リミットブレイクは、バトルレジメンに代わる新しいバトルシステム

 全世界で初めて実機によるプレイが公開されたGamescom初日のステージ後、会場内の『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』インタビュールームに日本のメディアが集まり、吉田氏へのインタビューが行われた。手始めに、万一の機材トラブルに備え、あらかじめ撮影されていた実機プレイ動画を見ながらのインタビューとなった。

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▲スクウェア・エニックス社のインタビュールームの中でももっともコストがかけられたという部屋で収録。話題のルガディン女性なども壁面に描かれていた。

――ステージの冒頭、ドイツ語で挨拶されていましたが、お得意なんですか?

吉田直樹氏(以下、吉田) いえ(笑)。昨日覚えました。フランス語のほうがラクでしたね(笑)。

――先日フランスで催されたジャパンエキスポですね。反応の違いはありましたか?

吉田 今回はビジネスデイなのでリハーサルのつもりで臨みましたが、ビジネスデイにもかかわらず盛況だったので、明日以降どうなるのかなと(笑)。そのフランスの方々もけっこう遠征して来るらしいので、盛り上がっていただけるといいなと思っています。ヨーロッパのプレイヤーの皆さんは、ものすごく素直に喜んで反応していただけるなと思いますね。声援も恥ずかしがらずに送っていただけますし。あと11回のステージ、乗り切ります(笑)。

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▲ビジネスデイの反応。大盛り上がりだ。

吉田 さて、これが現状のグラフィックスオプションをすべてHighにした状態の動画です。動かしているマシンはCore i7のPC。現行の『FFXIV』が動くマシンを持っている方は、これと同じ設定で基本的にこのくらいサクサク動くと思います。つまりマシンを買い換える必要はまったくありません。ご覧のバトルアニメーションもシステムを0から作り直しました。レスポンスもバトルのテンポも相当高速になっています。ユーザーインターフェイス(以下、UI)も、先ほどご覧いただいたとおりです。Gear Setを使えば、すべて一発で切り替えられます。現在、グラフィックス関係では、ファーシェーダー(モンスターの毛皮など)の詰めや水面の処理、さらに屋内のライティングが現在も調整している段階です。今回公開したリミットブレイクの動画も、ダンジョン内ですので、目下ライティングのセットアップをしています。プレイヤーの皆さんにお見せするころには、すべて完成したクオリティーでお届けできると思います。

――それでもいまのクオリティーが出るんですね?

吉田 木のうろに落ちている梢の影などは、現行のスタンドアローンのゲームに比べてもトップレベルではないでしょうか。それが何百、何千もの人が集まるMMOの中で体験できるのは、今回、『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』が世界最高と誇っていいところだと思います。いまはすでにプレイステーション3版の最適化に努めているところ。そう時期を置かずそちらもお見せできると思います。

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▲最高画質で撮られたスクリーンショット。木々の陰の細かさがわかるだろうか。

――フィールドも変化に富んでいますね。

吉田 フィールドもすべて作り直し、設定に沿っていたるところにNPCたちがいます。画面で見えるここは訓練所なので、訓練をしているNPCが見えますね。じつは今回、BGMの仕組みを変えています。町や施設などの拠点に近づくとBGMが鳴り、離れると環境音だけになります。(注:チョコボ騎乗時は、同じ音楽が鳴っていた)。バトルのときはバトルの曲が流れますが、町に近づくとホッとするということですね。UIも、このままの通常の状態でそれぞれのホットバーを動かすこともできますし、先ほどご覧いただいたHUDレイアウトモードを使うと、ゲームを止めた状態で好きに動かせるようになります。よくMMOをプレイしていると、敵をターゲットしようとしてUIをマウスでつかんでしまうことがあるんですよ。ですから、デフォルトに戻すのもすぐなので、お好みのほうを選んでいただければ。

――キャラクターもチョコボもジャンプしていますね。

吉田 開発スタッフの中でも、「ジャンプは不要では?」と言う意見もありましたが、いまではもうみんなジャンプしまくっています(笑)。

――チョコボのジタバタぶりがキュートです(笑)。チョコボのジャンプを利用した移動はありえるのでしょうか?

