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【特別企画】『新サクラ大戦』役者としての“誠意”と“作らない演技”――阿座上洋平さん&佐倉綾音さんインタビュー
公開日時:2019-12-12 12:00:00
新主人公&新ヒロインにインタビュー!†
2019年12月12日、『サクラ大戦』シリーズの完全新作『新サクラ大戦』が、ついに発売! “セガフェス2019”での発表以来、異例とも言えるほどさまざまな事前情報が提供されユーザーの期待を集めてきた本作だが、いよいよその真価を確かめられる日がやってきたのだ。
今回は、『新サクラ大戦』の主人公・神山誠十郎を演じる阿座上洋平さん、メインヒロイン・天宮さくらを演じる佐倉綾音さんへのインタビューをお届けする。歴史ある人気シリーズの新たなメインキャストを務めることのプレッシャーやキャラクターへの想い、収録時の意外なエピソードなど、いまだから話せる貴重な内容をたくさん話していただいた。
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阿座上洋平(写真右。文中は阿座上) |
多彩な表情を見せてくれるキャラクターたち†
――発表以降、多くのファンから『新サクラ大戦』に期待する声が上がりましたが、それらの反応を見てどう思われていましたか?
阿座上 すごく大きな反響があって、そのこともあって一時期かなりのプレッシャーを感じていました。ただ、演じていくうちに気付いたんです。自分が相対しているのはプレッシャーではなく、ひとりの役者として、神山誠十郎というキャラクターをどう演じきるのかという壁なのだと。いま成すべきは役者としての誠意を見せることだと。それに気付いたら、プレッシャーもスーッと消えて、より演技に集中できるようになったと思います。
佐倉 私はフラットな状態で演技をしたいということもあって、できるだけファンの方々からの反応は耳に入れないように過ごしていたんです。でもキャストが発表されてからは、『サクラ大戦』シリーズとは関係ないお仕事の収録現場に行っても、周囲から「あやねる『サクラ大戦』やるんだって?」と話し掛けられたりして、「そんなに注目されているんだ!」とあらためて『サクラ大戦』という作品のすごさに驚かされました。それ以来、よりいっそう情報をシャットアウトするようになりました(笑)。
――『新サクラ大戦』のキャストどうしでその話をすることはあるんですか?
阿座上 アニメの収録のときに盛り上がっていました。収録では、富沢美智恵さんにすごくよくしていただいたんですよ。『サクラ大戦』が始まった当時の話などもしていただいたり、今回のキャスト陣みんなに「がんばろうね!」と声を掛けてくださったり。
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佐倉 じつは、オリジナルのキャストである富沢さんにお会いすることに、最初はプレッシャーを感じていたんです。そもそも天宮さくらの役はオーディションではなく、直接オファーをいただいて決定したのですが、マネージャーからその連絡を受けたときは「(私がさくらを演じるなんて)ダメじゃないですか!」と、返したんですよ。
阿座上 ダメなんですか?(笑)。
佐倉 『サクラ大戦』のヒロインと言えば“真宮寺さくら”さんだし、“佐倉”が“さくら”を演じるのもおかしいし、歌も踊りも苦手な私が、歌も踊りもするヒロインというのも、全部がダメじゃないか、イメージが違う……と、一生懸命マネージャーに伝えたんです。その場で。
阿座上 そうしたら?
佐倉 「もう決まったから」って……。
阿座上 (笑)。
佐倉 でも、そんな私にさえ、富沢さんはやさしく接してくださって。むしろ何か洗礼を受けないといけないって、ずっと思っていました。
阿座上 そこまではちょっと(笑)。でも、富沢さんはアフレコ現場でも総支配人でしたね。
佐倉 すごく居心地のいい環境を作っていただいて感謝しています。
――アニメの放送はまだ先のことですが、ほかにも帝国華撃団・花組のメンバーでさまざまなイベントに出演される機会も増えてくると思います。
阿座上 僕は基本的にメンバーたちのサポート役なので、その役割に徹しようと思っています。幸い、神山は歌ったり踊ったりとかはしないようですし。
佐倉 でも、大神さんは歌ったり踊ったりしていましたよね?
阿座上 えぇっ、ないですよね!?(同席していた片野プロデューサーを振り返る)
片野P 次回作で考えましょうか。
阿座上 が、がんばります……。
佐倉 見てみたいです(笑)。
――これはもう逃げられませんね(笑)。続いては、おふたりが演じたキャラクターについてです。どんな第一印象をお持ちになりましたか?
