新たな挑戦とともに、あの暗殺者が帰ってくる
ボストンで開催中のゲームファン向けイベント“PAX East”から、IO Interactiveのステルスゲーム『Hitman: Absolution』の講演の模様をお伝えする。
講演は、アートディレクターのRoberto MarchesiとグローバルPRマネージャーのSven Lieboldにより行われた。いわく、4年間の開発期間を経て、ここPAX Eastでようやく一般のゲーマーにお披露目できるのは実にいい区切りだと考えているそうだ。
そしてMarchesiは昨年Spike VGAで公開されたトレイラーについて紹介した。本作でエージェント47は、ICAから離れた個人として戦うことになる。彼に指示を出していたダイアナ・バーンウッドの殺害指令を受けた47は、彼女を殺す代わりに彼女の最期の望みを聞くことにしたのだ。それは、ビクトリアという名の少女を見つけ出して保護すること。そして47は彼女が住んでいるとされるローズウッド孤児院へと向かうのだが、すぐに、ビクトリアを拉致しようとしている連中がいるのに気がつく……。
本作は、過去の『Hitman』シリーズよりもっと思い通りにプレイできるよう、さまざまな選択肢を用意するべく、オープンな環境を舞台としているという。そしてもうひとつ、“ヒットマン体験”を、流れるように行えることを重視しているそうで、インターフェースも整理されている。今回は単独ということもあって、47は地図も持っていないらしい。まぁ、地図をこまめに見に行くと確かにアクションが中断されるからね。
その代わりというわけじゃないんだけど、今回は“Instinct”システムが用意されている。これは47の鋭敏な感覚を表すもので、近くにいる敵の姿を壁越しにでも察知できるというもの。画面上では透視しているように見える。もちろん、回数には制限があるが、無力化した敵を隠したりすることで増やすこともできる。
“Instinct”を使えば、敵の姿だけでなく、隠された武器や、干渉可能なオブジェクトも発見できる。そしてこの能力は、オフェンシブにもディフェンシブにも使える。たとえばとある部屋に入りたいが、素の顔で入るのは危ない場合。能力を使えば、ある男がフェイスマスクを持っているのわかる。敵を殺してマスクを頂戴すれば、準備完了だ。あるいは、敵が歩いていこうとしている方向が表示されるので、何か物を投げて音を立て、敵を誘導するなんてこともやりやすい。実際どんな感じに働くのかはすでに公開されているゲームプレイ映像を観てもらうのがいいかもね。時々赤くボワッと光ったりするのがInstinctの効果だ。
デモでは、孤児院のステージが2回プレイされた。最初はステルスに重点を置きつつ、1発の弾も撃たないほど静かに。そして2度目はMarchesiの言葉に従えば「超バイオレンスに」プレイされた。もちろん後者の方が盛り上がってたね。47は彼の哀れな犠牲者の首根っこをつかみ、十字架を叩きつけたり、消火用の斧を悪党の頭に振り下ろしたりとやりたい放題だった。
もちろんそんな感じにプレイしていても、周囲の環境をうまく使う必要があるのは変わらない。たとえば、カバーから飛び出て撃ったり。“Point Shooting”という新機能もあって、この能力を使うとバレットタイムの如く時間が遅くなり、複数の敵を一気に片付けることができる。ちょっと変わった体の“部分”を指定して攻撃することもできるので、会場は笑っていた。ちなみに、ガスボンベを撃って一気に敵を倒すというシーンもあったのだが、ここでInstinctが増えてたな。
さて、今度のヒットマンはすごくいい感じだと思う。グラフィックはすばらしく、プレイヤーと敵のアニメーションも実にスムーズだ。映像的なインパクトは非常に強い。まぁその、人気のあるシリーズだから、本作での新たな挑戦の数々が、純粋主義者の人から「こういうんじゃないんだよなぁ」とか言われることもあると思うんだけども、ボクは最高にクールだと感じた。今年のE3の目玉のひとつとなるのは間違いないんじゃないかな。（取材・文・写真:ジェイソン・ブルックス、翻訳・構成:編集部）
