展示スペースに、竹安佐和記氏の“神話構想”の世界が広がる――
2012年1月19日(木)~1月31日(火)の期間、東京・中野のpixiv Zingaroで開催されている“竹安佐和記原画展【ELの世界】”。この展覧会は、昨年イグニッション・エンターテイメント・リミテッドより発売されたプレイステーション3・Xbox 360用ソフト『El Shaddai ASCENSION OF METATRON(エルシャダイ アセンション オブ ザ メタトロン)』(以下、『El Shaddai(エルシャダイ)』)のディレクターを務めたことで知られる、竹安佐和記氏の作品が展示されているイベントだ(入場料:無料)。
本展は二部構成となっており、2012年1月24日までは“神話構想とエルシャダイ展”というテーマで展示が行われ、昨日2012年1月26日からは、“未発表原画や原作小説イラストなどとヘブンリー・セブン原画展”というテーマでの展示が行われている。ここでは、後半の展示の模様をお届けする。
なお、会期中は毎日竹安氏のサインイベントが行われている。平日は17:00から19:00、土・日・祝日は12:00から14:00、17:00から19:00のあいだに行われているので、ファンはお見逃しなく。
竹安佐和記氏にインタビュー!
クリム代表取締役。『El Shaddai(エルシャダイ)』ではディレクター/キャラクターデザイナーを務める。「Gideon‐ギデオン」や「AMON」など、数々の書籍も手掛ける。
――昨日から始まりました、後期展示“未発表原画や原作小説イラストなどとヘブンリー・セブン原画展”の見どころを教えてください。
竹安 メインとなっているジークレー印刷の『El Shaddai(エルシャダイ)』や“ヘブンリー・セブン”の絵は前半からの継続展示ですが、それ以外の原画はすべて入れ替わっています。“太秦戦国祭り2011”では展示していないような作品もありますし、ファンの皆さんから切望されていたアルマロスの原画も展示してあります。前半の期間中、皆さんから「置いてください!」と言われることが多かったので、今回展示しました。それから、このガリエルの完全オーダーメイドの服(ガリエルは新プロジェクト“ヘブンリー・セブン”のキャラクター。竹安氏の左にある衣装。服のデザインを担当した石橋剛氏のコメントは後述)ですね。
――ファンの方からの寄贈品も展示されていますね。
竹安 はい。これは、この展覧会を自分で企画したからこそ実現できたことですね。展示の幅が広がって、ファンの皆さんがより楽しめる空間になっていると思います。
――会場で販売されているグッズが豊富なのも、ファンには見逃せないポイントですね。
竹安 “ヘブンリー・セブン”のお話について書いている「ELの世界 VOL.01」がもっともメインとなる商品です。また、ジークレー印刷の“ヘブンリー・セブン”のイラストですが、1点21000円で販売しています。会期中でこの絵をご購入いただいた方に先着で、現場で展示しているB2のパネルをプレゼントしますので、ぜひご注目ください。
――竹安さんの今後の展開について伺いたいのですが、春に発売を予定されている『El Shaddai(エルシャダイ)』原作小説についてお聞かせいただけますでしょうか。
竹安 『El Shaddai(エルシャダイ)』については、ストーリー補完をしてほしいという声がとても多かったので、その声に応えるべく書いています。これは、僕が最後に関わる『El Shaddai(エルシャダイ)』の仕事になると思います。イグニッション・エンターテイメント・リミテッドの方々が『El Shaddai(エルシャダイ)』を今後発展させるときに使う、種として残していきます。
――2012年春発売予定とのことですが、執筆状況はいかがでしょうか。
竹安 非常に遅れています(笑)。4月28日(ゲームの発売日)に出したいと思っているのですが……ちょうど1周年ですね。いまは小説の後半部分を執筆しているところです。僕の中で『El Shaddai(エルシャダイ)』の結末はだいたい決まっています。あとは書いて、ファンの皆さんがどう驚くか。びっくりすると思いますよ(笑)。そもそも表紙で度肝を抜いていると思いますし。
――“ヘブンリー・セブン”についてはいかがでしょうか。
竹安 “ヘブンリー・セブン”は、クリムで独自に展開していきたいと考えているものです。『El Shaddai(エルシャダイ)』との関連性をよく聞かれるのですが……。織田信長と徳川家康のようなもので。
――同じ時代に生きている武将たちのひとりひとりと同じ、ということですね。
竹安 なので、厳密に設定をつなげているわけではないのですが、僕が作り上げた天使の世界――よく“神話構想”といわれますが、その中ではつながっているようにも感じられると思います。神話の世界のおもしろいところは、僕たちがつなげようと思わなくても、勝手に歴史の中でつながっているところなんですよね。これらのプロジェクトについてもそういった楽しみかたをしていただければと思います。
――“ヘブンリー・セブン”について、現状どんなプロジェクト・作品制作が進んでいるのでしょうか。
竹安 興味を持ってくださって、形にしようとおっしゃってくれる方々もいらっしゃるので、近々発表できればいいな、と思っています。
――そこは続報に期待! ということで……。
竹安 いま発表できるのは、会場に来られない皆さんのために、「ELの世界 VOL.01」をインターネットや店頭で販売できないか検討しているということです。とはいえ、いまの形で販売されるのはこの会場だけで、もし一般販売する際は、要素が変わると思います。それから、『El Shaddai(エルシャダイ)』について、僕が関わっているプロジェクトが、2012年2月中には発表できるのではないか……ということですね。
――もうまもなくの発表ですね。楽しみにしています。それでは、最後に読者にひとことメッセージをお願いします。
竹安 僕はずっと、“つながる妄想の世界”を作りたいと思ってきました。人は感じられる感動を求めているので、媒体は何でもいいと思うんです。人の気持ちにつながるフックとなるものを、これからも作っていきたいと思っています。ガリエルの衣装も、そのひとつですね。この衣装は商売目的というよりは、つながるフックとして作っています。現在、この衣装の撮影モデルを募集していますが、それは「私がガリエルになれるかもしれない」という夢を持っていただきたいからですね。これからも、僕のこの活動にお付き合いいただければと思います。
ガリエルの衣装を手掛けたデザイナー・石橋剛氏のコメント
この衣装はほぼすべて手縫いなんです。ミシンでは表現できない、胸元から腰にかけての独特の形などを手縫いで表現しました。素材はイラストと同じ真っ白な布にするか悩んだのですが、真っ白にすると下着っぽくなってしまいますし、ガリエルの雰囲気から逆に遠くなってしまうと思いまして。実際に着る衣装として考えたとき、金色が入っているほうがいいと思い、現在の形になりました。腕や足についているアクセサリーについては、プリズムのような色合いを表現したかったので、光沢のある素材を使用しています。
※オートクチュール ガリエルに関する詳細はこちら。