ウメハラ氏の『勝ち続ける意志力』発売記念インタビュー
世界一長く賞金を稼いでいるプロゲーマー・梅原大吾氏(ウメハラ)の初の書籍『勝ち続ける意志力』。現在、発行部数28000部を突破している本書の発売を記念し、ウメハラ氏のインタビューを敢行! 『勝ち続ける意志力』には掲載されなかったエピソードも交え、ウメハラ氏がアツい想いを語る。前編、後編の全2回に分けてお送りするインタビューの後編をお届け!
2012年のウメハラ
――ウメハラさんの中で「プロゲーマーはこうあるべきだ」という考えはありますか?
ウメハラ う~ん、難しい質問ですね。プロ全般についてひと言で表現するなら「プロとしてのプライドを持つ」ということだと思います。
――プライドですか?
ウメハラ はい。「ゲーム弱いね」と言われたら青筋立てて怒るくらいのプライドを持ってほしい。実際に怒れってことではないですけど、内心はそう思わないと。
――ちなみに、ウメハラさんはプロとして、どんどん新作をプレイされたりはしないのですか?
ウメハラ 大きな大会があるからとか、プロだから新作をプレイしておく、というは違うと思うんですよ。なんの工夫も意思も伝わってこないゲームをプレイしてしまうのはよくないかなと。やりたくもないゲームをおもしろいフリをしてプレイするというのは、俺のやりたいことではないですから。俺は「このゲームは、おもしろいと思えないからやりません」とはっきり言って、その結果プロをクビになってもなんとも思わないですね。「そうですか、そういう世界だったんですね」とスッパリ辞められる。
――今後も自分がおもしろいと思ったゲームだけをやり込んでいくのでしょうか?
ウメハラ いえ、おもしろさがある程度の基準に達していれば、世間での盛り上がりを重視しますよ。
――2012年も世界最大規模の格闘ゲーム大会“EVO”に出場すると思うのですが、どのタイトルに参加するのでしょうか?
ウメハラ 今回は『スパIV』だけですね。
――それでは、EVOまでは『スパIV』1本に絞ってやり込むのですか?
ウメハラ そうですね。まだやれることがあるから、もう少し続けてみようかなと。
――使用キャラクターはリュウ? それとも以前使っていたユンですか?
ウメハラ ユンやゴウキも試してみましたが、やっぱりリュウですね。
――少し話題が変わりますが、ウメハラさんがオフィシャルサポーターを務めるアーケードゲーム、『ガンスリンガーストラトス』に対してはどういった印象をお持ちですか?
ウメハラ あれは久しぶりにいいゲームと出会えましたね。
――僕もβテストの取材にいきましたが、かなりとっつきやすい印象を受けました。
ウメハラ そうですね。とっつきやすいと思いますし、自由度が高いから楽しいですよ。
――チーム戦だからあまり活躍できなくても勝てることがあって、初心者が入り込みやすいですよね。
ウメハラ そうそう。ただ、試合時間が少し短く感じますよね。格ゲー出身としては、もう少し長く遊びたいと思う部分もあります(笑)
――イベントは盛り上がっていましたか?
ウメハラ そうですね。人も集まっていましたし、試合の終盤でライフゲージが競ってくると、ギャラリーも自然と盛り上がっていましたよ。
――稼動は2012年夏ということでしたが、EVOまでは『スパIV』を中心にプレイして、その後は『ガンスリンガーストラトス』をやり込むという形ですか?
ウメハラ 俺はあまり手を広げ過ぎるのは好きではないから、2012年は『スパIV』と『ガンスリンガーストラトス』ですね。
――家庭用はプレイせずに、いまでもゲーセンに通っているそうですが、ゲーセンにこだわる理由があるのでしょうか?
ウメハラ う~ん、やっぱり人の顔を見てやるほうがおもしろいんですよ。あの雰囲気が好きだからゲーセンにハマったわけだし。だからといってゲーセンで人と会話するわけじゃないですけど(笑)。あとは、家でずっと画面に向き合ってプレイするのは、やっぱり性に合わないと思いましたね。それに俺がゲーセンに行かなくなったらまずいだろうという想いもありますね。ゲーセンに行けるうちは行きたいと思います。今後家庭用でしか発売されない格闘ゲームが主流になるだとか、どうしようもない事情がない限りはゲーセンに通いたいですね。
――僕らの世代は、いろいろな事情からだんだんとゲーセンに行けなくなるじゃないですか。その中でウメハラさんはいまだに変わらずゲーセンに通っていて、それを見ているとウメハラさんは僕らの世代の代表として最後までがんばってほしいと思っちゃいますね(笑)。
ウメハラ そういうのは同じ世代の人からひしひしと感じますよ。久しぶりにゲーセンで会う人に「ウメハラは変わってなくてうれしいよ」と言われることもありますからね。家庭用をプレイしたほうが強くなれるというなら考えますけど、まだそんなこともないから、本が何冊売れてもゲーセンには行きますよ(笑)。
――なるほど。今後、ゲーム以外でチャレンジしたいことはありますか?
