週刊ファミ通のニュースページ“エクスプレス”で連載中のゲームに関連した著名人へのインタビューコーナー“Face”。誌面スペースの都合などからカットした部分を網羅した完全版をファミ通.comでお届け。今回のゲストは、アーティストのサラ オレインさん。『タイムトラベラーズ』ディレクターのイシイジロウ氏、さらに音楽担当のノイジークローク坂本英城氏も登場!

 週刊ファミ通のニュースページ“エクスプレス”で連載中のゲームに関連した著名人へのインタビューコーナー“Face”。誌面スペースの都合などからカットした部分を網羅した完全版をファミ通.comでお届け。今回のゲストは、アーティストのサラ オレインさん。『タイムトラベラーズ』ディレクターのイシイジロウ氏、さらに音楽担当のノイジークローク坂本英城氏も登場!

今週のお題
『タイムトラベラーズ』
ニンテンドー3DS/プレイステーション Vita/プレイステーション・ポータブル
レベルファイブ 2012年7月12日発売(※) 各5980円[税込]
※PSP版は7月19日発売

時を超える力を持つ5人の主人公と、物語の鍵を握る少女みことの群像劇が描かれるアドベンチャーゲーム。主人公たちの運命は絡み合っており、プレイヤーは彼らがどんな行動を取るかを選択して、正しい結末を導くことになる。

サラ オレインさん プロフィール
1986年生まれ。オーストラリア・シドニー出身のヴォーカリスト、ヴァイオリニスト。これまでに任天堂のWii用ソフト『ゼノブレイド』、スクウェア・エニックスのスマートフォン用ソフト『ケイオスリングス オメガ』のテーマソングを担当。2012年6月にアルバム「セレステ」をリリースし、メジャーデビューを果たした。2012年11月にはデビューコンサートを開催予定。

●“守るべき人のため”をテーマにした歌です

左:レベルファイブ イシイジロウ氏
『タイムトラベラーズ』ディレクター

中央:サラ オレインさん

右:ノイジークローク 坂本英城氏
『タイムトラベラーズ』作曲担当

 レベルファイブから発売された新作アドベンチャーゲーム『タイムトラベラーズ』。本作は、『428~封鎖された渋谷で~』を始め、さまざまなアドベンチャーゲームを手掛けてきたイシイジロウ氏の最新作だ。今回のゲストは、本作のエンディングテーマ「The Final Time Traveler」の歌と作詞を担当したアーティストのサラ オレインさん。テーマソング制作に参加しての感想を聞いた。

――サラさんが『タイムトラベラーズ』の歌を歌うことになったきっかけを教えてください。
サラ 『タイムトラベラーズ』の楽曲を担当されている、ノイジークロークの坂本英城さんにお声がけいただいたのがきっかけです。それからイシイ監督にお会いして、シナリオや設定資料を見せていただいて……すごいと思いましたね。ゲームでなければ実現できない世界だな、と感動しました。

――「The Final Time Traveler」を最初に聴いたときは、どんな感想を抱かれましたか?
サラ メロディーが本当に美しいと感じました。坂本さんは、私の声質と音域を理解し、それを最大限に生かす楽曲を作ってくださったんです。ですので、この歌は私にとって、とても特別な作品です。
坂本 じつは、サラさんのオーケーをいただく前から曲を作っていたんです。イシイさんには、「オーケーもらえるかわからないけど、サラさんに歌ってもらうつもりで曲を書きます」と言って(笑)。メロディーもすべて作っていて、サラさんに断られたらまるごと作りなおすつもりでした。

――サラさん以外がこの曲を歌うことはありえなかったんですね。そんな「The Final Time Traveler」の英語の詞は、サラさんが書かれたそうですが。
サラ はい。みことの視点を中心にしつつ、“守るべき人のため”という、登場人物全員に共通するテーマをもとに詞を書きました。

――イシイさんや坂本さんから、歌詞について何かリクエストはありましたか?
坂本 イシイさんが書かれた日本語詞のイメージをサラさんにお渡しして、そこからはサラさんにお任せしました。
イシイ 歌の歌詞というよりは、近代詩や現代詩の様な詞をイメージしていたので、「できれば韻を踏んでください」とお願いしました。
サラ そうですね。英語詞では韻を踏むようにしました。

――イシイさん、坂本さんとのお仕事は初めてだったかと思いますが、おふたりと仕事をしてみていかがでしたか? たとえば、坂本さんのダメ出しが多かったとか……。
坂本 いやいやいや、ダメ出しのしようがありませんでしたよ!
イシイ 坂本さんが感動1号、僕が感動2号みたいな感じでしたね。
坂本 サラさんがブースに入ってきただけで、「まぶしくて見えない!」ぐらいで。
イシイ そうなんですよ。「あ、まず立たなきゃ」と思って、起立してみたり。
サラ ダメ出しというわけではありませんが、私の母国語は英語なので、日本語詞には、ニュアンスを表現するのが少し難しい部分もありました。そこは指導していただきましたね。

