プロデューサーを直撃。「チャンスに満ち溢れ、人々が心のままに羽ばたける時代である三国乱世を再現したかった」

いよいよ配信を開始した『今三国志』。同作のプロデューサーである楊濛(ヤン・モン)氏に、本作の魅力や遊びどころ、今後の展開などを聞いた。
文:タワラ

公開日時:2021-03-31 17:55:00

 いよいよ2021年3月31日に配信を開始した、Archosaur Gamesのスマートフォン向け戦略シミュレーション『今三国志』。ここでは、同作のプロデューサーである楊濛(ヤン・モン)氏に、『今三国志』の遊びどころなどを聞いた。

 『今三国志』の開発メンバーは、子どものころから三国志や演義を愛読している人が多く、企画階段から自分の思い描いたリアルな三国時代の姿を再現しようと考えていたこと、武将をデザインするにあたってのこだわり、天候システムや馬の繁殖システムといった本作の楽しさなど、『今三国志』の気になる点を語ってもらった。さらには、今後の施策なども聞いているので、じっくりと読んでほしい。

『今三国志』のプロデューサーを直撃。「チャンスに満ち溢れ、人々が心のままに羽ばたける時代である三国乱世を再現したかった」

楊濛氏。『今三国志』プロデューサー。

リアルな三国時代の姿を再現しようと思った

――まずは、日本のゲームファンに向けて、Archosaur Games様がどのような会社なのか教えてください。

 Archosaur Games社は1997年に前身のスタジオが創業してから数えると、20年以上の歴史を持つ会社となります。当社は、スタンドアローン、オンライン、ブラウザーやモバイルなど多岐にわたるプラットフォームでのゲームを開発しております。日本でもっともよく知られているのは『コード:ドラゴンブラッド』だと思いますが、『今三国志』が私たちが開発した最新のゲームとなります。

――開発にあたってのコンセプトを教えてください。三国志は人気のコンテンツで、中日問わず人気がありますが、“三国志ゲームの新機軸”として、どのような点に注力して開発したのですか?

 『今三国志』の開発者チームメンバーは、子どものころから三国志や演義を愛読している人がたくさんいます。三国時代を題材とする本作を作ろうと決めた理由は、この英傑乱世の時代の魅力にハマったからです。

 私どもは、企画階段から自分の思い描いたリアルな三国時代の姿を再現しようと考えております。そのため、本作の開発においていくつかの点に注力しておりました。ひとつめは、ゲームの“リアリティ”と“壮大さ”です。これはプレイヤーに没入感と臨場感を高め、ゲームの中で冒険と成長を楽しんでいただける重要なポイントだと思っているからです。これだけでかなりの時間や労力を費やしましたね。

 ふたつめは、“自由度”です。三国乱世はチャンスに満ち溢れ、人々が心のままに羽ばたける時代だと思っておりますので、本作もこういう特色を表現しなければと判断したんです。『今三国志』において、プレイヤーはマップを自由に行軍し、あらゆるところを好きなように探索することできます。それに、主城移転も自由なので、気に入った場所で城池を建てて発展させ、自分の乱世の生き抜く道を貫くことが可能です。

『今三国志』のプロデューサーを直撃。「チャンスに満ち溢れ、人々が心のままに羽ばたける時代である三国乱世を再現したかった」

三国時代を再現するかのような自由度に高さが本作の魅力。まさに三国志時代の武将になれるわけだ。

――本作はグラフィックがとても美麗なのですが、グラフィック制作でこだわったポイントや、「この技術や方針があったから美麗なグラフィクが実現できた」といった点などお教えください。

 私どもは『今三国志』の開発でUnreal Engine 4(以下、UE4)を導入しました。UE4を使った理由は、映像表現に優れた多くの作品にこのゲームエンジンが採用されているからです。また、2Dゲームエンジンに比べて、UE4の新技術は私どもの思い描いた三国時代をよりリアルに再現できます。

 しかし、UE4を採用したことによって、開発初期にいろいろな問題が起こりました。『今三国志』の開発に2年もかかりました。その理由の一部はそれらの問題を解決するためです。開発は大変だったとはいえ、最終的に私どもは自分の中の三国時代をプレイヤーに披露するという思いをなし遂げました。

――武将はいずれも存在感がありますが、デザインで、とくにこだわったポイントをお教えください。全体的な方針などはあったのでしょうか?

