『モンスターハンターポータブル 3rd』が“クアドロプル プラチナプライズ”を受賞
日本国内でヒットしたプレイステーション関連タイトルを表彰する恒例の祭典“PlayStation Awards”が、ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン(SCEJ)主催により、2010年12月5日、品川のホテルにて開催された。受賞タイトルは→こちら。
本稿では、登壇者のコメントを中心にお届けしよう。
まず、“PlayStation Awards 2011”の受賞作の発表の前に挨拶に立ったのはSCEJ プレジデントの河野弘氏。PlayStation Awardsは、プレイステーションが誕生した翌年の1995年から開催され、今年は17回目の開催であることを説明。そしてここで河野氏からサプライズとして、徳中暉久氏、丸山茂雄氏、佐藤明氏、高橋裕二氏、そして久夛良木健氏というプレイステーションの誕生を支えた錚々たる方々が会場に駆けつけていることを明かし、参加者に紹介した。
今回のPlayStation Awards 2011は、2010年11月から2011年10月まで発売されたタイトルが対象となっているが、この期間のプレイステーションフォーマットのソフトは日本国内で2822万本が販売され、これは家庭用ゲーム機用ソフトの販売シェアの54%(内訳はPSPが33%、PS3が21%)に当たる。河野氏は「PSビジネス全体では昨年比で14%の成長を遂げた」ことも明かし、東日本大震災などもたいへんなできごともありながら、プレイステーションビジネスは好調だったことをアピールした。
また、昨年はユーザーズチョイス賞が新設されたが、今年はワールドゲーム賞が新設。これは「海外の良作を紹介して、ユーザーの方々の楽しみの幅を広げていきたい」(河野)という意図で新設され、こちらもユーザーからの投票によって選出される。河野氏からは、ワールドゲームの楽しさを伝えるために「来年の3月にはちょっとしたイベントを企画しています」とのコメントも。
続いてSCEJ 代表取締役兼 グループCEO アンドリュー・ハウス氏が登壇。「今年9月1日からSCEJ 代表取締役兼 グループCEOに就任して初めてのPlayStation Awardsです。参加できてうれしく感じていると同時に、どのようなタイトルが選ばれるのかワクワクしています」と挨拶。また、欧米では年末商戦にプレイステーション関連作品が好調に推移していることを説明し、12月17日にロンチを迎えるPS Vitaで「さらにプレイステーション ビジネスが元気になるようがんばっていきます」と今後の意気込みを語った。
続いて受賞式へと移り、受賞作品一覧は上記のとおり、こちらで確認してほしい。
以下は、ゴールドプライズとクアドロプルプラチナプライズを受賞したクリエイターのコメント。
ゴールドプライズ
ワールドサッカーウイニングイレブン 2011
KONAMI
クリエイティブプロデューサー高塚新吾氏
「これで我がチームはプレイステーションのすべてのハードでアワードの賞をいただくことができました。この場で、制作に打ち込めるハードを作ってくれたSCE様にお礼を述べさせていただきます。我々のチームは、プレイステーションが出るときに結成されました。それから18年間、第一線でやってたことにうれしく思います。当時、「クリエイターは30歳で終わり」なんてことを言われましたが、ジジイになってもゲームを作っている先駆者になりたいです。SCEさんもサポートをよろしくお願いします」
グランツーリスモ5
エンジニア
高野修一氏
「『GT5』は前作からかなり長い時間をかけて開発してきたタイトルで、こういう賞をいただいてうれしく思います。やりたいことを実現できたのは、ユーザーの方々の支持の賜物です。『GT5』は発売から1周年です。この1年、10回のアップデートを繰り返してきました。2012年2月2日には、『スペックII』も発売されます。これからも『GT5』を楽しんでほしいと思います。ということで『GT5』はまだまだ終わっていないのですが、次回作でもユーザーの方々の支持が得られるよう、がんばっていきたいと思います」
真・三國無双6
コーエーテクモゲームス
ω-Force『真・三國無双6』プロデューサー
鈴木亮浩氏
「50万本以上売れたということは、たくさんのユーザーの方々に遊んでいただいたということでうれしく思っています。売れるということは会社的にも販売店の皆様、SCEの皆様に対して実績を作っていくことになり、それは難しいことですが大切なことだと思っています。ただ、作る人間としてはさきほどいただいたユーザーズチョイス賞のほうがうれしかったりします。今後もユーザーズチョイス賞に選んでもらえる、加えてゴールドプライズ、できればプラチナプライズを狙えるタイトルを出せるようようがんばっていきたいと思います」
テイルズ オブ エクシリア
プロデューサー
馬場英雄氏
「『テイルズ オブ』シリーズでアワードをいただいたのは、10周年に発売した『テイルズ オブ ジ アビス』以来5年ぶりで、いま万感の思いです。このような賞をいただけましたのは、スタッフの努力の賜物だと考えています。今後もこの賞に恥じないよう制作を続けていければと思います。また、今日ここにいらっしゃっている業界の方たちから刺激を受け、また、切磋琢磨しながら、もっともっと業界を盛り上げていければと思います」
ファイナルファンタジー零式
ディレクター
田畑端氏
