「絶対に買って損はさせない作品」(水口氏)

 ユービーアイソフトから、2012年4月19日に発売予定のPlayStation Vita用ソフト『ルミネス エレクトロニックシンフォニー』。1作目となるPSP版の発売以降、さまざまなプラットフォームで展開されてきた人気パズルゲーム『ルミネス』が、新ハードのPlayStation Vita(以下、PS Vita)向けに完全新作として発売される。そこで、今回はどのようなコンセプトで開発されているのか、シリーズの生みの親である水口哲也氏と、開発スタッフのデイン・ドン氏に話を聞いた。

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水口哲也氏

――まず、『ルミネス』の最新作をPlayStation Vitaで展開しようと考えた理由を教えてください。

水口哲也氏(以下、水口) 1作目となるPSP版『ルミネス』は、僕がセガを退社した後、キューエンタテインメントの立ち上げと同じくらいのタイミングでプロジェクトがスタートしました。初めてPSPの仕様を聞いたときに、ウォークマンにスクリーンが搭載されてインタラクティブに遊べる、“インタラクティブオーディオビジュアルウォークマン”だと感じたんですよ。それで、このインタラクティブオーディオビジュアルウォークマンで、どういうゲームを作ったらいいかと直感的に考えたときに、『ルミネス』の原型ができ上がりました。そのあと、『ルミネス』はいろいろなプラットフォームで遊ばれて、いまではダウンロード版も含めると全世界でシリーズ累計約200万本を突破。また、モバイル版も約76ヵ国でサービスされていて、大きなフランチャイズになりました。今回、PS Vitaが出ると発表になったときに、PS Vitaでゲームを出すなら1作目の『ルミネス』の遺伝子と言うかDNAを、PSPの後継機であるPS Vitaに受け継ぐべきだと判断したんです。

――では、最初にPS Vitaの仕様を聞いたときから、『ルミネス』の新作を出そうと考えていたということですか?

水口 そうですね。最初にPS Vitaのアナウンスがあった瞬間から、どうやったって『ルミネス』を作るべきだろうと。僕たちゲームを作る人間は、新しいハードからくるインスピレーションがすごく影響として強いんです。ですので、今回もPS Vitaのスペックを聞いたときに、みんなの頭の中ではどういう『ルミネス』を作ればいいかということを考え始めていましたね。

――1作目『ルミネス』は、PSPのロンチタイトルでしたが、『ルミネス エレクトロニックシンフォニー』をPS Vitaのロンチタイトルにしなかった理由はあるのですか?

水口 今回は、パブリッシャーがユービーアイソフトというフランスや欧米の会社なので、アメリカとヨーロッパでは2012年2月22日にロンチタイトルとして『ルミネス エレクトロニックシンフォニー』を発売しましたが、日本では満を持してと言うか、じっくり準備を行ってから発売することになりました。

――『ルミネス エレクトロニックシンフォニー』の見どころを教えてください。

水口 今回、新しい『ルミネス』を作るにあたり、僕がすごく意識したのは、新しいスタッフによる新しい『ルミネス』でした。上海出身のゲームデザイナーであるデイン・ドンは、ユービーアイソフトのパリでずっと仕事をしていましたが、彼がキューエンタテインメントで働きたいと言ってくれて、いっしょに『Child Of Eden(チャイルド オブ エデン)』を作りました。そして、『ルミネス エレクトロニックシンフォニー』のプロジェクトでは、彼のほかにもアメリカ人やオーストラリア人、若い日本人のアーティストたちが参加してくれて、いろいろな国の人と仕事をしてでき上がった作品なんです。グローバルにさまざまな国のユーザーに遊んでもらうためには、いろいろな人の感性を必要とした。そういう中で『ルミネス エレクトロニックシンフォニー』は完成したんです。

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デイン・ドン氏

デイン・ドン氏(以下、デイン) 見どころは“dynamism(力強い動き)”です。『ルミネス』はパズルゲームなので、固定された枠の中でブロックを操作します。ですので、今回は、ブロックを落下させたときなどに背景ビジュアルが連動して動くといった“dynamism”の遊び方や見え方をプラスしました。

水口 ちょっとしたことかもしれませんが、こういうことをやるだけでぜんぜん操作感が違うんですよね。

デイン あとは、ブロックや背景を3Dポリゴンにしたことで、ステージが空間的に見えます。

水口 ゲームを進めていくとすごく3Dを感じるステージやブロックが出てきて、奥行きを感じられると思います。こういう3D感は、いままでの『ルミネス』にはありませんでしたね。

デイン ほかにも、ユーザーの気持ちを考えて、ゲームをプレイすることで“スキン”(※1)が変化し、ゲームを盛り上げます。

水口 スキンもこれまでの『ルミネス』に比べると、さまざまな演出が施されているので、「つぎはどんな風に変化するんだろう?」と、見ていて飽きない作りになっています。

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――PS Vitaならではの機能を使ううえで苦労したところはありましたか?

デイン 背面タッチパッドによる操作ですね。『ルミネス』は、集中力が必要なゲームなので、背面タッチパッド操作がプレイヤーの集中力の邪魔にならないようにするのがたいへんでした。その結果、背面タッチパッドを使って、“アバター”(※2)のパワーを溜めるという仕様になりました。

水口 ここぞというときに背面タッチパッドを連続でタッチするとスペシャルブロックが出現するなど、その仕様を最初に聞いたときは「これってどうなんだろう?」と思いましたが、実際に触ってみると理にかなっていたので、「なるほど」と関心しましたね(笑)。

デイン あとは、ネットワークを使ったソーシャル機能です。つねにフレンドのスコアを表示したり、全世界のプレイヤーが協力をして“World Block”(※3)を消去するなど、ユーザーの視点でどんな機能があればより楽しめるかを考えました。

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――では、最後に読者へのメッセージをお願いします。

水口 『ルミネス』が好きな人、遊んだことがある人は、新しい魅力がたくさん入った『ルミネス エレクトロニックシンフォニー』を、絶対に好きになってくれると思います。また、いままで『ルミネス』をプレイしたことがない人も、1作目の『ルミネス』に比べてすごくとっつきやすくなっているし、楽しめると思うのでぜひプレイしてほしいですね。本当に今回はいいゲームができたなと思っています。絶対に買って損はさせない作品になっています。

デイン 『ルミネス エレクトロニックシンフォニー』は、初心者も楽しめる機能がたくさんあって、いままで『ルミネス』を経験しなかった人にはとてもオススメです。『ルミネス』の楽しさを知りたい人は、PS Vitaの『ルミネス』からいかがでしょうか。

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※1 1種類ずつのブロック、BGM、背景ビジュアルがセットになったもの。
※2 ゲーム中に使用することでさまざまな効果が得られるもの。
※3 世界中のプレイヤーと協力して課題をクリアーするモード。