『鉄拳タッグトーナメント2(仮題)』原田氏&米盛氏にロングインタビューを敢行

“NAMCO BANDAI Global Gamers Day 2012”において発表された、PS3/Xbox 360版『鉄拳タッグトーナメント2(仮題)』。開発チームの原田勝弘氏、米盛祐一氏へのインタビューから、本作の内容を詳しく探っていく。

●待望の家庭用リリース決定、その全容に迫る

 アメリカ・ラスベガスにて、2012年4月11日~12日(現地時間)に開催されたNAMCO BANDAI Global Gamers Day 2012において、プレイステーション3/Xbox 360版『鉄拳タッグトーナメント2』、がリリースされることが発表された。
 アーケードでは2011年9月に稼動開始となった本作だが、2012年3月下旬に早くも“Unlimited”として大幅なバージョンアップが実施され、間髪入れずに家庭用のリリースが発表されるという怒濤の展開となった。今回のインタビューでは、『鉄拳タッグトーナメント2』開発チームの原田勝弘氏、米盛祐一氏にお話をうかがい、『鉄拳タッグトーナメント2』制作秘話から、家庭用『鉄拳タッグトーナメント2(仮題)』の内容まで、とことん探っていく。

写真右:原田勝弘氏
写真左:米盛祐一氏

●短期間で前代未聞の変革を遂げた『鉄拳タッグトーナメント2』

――まずは『鉄拳タッグトーナメント2』という作品そのものについてのお話から聞かせてください。12年前に登場した『鉄拳タッグトーナメント』(以下、『TAG1』)は開発期間がかなり短かったそうですが、今回はいかがでしたか?
原田勝弘氏(以下、原田) けっこう長かったですね。
米盛祐一氏(以下、米盛) 『TAG1』は、素材的に新しく追加というよりは、本当にアイデアと仕組みで勝負という位置づけだったのですが、今回は“4人同時に描画できる”を売りにしようということでシステムを作りました。4人描画するとなれば、4人同時に動いているときの素材……モーションですとか、こういう構成にしようとか、作らないといけないものがたくさんあったんですよ。
原田 描画システムを変えなければいけないので、プログラマーもほぼ最初から全部やり直し。描画システムについては、ゼロベースでやり直したくらいだし、モデルを作り直したり。タイトルには“2”って付いていますけど、ぜんぜん『TAG1』とは違うんです。
米盛 ヘタすると、鉄拳5』から『鉄拳6』にいくときよりも、素材を大量に作っているかもしれません。
原田 『5』から『6』のときのほうが楽だったよね。
米盛 そういう意味ではたいへんでしたね。

――それくらいたいへんな制作になるということは、あらかじめ覚悟のうえでスタートされたのですか?
原田 わかったうえで作り始めたのですが、いろいろと計算違いもあって。『TAG1』は『鉄拳3』がベースになっていますが、あのころは、まだ『鉄拳』自体、それほど技の数も多くなかったうえに、似たスタイルのキャラクターがいっぱいいたんですね。たとえば、三島家の誰かを使えれば、ほとんど同じ感覚で別の三島家のキャラも使えたり。

――ああ、たしかに。仁&平八や、ニーナ&アンナのタッグとか、多かったですね。
原田 でもあれから12年が経って、ユーザーからの「キャラクターを個性化してほしい」という要望に応え続けた結果、たとえばアンナとニーナもぜんぜん違うキャラクターになりましたよね。パンダとクマとか、クリスティーとエディみたいな関係も残ってはいますが、かつていわゆる“コンパチ”と言われたようなキャラクターたちのほとんどが、完全独立したキャラクターとして動かせるようになって、技も大幅に増えました。さらに、ゲームシステムもどんどん増えてきて。

――徐々に進化してきましたね。
原田 『TAG2』を発表したら、昔『TAG1』で盛り上がった、思い入れのある世界中の人たちが「よっしゃー!」って喜んでくれて。世界中の期待の声を背に、稼動開始となったわけです。それで最初の1ヵ月は、みんな「楽しいー!」って遊んでくれるわけですけど、1ヵ月くらい経ったころに、ふとみんな、「あれ? 俺、1キャラしか使えない。パートナーをどうしよう?」って気づいたみたいなんです。それで練習しようにも、やっぱり対戦台で勝負がかかると、どうしてもちょっとしか使えないキャラクターを前面に出して闘うのはきびしい、となってしまう。

