背面タッチパッドの使いかたが秀逸!

一生遊べる!? ゴルフゲームの決定版!『みんなのGOLF 6』【PS Vitaインプレッション】_03
一生遊べる!? ゴルフゲームの決定版!『みんなのGOLF 6』【PS Vitaインプレッション】_01

 いまの大塚角満の出発点は、2003年6月に発売されたプレイステーション2用ソフト『みんなのGOLF オンライン』だった。家庭用ゲーム機のオンライン黎明期だった当時、『みんGOLオンライン』は“オンライン専用タイトル”としてデビューし、その後2年半の長きにわたってさまざまなサービスを提供していくことになる。そんな『みんGOLオンライン』で、俺はネットを通じて人と関わり合うことの楽しさと奥深さを知り、以降、数々のネット対応ゲームをプレイして“プレイ日記”なるものを書いていくことになるのだ。

 そんな、俺にとっては“恩人”とも言える『みんGOLオンライン』の思想を受け継いだタイトルが、PlayStation Vitaのロンチ(立ち上げ)タイトルとして産声を上げた。その名は『みんなのGOLF 6』。“国民的ゴルフゲーム『みんGOL』のナンバリングタイトルは据え置き機で”というこれまでの慣習を打ち破って、携帯ゲーム機用ソフトながら正式に“6”というナンバーを引っ提げての登場となる。「たかがタイトル名」と思うなかれ。人気シリーズの正統な続編ナンバーを付けることは、並々ならぬプレッシャーを生じさせるものだ。それでも制作陣は、PS Vita版の『みんGOL』にナンバーを付けた。ここには、“ナンバリングタイトルとして出しても決して恥ずかしくない”という、制作陣の絶対的な自信が込められている。そんな『みんなのGOLF 6』を、さっそく遊び込んでみた。

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一生遊べる!? ゴルフゲームの決定版!『みんなのGOLF 6』【PS Vitaインプレッション】_06

 『みんGOL 6』にはさまざまなモードがあるが、ものすごくざっくりと分けると“ゴルフプレイ”と“オンラインロビー(ビジュアルロビー)”というふたつのカテゴリーに分類できる。ゴルフプレイが『みんGOL』のキモとなっているのは言わずもがなで、この部分にこそ、ハードがPS Vitaになったことによる恩恵が多分に含まれているのだ。

 プレイヤーがもっともお世話になるのが、ひとりで黙々とゴルフを行う“ひとりでゴルフ”というモードだ。ここは、決められたレギュレーションの大会に参加し、アイテムなどを購入するためのポイントを貯められる“チャレンジ”、自由にラウンドできる“ストローク”、ショットやギアを自由に変えて練習できる“トレーニング”という3つのモードに細分化されていて、任意に好きなものを選んで遊ぶことができる。おそらく、『みんGOL 6』を買った直後にもっとも頻繁に遊ぶことになるのがチャレンジで、ポイントを貯めるうちに新しいギアや使用キャラをゲットできるようになるため、止めどきがわからなくなること請け合いである。

 そんな、チャレンジの中にある大会をひとつ選んでコースに出てみる。使用キャラは、ユウナ。最初から選べる女の子で、パワーもコントロールもイマイチだが、“初級”のキャラらしくインパクトが優秀なのでかなり使いやすいと言える。

 キャラを選び、使用クラブとボール(“ギア”と言う)を選択したら(ゲームが進むうちにさまざまな性能を持ったギアを手に入れることができる)、おつぎは“ショット方式”の選択だ。『みんGOL 6』には5つものショット方式が導入されており、自分にもっともフィットしたものを自由に選ぶことが可能だ。最初のうちは、ゲージを移動するカーソルでパワーとインパクトを決める“ゲージショット”か、パワーを決めたあとに出るサークルの動きでインパクトを決定する“サークルショット”のどちらかを任意で選べる。ゲージショットが初代『みんGOL』から『4』までに使われていた“ノーマルな”ショット方式で、サークルショットは『みんGOL 5』で使用されていたもの……と言えばシリーズのファンはピンとくるはず。残る3つのショット方式は、ゲームを進めるにつれて使えるようになる。ちなみに、俺はどちらのショットも違和感なく使うことができるが、まずはより取っつきやすいゲージショットを選んでみた。

