仕上がっている。
つぎにゲームの内容に触れたい。本作の舞台は、未来の火星基地。ここで発生した異常事態を解明すべく送り込まれたのが、主人公であるひとりの海兵隊員というわけだ。
本作のシステムは極めてシンプル。主人公のアクションは、移動と視点移動、射撃、しゃがみ、ジャンプ、ダッシュなどFPSとしては基本的な行動のみ。カバーアクションやスローモーションになる演出などはなく、またマップ画面も存在しない。撃ってかわす、基本的にはこれだけのアクションでさまざまな難所に立ち向かっていくスタイルだ。
ひさびさにプレイした『DOOM 3』は、現在でも十分楽しめる映像であることに驚いた。本作はリメイクではなく、移植に近い位置づけだが、とくに当時から話題となった陰影表現が美しい(オリジナル版とは多少表現が異なるようだが)。テクスチャーの解像度やモデリングなどは、現行ソフトと比べるとさすがに見劣りするものの、それでもトータルとしてのクオリティーはいまでも通用するものだろう。
ライトがいつでも点けられる仕様になった!
『DOOM』といえば撃ちまくりで派手なFPSのイメージがあるかもしれないが、じつは『DOOM 3』はちょっと異なる。暗闇に包まれた火星基地を探索して、ゾンビらしきものに変貌した人類や異界から現れるモンスターと戦いながら生き延びる……というホラー要素にあふれたFPSに仕上がっている。
ホラーといっても幽霊的なジワジワ来る怖さではなく、ほとんどはドッキリ系の仕掛けだ。いきなり壁がバコーン!とはがれたり、何の変哲もない通路の壁がシャッターのように開いて四方八方からゾンビが現れたり、モンスターが背後に突如召喚されて襲ってきたりと、その手法はさまざま。30代のおっさんゲーマーでもビクッ!と震えてしまうギミックがたっぷりで、「こんなに緊張感あったっけ!?」と終始ドキドキしっ放しだった。
そんな恐怖感を引き立てる要素のひとつにライトがある。このライト、オリジナル版では武器扱いの懐中電灯ということになっていて、当時はコレを持って探索していた。敵と遭遇したら素早く銃に持ち替え、暗闇の中でマズルフラッシュのわずかな明かりを頼りに戦う。場合によってはライトでそのまま敵を殴りつける……という感じのプレイスタイルであった。敵に襲われたときの緊張感はかなりのもので、突然の襲撃に驚いてうまく武器を切り替えられず、アワアワしながら倒されてしまったのも懐かしい思い出。ただし、正直なところ面倒な仕様であったため、当時からわりと賛否両論……というか否定的な意見が多かった。
しかし、本作では主人公のアーマーにライトが取り付けられたため、武器を持ちながら明かりを点灯することが可能になった。全体的な難度は大きく低下し、よりプレイしやすく調整されている。とはいえライトを点けられる時間は約30秒間に限られ、リチャージには約3秒間を要する。つねに明るい状態で進めるほど、甘い味付けにはなっていない。
難度の高さに覚悟せよ!
本作の探索要素も注目すべきポイント。基地に落ちているPDAやビデオディスクから、さまざまな情報を入手することで、物語の真相がより深くわかる仕組みになっている。英語に通じていない筆者は、オリジナル版ではほぼスルーした要素だったが、これらもすべて日本語化されているのはありがたい。
マップのあちこちで発見できるロッカーからは、弾薬やアーマーなど役立つアイテムが入手できる。ただし、ロッカーにはパスワードが設定されており、正しい数値を入力しないと開かない。この数値はロッカーの周囲にあるパソコンや、前述のPDAで入手するメール内にヒントが隠されている。PDAを探したり、ロッカーをすべて開けたりと探索・収集要素も楽しめる。
こんな感じで数年ぶりの火星基地探索を楽しんでみたが、とにかく難しい! 難易度はMarine(ノーマル相当)でプレイしていたのに、敵は全体的に堅く、こちらの回避手段は物陰に隠れるぐらいしかないため、立ち回りでどうにかするしかない。主人公の体力はアイテムを拾って回復するタイプ、つまりいつでも回復できるわけではない。できるだけダメージを受けないように戦う必要があり、「そういえば昔のFPSはどれもこんな感じでスパルタだったなあ……」と感慨深くなってしまった。
ひと通りプレイしてみた感想としては、とにかく大ボリューム! 『DOOM 3』の本編は長いムービーシーンがあるわけでもないのに、クリアーするのに10時間以上を必要とした。実績一覧を確認すると、まだ倒していないボスがいたり、すべてのPDAを発見するといったやりこみ要素はまだまだの状況らしい。これに加えて、本作には追加シナリオである『Resurrection of Evil』と『The Lost Mission』も収録されている。とくに『The Lost Mission』は本作のために新たに制作された新シナリオだ。PC版発売当時、『DOOM 3』を遊び尽くしたという人もチェックすべきだろう。
初期の『DOOM』も楽しめます!
最後に、『DOOM』と『DOOM II』について解説しておこう。この2作品もリメイクより移植といった感じで、当時の映像そのままで楽しめる作品になっている。ちなみにXbox 360版では、以前よりXbox LIVEアーケードで2タイトルともに配信されており、このXBLA版がそのまま本編に収録されているような感じだ。PlayStation Networkでは配信されていないので、PS3版で初めてプレイできる『DOOM』および『DOOM II』となる。
ただし、いくつか注意点もある。まずプレイステーション3版はマルチプレイが非対応。また、Xbox 360版は本作をXbox 360のストレージに取り込んでいる場合はプレイできない。『DOOM』と『DOOM II』を遊ぶなら、ストレージに取り込まないでディスクを起動するように。
『DOOM』シリーズのすべてが楽しめて、さらにリーズナブルな価格とあれば決定版と呼ぶにふさわしい作品だろう。たしかに『DOOM 3』は昨今のトレンドと比較して難度が高すぎると思うが、FPS好きを自認するならば、ぜひチャレンジして歴史を感じてほしい。
■著者紹介 喫茶板東
ファミ通Xbox 360で海外ゲームマニアックス、実績解除愛好会などを担当していたフリーライター。『DOOM 3』はPC版発売当時にクリアーしたハズだけど、大半の内容はスッカリ忘却の彼方へ。新鮮な気持ちで楽しめたのはラッキーなの!?
DOOM 3 BFG Edition(ドゥームスリー ビーエフジーエディション)
メーカー | ベセスダ・ソフトワークス |
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対応機種 | X360Xbox 360 / PS3プレイステーション3 |
発売日 | 2012年11月22日 |
価格 | 3800円[税込] |
ジャンル | ファーストパーソン・シューティング |