吉田 ジャンプをしなければ上れない場所は、アクションゲームではないので基本的に作っていません。また、パーティプレイをしているときに、段差を登るのが下手な人が、もうやりたくないと思ってしまうのはダメだと思っているので。ですが、本当にどこでも飛んだりはねたりできるように作っているので、フィールドを走り回っているだけでもけっこう楽しいのではないかなと思います。今回の実機プレイをお見せした範囲外で、僕が暴走しながらジャンプをしまくっていたら、開発スタッフに「コリジョンにハマるから止めてくれ」と言われたり(笑)。けっこうな高さ飛ぶんですよ。

――先ほど櫓から飛んだりしていましたね。あれくらいは楽勝で飛ぶのでしょうか?

吉田 飛べますよ。むしろ飛べない場所があると「なんでここが飛べないんだよ」と制限を外させているので。「骨折するくらいの高さまでは飛べていい」と言っています(笑)。

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▲飛ぶチョコボ。がんばっているが、キャラクターと同じ高さまでのジャンプだ。

吉田 続いてリミットブレイクの映像です。リミットブレイクは、バトルレジメンに代わる新しいバトルシステムとして、パーティ全員の力で限界を突破して最大攻撃をくり出すものになります。映像でお見せしたのは、黒魔道士が使うメテオでしたが、ナイトが使う場合はまったく別のリミットブレイクになります。

――リミットブレイクの発動権は、誰が握っているのでしょう?

吉田 ゲージはパーティーの全員で共通の1本です。みんなで溜めたゲージをどのタイミングで誰が、どう効果的に使うか、パーティで戦略を考えながら戦うことになります。間違って押すなよ、という話ですね(笑)。レベルも何段階かになっています。

――リミットブレイク用のゲージが独立しているということですね? どうやってゲージを溜めるのでしょう?

吉田 ゲージは独立しています。溜めるには、ふつうにバトルをしていたら溜まるというルールと、ファインプレイという、いま実装中の要素が関係します。ファインプレイは、ナイスヒールだったり、ナイスブロックだったり、パーティの行動記録の中にナイスプレイという項目があるので、それをシステム側が判断します。当然、単純に戦うだけでも発動するバランスで、つねにファインプレイをしないと溜まらないようにはしません。

――リミットブレイクはジョブごとにひとつずつあるのでしょうか?

吉田 完全に1ジョブ1個ではありません。さすがに相当大技であることと、戦闘バランスを壊すことが怖いので、慎重に実装していきます。ひとつの技を複数のジョブが使うこともでき、使うジョブによって同じ技でも効果を変えるかもしれません。たとえばですが、戦士とナイトが同じ技を使ったとしても効果が微妙に違ったり、というのはギリギリまで検討や調整していきたいですね。

――ゲージの量がそのまま威力になるのでしょうか? 武器やステータス、パーティ構成で変わったりは?

吉田 もちろん値を決める変動要素はありますが、極端に武器に依存しないようにはしています。いい武器を持っていないお前が撃つな、ということになりすぎないように、そこは慎重に。人数の少ないパーティが多人数のパーティよりも強いダメージを出せたりということもないようにしています。

――低レベルから使えるものなのでしょうか?

吉田 ある程度。レベル1、2、3……あ、言っちゃった(笑)。いいや(笑)。高レベルにならないと3が放てないだとか、状況によって発動レベルが変わるなど、制限はありますね。序盤はレベル1で慣れてもらうという感じですね。

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▲メテオ発動シーン。黒魔道士を中心にパーティ全員が輝き……。(写真はステージのスクリーンを撮影したものです。)
▲敵の頭上に巨大なメテオが!(写真はステージのスクリーンを撮影したものです。)

――今回、新生のバトルシーンが始めて公開されましたが、吉田さんの考えるバトルの基本コンセプトは?