 コースに出てみて、まずは有機ELディスプレイの美しさに度肝を抜かれる。PS Vitaの画面がキレイなのはわかっちゃいたが、ゴルフコースの緑や空の青なんていう原色がたくさんあると、発色のよさがさらに際立つのである。そんなグラフィックに見惚れながら、タッチパネルごしにユウナをチョンチョンと叩いたり(触ると反応してくれるのだ)、画面右にあるカメラボタンをタッチしてさまざまな角度からキャラやコースを眺めた。この、マルチアングルやタッチパネル、ジャイロセンサーを使った要素は使っても使わなくても構わないのだが、制作陣が「よかったら、使ってみてください」と言っているような遊び心は、見ていてホッとさせられる。腕が磨かれていけばいくらでもストイックにスコアを追い求められるゲームではあるが、こういった遊びの部分を忘れずに入れてくれていることが『みんGOL』を“国民的”と言わしめる理由のひとつなんだなと思ったりした。

 さて、そんな遊びの部分も含めたPS Vitaでの『みんGOL』だが、これが驚くほどプレイしやすいように最適化されている。出色なのが、PS Vitaにだけ備わっている背面タッチパッドの使いかたで、「さすが、よく研究されている」と感心してしまった。ゴルフゲームはショットを打つ前に、ボールの落下地点とそこからカップまでの距離をしっかりと知っておきたくなるものだが、『みんGOL 6』ではこれを、背面タッチパッドを使って知ることができるのである。

 具体的には、ショットを打つ前に背面タッチパッドをそっと触る。すると、現在ボールがある地点から触った地点までの距離と、そこからカップまでの距離が瞬時に表示されるのだ。これはいい。本当に便利! 『みんGOL』シリーズは意外なほど、いろいろなボタンを駆使して遊ぶゲームだったりする。しかしその一部を、直感的な背面タッチパッドにアサインしてあるのがなんともニクい。これだけでかな~り遊びやすくなった。

 そんな、PS Vitaならではのインターフェースを駆使しながら、さまざまなモードを遊び倒した。オンラインに接続し、ビジュアルロビー(Wi-Fi専用)で見知らぬ人とのチャットや“ツチュウ”ジャンプ(右スティック上のボディーアクション。ジャンプするときの音が「ツチュウ」と聞こえることから、『みんGOLオンライン』の時代からこう呼ばれる)を堪能したら、まずは全国の参加者と順位を競う“リアル大会”に参加。『みんGOLオンライン』や『みんGOL5』の時代に、もっとも夢中になって遊んでいた大会だ。しかし早々にボギーを連発して優勝戦線から脱落。その後のプレイは、やさぐれモード全開のものとなる。そして再びビジュアルロビーに行って、見知らぬ人たちと反省会。こういったコミュニケーションが、たまらなく楽しい。

 そして気持ちがノッてきたら、新モード“デイリー全国大会”に参加だ。これは、大会スコアをオンライン登録して、全国のプレイヤーとスコアを競うというモード。ひとつの大会には1回しか参加できないという、問答無用の1発勝負となっている。たった一度のミスショットが、全国ランキングに大きく影響するのは間違いない……。て、手が震える……。あ! ジャストインパクトを3センチくらい外した!! ボ、ボールがあさっての方向にぃぃぃ!!! ……てな感じで、池にボールが落ちようがダブルボギーを叩こうが、本物のゴルフと同じように泣き言を言ってはいられない。勝負はこの1回のみなのだ。どうにか挽回しなければ!! そして奮闘した結果、暫定順位で2200人中900位に……。かつて、数千時間も『みんGOL』をやり込んでいた人間とは思えない結果だが(まあこんなもんだろ、という気がしなくもないが)、この独特の緊張感を味わいつつ、さらに全国のトップクラスに肉薄するために、毎日のように参加しちゃうんだろうな。

 ……と、長々と書いてしまったが、正直これくらいでは『みんGOL 6』のおもしろさの一端にも触れられていないと思う。全国の仲間がいれば、極端に言えば一生遊べてしまうゲームである。彼らと切磋琢磨しながら腕を磨き、いつまでもやり続けたいと思う。そう思わせるくらい、魅力が詰まったゲームであると確信した。

 やっぱ、『みんGOL』サイコー!!

Text by 大塚角満

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