ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンが満を持して放つ、2012年2月9日発売のプレイステーション Vita用ソフト『GRAVITY DAZE 重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動 』のプレイインプレッションをお届け。

●重力を操り“空に落ちる”異色のアクションついにお目見え

 ホラーゲーム『SIREN』シリーズを手がけた外山圭一郎氏が、またもや斬新な切り口で魅惑的な作品を生み出した。それが、『GRAVITY DAZE 重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動 』。タイトル名からしてすでに異彩を放っているうえに、“少女は、空に落ちる”というキャッチコピーである。これが興奮せずにいられようか! 否! 無理と言うものである。ちょっとプレイしただけではわからない奥深さがある、プレイステーション Vita屈指のエンターテイメント作品を、週刊ファミ通クロスレビュアーのレオナ海老原が思い入れたっぷりにお伝えします。

●“重力”を操り“落ちる”ことで空を“飛ぶ”という快感

 ぱっと見的には空を飛ぶゲーム、というイメージを抱く人がいるかもしれない。だが、厳密にいうとそれは違う。キャッチコピーにもある通り、空に“落ちる”のが正確な表現である。主人公のキトゥンは、重力を操る能力の持ち主。無重力状態になったあと、360度好きな方向へ重力をチェンジさせて“落下”することができる。たとえそこが建物の壁であろうが、頭上の空中であろうが関係ない。どこへだろうと“落下”していける。それがつまり“飛ぶ”ということにつながり、本作でしか味わえない移動方法となる。壁に着地すれば当然ふつうに移動も可能で、重力エナジーが続く限りその壁を“下”として行動ができる。さらにそれは地面や建物の裏(下)にまで及ぶのだからすごい。しかもこの“落ちる”ときは主観視点にもでき、長距離の落下のときの迫力はかなりのもの。また、落ちる方向は、本体を動かすことでも決めることができ、慣れるとかなり俊敏に飛び回ることができるようになり、驚くほどの快感を味わうことができる。

 こう書いていくとやや難しいゲームと思われそうだが、ゲームは箱庭マップを探索しつつ、ストーリーミッションをクリアーしていく、遊びやすいタイプだ。小難しいことは考えずに遊び始めることができる。じょじょに慣れていけばまったくもって問題ない。また、街のいろいろな場所にはチャレンジミッションが存在する。タイムアタックやスコアアタックができる、サブゲームのような存在だ。ここでキトゥンの能力を強化できるアイテムを入手できるのだが、じつはその効果はそれだけではなく、テクニックを磨くのにも最適だ。

 重力を操るのは慣れるまでにかなりの時間を要する。というのも、“飛ぶ”とはいえ“落ちる”わけであり、若干方向をずらせるものの、それはあくまでも直線的だ。連続で重力チェンジをしようものなら、方向感覚もあやふやになる。そのおかげで、何かを追いかけるときなどは、けっこう手こずることになる。この自由な中にある不自由さを克服できる手段が、数々のチャレンジミッションというわけだ。とくにチェックポイントを通過していくタイムアタック系のミッションは、浮く→落下する→空中で止る→別方向へ落下する、という効率重視の動きを要求される。そのため、くり返し行っていると、いつの間にか細かい空中制御術が身に付いていき、いつしか気分は超能力者になっているというわけ。もうぶしゃーっと脳汁出まくりである。自分はOVAの傑作「ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』や大ブームとなった超能力海外ドラマ「HEROES/ヒーローズ」、愛すべきスーパーヒーロー映画「ハンコック」など、特殊能力もの好きなので、空中落下の魅力に取り付かれ、途中からまともに移動しようとすら思わなくなった。特殊能力好きな方には、ぜひチャレンジミッションもたくさん遊んでもらいたい。