――頭では練習するつもりでいても、実力を出し切らずに負けるともやもやしますものね。
原田 そんな事情もあって、リリースした後も、すぐにゲーム内容、システムの見直しを始めました。ですから、最低でも1年半以上は作り続けてきたというか、運営し続けた形になりますね。

――なるほど。それで登場したのが『Unlimited』なわけですね。
原田 僕らも、細かいアップデートはともかく、ここまでのものは想定していませんでした。でもリリースから1ヵ月が経ったところで、ユーザーの意見がまっぷたつに分かれたんですよ。これは珍しいことで、たいていは好評か不評かのどちらかになるものなんです。『鉄拳』で言えば、『4』には不満の声が多数寄せられましたが、それを反映させて作った『5』、『6』は非常に評判がいいんですね。でも今回は、「最高におもしろい!」という人がいる一方で、さきほど話したような理由で、1キャラしか使えない人たちから、「こんなの勝てっこない、2キャラ使える人にボコられるだけだ」という不満の声もたくさん出てきたんです。ここでこのまま突き抜けてしまって、「ついてこられる人向け!」という方法もひとつの手ではあります。でも僕らは、いちばん難しい道、つまり「最高だ!」と行っている人と、「ちょっとついていけん」と言っている人、そのふたつを融合する道を選んだんです。

――うーん、それは茨の道ですね。
原田 いろいろ考えた末に、タッグというキーワードに縛られるのをやめようと。お客さんが何を望んでいるかと言うと、どういう形であれ、『鉄拳』で対戦を楽しみたいんですよね。いろいろな人がいて、なかには隣の友だちとしか対戦しないという人もいたりする。たとえば俺は2キャラ使えるけど、友だちは1キャラしか使えないとしたら、その友だちは辛いじゃないですか。これをなんとかする方法を、僕らはしっかり考えないといけないと。“タッグ”というのはいったん置いておいて、おもしろい『鉄拳』、いままでにないもので、いままでのおもしろさも全部入っているうえに、新しいおもしろさもプラスされた“完璧な『鉄拳』”って何だろう、と考え抜いた末に生まれたのが『Unlimited』なんです。

――それだけの大きな発想の転換ができたのはスゴイことですね。
原田 とっかかりとなったのは、タッグとひとりが戦えるというのはどうだろう、というアイデアなんです。実際に実験してみたところ、これがおもしろかったんですよ。
米盛 新しい感覚がありましたよね。
原田 いままで、レシオ制の1対複数はあったと思います。でも、タッグでもひとりでもよくて、しかもキャラクターの組み合わせは自由、というのは前代未聞の格闘ゲームですよね。実際に試してみると、開発チーム内にもデザイナーやプログラマー、プランナーなどいろいろな人がいて、いろいろな腕前、いろいろな価値観を持った人間がいますが、みんなに一様に評判がよかったんです。
米盛 自由なんですよね。「僕はタッグのシステムが好きなんだ!」という人は、何も考えずにタッグで遊べばいいし、「シングル戦のほうが好きだ」という人はシングルで遊べばいい。もちろん、あとで興味がわいたらタッグで遊んでくれてもいいですし。本当においしいところだけをとろうとしたのが狙いなんです。

――実際、実装されてからまだそれほど経ってはいませんが、評判は上々のようですね。
原田 評判はいいですね。急にこれだけ評判が変わることは珍しいと思いますよ。『6』はやっていたけど、ひとりしか使えないから敬遠していた人が戻ってきたとか、まったくの新規プレイヤーも増えてきた、といった声も耳にしています。
米盛 いろいろ回り道はしましたが、最終的には本当によくできた、鉄拳』の決定版になったな、と思います。本作は間違いなく、いままでの『鉄拳』を遊んだことがあるなら、誰にでも遊べる決定版になっていますよ。
原田 うん、いちばんいい『鉄拳』になりました。
米盛 ですね。そう言い切れます。
原田 タイトルも、もはや鉄拳タッグトーナメント2』じゃなく、『鉄拳コンプリートエディション』にしたいくらい(笑)。いままでの『鉄拳』すべて、進化したタッグと、そして2vs1という完全に新しい遊びが入っていますから。

――それだけ大がかりなバージョンアップが、稼働開始されてからわずか半年ほどで実施されたというのはすごいことだと思います。
原田 この速さでこれだけの変革を遂げた格闘ゲームは前代未聞(笑)。