阿座上 神山くんは、隊長然としたカッコいいキャラクターだと感じていました。ただ、台本を渡されていろいろな選択肢の先を読み進めていくと、もっとカッコよくなったり、笑わせてくれたり、助平な面が出てきたり、とにかく多彩な表情を見せてくれるんです。
収録では、そんなさまざまな神山を一度に演じることになるので、「あれ? 神山ってもともとどんなキャラクターだったっけ?」とよく見失っていました(笑)。とは言え、ベースとなる部分はスカッとしていて爽やかな姿をイメージして作り上げていきましたね。
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佐倉 私は、お話をいただいたときに、まず思い浮かんだのは真宮寺さくらさんの姿でした。まさに“大和撫子”なイメージですよね。どこか上品で気高く芯が強くて、それでいてお茶目……みたいなキャラクターって、私それまで一度もオーディションで受かったことがなくて。だから何よりもまず「大和撫子なんて演じたことないし、私にはできない」と思っていたんです。どちらかというと初穂みたいな、元気がいいというか、ちょっとガラが悪い子のほうが合っているかもって。
阿座上 (笑)。
佐倉 でも、初めてさくらのビジュアルを見せていただいて、一気に印象が変わったんです。私は子どものころから水色がすごく好きで、宣材写真でも水色の衣装を着ているくらいなのですが、初めて見たさくらは水色の着物を着ていて……それだけで親近感が沸き上がりました。
それに、真宮寺さくらさんよりも少し現代っ子っぽいデザインになっていて「これなら私でもできるかも……」と自信が持てるようになりましたね。だから収録では、大和撫子というイメージにはこだわらず、自分の中の、いちばん作らない、まっすぐな部分を、声質や演技に出すように心掛けました。
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――神山は多彩な表情を見せてくれるということですが、お気に入りな一面などはありましたか?
阿座上 やっぱり三枚目で笑わせてくれるところは、演じているこちらもおもしろかったですね。大浴場の前でついつい体が動いてしまうところとか。現実ではできないところをセリフに乗っけて演じるのは楽しいですよ。
――さくらも神山ほどダイナミックに変化するわけではありませんが、かなり表情が豊かなキャラクターですよね。
佐倉 収録をする前に、一度公平先生も含めたスタッフの皆さんとキャラクターイメージのすり合わせをして、声質や演技の方向性などを決めたのですが、そこで「妹のように、よく動き回ってコロコロと表情が変わる子にしたい」というイメージを伝えられました。まとめると“みんなの妹”という感じですね。
阿座上 ゲームの収録は別々にしていたのですが、確かにそんな印象がありましたね。
佐倉 あと、当初は変わった“口癖”があったんですよ。何かにつけて「もがチャレンジです」って言うんです。いつのまにかなくなっていましたが……。
阿座上 知らなかった。それは印象変わるなぁ!(笑)。
佐倉 それはなくなってしまったんですが、細かいところまでキャラクター作りがされていましたね。
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――演じていくうちに、最初と印象が変わったところはありますか?
阿座上 変わらなかったです。いろいろな表情を見せつつ、ときには挫折する場面も出てくるのですが、それでも芯となる部分は最後まで一貫していたと思います。
佐倉 先ほども言ったように、最初にすごくしっかりとキャラクターを設定していたので、それがブレることはなかったですね。
――お互いのキャラクターに対しての印象はいかがですか?
阿座上 声を大にして言いたいのは、さくらの魅力はかわいいだけじゃないということです。ふだんは本当にかわいいんですが、いざというときには凛とした姿を見せてくれますし、戦闘では鬼気迫る裂帛の気合を響かせてくれます。そんな佐倉さんの演技にも注目していただきたいですね。
佐倉 けっこう叫んでました(笑)。
――佐倉さんの、神山への印象はいかがですか?
佐倉 私は登場人物の声のイメージを脳内で再生しながら小説を読むことが好きで、台本を読んでいても自然とやっていたりするのですが、神山はなぜか再生されないんですよ。でも、その後阿座上くんが演じた声を聴いてみたら、まったく違和感なく「神山の声だ」って受け入れられたんです。そのくらい神山のニュートラル感がうまく落とし込まれていましたし、ずっと聴いていてもうっとうしく感じない。これってすごいなって。
阿座上 策略通りですね!
(一同爆笑)
阿座上 神山に自分を投影してゲームを遊ぶプレイヤーの立場になってみると、ヘタに個性を出してしまうことで投影しづらくなってしまうんです。それに、帝国華撃団のメインキャストは花組の隊員たちですから。それで、最初に声質を決めるときにあえて個性を出さない方向でやることにしたんです。と言っても、収録していくうちにおもしろシーンをどうやって演じてやろうか、とそればかり考えるようになっていましたが(笑)。
佐倉 それはあるあるですね(笑)。
――阿座上さんの“策略”ですが、ほかにファンに向けた仕込みなどもあったりしますか?
阿座上 ストーリーが進んでからなのですが、同じイベントでも進めかたによって登場するキャラクターが異なるというイベントが出てきます。その際、同じセリフでも相手によって微妙に接しかたを変えていたりするんです。さくらだったら“血のつながらない妹”、初穂は“幼なじみ”、クラリスは“お姫さま”、あざみは“姪っ子”、アナスタシアなら“近所の年上のお姉さん”をイメージして接しています。声のトーンなど微妙な変化ではあるのですが、その違いに気付いてもらえたらうれしいですね。
佐倉 アナスタシアはじつは神山よりも年下でしたよね?
