●15年間の集大成と、革新がここに!
“揺るぎなき信念のRPG”をテーマに掲げる、『テイルズ オブ』シリーズ生誕15周年記念タイトル『テイルズ オブ エクシリア』。個人的にはシリーズ史上、いや、RPG史上最高峰と断じたい完成度と、間口の広さを兼ね備えている本作の魅力を、週刊ファミ通編集部の川島ケイジがガイドする。
●『テイルズ オブ』作品にハマる絶好の機会
最初にお伝えしておきたいこと。それは、『エクシリア』のストーリーも世界設定も、ほかのシリーズ作品とはいっさい関連がないということ。以前からシリーズに興味があった人や、「過去のシリーズ作品を遊んだことはないけれど、『エクシリア』を遊んでみたい!」という人も、本作で心置きなく『テイルズ オブ』の世界にデビューできるというわけだ。
いくつも挙げられる『エクシリア』の魅力。まずは、グラフィックの美しさに注目してほしい。シリーズのファンは、おなじみのキャラクターデザイナーである藤島康介氏&いのまたむつみ氏が、本作で初めて“共作”するということに沸いたが、スクリーンショットを見ていただければわかるように、“アニメ”と“ポリゴン”のいいところ取りをしたように活き活きとしたキャラクターCGは、ファンならずとも惹き付ける力があるのではと感じる。
CGの魅力に拍車を掛けるのが、ごく自然な動き&セリフ回しでプレイヤーの感情移入を誘うイベントシーンの数々。累計で半年以上もの時間を費やしたというモーションキャプチャによるCGの動きに、ゲーム的な省略や不自然さはない。データ上の造形物ではなく、まさに活きた“キャラクター”がストーリーを紡いでいく感覚は圧巻だ。映像の進化にともない、説明的なセリフを極力避けて、短いセリフでも映像と合わさることでキャラクターの感情がしっかり伝わるよう、シナリオライターや声優陣が並々ならぬ苦労とこだわりを注いだという。このあたりについては、産地直送リポート集に詳しいので、併せて読んでいただけると、本作がいっそう味わい深くなるはず。
ストーリーについては、具体的に語るとネタバレになりかねないので、ここでは「続きが気になってしょうがなくて、無我夢中でエンディングまで突き進んじゃった!」、「レイアはかわいいなあ!」、「ミラぁああーーーーっ!!」などと叫ぶにとどめておく。余談だが、敵味方の女性キャラクターがことごとく自分のツボを突いてくれたという点においても、本作は個人的に“史上最高峰”だ。
レイアの初登場シーンより。ビショ濡れ+上目遣いのコンボにやられた……。 |
●“仲間といっしょに戦っている”感がうれしくも気持ちイイ
グラフィック、ストーリーと並んで『エクシリア』の魅力を成すのが、作品を重ねるごとに進化を遂げてきた伝統ある“リニアモーションバトル”システムだ。これは、Linear Motion(ライン上を動く)という名称の通り、操作キャラクターと敵のあいだにある見えないライン上を動くことで、3Dで描かれるフィールドにおいても、2D格闘ゲームのような操作感覚で戦えるシステム。深く考えずにキャラクターを操作するだけでも楽しいし、味方と連携してコンボを決めたり、敵の弱点を突くといったテクニカルな戦いもできる。
間口が広く、奥も深いリニアモーションバトルが、『エクシリア』で大きく様変わりした。任意のキャラクターふたりが“共鳴(リンク)”すると、パートナーが操作キャラクターをかばってくれたり、敵をふたりで挟み撃ちにしたりと、これまで以上に高度なコンビネーションを発揮できるようになるのだ。さらに、共鳴中に敵を攻撃すると、画面左のゲージが徐々に溜まっていき、一定以上溜まった状態で操作キャラクターが特定の術技を使うと、強力な共鳴術技(リンクアーツ)を発動することもできる。ややテクニカルな進化のように思われるかもしれないが、操作自体は簡単で、チュートリアルも丁寧なので、シリーズ初プレイの人もすぐに慣れるはず。
さらに付け加えると、共鳴術技のゲージには5つのエリアがあり、一度発動するごとに上のエリアへ進む。最高のエリアまで達すると、一定時間、術技や共鳴術技を連発できる“オーバーリミッツ”状態へ移行可能になり、オーバーリミッツ中は、共鳴術技から別の共鳴術技へのチェイン(連携)もできてしまうのだ。このあたりは上級テクニックに分類されるが、上級とは言っても操作が難しいわけではなく、成功したときの演出や与えるダメージ量が半端ではないゆえに、「自分ってば上級者だなぁ!」という手応えをもたらしてくれる。
『テイルズ オブ』シリーズは、かねてから“仲間といっしょに戦っている”感覚を追求してきたが、“共鳴(リンク)”に象徴される本作のバトルシステムは、まさしくひとつの完成形だと思う。プロデューサーの馬場英雄氏いわく、「キャラクターを成長させつつ操作に慣れていけば、どなたでも7〜8チェインほどは安定して決められるようになると思いますよ」とのこと。
やべえ。自分は8チェインも安定してつなげられない。4チェインほど成功させるだけでも相当に気持ちいいし……。いや、そんな自分でも、楽しみながらエンディングまで到達できたのは、本作の間口が広いという何よりの証! ということで(笑)。
■筆者紹介 川島ケイジ
週刊ファミ通編集者。『エクシリア』の本誌連載や、産地直送リポート集の企画、編集を担当。“テイルズ オブ エクシリア ファミ通DXパック”の企画にも関わったせいか、ティポがかわいくてしょうがない。
メーカー | バンダイナムコゲームス |
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対応機種 | プレイステーション3 |
発売日 | 2011年9月8日発売 |
価格 | 8379円[税込] |
ジャンル | ファンタジー / RPG |
備考 | プロデューサー:馬場英雄、制作プロデューサー:岡本進一郎、開発:ナムコ・テイルズスタジオ |