●“キャラクター”、“技”、“ステージ”のバラ売りはしたくない

――家庭用は、『Unlimited』でのバージョンアップが反映されたものになるそうですね。
原田 はい、そうなります。そこは本当にみんなに心配されているようで。最近ゲーム業界もきびしくなってきて、いろいろな商売の方法があるじゃないですか。そのせいか、海外のファンたちに、「タッグを発売した後に、『Unlimited』を別タイトルとして発売するんだろ?」なんてことを言われるんですよ。まだ何も言ってないのに、早くも非難されているという(笑)。でもそんなことはないんです。最初から『Unlimited』にある要素は全部入れて発売しますよ。

――キャラクターもかなり増えるとのことですが。
原田 増えます。増やすキャラクターも、もう決まっています。

――おお、もう決まっている!
米盛 決まっていないと間に合わないですよ(笑)。

――どんなキャラクターが追加されるのでしょうか?
原田 いくつか決めかたがあって、「まさかコイツが出てくるとは思わないだろう?」という、“僕らからのおもしろいプレゼント”という感じの決めかたもありますし、いままでずっとファンから要望され続けたので、「ついに出します」というキャラもいます。

――人気を反映しつつも、人気だけが基準ではないわけですね。
原田 意表を突くキャラ、要望が多いキャラのほかに、もうひとつ基準があります。それは先ほどの“似たキャラクター”という話につながるのですが、『TAG1』のときは、ひとりのキャラクターを覚えたら、少なくとも2キャラ、3キャラを使えたというメリットがあって、だからタッグでやりやすかったんですよね。『TAG2』でも、同じようなメリットを加えられないか、という思いがあったんです。つまり、似たスタイルのキャラクターがいない、独特なスタイルのキャラクターを使っている人に、同じ系統の技で動かせるキャラクターを追加してあげよう、ということですね。「このキャラに似たキャラはいないから、ということはこのキャラが出るのかな?」というのを想像してもらうと、続報が楽しく待てるかと思います。

――基本的には、過去のシリーズに登場していたキャラクターなんですよね。うーん、いたかなぁ。
原田 だからそこがおもしろいんですよ。過去に登場していて、人気があって、驚きがあって、誰かと似たスタイルを持っていて……という条件が、全部が該当しないキャラもいますが、ほぼ全部に該当するキャラもいたりするんですよ。

――うーん、もう少しヒントをください(笑)。
原田 過去にはいたけど、本編ではプレイアブルじゃなかった……とかね。いるんですよ。

――当時と違うスタイルで登場するわけではないですよね。かつて登場していたキャラが、突如リリやボブのスタイルを身に付けて登場、とか……。
米盛 それをやってしまうと、裏切ることになってしまうので。
原田 それをやったらみんな怒ると思いますよ。それはしないです。

――『6』で追加されたキャラクターは、独自性が強くて、ほかに似たタイプがいないキャラクターが多いですよね。
米盛 最近はとくに、いわゆる“コンパチ”的なキャラは嫌われるんですよね。ある意味、手を抜いているように受け取られてしまうようで。それで開発チームとしても、すごく独創的なキャラクターを作ろう、と努力して作っているので、どうしても、ほかに似たキャラが存在しないキャラになってしまいますよね。
原田 それぞれに個性的だし、技が多いし、やることが多いというか、攻めかたが全然違うので。今回は、そこも意識しているということです。ただ本当に、ユーザーさんがドストレートに「出してくれ、出してくれ!!」と言い続けてくれたキャラももちろん出しますから。

――追加キャラクターは、有料DLCとして配信されるのでしょうか?
原田 いろいろ事情はありますが……ここはずばり書いてほしいのですが、いままでに鉄拳プロジェクトが手掛けた『鉄拳』シリーズにおいて、有料のDLCが1回でもあったか、思い出してみてください。じつは1回もないですよね? これまでかなり抵抗し続けてきたんですよ……とか言ったらまずいかな? 俺も歳だし、抵抗力にも限界はあるしなあ(笑)。まあいいや、とにかく……少なくとも、“キャラクター”、“技”、“ステージ”。この3つだけは絶対にを切り売りすることはしたくないと思っています。最低限、僕はこの3つだけは絶対しないと昔からずっと言い続けていますよ。
米盛 将棋の角や飛車を別売りするってないですよね。そういう感覚に近いとおもいます。
原田 ただね……やたらとしつこく「このキャラにふんどしを追加してくれ」と言ってくる人がいたとして、それってみんなが欲しいわけはないじゃないですか(笑)。「リー・チャオランの競泳水着を!」なんて要望をよく耳にしたりしますし、ツイッターでもビキニ、ビキニとやたらスパムしてくる人もいる(笑)。でもふつうに考えて、『鉄拳』がこれまで4000万本売れた中で、そのうちの何万人もが欲しがるようなものではないですよね、『鉄拳』の場合。たぶん全世界で数十名くらいですよ、そんなの(笑)。

