昨年のE3 2011で、日本での発売が発表された、ユービーアイソフトの『Rocksmith(ロックスミス) 』。今回は、プロデューサーの肥後直巳氏と、クリエイティブディレクターのポール・クロス氏に、本作のセールスポイントや日本での発売に向けた意気込みなどを聞いてきた。その模様をお届けしよう!

●本当にギター初心者でも大丈夫なのか? その答えを、プロデューサー&ディレクターが証明!!

 昨年のE3 2011で、日本での発売が発表された、ユービーアイソフトのプレイステーション3、Xbox 360用(※)ソフト『Rocksmith(ロックスミス) 』。本作は、通常のコントローラや"ギター型コントローラ"ではなく、実際のギターを使ってゲームをするという大胆なコンセプトで、すでに発売されている海外版が大ヒットを記録している。今回は、プロデューサーの肥後直巳氏と、クリエイティブディレクターのポール・クロス氏に、本作のセールスポイントや日本での発売に向けた意気込みなどを聞いてきた。その模様をお届けしよう!
(※)海外ではPC版も発売。

※本文中で発売予定機種の表記に誤りがあったため修正しました。読者、並びに関係者の皆様にお詫びして訂正致します。【2012年6月20日12:30追記】

▲肥後直巳プロデューサー【写真左】と、クリエイティブディレクターのポール・クロス氏【写真右】(ともにユービーアイソフト・サンフランシスコに所属)が、『Rocksmith(ロックスミス)』の魅力をプレゼンテーション!

――本作のコンセプトは、“ギターを触ったことのない人でも、すぐに遊べる”というものですよね。ギター初心者はもちろん、昔ギターに憧れて購入したものの、難しくてすぐに断念してしまった人でもすぐにプレイでき、しかもくり返し遊ぶことで、いずれは本物のギターが弾けるようになってしまうとか。それって本当ですか?

肥後 じつは、最初にこのゲームを作ることになったとき、私とポールはいっさいギターが弾けなかったんですよ。

――ええっ!? ギターが好きだからこのようなゲームを作ったわけではないんですね?

肥後 それこそ、ギターの“ギ”の字も知らない、持ちかたすらわからない状態でした(笑)。まったくギターが弾けないふたりが、どうやったらギターを弾くゲームができるのか? というのをふたりで相談して、まずはギターが弾けるスタッフに相談しようということになりまして。そこで、20年以上ギターを弾いているスタッフに「どうやってギターを教えるのか?」と聞いてみたら、「ギターはタブだろう」と。「ん? タブって何だ?」、「タブは、ギター専用の音符みたいなものだ」、「なるほど。じゃあ、この数字は何だ?」、「これはフレットというもので、弦は6本あるから、たとえば6弦目の2と書かれていたら、2のスレットの6弦を押さえて弾けば、その音が出るんだ」、「なるほど……よくわからないな」 と(笑)。そんな感じだったんです。

――ふたりの初心者っぷりがよくわかるエピソードですね(笑)。

肥後 最初にこのゲームの開発用に用意されていたアルゴリズムは、数字が横からスクロールしてくる感じだったんですよ。でも、ゆっくりとしたテンポだったらかろうじて弾けるけど、速いテンポになると、目も指先も追いつかなくなるんです。そこで我々は、「ギターの初心者に向けたソフトにしよう」と考えて、インターフェースを変更しました。

▲こうして、ポール氏が実際にプレイしている画面のようにインターフェースが変更された。

●初心者が少しずつ弾けるように、レベルを細かく設定!

肥後 私たちも最初は知らなかったんですけど、ギターを弾くには、まずチューニングが必要です。でも、私たちも最初はわからなかったように、初心者には何をするかなんてわからないですよね。そこで、弦を指で押さえないで弾いて、画面上に出る矢印をゼロに合わせるだけでチューニングができるという、とても簡単なものにしました。

――おお、それはメッチャわかりやすい! これなら知識がない人でもチューニングが簡単にできますね!!

肥後 では、実際にポールに弾いてもらいましょうか。

▲ポール氏によるデモプレイ。画面下部分に表示されたフレット上に線が重なったときに該当する弦を弾くと成功。失敗した場合は、画面上で知らせてくれる。ちなみにフレットは、ギターを裏から見た状態で描かれているが、オプションで上下逆にすることも可能だとか。

肥後 実際にプレイヤーが正しく弾けば弾くほど、自動的にゲームのレベルが上がっていきます。曲というのはさまざまなフレーズに分かれているじゃないですか。つぎにそのフレーズが回ってきたときに、少しずつレベルが上がるようになっているんです。逆に失敗した場合は、少しずつレベルが下がります。つねにレベルを調整しているんです。

――へぇー、それはすごいですね!