阿座上 知ってる(笑)。でもイメージはお姉さんですよね。
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限界に挑んだ歌収録とナチュラルな声で臨んだアフレコ†
――『檄!帝国華撃団<新章>』のレコーディングはいかがでしたか?
佐倉 すごかったですね。あまりのクオリティーに、私、初めて自分の参加した楽曲で泣いてしまったくらいです。
阿座上 僕も初めて聴いたときは、「花組の皆さんはもちろん、田中公平先生はやはりとんでもない人だった」と実感しました。
佐倉 収録のときのムチャ振りもすごかったんですけどね(笑)。
――レコーディングを続けていて、どういうところがすごいと思いましたか?
佐倉 楽曲そのものもすごかったのですが、公平さんがすごいのは、いつまでも“探究心の塊”でいることだと思うんです。世代は私のお父さんよりも上のはずなんですが、最近のアニメの話題も、楽曲のトレンドなどにも詳しくて、話していて年齢の差を感じないくらい。『新ゲキテイ』のサビの追いかけのフレーズも、私が歌っているいろいろな作品のキャラクターソングを聴いて、私が地声でF#(※)まで出せると気付いて書いたものらしいんです。
阿座上 すごい! そんなところまで調べていたんですね。
(※編集部注:地声での音域幅の最高音ファ#を表している。正確には“hi F#”。プロの女性シンガーでもE(ミ)が出る人はかなり高い声と言われるほど)
――地声と言えば、神山もさくらもおふたりのふだんの声にかなり近い声質ですよね。
阿座上 神山の場合はむしろ、音響監督さんから「作らずに地声でいい」と言われてあの声になったんです。もともとは神山が20歳ということも考えて、もっと高めの声でキャラクター作りをしていました。
佐倉 私はあの低音がすごく気持ちいいと思います。
阿座上 そこをホメられると照れますね(笑)。
――佐倉さんは音響監督さんから何か演技指導などで印象に残っていることはありますか?
佐倉 じつは私、いろいろと試してみて何か言われたら直そう、というスタンスで収録に臨んでいたのですが、ほとんど何も直されずにここまで来てしまったんです。
阿座上 本当に!? それの何が不満なんですか?
佐倉 何か言ってもらわないと本当にこれでよかったのか不安になりませんか?
阿座上 どれだけマイナス思考なんですか……(笑)。
佐倉 ただ、おかげで無理に声を作ることもなく自然に演技をさせてもらえました。もしこの先もずっと続けさせてもらえるなら、すごくやりやすいかなと思います。
――『サクラ大戦』シリーズは、作品内の年代が進むごとにキャラクターたちも年を取りますから、よりやりやすいでしょうね。
阿座上 本当にずっとやらせてもらえたらうれしいですね。
――最後に、ファンの皆さんへメッセージをお願いします。
阿座上 14年振りのシリーズ最新作ということで、これまでに培われてきた世界観やストーリーのおもしろさに注目されている方も多いと思いますが、僕個人としては、まずはひとつの新作として『新サクラ大戦』を楽しんでほしいですね。
主人公である神山も大量のボイスがついて、“神山隊長”というキャラクターがより輪郭を帯びてきます。ニュートラルであることを意識して演じてはいますが、カッコいいところもカッコ悪いところも全力で演じていますので、気付いていただけたらうれしいです。帝国華撃団・花組の皆を、そして神山のこともよろしくお願いします!
佐倉 これまでのシリーズファンの方も、そうでない方も『サクラ大戦』というタイトル、そしてその象徴的存在である真宮寺さくらさんのことはきっとご存じだと思います。そして真宮寺さくらさんに憧れている、“さくら”の名を持つ女の子がどのようにして彼女の人生に関わっていくのか……。そこは『新サクラ大戦』の重要な見どころのひとつだと思います。
それとは別に、神山隊長との恋の行方、幼なじみの初穂とのやり取り、そのほか周囲の人々との関係性もていねいに描かれています。魅力的なストーリーはもちろんですが、そんな個々の人間関係についても楽しんでいただけたらうれしいです。
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- タイトル
- 新サクラ大戦
- メーカー名
- セガゲームス
- 価格
- 通常版・ダウンロード版 8800円[税抜](9680円[税込])
初回限定版・デジタルデラックス版 14800円[税抜](16280 円[税込]) - ジャンル
- アクション・アドベンチャー
- CERO
- 15歳以上対象
- 備考
- メインキャラクターデザイン:久保帯人、ゲストキャラクターデザイン:堀口悠紀子、BUNBUN、島田フミカネ、杉森建、いとうのいぢ、副島成記、音楽:田中公平、ストーリー構成:イシイジロウ、原作:広井王子、脚本:鈴木貴昭、キャラクタービジュアル設定:工藤昌史、メインメカニックデザイン:明貴美加、プロデューサー:片野 徹、ディレクター:大坪鉄弥、製作総指揮:里見治紀
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