●前代未聞の並行開発を断行!

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『ファイナルファンタジーXIV』プロデューサー/ディレクター
吉田直樹 Yoshida Naoki

2010年12月10日の新体制発表と同時にプロデューサー兼ディレクターに就任。すでに20回を超える"プロデューサーレター"の執筆を始め、綿密な計画をもとにしたブレない開発姿勢に、プレイヤーからも厚い信頼を得ている。愛称は吉P(よしピー)。

 2011年10月14日、『FFXIV』に関する衝撃的な発表が行われた。『FFXIV』は2010年12月に開発体制を一新。吉田プロデューサーの陣頭指揮のもと、大幅な改修を行っている最中だが、以前から一部については根本的な作り直しが必要であると伝えられてきた。そうしたなか、その一部を完全新設計に置き換えた新生『FFXIV』が、現行の『FFXIV』の改修と並行して開発されていることが判明。さらに、このふたつの『FFXIV』は、いずれ合流して完全新生を目指すという、前代未聞の計画だ!

(以下、インタビューを一部抜粋)

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──それにしても、大英断だと思いました。
吉田 僕もMMORPGのプレイヤー経験が長いので、一度信頼を失ったMMORPGが完全復活できた例がないということは、よくわかっているつもりです。アイテム課金制に移行した場合はちょっと別ですが……。ですので、開発体制が変わった直後から、「相当の覚悟を持って、前例のないことをやろう」と開発チームには話をして、計画を進めてきました。そして、今年1月に発表した4つのキーワード(FUN、LIVE、REBOOT、REBUILD)について、その真意をやっとお話できる時期が来たのかなと思っています。

──ということは、今年1月の時点で、すでに並行開発の計画は決まっていた?
吉田 はい。僕がプロデューサー兼ディレクターに就任してから、この4つのキーワードを発表するまでの期間は、実質20日間ぐらいです。現世代のMMORPGとして当たり前のサービスを長期間に渡って実現できるかどうか、というところを調べたときに、真っ先に気になったのがユーザーインターフェース(以下、UI)とサーバーの仕様でした。UIに関してはすべて作り直さないとダメだとその時点で思いましたし、サーバーに関しては構成から何から、すべて設計し直す必要性を感じました。体制変更直前から、これらの情報取集を徹底的に行って、並行して年末まで基礎の全体計画を練っていました。サーバーとUIの方針はすぐに決まりましたので。

──しかし、それほど早期に再設計が必要という判断があったにも関わらず、なぜサービスを止めることはしなかったのでしょうか?
吉田 もちろん、一時サービスを停止してすべて作り直すという案もありましたが、『FFXIV』は『FF』シリーズのナンバリングタイトルですし、何よりプレイヤーの皆さんが嫌な思いをしたまま終わってほしくはなかったのです。今もなおプレイを続けてくださっている方こそ、スクウェア・エニックスが失ってはいけない、最も重要なお客様だということを社長の和田を始め、開発チームも強くそう思っています。運営を続けながらでも、全力で改修できることはありますし、ゲームプレイを楽しんでもらうことも可能だろうと思ったので、絶対にサービスを止めないということを最初の全体方針に決めました。運営を続け、再生を行い、更に新生していく。こんなことをするのも、スクウェア・エニックスだけでしょうし、『FF』らしいのかなと(笑)。

●新生『FFXIV』は何が変わるのか?

 すでに、『FFXIV』のプレイヤーズサイト"The Lodestone"で新生『FFXIV』に関する情報を公開済みだが、ここでは大きな変更点をピックアップしよう。

・画面構成を刷新
サーバーの改修によってUIを一新。まったく新しい操作環境を提供する。これに伴い、描画エンジンも再構築。

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・マップの全面改修
現状のシームレス方式から、エリアチェンジ方式へ変更。エオルゼアほぼ全域がまったく新しいマップに生まれ変わる。

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フィールドのコンセプトアート

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・プレイヤーコミュニティーを支えるシステムが激変
プレイヤーサーチ機能については、ワールドレスでのプレイヤーマッチングが可能。同目的の人たちが、ワールドを超えて一時的に1ヵ所に集まって、コンテンツに挑戦できる。

・プレイヤーvs.プレイヤー(PvP)の実装
コロセウム(仮称)とフロントライン(仮称)を検討中。コロセウムは、戦う相手があらかじめ見えている決闘タイプ。フロントラインは、新設されるひとつのエリアを丸々使ったバトルコンテンツとなる予定。

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・民族・部族の追加
プレイヤーキャラクターとして選択できる民族、部族として、ハイランダーの女性、ミコッテの男性、ルガディンの女性を追加。

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・フリーカンパニーの導入
プレイヤーどうしで結成することができる傭兵集団。フリーカンパニーで挑戦するコンテンツも用意され、フリーカンパニーポイントを溜めることでチームのランクを上げることが可能。

・ハウジング(持ち家)の導入
まずは、上記のフリーカンパニーのアジトとして導入予定。クラフターやギャザラーは、家のカスタマイズで活躍できる。将来的には、個人の持ち家へとつながっていく。

・オープニングムービーを一新
新生『FFXIV』用に作り直されたオープニングムービーを、2012年のE3(アメリカ・ロサンゼルスで開催される、世界最大規模のゲーム見本市、エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポの略称)で公開予定。

●現行の『FFXIV』と新生『FFXIV』はやがて融合する!

