「プラモデルが動いたら……」は大人になってもかなえたい夢!

 レベルファイブが制作・発売している『ダンボール戦機』シリーズは、子どものころに誰もが夢見た「このプラモデルが実際に動いたら……」という思いを現実にしたプラモクラフトRPG。ゲームソフトに加え、テレビアニメやプラモデルといったクロスメディア展開が功を奏し、低年齢層を中心に高い人気を誇っている。しかし、”プラモデルを実際に動かしたい”と思うのは子どもだけなのだろうか? 否、断じて否!

 そこで今回、2012年10月18日にシリーズ最新作『ダンボール戦機W』がプレイステーション・ポータブルとプレイステーション Vitaで発売されるのにあわせ、かつてプラモデルに夢中になった大人の世代に向けた、一大プロジェクトがスタートした。その名も「The BATTLE of LBX ~空想実写化プロジェクト~」!

”ストップモーションアニメーション”で、空想を現実のものに

 プロジェクトが注目したのは”ストップモーションアニメーション”。静止しているものを一コマずつ撮影し、それらをつなげることであたかも連続で動いているように見せる手法のことだ。そこで白羽の矢が立ったのが、特殊映像制作のスペシャリスト集団”スタジオプラセボ”。映像撮影のクライマックスを迎えた9月になったばかりのある日、都内某スタジオにて、スタジオプラセボを率いる長井勝見氏にお話をうかがった。

『ダンボール戦機W』Presents 空想実写化プロジェクト始動_01
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▲コンテどおりに”LBX”を配置し、一コマずつ撮影。たいへんな根気と集中力が必要な作業だ。

3D CGでは出せない”空気感”にこだわる

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▲スタジオプラセボ代表・長井勝見氏。

--今回プロジェクトに参加することになった経緯は?
長井 最初に「子どものころに空想していたことを、大人の技術で実現させるとしたらどうなるか」というおもしろい企画を考えているチームがあるという話をうかがいまして、この企画だったらウチがドンピシャではないかと思い、参加させていただきました。

--それはいつごろですか?
長井 1ヵ月くらい前……7月の中旬くらいですね。8月のはじめには、もうパイロット版を撮影していましたからね。僕的に、これまで手掛けてきた仕事の多くはかわいい感じの作品が多いんです。でも僕も男の子ですから(笑)、カッコイイものが好きだし、プラモデルも作っていたので、「やっときた!」という思いがありました。それに、コマ撮りでこういうカッコイイ系のコンテンツは意外とないんですよ。

--動画の長さに制限はあったんですか?
長井 制限はなかったんですが、LBXがアクションをしてカッコイイ内容にするには、1分半から2分くらいが限界なんです。それ以上になるとストーリーが必要になってきますから。それに、男性はプラモデルを作ったことがあると思うんですが、それをコマ撮りのように動かさないのはもったいないと思っているんです。でも、実際にやってみるとすごくタイヘンですけどね。今回使っているLBXは1/1スケールですから、リアルなサイズを手に取れる感覚というか、ほかのスケールモデルとは違う感覚があるので、ワクワクして楽しいですよ。楽しいと思わなきゃ、やっていられない(笑)。

--ティザームービーが公開されましたが、実際の制作工程はどんなふうに行っているんですか?
長井 LBXはバンダイさんから着色済みのものを提供していただいて、腰の部分などの可動範囲がほしい個所は加工しました。あのティザームービーですと、LBXの加工に3、4日、撮影に4、5日くらいかなぁ。そして編集作業に1週間くらいです。まず、最初に演出コンテを書き、続いて造形の工程があります。壊れやすいパーツは複数用意する必要がありますし、空中で固定するための支え棒を差し込む穴をあけることもありますから、今回は数体ずつ用意しています。それから撮影ですが、シーンごとにカメラや機材を固定し、一コマずつ撮影していきます。カメラを動かせないので、シーンの撮影に入ると終わるまでほぼ止められないですね。不夜城のように(笑)。そして、後処理と編集作業に入ります。ここで、バレている支えを消したり、目を光らせるといった処理をします。また、効果音は、レベルファイブさんから提供していただいた、実際にゲームで使用されている音源をシーンに合うように若干調整しています。

--ちなみに『ダンボール戦機』はご存じでしたか?
長井 よく名前は聞いていました。すごく好きですよ。”愛”がなければ作れない(笑)。

--最後にメッセージをお願いします。
長井 まさに制作中ですが、完成したムービーにぜひ期待していてください。