ウメハラ いまはないですが、それは今後考えていきたいですね。本を出版するにあたって、新しいことをいろいろ経験させてもらって、ものづくりの楽しさを実感しました。ただ、何かを自分で生み出すということは楽しそうだなと思ったと同時に、いまの自分があるのはゲームのおかげという気持ちもあるので、プロゲーマーが定着するまではゲームを続けようと思います。もし、「もう俺がいなくても大丈夫かな」と思えるときがきたら、ゲームとはまったく関係のない新しいことを始めてもいいかもしれない。俺は新しいことを始めるのに年齢は関係ないと思っていますから。
――それはすごいチャレンジ精神ですね。
ウメハラ たぶん、このへんは親父譲りなのかもしれないですね。親父ももう歳なんですが、どんどん新しいことにチャレンジするので人生がぜんぜん足りないって言ってましたよ。あと100年は生きたいって(笑)。
――それはもっとすごい(笑)。やっぱりものづくりの経験はおもしろかったですか?
ウメハラ 豊泉さんも物を作っているからわかると思うんですけど、ものづくりの快感ってあると思うんですよ。俺の場合は、どうすれば自分の考えが正しく伝わるのか、ということを考えるのがとくに楽しかったですね。
――ちなみに、ゲームに出会わなかったら何になっていたと思いますか?
ウメハラ 子どものころにカッコイイと思っていた職業はふたつありました。ひとつは宇宙を研究している学者。恐竜とかデッカイものがとにかく好きだったので、宇宙はメチャクチャ広いから、「それを研究してたら超かっけー」と思っていたころもありましたね。もうひとつは格闘家かな。でも、小さいころになりたいと思っていただけで、実際にその職業に就いていたとは考えにくいですね。
――ふつうのサラリーマンになった可能性も?
ウメハラ いやぁ、どうですかね。もしかしたらスポーツをやっていたかもしれないなぁ。どっちにしろ、何かひとつ打ち込めるものを見つけていたと思いますよ。
ウメハラはラーメンを食べるのが早い!?
――余談ですが、ウメハラさんはラーメンを食べるのが早いそうですね。
ウメハラ 早いですね。見たらびっくりすると思いますよ。
――早い食い選手レベル?
ウメハラ さすがに早食い専門の人にはかないませんが、一般人の中では相当早いほうです。
――早く食べるコツはあるんですか?
ウメハラ コツというか、俺は熱いものが平気なんですよ。今度いっしょにラーメン食べに行きます?
――ぜひ早食い勝負しましょう(笑)。
ウメハラ 以前1回だけラーメンを食べるのが早いという人が俺に挑んできたんですよ。「俺は本当にラーメンを食うのが早い」という人が。それに対して俺は「俺も早いよ」と言ったんですけど、その人は「わかるよ。ウメちゃんも早いんだろうけど、俺はそういうレベルじゃないんだよ」と言い出したんで少し事情を聞いたんですよ。そしたらその人は、どうやら味噌汁の一気飲みができるらしくて、「ね、勝てるわけないでしょ?」と(笑)。そこまで言うならと、熱いラーメンで有名な店に行ってその人と早食い対決をしたんです。
――結果は?
ウメハラ 勝ちました(笑)。
――すげぇ。味噌汁を一気飲みできる人に勝てるんですか(笑)。
ウメハラ かなり接戦だったんですけどね。それでその人は「うん、たしかに早い」と言ったんですけど、でも「スープ全飲みまでの勝負だったら俺は絶対負けない」と言い始めたから俺は「こんな味の濃いスープ全部飲まないでしょ?」と言って納得させました(笑)。
――基準はないですが、相当早そうですね。
ウメハラ おそらく女性の4倍は早いですね。
――そんなに早く食べておいしいと感じるんですか?
ウメハラ もちろん、おいしいですよ。味覚はかなりいいほうなんです。賞味期限が1日だけ過ぎた納豆の味の味の違いにも気付きますから(笑)。
――それはすごい(笑)。では、最後にウメハラさんのファンに向けてのメッセージをお願いします。
ウメハラ メッセージですか。それは難しいですね(笑)。まだまだ言いたいことはあるし、おもしろいエピソードもたくさんあるので、いろいろな形でゲームセンターの楽しさを伝えていければと考えています。よろしくお願いします。
(記事担当:豊泉三兄弟(次男))
ウメハラ直筆サイン入り書籍をプレゼント
今回インタビューに応じてくれたウメハラ氏のサイン入り書籍『勝ち続ける意志力』を、抽選で3名様にプレゼントいたします。プレゼントが欲しい人は、下記応募フォームに必要事項を明記のうえ、ご応募ください。応募の締め切りは、2012年5月14日(月)23時59分まで。当選者の発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます。なお、賞品は2012年6月ごろの発送を予定しております。