――なるほど。では、イシイさんと坂本さんは、サラさんとお仕事をしてみていかがでしたか?
坂本 僕はもう、サラさんは「プロだな」と思いました。作詞にしても歌にしても、まったく妥協しないんです。サラさんのそんな姿勢は、以前から存じていたので、オーケーをいただいた後は、安心してサラさんが歌うのを見ているだけでした(笑)。こちらが何か言う前から、ご自分でどんどんよいものにしていってくださるんですよ。
イシイ 「このゲームのクライマックスにかけよう!」と思える歌をいただけたこと自体が、まず感動です。10時間以上ある作品を締めくくる歌って、なかなか難しいですよね。でも「The Final Time Traveler」は、「この歌がかかったら、もう感動しないわけにいかない」というほどすばらしい歌で。スタッフは「この歌に負けないようにゲームの内容もがんばろう」と、この歌をエネルギーにして開発していました。
坂本 「The Final Time Traveler」は、『タイムトラベラーズ』の曲の中でいちばん最初にできた歌なんです。開発スタッフの皆さんは、ずっとこの曲を聴きながら開発されていたんですよ。

――では、「The Final Time Traveler」は、本作の音楽の方向性を決める歌でもあったんですね。
坂本 そうです。サラさんの声には、妖精のような部分と、母性を感じさせる部分があって……温かく包まれて終わる感じがするんですよね。本能的な部分で感じられる。本当に、サラさんにお願いしてよかったです。
サラ ありがとうございます。こちらこそ、イシイ監督と坂本さんといっしょに、『タイムトラベラーズ』に関われたことを光栄に思っています。
坂本 ちなみにサラさんは、「The Final Time Traveler」の曲名も決めてくださったんですよ。

――坂本さんやイシイさんが名付けられたのではなかったのですね。
坂本 サラさんは、曲名を決めるうえで、『タイムトラベラーズ』のすべての曲を聴いてくださったんです。
イシイ バッドエンドのときの「ちゃんちゃん」みたいな曲も、全部聴いていただきました(笑)。
サラ 楽しかったです。音楽を聴いて、スコアをいただいて、各シーンのコメントを読んで、決めさせていただきました。

――それはすごいですね! ところで、サラさんがゲームの歌を歌われるのはこれで3度目ですが、ほかの歌を歌うときと、ゲームの歌を歌うときで、意識して変えていることがあれば教えてください。
サラ ゲームの主題歌を歌うときは、やはり登場人物の心情や、そのゲームのテーマになっていることを意識しながら歌いますね。ゲームの世界観を理解してからでないと、歌うことはできません。

――サラさんはふだんゲームはプレイされますか?
サラ ふだんはあまり遊ばないのですが、興味はとてもあるので、『タイムトラベラーズ』はプレイしたいと思っています。自分の歌が流れるところまでたどり着きたいです。エンディングテーマですから、最後までプレイしないと聴けないと思いますが……。
イシイ ゲームに慣れていない人でも、ぜったいにエンディングまでたどり着けるような作りになっているので、ぜひ遊んでください。

――『タイムトラベラーズ』は、時を超える力を持つ人々が主人公のゲームですが、サラさんはタイムトラベルできるとしたら、どんなことをしてみたいですか?
サラ そうですね……。未来に行って、発展した医療技術を学んで、現代に持ち帰りたいですね。

――すばらしいですね!
坂本 ちなみに、サラさんは未来と過去、どちらかにしかいけないとしたら、どっちに行きますか?
サラ 未来ですね。
イシイ 若い人は未来に行きたいんですよ。僕らは過去をやり直したい、って思うんですよね(笑)。
坂本 あの時ああしていれば、と……!(笑)
イシイ そうそう、そういうのが積もると過去に行きたくなるんです。そうじゃない人は新しい未来を見たがるんですよ。

――では、過去に行くとしたらどうします?
サラ いろいろな作曲家、たとえば、バッハやドビュッシーに会ってみたいですね。

――やはり、サラさんのルーツにある音楽はクラシックなのですね。
サラ 5歳からヴァイオリンを始めたので、クラシックにはずっと親しんでいましたが、どんなジャンルの音楽も好きです。小さなころから将来の夢は音楽家になることでした。当時はまさか日本でデビューすることになるとは、想像もしていませんでしたけれど。
坂本 サラさんにちょっと伺いたいんですが……ヴァイオリンを弾くのと、歌を歌うのは、近い感覚なんですか?
サラ そうですね……楽器を弾くときは、楽器を通して歌っている、という感じです。とくにヴァイオリンは人の声に近いと言われていますので、歌にものすごく近いですね。

――6月にデビューアルバム「セレステ」を発売されましたが、今後の活動の抱負を教えてください。
サラ 11月9日にデビューコンサートを予定しています。その後もライブ活動や、オリジナル曲の制作などにも、チャレンジしていきたいですね。今回、『タイムトラベラーズ』に参加させていただき、たくさんのことを勉強させていただきました。今後もゲーム音楽の制作に携わる機会をいただけたらうれしいです。

――ぜひこれからもゲームの歌を歌ってください! それでは、最後に読者へのメッセージをお願いします。
サラ 『タイムトラベラーズ』は、まるで映画のような、とてもドラマチックなゲームです。ぜひたくさんの方にプレイしていただきたいです。また、すべての楽曲がとてもすばらしいので、音楽も楽しんでください!