ゲームの舞台となったボストンの街へ!

アメリカ建国の歴史の裏に暗殺者あり! 『アサシン クリードIII』プレスツアーリポート【第1回】_23

 じつに3年ぶりとなる、人気シリーズのナンバリングタイトル『アサシン クリードIII』の発売まで、いよいよあと半月! ここからは、「ソフトの発売まで待ちきれないッ!」というファンのために、2012年9月下旬にアメリカのボストンで開催された“ボストンプレスツアー”の様子をお届けしよう。『アサシン クリードIII』の舞台となったボストンの街と、そこで起きた数々の歴史的事件を知れば、ゲームをより深く楽しめるはずだ。なお、このプレスツアーのリポートは、全部で5回更新予定。更新3~5回目は『アサシン クリードIII』の主要クリエイターのインタビューをお届けするので、お見逃しなく!

第1回:ゲームの舞台、ボストンの街紹介 2012年10月22日(月)更新
第2回:ボストンフリーダムトレイルツアー 2012年10月23日(火)更新
第3回:クリエイターインタビュー(前編) 2012年10月24日(水)更新
第4回:クリエイターインタビュー(中編) 2012年10月25日(木)更新予定
第5回:クリエイターインタビュー(後編) 2012年10月26日(金)更新予定

『アサシン クリードIII』ってどんなゲーム?

 ボストンプレスツアーを紹介するまえに、まずは『アサシン クリードIII』について説明しておこう。『アサシン クリード』シリーズの1作目は、2007年にユービーアイソフトが発売したアクションゲーム。中世に生きる暗殺者(アサシン)を操作してリアルなオープンワールドを縦横無尽に移動し、自由度の高い手段で暗殺のターゲットを殺害するというゲーム内容が好評を博し、世界中で大ヒット。以降、ユービーアイソフトの看板タイトルとして、シリーズを重ねていく。『I』の舞台がエルサレム、『II』とそれに連なる作品がイタリアと、これまでゲームのおもな舞台を中世ヨーロッパに設定していた『アサシン クリード』シリーズだが、今回の『III』では、なんとゲームの主人公と舞台を刷新。18世紀にアメリカ大陸で巻き起こった“アメリカ独立戦争”の背後で暗躍する、新主人公コナーの姿を描いている。

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▲ターゲットを暗殺する方法や、暗殺後の逃走経路などをプレイヤーが決められる自由度の高さが、アクションゲームファンから支持されている。
▲さまざまな歴史的資料をもとに再現されたオープンワールドは、『アサシン クリード』シリーズの魅力のひとつ。観光気分でその時代を体感できる。

 18世紀の初頭にはまだアメリカという国がなく、現在のアメリカがある大陸は、おもにイギリスの植民地だった。イギリス政府の対植民地政策に不満を募らせた植民地人(のちのアメリカ人)たちが蜂起し、本国イギリスと戦争を行ったのが、アメリカ独立戦争。そのアメリカ独立戦争のきっかけとなったのが、今回プレスツアーで訪れたボストンの街なのだ。『アサシン クリードIII』では、イギリスの植民地時代のボストンが登場し、コナーはそこでさまざまな歴史的事件に遭遇、アメリカ独立戦争に関与するようになっていく。

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▲新しい主人公のコナーは、ネイティブ・アメリカンの母とイギリス人の父の血を引くハーフ。彼は世にはびこる不正や欺瞞をなくすために暗殺者の道を選ぶ。
▲ネイティブ・アメリカンの村で自然に囲まれた育ったコナーは、木の上をスピーディーに動き回る。雪原では木の枝を伝えば、効率よく移動可能。

ボストンの街並の印象は……!?

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▲昔ながらの建物と、近代的なビルディングが建ち並ぶボストン。写真のビルは、ジョン・ハンコック・タワーという、100階建ての超高層ビル。デカイ!