――いやいや、もうちょいいますよ(笑)。
原田 もうちょいいるか(笑)。でもそれは、さすがに費用対効果としてもね。リーのブーメランビキニの分は、さすがにあなたが払ってくださいよ、ということはあるかもしれないです。これに関してはさすがにいらない人は買わなくていいわけですし、買いたくもないでしょう?(笑)。こと『鉄拳』シリーズに関しては家庭用向けに無料……というか、いままで通り普通に追加します。さっきのビキニとかは“普通”の例外ですが(笑)。とにかく、いままで通りキャラクター、技、ステージ、この3つだけはばら売りするのはないと思っています。
米盛 『鉄拳』プロジェクトはそういうスタンスですね。

――形としては、タイムリリースのようなイメージで配信されていくのでしょうか?
原田 そこはちょっとまだ考えているところです。

――でも無料だとすると、DLCにしなくてもいいような……?
原田 じつはおもしろいもので、『6』では、アーケード、家庭用ともにタイムリリースを一切やめましたよね。しかもそのとき僕は、「タイムリリースやアンロックという考えかたは、もう古い!」とかしゃべってしまって、欧米のメディアにドカーンと取り上げられたんです。ヘッドラインニュースにされてしまってね……。

――ああ、そんな記事がありましたね。
原田 それでリリースしてみたら、最初はファンも賛同してくれたんですよ。「そうだそうだ!」、「さすが最初にタイムリリースを生み出した『鉄拳』だけあって、最初にやめたのも原田だったな!」ということですごく評価されました。でもね……。その1年後くらいに、その人たちが「最初からなんでもできる、見えているのはしんどい」なんて言い出したんです。それと、伏せられたものをめくっていく楽しみや、まだないものが出てくる楽しみというのもあるもので、最初から全部与えられているとつまらない、と。それで、最初称賛してくれた人たちが、今度は「何で今回はタイムリリースがないんだ!?」と非難し始めたわけです。
米盛 ただ、ひとつ言っておくと、当時、原田が言ったのは、「出ることがすでにわかっているものを隠すのは、さすがにストレスでしかないから、それは出すべきだよね」という意図だったんですよ。「まさか出るとは思わなかった!」というものについては、アンロックやタイムリリースにすることが、おもしろさにつながると思います。
原田 でも当時は、「何でも最初から一切合切オープンにしてしまうのは、ボリュームの押しつけである」なんて言われたりして、「……だよね」と(笑)。なので最近では、「アンロックって……ひとつの楽しみだよ」と思いっきり発言を翻しています(笑)。俺も歳だなあ! ……というわけなので、今回はできれば、ドーンと一気に解放するのではなく、みんながまだ知らない新規追加キャラやステージに関しては、一部は隠しておこう、と思っています。

――といっても、アーケード版の44人は最初から全部使えるんですよね。
原田 もちろんそうです。それを伏せてしまうのをやめたい、と『6』のときは言っていたわけです。
米盛 それがいちばんやってはいけないタイムリリースだと思います。もう、出ることはわかっているわけですからね。

●みんなが求めているものは基本的に入れたい

――つぎに、オンライン要素について教えてください。オンライン対戦に期待している人は多いと思いますが、そのあたりはいかがですか?
原田 対戦品質については、『6』の発売直後に関しては、マズイ部分がありましたし、今回は改めてしっかり見直しています。『ソウルキャリバーV』はかなりいい状態だったと思いますが、それと同レベルにはできると思います。『ソウルキャリバーV』にあったロビーとかもね?
米盛 入れられたらいいな、と。
原田 基本的に、みんなが求めているものは入れようと思っています。ただ要望にすべて応えて、ルールやルームを細分化しすぎてしまうと、特定の場所以外にはまったく人が集まらない、ということになりがちなんですよ。知らない人と対戦する楽しさっていうのは押さえたいので、あまり細かく分けたくはないですね。ただ少なくとも、競技性を求めている人と、もうちょっとゆるく遊びたいという人、このふたつは押さえたいと思っています。

