Jリーグパックは無料で体験版を配信!
2012年10月4日、『ウイニングイレブン』(以下、『ウイイレ』)ファン待望のシリーズ最新作『ワールドサッカー ウイニングイレブン 2013』が発売された。その発売を記念し、週刊ファミ通2012年10月18日号(2012年10月4日発売)では、益田圭プロデューサーへのインタビューなどを含んだ紹介記事を掲載。本記事では、週刊ファミ通の掲載分にプラスアルファした、インタビューの完全版をお届けする。

『ウイイレ 2013』プロデューサー
益田圭氏
▲『ウイイレ』シリーズには、『5』からデザイナーとして参加。本作からはプロデューサーを務めている。筋金入りのインテリスタ(インテルのファン)。(文中は益田)
リアルでありながら、動かして楽しいゲームに
――益田さんは、いつごろから『ウイイレ』シリーズに携わっているのでしょう?
益田 『5』のときですね。そのころは、演出面のデザイナーとして参加していました。そこから、少しずつですがゲームデザインにも口を出すようになって(笑)、本作からプロデューサーになりました。
――高塚さん(前作までプロデューサーを務めた高塚新吾氏)は、別のゲームを作られているのですか?
益田 はい。ゲームのニーズは多様化しています。その状況に対応するため、我々が培ってきたフットボールコンテンツの技術を活かし、新たなプロジェクトを動かしていますので、ご期待ください。
――楽しみです。益田さんご自身で、『ウイイレ』をこう変えていきたいというお考えはありますか?
益田 『ウイイレ』で、リアルサッカーの魅力をもっと表現できるようにしたいと考えていましたので、今回は、リアルに近づけるというアプローチで制作を行いました。たとえば、ゲーム内での操作を増やしたり、選手のモーションを再現したのも、そういった狙いがあります。ただ、僕たちが目指しているのは、現実のサッカーを完璧にトレースすることではなく、ゲームとしてユーザーさんに楽しんでいただけるものを作ることです。リアルを追求しつつも、デフォルメするところはデフォルメして、ゲーム的なおもしろさとリアルな感覚が共存するバランスにしていきたい。もともと、『ウイイレ』シリーズのファンはそこに惹かれていると思うので、その強みは崩さずにやっていきたいと思っています。
――プレイの幅が増えたというところは、"ボールを止める、蹴る"を重視するという、本作のコンセプトにも表れていますよね。
益田 サッカーの魅力は、ゴールシーンはもちろんですが、ゴールに至るまでの過程のバリエーションにもあると思っています。そこが感動や興奮につながってくると思うので、ゲームの中でもワンパターンにならず、さまざまな形で得点が生まれるようにしたいと考えていました。過去には、ドリブルが有効だとか、サイドからの攻めが強力といったバージョンもありましたが、本作は攻めのバランスがよくなるように調整しています。
――いま、現実のサッカーは、スペイン代表やバルセロナのような、ショートパス主体のスタイルがトレンドです。そうした流行は意識していますか?
益田 流行はもちろん追っていますよ。今回、スペースがあると、味方選手が積極的に走り込んでいきますが、それはパスサッカーをやりやすくするために改良しました。やはり、毎年コンスタントにリリースしていくタイトルですので、トレンドを反映しながら制作していく必要性は感じています。
――新たな試みと言えば、トップ選手のプレイを再現する"プレイヤーID"も注目ですよね。
益田 いままでは、どちらかというとドリブラーの再現に力を入れていたので、本作ではパサーにもスポットを当てています。ユベントスのピルロを例に取ると、彼がロングボールを蹴るとバックスピンがかかって、受け手がトラップしやすくなるんです。また、ボールを蹴るモーションも、彼専用のものにしています。UEFA(欧州サッカー連盟)が発表しているベストイレブン、歴代バロンドールの受賞者、そして各国リーグの主要選手などをセレクトしていて、およそ50人ほどが対応していますね。
――プレイヤーIDを作る際に、苦労した点は?
益田 特徴的な動きを見つけるために、試合の映像を大量に見たのですが、膨大な時間がかかりましたね。また、動きを作るときも、スター選手全員を呼んでモーションキャプチャーをすることはできないので、アニメーターの手で動きを作る必要がありました。そこで動きが似ていなければ作り直してもらったので、アニメーターは苦労していましたね(笑)。
――なるほど。でも、その甲斐があって、とても似ていますよね。シャビがアウトサイドでボールをキープする仕草などは、そっくりでしたよ(笑)。
益田 『ウイイレ』には、プレイして楽しい部分と見て楽しむ部分があると思うので、今回のプレイヤーIDは、その喜びを両方味わえるように意識しました。そこは、これからも力を入れていきたいですね。