 というわけで、そんな本作のプレスツアーに参加し、ボストンに向かったファミ通.comの取材班。仕事柄、ゲームの展示会イベント“E3”の取材などでアメリカ西海岸のロサンゼルスを訪れることが多い記者だが、東海岸のボストンはあまりなじみのない場所。海に面していてシーフードがかなり美味しい(とくにクラムチャウダー!)ことや、MLB(メジャーリーグベースボール)のボストン・レッドソックスに松坂大輔選手が所属しているということ以外、ほとんど何も知らなかったりする。「そんなんで大丈夫か!?」という周囲の心配をよそに、現地を訪れたのだった。

 そして、記者が初めて訪れたボストンの第一印象は……「街並が古い!」

 いや、「古い」といっても、ぜんぜん悪い意味ではなく、風格があるという感じ。ボストンでは、街のあちこちにレンガ造りの立派な建物が建ち並び、大通りから路地に入ると石畳でできた小道があり、家どうしは黒い鉄柵で区切られていたりと、ちょっと散策するだけで歴史と文化が感じられるのだ。繁華街に行けば、アメリカならではのファーストフードショップやスーパーマーケットもあるにはあるのだが、どの店舗も街の景観を配慮しているようでド派手な看板は少なく、わりと控えめなたたずまい。なんとなくアメリカではなく、ヨーロッパにやって来たような感覚だ。
 それもそのはず、歴史の本を調べてみると、ボストンは1630年にイギリスを追われた清教徒(ピューリタン)が漂着し、植民地として繁栄したというアメリカよりも古い歴史を持つ土地。大昔のイギリス人が築いた場所なので、雰囲気がヨーロッパっぽいのも当然かもしれない。ちなみに、(これは日本に戻ってきて知ったのだが)ボストンは京都と姉妹都市らしい。そういえば、何百年もまえに建てられた施設がいまなお残り、歴史情緒を感じさせてくれる古都として、ボストンと京都は共通している部分が多い。ちょっと乱暴な言いかたにはなるが、ボストンに行ったことがない人は、“日本で言うと京都のような雰囲気”をイメージしてもらえるといいだろう。

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▲ボストンには街のいたるところに街路樹があり、大きな公園もたくさんある。街中にいても豊かな自然が感じられる。公園ではリスの姿も。
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▲あの大ヒットゲームの新作が、ボストンで作られていた!? というのは冗談で、ボストンにあるセレクトショップの看板。姉妹都市だけあって京都好きが多いのかも。

かの有名な“ボストン茶会事件”を、記者も体験!

 さて、話をボストンプレスツアーに戻すとしよう。ツアーの初日は、ディナーからスタート。ユービーアイソフトのスタッフの話によると、ディナーといってもただの食事会ではなく、特別なものを用意しているという。大きな期待とともに送迎バスに乗り込み、着いた先に見えたのは……巨大な帆船! 近代的なオフィスビルが建ち並ぶ商業地区のど真ん中を流れる川に、前時代的なデザインの船が浮かんでいるではないか! これはなんとも異様な光景だ。あまりのギャップにうろたえながらも船に近づいた取材班を出迎えてくれたのは、中世風の恰好をした男性だった。
 彼によると、ここは18世紀のアメリカで起きた“ボストン茶会事件”を体感することができる、“ボストンティーパーティー・シップス&ミュージアム”だという。なるほど、ユービーアイソフトのスタッフが「ただの食事会ではない」という理由もよくわかる。初日のディナーは、この場所で開催されるのだ。

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▲ドーンとそびえ立つビルディングのなかにある謎の帆船。ここでいったい何が行われるというのか?
▲18世紀に流行したという三角帽子を被った男性がお出迎え。彼の案内で施設の中を進んでいく。