吉田 僕はテンポよく、気持ちよく終わるということを意識しています。なので『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』では、TPは最初から溜まっている状態でスタートします。のっけからウェポンスキルやアビリティを使いまくり、自動回復を待ってつぎのバトルへ、というスピード感です。だいたい1モンスターあたり、ウェポンスキル5発くらいで倒せるようになっているので、バトル時間も15秒から20秒ほど。以前もインタビューでお答えさせていただきましたが、その想定どおりくらいにはなっています。

――ではパーティで戦うと、もっとスピーディーに?

吉田 そうですね。『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』では、EXPをモンスター狩りで稼ぐという考えかたをなくしています。基本はコンテンツをクリアーしたら、報酬としてドンと入るんです。だからクエストの途中でモンスターを倒してもぜんぜん効率的ではない代わりに、クエストをクリアするとドカッと入る。これは何をやっても同じです。モンスター手帳みたいなものがあって、決められたエリアのモンスターを倒す局面でも、一定数コンプリートして初めてドンと報酬がもらえます。それでレベルが上がり、つぎのことができるようになる。ですから、もうソロでほかに何もせず、ひたすらモンスター狩りをしてレベルを上げるという考えかたではありません。そうしたことを考えた結果、戦闘がものすごくスピーディーになったのです。あとは……気持ちよくないと耐えられませんよね。

――ジョブについてですが、今回も竜騎士が多めに公開されているのは、こだわりがあるのでしょうか。また、『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』ではジョブの数はどれくらいからスタートさせる予定でしょうか?

吉田 まず竜騎士にこだわっているのは、単純に『FF』らしさからです。やっぱり『FFIV』のカインの印象も強いのか、どの国のプレイヤーにも人気があるので。あとはジャンプにしても桜花狂咲にしてもそうですが、見栄えのいい技が揃っているからですね。僕が竜騎士を好きなのもあってそうしています。それから……『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』スタートのタイミングでは、既存のジョブはすべて登場します。さらなるジョブやクラスについては、日本に戻り次第、またお話できるかなと思います。もうちょっとお待ちください。

――『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』のときは新しいジョブが追加された状態で始まるということですか?

吉田 いやいやいやいや(苦笑)。βテストのころにはいろいろ情報をお出ししていると思います。思いますけど、βそのものは既存のジョブで行こうかなと思います。

――竜騎士がドラゴンダイブをしたときに、与えたダメージが9999と出ていましたが、オフラインの『FF』のように、あれくらいのカウンターストップ級のダメージが連発されるのでしょうか?

吉田 いまスクリーンショットを撮影しているのは、レベル1のモンスターばかりがいるグリダニアを出てすぐの場所なんですよ。そこでレベル50の竜騎士が戦っているので、あの数字を叩き出してしまう、という感じです。

――つまり逆に言えば、バトルのバランスがすでに取れている状態なんでしょうか?

吉田 はい。αテストに向けて進行していますので。E3での情報公開からずっとグリダニアの周辺を見ていただいているのは、今回αテストでグリダニアを舞台にしようとしているのからです。そのためいろいろな仕様が詰まっているんです。

――紅葉している木があるなど、いろいろ見栄えも詰まっていますね。

吉田 隣のゾーンに移動したときに、バリッと風景が変わり、「また新しい冒険が始まった」と感じていだたくために、フィールドもかなりダイナミックに変えています。わくわくしていただくためですね。ここはグリダニアの外ですが、こんなに美しいところばかりではありませんよ。

――鬱蒼とした森もまたあると。さきほどのデモプレイでたどりついたダンジョンは、既知のダンジョンでしょうか?

吉田 いや、新規のダンジョンですね。

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▲紅葉などがよくわかるシーン。木々の疎密が美しい。

――細かい町にもNPCがいましたが、クエストは彼らから受けることも?

吉田 もちろんです。とにかく最初に降り立った場所の!マークを追って移動すると、また!マークがあり、という連鎖をいま作っています。序盤からかなり多いですよ。クエストを追っているだけで、それなりにレベルは上がっていくので、そこはソロでガンガン遊んでいただければ。それによりひとつずつゲームシステムを覚える仕組みにしているので、かなりいまのスタイルからは変わります。逆に現行バージョンで楽しんでいる方が最初からプレイされると、制限されているな、と感じるかもしれないですね。レベル50のプレイヤーには、いろいろと開放しますが、初心者に開放するとパニックになってしまうので、新規でニューキャラクターで始めた方は、小出しでいろいろなシステムを覚えていただきます。序盤はスタンドアローンのゲームを意識しながら、現状から大胆に設計を変えていますので、まずはレベル5、レベル10を目指して、というプレイスタイルになります。

――序盤の流れは、かつて吉田さんが就任以降変えたものとも違うのですか?