 現行の『FFXIV』と新生『FFXIV』は、設計は異なるが、けっして別作品というわけではない。現行の『FFXIV』は、これまでと同様に改修と運営を続けながら、“第七霊災”と呼ばれる世界の大異変に見舞われる。第七霊災は、向こう1年間を掛けてリアルタイムで進行し、第七霊災の終了と同時に現行の『FFXIV』と新生『FFXIV』が融合。新生『FFXIV』で、第七霊災後のエオルゼアでの冒険が新たに始まるのだ。それ以降は、第七霊災以前のエオルゼアに戻ることはできない。つまり、第七霊災に関するシナリオをプレイできるのも、現行の『FFXIV』のサービス中のみということになる。この壮大なる世界の変貌を、ぜひ見届けよう。

召喚獣のコンセプトアート

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モンスターのコンセプトアート

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(以下、インタビューから抜粋)

──では、再生を続けている現行の『FFXIV』と新生『FFXIV』がどういった形で融合していくのか、お聞かせください。
吉田 新生『FFXIV』はすなわち、僕らの理想の始まりとなるPC版であり、PS3版と思っていただいて構いません。新生『FFXIV』に移行する際、PC版で育てたキャラクターのステータスは引き継ぎますし、ワイプ(データの削除)もしません。もちろん、新規の方のために新設のワールドも用意しますし、まだ検討中ではありますが言語別ワールドも設ける可能性があります。

──言語別のワールドは、日本のプレイヤーから比較的多く寄せられる希望でもありますね。
吉田 現状のサーバーシステムでは期間がかかり過ぎて難しいといった問題もありますが、現世代のプレイヤーの皆さんにとっては必要なものなのかなとは思っていたりもします。

──マップが変わるのも、新生『FFXIV』のサービス開始と同時でしょうか?
吉田 そうなりますが、マップ変更に先駆けて、現行の『FFXIV』に第七霊災というすさまじい出来事がこれから起こり、世界に変化が始まります。もちろん、エオルゼアはエオルゼアですので、国や地名はそのままですが、世界が根底から変わっていく過程がこの先1年間描かれます。

──すでに、その予兆は現れていますね。
吉田 マップが大きく変わってしまう真相については、現行の『FFXIV』をプレイしていただいた方だけが、わかるようになっています。この世界の変化は、これから1年間に渡ってくり広げられる季節イベントだと思ってください。僕たちは、これをキーワードのひとつ、"LIVE"であると考えています。

●PS3版のβテストは2012年秋〜冬を予定!

 気になるスケジュールだが、PS3版のβテストは2012年秋〜冬を予定。もちろん、現行の『FFXIV』の改修作業も継続。新生『FFXIV』の動向にはもちろん大注目だが、現行の『FFXIV』も目が離せなくなるだろう。この未曾有のプロジェクトの発表、そしてPS3版リリースへの目処が立ったこのタイミングで、PC版の課金もいよいよ開始となる。

武器のコンセプトアート

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装備のコンセプトアート

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(以下、インタビューから抜粋)

──今後は、再生『FFXIV』と新生『FFXIV』の両方の展開に注目ですね。
吉田 大前提として、現行のプレイヤーの皆さんの活躍と応援があるからこそ、新生という世界があるという思いで開発を進めています。『FFXIV』の船出は相当きびしいものになりましたが、少なくともいまプレイされている方は、僕たちがこれまでどんなアップデートをしてきて、どれだけ皆さんと対話させていただいてきたか、僕らがどういう開発思想なのか、一歩ずつですが、体感してもらえていれば嬉しいです。今後も皆さんと公式フォーラムで語り合いながら、新生『FFXIV』に向かってより理想形に近付けるように努力していきたいと思っています。

──こうした開発チームの姿勢から、「無料期間はもう終了してもいいのでは?」という声も聞かれるようになりましたね。
吉田 とてもうれしく思いますが、一方で「まだまだ」というお声もたくさん頂戴しています。本当は新生『FFXIV』がスタートするまで無料期間を継続したいところではあるのですが、250人を超えるスタッフがフル稼働状態でこの1年間開発を続けてきており、さらに規模は拡大します。そのため、プロジェクトの全責任を預かる者として、11月下旬か12月上旬を目処に課金を開始させていただく決断をしました。この先も変わらず全力で開発に臨みますので、応援してくださる方は、引き続きプレイをしていただけると本当にありがたく思います。


※この前代未聞の計画が立ち上がった詳しい経緯や、新生『FFXIV』のさらなる情報については、週刊ファミ通11月3日号(10月20日発売)とファミ通コネクト!オン12月号(10月27日発売)をチェック!

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※画面は開発中のものです。