「開発当初はPSPに提供するタイトルではなかったのですが、諸事情でPSP用タイトルとして開発、発売することになりました。PSPというハードを選んだ最終的な決め手は、PSPというハードとユーザーが大好きであるということでした。今後も、ハードとユーザーの反応を見ながら、盛り上がっていけるような取り組みをしていければと思います」
クアドロプル プラチナプライズ
モンスターハンターポータブル 3rd
壇上にはプロデューサーの辻本良三氏やディレクターの一瀬泰範氏を始めとしたスタッフ23名がステージに立つという、いままでにない受賞風景となった。また、『モンスターハンターポータブル 3rd』はユーザーズチョイス賞、『モンスターハンターポータブル 3rd HD Ver.』もゴールドプライズ賞を受賞し、トリプル受賞という華々しい結果となった。
プロデューサー
辻本良三氏
「今回、『MHP 3rd』のプロジェクトにはもっと多くが関わっています。そのスタッフ全員が、前作を超えるという気持ちで作りました。『MHP 3rd』は多くの方々に協力していただき、SCEの方々には毎週ニ度、三度と打ち合わせをさせていただきました。また、ユーザーチョイス賞もいただきましたが、ユーザーの方がいて初めてソフトが作れます。ユーザーの方々にいちばん感謝しております。本日はありがとうございました」
最後に主催者挨拶として、SCEJプレジデントの河野氏が再び登壇。「『MHP 3rd』が高い支持を得ていたことが改めて明らかになりましたが、今回のアワードではどうやってその偉大な成果を紹介するか社内で会議を重ねてきました」(河野氏)と、累計出荷が450万本を超えるメガヒットを記録した『MHP 3rd』に最大限の敬意を払ったことをうかがわせた。また、累計出荷50万本に若干届かないものの、多くの優れたタイトルが14本あったことを明かし、プレイステーションの盛り上げに貢献してくれたことに感謝を意を表した。また、発売間近のPS Vitaの話題にも触れ、「この新しいプラットフォームを投入し、新しいエンタテインメントを提供することで、業界の盛り上がりの一助になればと思います」とコメントし、PS Vita発表からこれまでの歩みを映像で紹介。来年以降のプレイステーションビジネスの発展を予感されるエンディングを演出し、今年のPlayStation Awardsは幕を閉じた。
パーティーでもクリエイターが登壇
表彰式の後は、イベントの第2部としてパーティーも行われた。表彰式の最後に行われた鏡開きでの日本酒が振る舞われ、また料理では東北地方の郷土料理などを用意。さらに会場にはサンタクロースの衣装に身を包んだトロが登場して来場者と触れ合うなど、SCEの1年を締めくくるにふさわしい盛大な催しとなった。
また、会場前方のステージでは表彰式で受賞したクリエイターが、事前に募集したユーザーからの質問に答える“教えてクリエイターさん”という企画も実施。『モンスターハンターポータブル 3rd』および『モンスターハンターポータブル 3rd HD Ver.』でクアドロプルプラチナプライズ、ゴールドプライズ、ユーザーチョイス賞のトリプル受賞をしたカプコンの辻本良三氏、『メルルのアトリエ ~アーランドの錬金術士3~』でユーザーチョイス賞に選ばれたガストの岡村佳人氏、『テイルズ オブ エクシリア』でゴールドプライズを獲得したバンダイナムコゲームスの馬場英雄氏が登壇した。
カプコンの辻本氏は受賞のトリプル受賞のよろこびを語るとともに、SCEが用意したサプライズ演出に驚かされたともコメント。じつは、授賞式の最後に用意されていた大タル爆弾を模した酒樽、ゲームのものを再現したハンマーの存在は、辻本氏も直前まで知らなかったのだという。「僕たちを逆に驚かせてくれる、という意味でもPlayStation Awardsは楽しみですね」と笑顔で話していた。また、今年一年を振り返ってもっとも印象に残ったできごとについては、“モンハンフェスタ'11”の開催であるとコメント。とくに、東日本大震災によって中止が発表された後、“秋祭!狩友の集いin仙台”として11月に開催できたことを「本当に開催できてよかったです」と話していた。
「うちのような小さな会社がいただいてもいいのかという気持ちもありますが、ユーザーの皆様から支持をいただけたことは非常に光栄です」と、ユーザーチョイス賞受賞のよろこびを語ったのは、ガストの岡村氏。ユーザーからの質問では、「いまやり込んでいることは?」という問いに「強いて挙げれば料理を始め、物を作ることです」と回答。併せて、そういったモノ作りの経験がゲーム作りにも反映されていると話した。また、ズバリ『アトリエ』シリーズの今後について聞く質問も飛び出す。それに対しては「まだまだ具体的に話せることはない」と答えつつも、「これからもシリーズを展開することは確実です」と次回作に意欲を見せていた。
バンダイナムコゲームスの馬場英雄氏は最初に、『テイルズ オブ エクシリア』の特徴のひとつであるふたりの主人公というゲームデザインについて問われ、「ユーザーを驚かせたい」の一心から出たアイデアだったと説明。それに関連して、アイデアの捻り出しかたにも言及し、「同じ方向から見ても同じものしか見えない。いろいろな角度から同じものを見るなど、思考の転換をするよう心がけています」と自身のやりかたを披露した。ちなみに馬場氏は、自分が手掛けたゲームは発売されたら必ず自宅で遊び直すという。もちろん開発段階で何度もプレイしているのだが、自宅に帰ってユーザー目線で遊ぶことでさまざまな発見があるからだという。最後は「20周年、25周年に向けて、しっかりとつぎの一歩を踏み出していきたいと思います」と、気になる今後の展開についても軽く触れていた。