――対戦についてですが、『TAG2』は4人でも遊べますし、ひとりでふたりを使ってもいいし、ふたりでふたりもあるし……といろいろパターンがありますよね。それらは全部ネット対戦でも遊ぶことができるのでしょうか?
原田 家庭用では、少なくともハード2台の状態で通信して、片方にふたつコントローラを差して遊ぶ、というのはできますね。でもハード4台となるとけっこう難しいんですね。たとえば東京、静岡、沖縄くらいならいいけど、ひとりだけハワイからつないでいたりすると、ハワイの人に回線速度を合わせないといけないので、ハワイに引きずられてみんなが遅くなってしまうわけです。それ以上に、『鉄拳』の場合は格闘ゲームジャンルの中でもいわゆる通常のコマンド入力方式ではなく、キーフレームシフトという特殊な方式を用いた格闘ゲームなので、群を抜いてキー入力データが多いんです。だから、4台ぶんの入力だと通常の格闘ゲームのキー入力データの数倍に膨れ上がってしまう。2台までなら快適ですけど。
米盛 少なくとも、誰かの家に集まって、コントローラを4つ差してワイワイ遊ぶ、というのは確実にできるようにしたいと思っています。

――ひとつの家庭でふたりでタッグを組んで、ネット対戦に参加することはできるわけですよね?
原田 できますね。どこかの家庭にいるひとりと対戦することもできますし、同じようなふたり組と対戦することもできます。

――オンラインでも、いままでにない楽しさが生まれそうですね。
原田 そうですね。『TAG1』でも、誰かの家に4人集まればいっしょに遊べましたけど、ペアで通信対戦ができると、楽しさが広がりますね。

●“ファイトラボ”は楽しく遊べてうまくなれる夢のモード

――“ファイトラボ”は家庭用の大きな目玉のひとつだと思いますが、このモードについて詳しく教えてください。どうやら、チュートリアル的な意味合いも含んでいるモードだそうですが?
原田 格闘ゲームを作っていると、よく「初心者向けのモードはないですか?」と言われるんです。これはユーザーからも、メディアからも、17年間言われ続けています。それに対する回答はいくつかあって、ひとつはプラクティスモードですよね。『鉄拳』では『2』から搭載していますが、非常に好評でした。最近では、プラクティスモードにいろいな機能が求められるようになっていますし、今回ももちろん、プラクティスにはとても力を入れています。ユーザーから要望されているもの、従来作で不満があったものは全部解消するつもりです。でもね! 実態としてはプラクティスモードって、もともとすごい向上心があったり、もともと『鉄拳』がすごくうまくなりたい、強くなりたい、と思っている人がやるモードなんですよ。
米盛 もっと言うと、自分が何を練習すればいいのかがわかっているレベル、中級者以上ですかね。そういう人のためのツールがプラクティスなんです。
原田 『鉄拳』を買ってくれる人の中には、対戦したい、うまくなりたい、今回はこのキャラクターのコンボを覚えて対戦しよう……という明確な意識を持っている人もいますが、それは本当に一部の人なんですよ。そのほかの大半の人たちは、いわゆる初心者さんだったり、毎回最新作が出たらとりあえず買ってくれる人だったり、はたまた、あまりシステムを理解していないのに、なんとなく「たぶん遊べる。昔やったことがあるし」って思っている人だったりするわけです。

――これだけ長く続いている人気シリーズですから、いろいろなお客さんがいますよね。
原田 ええ。そしてそういう人たちは、“チュートリアル”という名前のモードがあったところで、そもそも選んでくれないんですよ。理由は「ゲームを楽しみたくて買ってきたのに、なんでそんな試験みたいなことをしなきゃいけないの?」とか、「4つボタンで攻撃でしょ? わかってるよ」とか、人それぞれですが、やってみようと思ってもらえない。

――たしかに、“チュートリアル”と言われると、ちょっと気が重くなる感じはありますよね。
原田 おもしろくないですもんね。
米盛 それに、気分的な問題というか、チュートリアルを選びたくない自分っていうのが出てくるっていうのもありますよね。
原田 でも、何か新しいモードで、おもしろいゲームが入っていれば、みんなやりたくなると思うんです。鉄拳』の操作で遊べて、おもしろくて、クリアーしたくなるもの。そしてエンディングまで楽しく遊んだら、いつの間にか『鉄拳』ができるようになっている、そんなモードは作れないだろうかと。