吉田 はい。いまのものより丁寧です。たとえばカメラコントロールひとつにしても、いまもありますが、もっときっちりした専用UIがあり、それについてのクエストをこなすといろいろと覚えるようになっています。To Doリストも含めてきっちりと設計していますよ。たとえばいまはテレポについて何も教えていない状態ですが、テレポを理解するための導線やエーテライトの仕組みを覚えるための導線もふつうに作ってあります。初心者がやるべき項目も用意したいですし、それらをクリアーすると、序盤の装備報酬が手に入るなどにもしたい。そんなことをくり返していると、どんどん装備が揃い、話がわかり、システムが理解できるようになるという、就任以来、本当に作りたかった形になっています。

――いまレベル50のプレイヤーは、それらのクエストを楽しめるのでしょうか?

吉田 メインシナリオの進行しだいでクリアー済みのフラグが立ってしまったもの以外は、楽しめますね。

――新規で始めた場合、どれくらいの時間でひととおり覚えられるようになりますか?

吉田 ひととおりのシステムの定義しだいですが、パーティを組んでダンジョンへ行ってみよう、というのを僕はレベル15に想定しています。そこまでソロでいいですよと。そこで初めてライト(4人)パーティを組んで、クエストにしたがってダンジョンを冒険する。ひとつのコンテンツをクリアーするまでの時間やメッセージの枚数にはこだわっていますのでそこまでは、寄り道しないで……30時間くらいかもう少し短いかです。

――なぜ30時間なのでしょう?

吉田 序盤が速く進んだとしても、何もかも一度には覚えられませんからね。数学の公式同様、何度も解かないと理解って難しいですよね。あとは1日2時間くらいプレイして2週間という感じでしょうか。効率だけを求めてプレイすれば、もっと早いとは思いますが(笑)。基本はクエストをとにかく追っていただければいいという作りにしてあります。じつはギルドリーヴはレベル10からでないとスタートできないように変更しています。冒険者ギルドからもある程度、半人前と認められて初めてギルドリーヴが冒険者に託される形となり、そのレベル10が脱初心者というイメージですね。ただ、本当にテキストを読むのも嫌で、身入りが悪くてもくり返しリーヴでプレイしたいという方は、それでもプレイ可能です。ただ、かなりコンテンツの種類や量に幅を持たせているので、何かの1択だとあまり効率的にならないように調節しています。まんべんなく、気軽にいろいろなことをするとEXPが溜まるような設計がなされているんですね。

――『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』でのパーティの必要度は?

吉田 僕の中では、ダンジョンなどのコンテンツは、すべてパーティ用のものとそれ以外のコンテンツに分けています。さらにもうひとつ、パブリックと呼んでいるものがあります。それはちょうどソロとパーティの中間。それらが新しく導入されるコンテンツファインダーに乗るわけですが、そこにあるコンテンツはパーティ向けと思っていただければ。それ以外は、ソロでも気軽にいろいろなものに参加できるように、ログインしたときに、エリアを変えたときに、今日いまそこでプレイするといいものを提示する仕組みを用意しています。プレイヤーのプレイ状況や、近くのコンテンツの混雑具合などを見て、「いまビヘスト空いているのでどうですか?」などという感覚でシステムが提示してきます。煩わしければオフにしておけばいいものでもあります。それがリストで10個程度提示されますが、これをすべてクリアすると、だいたい2時間くらいが経過し、今日は遊んだな、と感じられる量になります。プレイヤー本人がパーティ志向ですと、パーティのコンテンツが提示されるようになっているんですが、そこは実際にものがお見せできるようになったときに、あらためてお話をします。

――クエストをオーダーするNPCと話していたとき、窓の中に出ていたアイコン類は?