 ボストン茶会事件とは、1773年に植民地の過激派がイギリス船に乗り込み、積み荷の紅茶を海に投げ込んだという出来事。過激派が、なぜ紅茶をターゲットにしたかというと、これはイギリス本国への反発のジェスチャーだったからだ。イギリス政府は1760年代になると、これまで自治を任せていた植民地をきつく取り締まるようになり、1773年に茶法を発布する。これは紅茶にとんでもない課税をすることで、植民地人の貿易権をはく奪しようとするのものだった。これに対し、憤慨した植民地人の過激派が同年12月にボストンに停泊中のイギリス船に乗り込み、ネイティブ・アメリカンに扮して紅茶を投棄することとなった。“紅茶を破棄した”というくだりだけに注目すると、なんだかたいしたことがない出来事に思えるが、この事件がきっかけとなり、イギリス政府に不満を募らせていた植民地人の怒りが爆発し、ボストンを中心に独立の機運が高まるという歴史的意義の大きな事件なのだ。『アサシン クリードIII』でも、ボストン茶会事件が登場し、コナーの視点から体験できるという。

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▲東インド会社のイギリス船に乗り込んだコナー。ここでは、立ちふさがるイギリス兵を排除しつつ、紅茶を海に投棄するのだ。

 中世の衣装を着たスタッフによると、この施設はボストン茶会事件を多くの人が体感できるように作られたという。当時そのままに再現されたイギリス船では積み荷に見立てた箱をボストンの海に投棄するイベントが楽しめるし、ミュージアムでは、ボストン茶会事件の裏側を描いた映像作品などが観られるようになっている。ボストン茶会事件というテーマひとつで博物館が作られていることに驚いた。やはりアメリカ独立の大きな要因となった事件だけに、人々の注目度も大きいようだ。ここからは、ミュージアムの様子を写真でお伝えする。

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▲船に乗るまえにボストン茶会事件についてレクチャー。その後、ゲスト全員に羽根が渡される。これから茶会事件を体験するにあたってネイティブ・アメリカンのフリをせよ、という遊び要素らしい。
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▲突然配られたネームカード。ゲストにはそれぞれ当時の人物にちなんだ名前とプロフィールが与えられるようだ。記者はSETH INGERSOLL BROWNEさんとして行動することに。名前が長い!
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▲説明が終わると、いよいよ船の上へ。ここでは、茶会事件と同じように箱を海に投げ込める。さすがに紅茶の積み荷そのものはマズいので、発砲スチロール的な箱が使われている。
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▲再びミュージアムに戻り、今度は茶会事件の流れをまとめたドラマ形式の映像を観る。随所にホログラムを使っていたりして、演出がけっこう凝っていておもしろい。
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▲ボストン茶会事件で実際に海に投げ込まれたという箱。ショーケースで大切に保管されている。
▲外に出ると日が沈んでいた。ライトアップされたビルと帆船のコラボレーションが不思議な感じだ。
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▲待ちに待ったディナーが登場。これらは18世紀のアメリカの伝統料理なのだとか。中央のトレイには“肉じゃが”っぽい料理が。味も肉じゃがそのもの。
▲ボストンの地ビールのサミュエル・アダムスで乾杯。サミュエル・アダムスは『アサシン クリードIII』にも登場する、偉大な人物。それだけに(!?)コクがあって美味い!

 こうしてボストン茶会事件をたっぷり満喫(!?)してプレスツアーの1日目が終了。2日目は、ボストンに残存する歴史的建造物を徒歩で巡る“ボストンフリーダムトレイル”。この歴史ツアーでは、『アサシン クリードIII』に収録されているランドマークも多数登場する。ボストンフリーダムトレイルの様子は、明日、2012年10月23日(火)更新予定の第2回でお届けするので、ぜひチェックしてほしい!


アサシン クリードIII
メーカー ユービーアイソフト
対応機種 PS3プレイステーション3 / X360Xbox 360 / Wii UWii U
発売日 2012年11月15日発売予定(※Wii U版は2012年12月8日発売予定)
価格 各7700円[税込]
ジャンル アクション・アドベンチャー / 暗殺
備考 開発:モントリオールスタジオ