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 バンダイナムコゲームスより2011年9月8日に発売予定のRPG『テイルズ オブ エクシリア』。シリーズ生誕15周年記念タイトルたる本作に込めた並々ならぬこだわりを、開発スタッフに語ってもらうぞ。今回は、フィールドのグラフィック制作を担当した、ナムコ・テイルズスタジオの梶原優子氏だ。


●キャラクターCGと釣り合う背景を

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ナムコ・テイルズスタジオ
梶原優子氏

皆さま、こんにちは。
ナムコ・テイルズスタジオの梶原優子と申します。『エクシリア』の背景班を代表して、お話をさせていただきます。

これまでの『テイルズ オブ』シリーズのフィールドは、色使いが基本的に明るめで、ある程度のデフォルメも施していました。キャラクターCGの頭身が上がった『エクシリア』では、光と影のコントラストを意識したり、キャラクターCGと釣り合うように、ほとんどデフォルメのないサイズでフィールドを作ったりと、従来以上にリアリティーのあるファンタジー世界を構築しています。

ただし、実写さながらのリアルさを目指してしまうと、『テイルズ オブ』シリーズらしくなくなってしまうので、どこまでリアルに描くか、その線引きには苦労しました。奥村(大悟氏。本作のアートディレクター)が描いたイメージボードもかなり壮大なものだったので、それをどこまで再現すればゲームとしておもしろくなるか、という課題もありましたね。フィールドを広くしすぎるあまり、プレイのテンポを損なってもいけませんから。

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首都イル・ファンに立つジュード。首都というだけあって、相当な広さと美しさを兼ね揃えています。

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奥村によるイル・ファンのイメージボード。ご覧の通り、広大です。

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奥村を始めとする美術スタッフが、多数のイメージボードを描きました。

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□ボタンを押すとマップが表示されます。初めて訪れる街などでは重宝しますよ。

●360度動かせるカメラを活かす

今回はシリーズで初めて、フィールドを移動中に、プレイヤーがカメラを360度動かすことができます。カメラをグリグリ動かしながら探索したくなる要素を、フィールドのあちこちに用意していますので、どうぞ見逃さないでくださいね。

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草に覆われたところをよく見ると、人が通行できそうな穴が。“しゃがむ”アクションで奥に進んでみましょう。

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頭上にも目を光らせると、意外なところにアイテムがあったりします。

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村の背景に目を向けると、プレイヤーキャラクターが立ち入れないところで農作業をしている人が。

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空の変化にも注目してみてください。夜域(つねに夜のエリア)にあるイル・ファンへ近づくと、空の色や明るさなどが変わっていきます。

従来の作品では、ゲームプログラムでカメラを動かして、つぎに進んでほしいところや見てほしいところを示すこともできましたが、今回はカメラを自由に動かせるので、違う工夫をする必要がありました。たとえば、序盤に訪れることになるダンジョン“キジル海瀑”では、あちこちで段差を“登る”ことができるのですが、当初は、登れる場所と、そうではない場所の見た目をとくに変えていませんでした。ノーヒントだとわかりにくいと思ったので、下の写真のようにツタを置くことにしたんです。

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登り降りをくり返しながら進む“キジル海瀑”。

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キジル海瀑は、遠くまで見える背景や、美しい水の表現にもこだわったダンジョンです。

●『テイルズ オブ』シリーズらしい場所

最後に、私が個人的に気に入っている場所をご紹介します。女性主人公のミラを祀る社がある“ニ・アケリア”です。『エクシリア』の物語は、きらびやかな首都イル・ファンから始まりますが、過去のシリーズ作品では、ニ・アケリアのように牧歌的な雰囲気がある場所から始まることが多かったですよね。『テイルズ オブ』シリーズらしさがそこはかとなく感じられて、気に入っているんです。

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ニ・アケリアには動物もたくさんいます。牛などのグラフィックは、モンスター班に作ってもらいました。

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地面には模様が。これもまた、ニ・アケリアならではの雰囲気を醸し出します。

エクシリア』のフィールドは、背景班のみならず、企画班やモンスター班など、たくさんの人がそれぞれのこだわりを込めて、いっしょに作り上げたものです。物語が進むと、一度訪れたことがある場所へ瞬時に移動できるシステム(ワールドマップ)も登場しますが、見知った場所をもう一度歩いてみると、新たな発見があるかもしれませんよ。『エクシリア』の世界を、どうぞ隅々まで堪能してくださいね。

(C)いのまたむつみ (C)藤島康介 (C)2011 NAMCO BANDAI Games Inc.
※画面は開発中のものです。