イメージキャラクターは香川選手
──『ウイイレ 2013』でも『2012』に引き続き、香川真司選手をイメージキャラクターに起用されています。起用の理由を教えていただけますか?
益田 私が子どものころは、日本人がオールド・トラフォード(香川選手が所属するマンチェスター・ユナイテッドのホームスタジアム)で攻撃の指揮を執るなんて、想像できませんでした。それこそ、『ウイイレ』の“ビカム・ア・レジェンド”のような世界ですよね。『ウイイレ』もそんな香川選手のように、世界中を驚かせたいと思っていたので、彼がイメージにピッタリだったんです。
──香川選手は、『ウイイレ 2013』をプレイされたのですか?
益田 非常に楽しんでいただけたようです。弊社のスタッフと対戦し、前半だけで3対0で勝ってらっしゃいました。ご本人は、ゲームスピードが落ちて実際の試合に近づいている点が、とくに気に入ったみたいです。プレーを選択する時間が生まれたことで、いままでよりも駆け引きがおもしろいとのお言葉もいただきました。フェイントでは、ダブルタッチがお気に入りのようですね。

Jリーグパックの体験版を用意!
──今回、ブラジルリーグも追加されましたね。
益田 『ウイイレ』は南米でも販売されているので、ブラジルリーグを登場させてほしいという要望が、現地ではかなり高かったんですよ。交渉は難航しましたが(笑)、無事に実名で収録できました。選手からは「ゲームに登場できて光栄だ」という声もいただきましたし、南米での人気は高まっていますね。
──実際のブラジルリーグも、セードルフが移籍してきたり、ネイマールが残留したりと、盛り上がっていますものね。一方で、益田さんがお好きなセリエAは、若干寂しくなっている気がします。
益田 インテルやミランが好きな人は、数年前に比べると寂しいかもしれませんね(苦笑)。インテルも、今年は奮起してもらいたいのですが……。この前、インテル対ローマの試合を現地で観る機会があったのですが、その試合はトッティ劇場で(笑)。
──反対に、マンチーニやモウリーニョが監督だったころは、笑いが止まらなかったのでは?(笑)。
益田 そうですけど、「インテルっぽくないな」とも思っていましたね(笑)。
──1990年代~2000年代のインテルは、善戦マンでしたものね。ちなみに、益田さんのお好きな選手は?
益田 ロベルト・バッジョです。私はいま35歳なので、世代的にセリエAへの憧れがあったんですよ。ワールドカップアメリカ大会の決勝戦でバッジョがPKを外してしまったシーンは、いまでも忘れられません。
──僕もバッジョのファンなので、わかります(笑)。話をゲームに戻しまして、本作でもダウンロードコンテンツは予定されているのでしょうか?
益田 前作でご好評いただいたJリーグパックですが、今回はまず、体験版を配信しようと思っています。
──それはうれしいですね!
益田 体験版では、エキシビションマッチ(コンピューター戦限定)でJ1、J2の全40チームが使えます。まずは、Jリーグのクラブを使っての試合の楽しさを体験していただきたいですね。マスターリーグやオンライン対戦でJチームを使いたい場合は、ダウンロードコンテンツをご購入いただければと思っています。配信時期は、今後の情報をお待ちください。
──ほかに、ダウンロードコンテンツの配信は予定されていますか?
益田 夏の移籍に完全対応したデータを配信します。また、オンラインに接続中のフレンドやコミュニティのメンバーをいつでも呼び出せる、"ウィジェット"という機能も実装予定です。これにより、待ち時間なくオンライン対戦が可能になります。
──今後にも期待できますね。では最後に、読者へのメッセージをお願いします。
益田 本作は、止める、蹴るというサッカーの原点に戻り、初級者から上級者まで、幅広い層の方が楽しめるように作っています。皆さんもぜひ本作を手に取って、楽しんでみてください。