吉田 あれは報酬品のアイコンですね。

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▲NPCの頭上の!マークがクエストを持っているというアイコンだ。

――インベントリ(アイテム欄)はだいぶ変わっていますが、装備できる品数の増減などはないですか?

吉田 そうですね。だいぶ現行バージョンで整理させていただいたので。

――Gear Setは、いくつか保存可能なのでしょうか?

吉田 そうです。Gear Set1と書いてあったように、2、3、4、5と続いていきます。習得にもクエストでプレイヤーがたどる導線を引いていて、最初はデフォルトで1個持っている状態です。それからアーマリーという仕組みを覚えたタイミングでもう1個。以降は、クエストクリアーしたり、コンテンツをクリアーしたりすると増えます。習得も遊びの一部にしているんです。数は運営やクラスやジョブの増えかたに合わせて増やしていくべきかなと思っているので、いまのところ上限数はありません。ただ、メモリというかギア用のデータバッファはかなり多く取ってあります。

――ギアセットの中に入れたものは手持ちのアイテムとしてカウントされるのでしょうか?

吉田 されません。インベントリから消えます。報酬で手に入れた装備はアイテムにカウントされますが、ギアセットに入れたギアはギアセット側の枠に入るのでインベントリを圧迫することはありません。過去にマネキンと呼んでいたシステムがこれですね。

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▲新しいインベントリ画面。ソウルを身につけると、装備一覧の上部にDRAGOONの文字が登場。

 吉田氏は最後にせっかくだからと、目の前でCore i5ノートPCでプレイを始めた。

吉田 これはLOWの描画設定です。フレームレートが落ちていますが、テクスチャーはそのまま。こんな感じです。遠くの木立の影にじつは秘密があり、寄ったら細かな輪郭に、遠ければ解像度を落としたものになっているんです。プレイステーション3版にも言えますが、ある程度の静止状態などで眺めるぶんにはHighとLowのクオリティーの差はわからないと思います。動いているときによく目を凝らすと、「あ、LOD(ここでは距離に応じたポリゴンモデルの変更)がかかっているな」とわかる程度。そのLODもかなりいまナチュラルに切り替わるように調整しているので、テクスチャーの解像度も下がるとは思いますが、それでもほぼ遜色ないと思います。

――人気コンテンツなどでプレイヤーが集まり、フィールドが混雑するときびしくなることがあるのでは?

吉田 自分にはつねにハイクオリティーですが、たとえばほかのプレイヤーのシャドウをオフにすることで軽くできたり、自分はハイモデルのまま全体のセットアップをLOWに、周囲をミドルやローにして軽くしたりできます。それをタイトル画面まで戻らずに、その場で調整できるようにしています。あとは『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』も含め、コンテンツがかなりインスタンス化しているので、大規模PVPなどに遭遇すると、一瞬がくん、とくることもあるかもしれませんが、うんざりするようなことはないと思います。今回はとにかく、まわりのキャラクターのクオリティーやフレームレートを落としてでも、自分のグラフィックスを維持したうえで、とにかくプレイヤー数をたくさん表示させるという仕様にしているので、PCを買い換える必要はまったくありません。

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▲実機に触れる吉田氏。この実機、じつはプロジェクトマネージャー氏が実務に使っているものとのこと。

――オンボードのグラフィックスカードでも動きますか?

吉田 オンボードはものによりますね。ただ、グラフィックスチップに対する要求はあまり高くありません。徹底的にいろいろオフにしていだたければ、なんでも動くというのがコンセプトなので。ただし、プレイヤーの皆さんが『ファイナルファンタジー』としてスクリーンショットを撮るものなので、『ファイナルファンタジー』として、これより質の低いスクリーンショットを撮られるとまずいよね、という線は守っています。

――Core 2 QUADやGTS 250といった現行の必須環境では?

吉田 αテストの前には、最低動作環境を発表しますのでお待ちください。新たなベンチマークソフトも、ゲームのおもしろさを感じていただけるものをβテスト前には用意します。これからもっともっと派手な画面もお出ししていきますので、続報にご期待ください。