●作り込まれた街並みの凄み

 壁だろうが地面の裏側だろうがフィールドとなってしまう本作は、街並みの作りもハンパない。基本的にストーリーミッションを進めていけば物語が進むのだが、その合間は自由に街を散策できる作り。いわゆる箱庭タイプというやつだ。それだけにどこにでも“飛んで”行けてしまうのだから、あらゆる方向がきっちりとしたフィールドとして作られていなくてはならないというわけだ。あまりにも作り込まれていると迷ってしまうのでは、と不安に思う人もいるだろう。だが、マップ画面やゲーム画面では目的地をちゃんと表示してくれるので、その心配は無用。道が無くても、建物が入り組んでいていても、空を飛んで目的地のほうへ進めば、間違いなく近づいていけるのだから。また、空の高みから見渡せる街並みは、ふだんとは違った景色となり、地面にいるときとかなり印象が変わる。こんなところまで作りこんでいるのか、と観光めぐり気分で飛び回るのも悪くない気分になる。

 また、ゲーム中盤から、異次元エリアも登場する。ここで巨大ネヴィを倒すと、失われた街の一部を取り戻すことができる。どれも特徴的な作りで、ふだんの街とは違った行動が必須となることが多い。おもに敵との戦いがメインとなるため、アクションゲームとして腕を問われる部分であり、ゲーマーにとってはもっともやりがいのでる部分。地形的に意地悪な部分も多く、より空中での位置取りが重要になってくるのがこれまたにくい。

●戦闘は重力操作に熟練するほど快感が増す

 要所で襲いくる敵、ネヴィ。こいつらは赤いコアが弱点で、そこをピンポイントで攻撃しなければ倒せない。しかも、ゲームを進めていくと弱点が裏側にあったり、ふだんは弱点を隠しているネビィなども登場してくる。ふつうに攻撃をくり出していては勝てないということだ。そこで重要になるのが重力による移動。浮遊中は重力キックという技を放つことができ、このキックを決められる位置取りを、いかに素早くできるかがキモになってくる。そして自分の理想の動きで攻撃が決まるようになってくると、いつのまにか常時脳汁噴出状態である。よくロボットアニメなどで、「あ、あいつ、なんて動きだ!」的なシチュエーションがあるが、まさにそれを自分の操作でやっているという感覚である。また、ゲームを進めれば必殺技を習得していき、戦闘の快感はさらに増す。

 キトゥンの能力は前述したように、チャレンジミッションなどで入手した“プレシャスジェム”というアイテムで強化できる。さまざまな能力があるが、攻撃系のアクションの項目もある。戦闘で苦労するようだったら、能力の強化である程度戦力を補うこともできるのはうれしいところだ。

 もうひとつ戦闘関係で言っておきたいのは、能力者どうしの対決についてである。本作のキャラクターはみんな魅力的でキトゥンはもちろんのこと、もうひとりの重力使いであるクロウ、ネビィを操る不気味な容姿の犯罪者エイリアスなど、いずれも特殊な能力を持っている。そんな彼らとの戦いは、能力と能力のぶつけ合いとなる、最高に燃える展開。ストーリー的にもアクション的にもテンションは最高潮になること間違いなし。空中で交錯する能力者たち、蹂躙されていく街並み、想像するだけで震えが止まらないではないか! とくに宙を自在に舞うクロウは捕らえるのが難しく、こちらのテクニックの見せ所でもある。思い通りの展開に持っていけたときの快感はかなりのもの。鼻血出る。

 とまぁ、だらだらと偉そうにいろいろ書いてきましたが、この作品は実際に触ってみなければわかりにくい部分があるのは確かです。まずは体験版で感触を確かめてみるといいかもしれませんね。ただ、体験版はアクションに制限があるので、それですべてではありませんのであしからず。とりあえずは、高所から落ちて地面ぎりぎりで止る、とかいろいろと思いつく遊びを自分で見出しやってみてください。そして、少女と空に落ちよう。

■筆者紹介 レオナ海老原
週刊ファミ通クロスレビュアー。琴線に触れた作品は誰がなんと言おうと愛し続け、最高といいはる。特殊能力、ホラー、ゾンビ、SFに異常な執着を見せていたが、最近はややぼんやりぎみ。そして子煩悩。


GRAVITY DAZE 重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動
メーカー ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン
対応機種 PSVPlayStation Vita
発売日 2012年2月9日発売
価格 5980円[税込]
ジャンル アクション・アドベンチャー / ファンタジー
備考 PS Store ダウンロード版は4980円[税込]、ディレクター:外山圭一郎