肥後 初心者の方は少しずつレベルアップできるし、上級者の方は、かなり早い段階で難しいレベルにまで上がると思いますよ。北米サイドからは、「最初からMAXのレベルで弾きたい」という声もあったのですが、難しい曲のMAX状態を初心者の方が見たら、絶対についていけないし、引いてしまいますよね。

――確かにそうですよね。それで諦めちゃったら初心者向けではないですし。

肥後 ですので、いきなりMAX状態で弾けるというのは、あえてやらなかったんですよ。ちなみに一般的な音ゲーだと、だいたい難易度は4~5段階に分かれているじゃないですか。でも、本物の曲を4~5段階で分けようとすると、とんでもないギャップが生じるんですよね。いちばん初心者向けのレベルでは1秒間に1回弾くだけで、「簡単すぎる」と言われるんですけど、レベルを上げて1秒間に4回とか6回とかになってくると、途端に難しくなって戸惑ってしまう。『Rocksmith(ロックスミス)』の場合は、もっと細かく調整ができるので、たとえばソロのパートだと、30レベルくらいに分かれているんですよ。ソロのパートが簡単な曲の場合は8レベルくらいとか、パートの難しさによっても細かくレベル分けがされています。ですので、苦手なパートだけ低レベルのまま残しておいて、得意なパートをどんどんレベルアップさせるといったことが可能なんですよ。

――得意なところから覚えていって、いずれはすべてマスターする、と。

肥後 そうですね。あと、初心者向けには作っていますが、上級者の方が楽曲をマスターするのにも向いているんです。楽曲の数はたくさんありますし、ウチのマーケ担当で、ギター歴10年くらいの人がいるのですが、3日で10数曲くらい覚えたそうです。でも、タブで練習していたころは、そんなことは絶対に不可能だった、と。それができた理由は、難易度を自動的に調整するシステムがあったのと、ノートも見えるし、曲もすべて合わせているから、一気に全部吸収できて覚えやすいと言っていました。遊び甲斐がある、と。

●ミニゲーム“ギターケード”で徐々にギターに慣れていける!

――ミニゲームのようなものも入っているんですよね?

肥後 そうですね。“ギターケード”という、ミニゲームのモードがあります。このモードは、“初めてギターを持ったときの圧倒感や緊張感を、どうやったらなくせるか”ということを目的に、“ギターをただのコントローラにしよう”というコンセプトで考えました。もっとも簡単な“Ducks”は、いちばん太い6弦だけを使って、画面上に現れるアヒルを撃つという、昔のアーケードゲームみたいな感覚のゲームです。レベルが上がるごとに、アヒルが出てくるスピードも速くなり、さらにアヒルが登場するフレットの数も増えていくようになっています。

▲フレットを押さえて弦を弾くという、ギターの基礎中の基礎を学べるミニゲーム“Ducks”。

――ああ、これはいいですね。ギターの基礎を学ぶのはもちろんですけど、パーティーゲームとしてもかなり盛り上がりそう!

肥後 “Ducks”のほかにもさまざまなミニゲームがあって、それぞれがギターを弾くのに必要なスキルを覚えられるようになっているんです。指のスタミナもついてくるので、ただミニゲームで遊んでいただけなのに、いつの間にかギターのスキルが上達して、自然とギターが弾けるようになっているというわけです。

●「『Rocksmith(ロックスミス)』でギターがうまく弾けるようになれます!」(肥後)

――ゲームの概要はよくわかりました! ちなみに楽曲は日本仕様になるのでしょうか?

肥後 楽曲に関しては、ダウンロードコンテンツ(DLC)も含めて現在発売されている海外版と同じになる予定です。もし日本オリジナルの楽曲を入れるとしたら、DLCになるでしょうね。

――日本のミュージシャンが「俺の曲を入れてくれ!」ってこともあるのでは? 週刊ファミ通でコラムを連載している、RIZEのKenKen氏も、「音楽家を疑似体験するのがいままでの音ゲーなら、音楽家を育ててしまうのがこのゲーム」ってベタ褒めしていましたからね。

肥後 本当ですか!? 私たちも試行錯誤しながらも、「実際にこれで学んでもらえるのか?」って思っていたので、そういうフィードバックがもらえるとうれしいですね。

――『Rocksmith(ロックスミス)』が好きなミュージシャンは多いと思うんですよね。ぜひ日本オリジナルの楽曲が配信されることに期待します。ちなみに最後にお聞きしますが、肥後さんもこのゲームでギターが弾けるように……。

肥後 もちろんなりました! 彼(ポール氏)のほうがうまいですけどね。ちなみにウチのスタッフで、『Rocksmith(ロックスミス)』でギターを覚えた人がいるんですけど、メチャメチャうまく弾けるんですよ。本作のレベルデザインをしている、ギター歴10年以上のスタッフに聞いたら、「彼の腕前は6~7年くらいギターを弾いている人のレベルだろう」と。でも、実際は1年なんです。

――1年で! それはすごい!! 日本のユーザーの方も、それを目指せるわけですね?

肥後 目指せます。自信があります!

――わかりました。日本での発売を、楽しみにしています!!

肥後 よろしくお願いします!