 『今三国志』のデザインに関して、私どもは史料における描写を考慮しつつ、世間一般的なイメージも取り入れました。プレイヤーはそれぞれ自分のイメージで三国の英雄たちを想像しますから、武将のデザインはとても難しいです。開発のとき、私どもはまず三国文化の聖地である四川省成都武侯祠博物館の専門家を招いて、いっしょにデザインを考案し、三国武将の姿を忠実に再現しようとしました。

 その後、史実にこだわり過ぎると、ゲームとしてのおもしろさを失いかねないことに気がつきました。ということで、プレイヤーたちの意見を調査した後、武将ひとりひとりに関わる定番的な要素を持ち込み、プレイヤーの持つイメージにふさわしいデザインにしました。それによって、ゲームとしてのおもしろさと歴史ゲームとしてのリアリティーとの調和を取ることができるようになりました。

 ちなみに、『今三国志』の開発においては、美術関連の仕事に勤める職員は300人近くもいます。

『今三国志』のプロデューサーを直撃。「チャンスに満ち溢れ、人々が心のままに羽ばたける時代である三国乱世を再現したかった」

こだわり抜いた武将のデザイン。関わったスタッフは300人というからすごい!

――とくにこだわっている武将を教えてください。「この武将は、ここがこだわったから注目してほしい」といったポイントありますか?

 私がとくに強調したいのは、周瑜という武将のデザインです。歴史上の周瑜は、朝廷の大臣も出していた名家の出身で、音楽にも精通していた人物でした。そのため、本作の周瑜は銀鎧の下に白い服を身に着け、武将としての立派な風采をしています。一方、彼の持つ剣の柄と鞘には、虎の紋が付けられており、東呉大都督らしい威厳を見せています。

『今三国志』のプロデューサーを直撃。「チャンスに満ち溢れ、人々が心のままに羽ばたける時代である三国乱世を再現したかった」

日中ともに人気が高い武将のひとり、周瑜。

日本ユーザーに向けた特別な施策も予定!

――『今三国志』はここがおもしろい!と感じるポイントを教えてください。

 『今三国志』にはおもしろい設定がたくさんあります。天候システムがそのひとつ。三国時代の戦役にとって、天候は重要な役割を担っていたのです。本作では、地図上の地域によって、天気が多種多様でありながら、刻々と変化していくという点も再現できました。このような変化している天候は、戦闘には大きな影響を与えています。たとえば、有名な赤壁の戦いには、周瑜が吹き荒れた風を利用して、曹操軍の船を焼き尽くした話があります。それを参考に、本作では周瑜のスキル“火焼赤壁”が暴風という天候により効果が高まることになっています。

『今三国志』のプロデューサーを直撃。「チャンスに満ち溢れ、人々が心のままに羽ばたける時代である三国乱世を再現したかった」

重要な天候システム。天気が鍵を握るのは現実もいっしょ。

 さらに、樊城の戦いにおいては、関羽が水軍を率いて洪水により孤立した曹仁軍を包囲し退路を封鎖したということがあります。それを参考に、本作では“七軍水没”というスキルを雨のときに使うと、敵将に“戦闘不能”を付加することになっています。よって、もしプレイヤーは樊城で雨に乗じてそのスキルを発動すれば、当時のように曹仁軍を閉じ込めることが可能です。

 そのほかにも、サプライズ的な内容もいくつか用意されています。たとえば、馬の繁殖システム。プレイヤーは日常政務を通して馬を入手することができます。入手した馬をさらに盟友の馬と交配させると、絶世の名馬を生み出してくれる可能性があります。名馬は武将に与える増幅効果がふつうの馬よりあまり高くならないのですが、いろいろな種類があります。プレイヤーが自分の手によって、赤兎、的盧、絶影など伝説の名馬を入手することは夢ではありません。このような内容はまだまだたくさんあるので、プレイヤーに自分で発見していく楽しさを堪能していただければと思っています。

――『今三国志』を日本向けにアレンジした箇所などありましたらお教えください。そもそも『今三国志』は日本での展開を想定して開発に着手されたのでしょうか?

