良かった点
架空の主人公サイラス・グリーヴスの語りを主軸に、アメリカ開拓時代に実在したビリー・ザ・キッド、ヘンリー・プランマー、サンダンス・キッドといったガンマンやならず者、保安官たちと戦いを繰り広げていく映画的なシナリオが魅力。
これまでのシリーズでも西部劇色を出した他の有名なFPSシリーズとは違った世界観を売りにしていたが、シリーズを重ねるにつれ世界観へのこだわりが薄まり、パッケージの最新作では西部劇なのに舞台は現代、という他のFPSに追従したシナリオになっていた。が、今作ではアメリカ開拓時代の世界観、人物をそのままゲーム内に取り入れながら、サイラス・グリーヴスを主役とした架空の西部劇を繰り広げていく、という西部劇らしいストレートな物語となっており、中途半端でない分非常に受け入れやすい。また、西部劇映画などでもと取り上げられる有名なガンマンたちをぶち抜いていく、という思い切りの良さも非常にそそるものがあり、西部劇映画ファンにとっても見所が多い。
ゲームシステムとしてはショットガン、ピストル、ライフルに大別されるいくつか武器を駆使しながら敵を撃ち倒しストーリーを展開させていくというものだが、銃を撃つ爽快感を重視したつくりになっており、これまでのシリーズでも搭載されてきた、一定の時間時間の経過がスローになる早撃ちモードのほか、「死の予感」システムがあり、これによりあと一発被弾すると即死の状態から横移動操作で銃弾を回避できるようになっている。また、ほか一般の戦争系FPSと違い体力が多く一発だけではそれほど重みを持たないゲーム性なため敵味方ともにガンガン撃ってくるのも非常に気持ちがいい。
銃弾の量から、ノーマルモードでも初見だとなかなか歯ごたえがある。戦闘のモードも一般の銃撃戦以外にも決闘(デュエル)など、単調にならないためのてこ入れもなされているので、没入感もなかなか。
悪かった点
味方CPUを携えての集団での銃撃戦がほとんどないのは、少々残念だったかな、というところだった。
もともと個人戦に比重がかかりやすいという側面もあるのだが、ほぼまったくといっていいほど集団戦がなく、主人公のサイラス・グリーヴスひとりで幾多の戦闘をかいくぐっていく、というのは少々難があるし、なにより集団で迫ってくる史上のガンマンたち、という華やかな設定に対して地味。
それから、ほかのFPSと違いシングルプレイがメインとなっており、一応マルチプレイモードも搭載されているものの、爽快感に掛け、また現在では過疎でほぼプレイが不可能となっている。個人的にはFPSはシングルプレイ専門なのでそれほど気にならなかったが、FPSではオンラインマルチを主軸にして遊んでいる人にはあまりおすすめできない。
総評
細々した面ではダウンロードソフトらしい小規模さを感じるところがあるが、全体を通して見れば1500円という値段以上の価値はあり、ダウンロードソフト購入の選択肢の一つに十分に成り得る面白さ。
現在ではXbox Live ArcadeほかPlayStation Network、Steam、Amazonなどさまざまなプラットフォームでダウンロード配信されているため、ストレートな西部劇の世界観をゲームで堪能したい、という方には是非プレイしてもらいたい。