――なるほど、それでできたのが“ファイトラボ”というわけですね。
原田 そうです。基本は、“コンボット”というロボットを育てていくゲームです。ストーリーもちゃんとありまして、“コンボット”は最初はものすごく高機能なロボだったのですが、リー・チャオランことバイオレットがメモリ消去ボタンを押してしまったために、超絶アホロボットになってしまうんですね(笑)。それで、そのコンボットを何とかしてやろう……というのがオープニングになります。……プロローグだけを聞いたら、つまらないな、コレ(笑)。

――具体的には何をすることになるのでしょうか?
原田 お題というか、いろいろなミニゲームがあるんですね。たとえば、向こうからちっこいクマとかパンダが転がってくる――もうこの時点でまず見た目に画面がおもしろいんですが(笑)――それを横移動で避けていくミニゲームが始まったり、といった感じですね。そういうミニゲームをクリアーするとパーツがもらえて、このパーツを組み込むことで、技を選ぶことができるんです。これを組み合わせていくと、たとえば雷神拳、風神拳、崩拳を使えるキャラ……って、それは平八だな(笑)。まあたとえば、ジャイアントスイングと崩拳を両方使えたりする、自分だけのオリジナル『鉄拳』キャラクターを作り上げることができるわけです。

――おお、それは初心者ならずとも惹かれますね。
原田 うまい人にとっては、“コンボット”を何とかしてやろう、というモチベーションもありますし、スイスイと楽しくクリアーできて、なおかつカスタマイズが楽しめるモードと言えるでしょうね。初心者の方にとっては、いままでの格闘ゲームにはないミニゲームが楽しめるうえに、終わるころにはある程度『鉄拳』の基礎も覚えることができて、すんなり友だちと対戦ができるようになる。そんなモードなんです。
米盛 お題目を選んでクリアーしていくタイプのチュートリアルは、僕らも1回作ったことがありますけど、今回目指したのはそういうものではないんです。基本はとにかく楽しく遊んでもらって、それでいてクリアーするころには、中級者くらいまでは引き上げられたらな、と。そこを狙って制作を進めています。

――遊びながら強くなれたら最高ですね。
米盛 高みを目指してがんばります。理想論としては、すごく正しいはずなので。どこまでいいものに持っていけるかですね。

――カスタマイズをすると、コンボットは見た目も変わるんですよね?
米盛 付けられるパーツがいろいろあるので、人によって変わるでしょうね。

――組み上げたコンボットは、対戦でも使えるのでしょうか?
原田 いまのところ、ランクマッチ以外では、ネット対戦でも使えるようにしようと思っています。ランクマッチは競技性が高いので、そこで使えるようにしてしまうのはちょっとね。いままでなら、木人であろうが、ボブの構えを見ればボブだとわかりましたが、コンボットの場合、まず何の技を持っているのかさっぱりわからないですから。
米盛 開幕が怖いですよね。
原田 いきなり風神拳が飛んできたとおもったら、ジャイアントスイングを決められて、「なんだそれ!」ってなってしまうので(笑)。ですので、ランクマッチは阻害しないように、使えないようにしようと思っていますが、ふつうにプレイヤーマッチで部屋を立てて、「俺のコンボットと対決しようぜ!」といった遊びかたはできるようにしたいと考えています。

――技術的には可能なのでしょうか?
米盛 可能だとは思いますが、検証中ですね。やりたいな、とは思っています。
原田 きっととんでもない強い組み合わせとかもあるでしょうね。……ハメキャラ、できちゃうかもしれん……。
米盛 簡単にできちゃう可能性がありますね。技術的にはいろいろ問題もありますし、本当に慎重に制作していますよ。

――最期に、読者にメッセージをお願いします。
米盛 まとめて言うと、今回の『鉄拳タッグトーナメント2』は、鉄拳』に興味がある人なら、新しく遊ぶ人でも、「『TAG』懐かしいな」という人でも、誰でも遊べる決定版になっています。楽しみに待っていてください。
原田 全員の価値観に答えられるだけのゲームシステムと、ファイトラボですね。これこそまさに、初心者から上級者まで全員が楽しめる新しいモードで、『鉄拳』が学べますし、カスタマイズができるのも新しいおもしろさだと思います。制作しながら、ユーザーと対話して、改めて考え直して作るということを何回かくり返して作り上げてきた製品なので、かなりよくなっていると思います。期待していてください。