 『コード:ドラゴンブラッド』を開発していたときと同じく、今回も開発階段で海外進出を視野に入れていました。私どもは自分の中の三国時代を世界中のプレイヤーたちに披露したいと思っております。日本で三国時代をめぐる歴史と物語が特別な人気があることは知っておりますから、すでに日本に向けた特別な内容を企画し始めています。どうぞお楽しみに!

――第2回CBTで得られたユーザーからの感想はいかがでしたか?

 日本でCBTを実施していたあいだに、私どもはずっとDiscordやTwitterなどでプレイヤーたちの感想やアドバイスをうかがい、プレイヤーと開発者とのオンラインQ&A交流会も開催しました。日本のプレイヤーたちは非常に熱心で、私どもは調整や修正に関するご助言をたくさんいただきました。そのおかげで、指摘された問題点に速やかに対応することができるようになり、大変助かりました。これらの貴重なご意見と客観的な評価があってこそ、『今三国志』をよりよい形で世に出すことができるのです。

――CBTの途中にも一度アップデートが入りましたが、正式リリース版で大きく変わる点はありますか?

 CBT期間中には、大規模なアップデートを1回行い、プレイヤーたちに指摘された点をたくさん修正しました。配信するまでは、ゲームの安定性を保つため、しばらく大きな変更を避け、おもにローカリゼーションの最適化とバグ修正に力を入れたいと思います。

――配信後、どの程度の期間で洛陽が占領される想定でしょうか?

 60日ぐらいで洛陽を占領できると思います。

プレイヤーは自分の好みにより遊びかたを選択できる

――ストラテジーはプレイヤーがイベントを作り上げていく側面がありますが、『今三国志』にはこうして遊んでほしい、こうなってほしいという展望はありますか?

 私どもは自由にゲームを楽しんでいただきたいと思い、より自由度の高い本作を作りました。プレイヤーは自分の好みにより遊びかたを選択することができます。連盟に参加して将軍、軍師、外交官、君主など好きな身分を選んでプレイするか、あるいは一国一城の主になりきって紛争を避けつつ自由自在に領地を開発するか、自分で決められます。

 もちろん序盤の展開が難しすぎるということを防ぐため、ゲームの中にガイドシステムを備えました。このガイドシステムが提示したヒントを参考にすれば、本作にすぐに慣れますし、自分に合う遊びかたや目標も早い段階で見つけられるはずだと思います。

『今三国志』のプロデューサーを直撃。「チャンスに満ち溢れ、人々が心のままに羽ばたける時代である三国乱世を再現したかった」

ゲームの中にはガイドシステムがある。提示したヒントを参考にすれば、本作にすぐに慣れるとのこと。

――今後の運営の方針をお教えください。

 私どもはこれからも現在のシーズン制度を改良し続けるつもりです。今後は、プレイヤーにいつも新鮮さを感じていただけるように、おもしろい内容をどんどん取り込もうと考えております。また、シーズンごとに新たな武将や新しい武技を追加し、武将と武技の組み合わせかたを広げていくことも計画しております。

――最後に『今三国志』を楽しみにしている日本のゲームファンにメッセージをお願いします。

 ここまで『今三国志』をずっとご注目、ご期待いただいているプレイヤーたちには大変感謝いたします。とくに、今回のCBTにおいては、たくさんの日本人プレイヤーから貴重なご助言やアドバイスをいただき、感動と感謝の気持ちでいっぱいです。これからもどうぞ『今三国志』を楽しんでください。

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『今三国志』ファミ通.com特設サイト

タイトル
今三国志
メーカー
Archosaur Games
対応プラットフォーム
iOS、Android
価格
基本プレイ無料(アイテム課金制)
ジャンル
シミュレーションRPG

© ARCHOSAUR GAMES All RIGHTS RESERVED

『今三国志』公式サイト