クロスレビュー
作りはオーソドックスだけど、重みのあるストーリーと世界観でグイグイ引き込まれる。美麗なグラフィックで進行するイベントシーンも見応えあり。戦闘もやり甲斐があり、キャラクターを成長させていく楽しみも十分に味わえる。時間をかけて、ゆっくりと楽しみたい大人のRPG。
週刊ファミ通991号より
戦闘のテンポは非常によく快適。ボス戦は手ごわいが戦略を練るのが楽しい。また、物語の設定はシリアスだが、ほどよくギャグ(豊原氏のヤンセン最高!)も入っており、幅広く楽しめそう。重松氏の"千年の夢"はあまりの完成度に、本編のシリアス具合とギャップを感じてしまうかも。
週刊ファミ通991号より
苦み走った主人公の表情が示すかのような、ビターの効いたシナリオ。DVD-ROM4枚組による圧倒的な映像と美しい楽曲。複雑さを排したオーソドックスなゲーム性で物足りなく感じる部分もあるが、大人の鑑賞に耐え得る重厚な作品に仕上がっている。頻繁な読み込みと口パクのズレは残念。
週刊ファミ通991号より
基本は王道的なRPGのシステム、物語ながらも、"不死者"の存在が生み出すスキルのシステム、そして独特の情感がオリジナリティーを生み出しています。とくに物語におけるカイムの存在は、重松氏の小説により見事な深みを作り出し、坂口節とも言える王道物語のいいアクセントに。
週刊ファミ通991号より
良かった点
16-32bit時代のRPG黄金期に見られたような世界観や物語性をそのまま現代機に持ち込んだ豪華製作陣による王道もののシナリオと、それまでのロールプレイングゲームに於けるシステムに大きく改良を加えたゲームシステムが魅力。
“魔導産業革命”によって劇的な技術発展の成された架空世界を舞台に、不老不死の存在として1000年もの時間を生き続ける男・カイム・アラゴナーをメインの主人公に起きながら、存在意義を求める不老不死者の苦悩と世界大戦を描いたヒロイック・ファンタジーで、製作総指揮者・坂口博信氏の十八番。気の遠くなる時間の流れに対して失望を見せ、記憶を失ったことに対して一つの安堵感を見せる傭兵カイム・アラゴナー。断片的に残る情景の記憶を手繰り寄せながら、自己理解に積極的な態度を見せるはつらつな女性戦士セス・バルモア。絶えることのない人類愛を、一心に人々に向け続ける女王ミン・ヌマラ。娘の死を嘆き、自責の念によって自傷行為を続ける魔導能力者、サラ・シスラートと、それぞれに豊かなキャラクター性を持ち合わせており、ゲーム中でもリアルタイム・プリレンダ問わず、非常に多彩な表情を見せてくれる。
現世代機ローンチからまだ数年経ったばかりの作品ではあるが、1080p対応の高精細且つ美麗なグラフィックは今見ても古臭さを感じさせないつくりで、特に序盤の導入部や中盤の列車上での戦闘は、思わずため息が出るほど。また、ハードウェアのグラフィック性能が大きく上昇した事に伴い、それまでプリレンダでしか表現する事が出来なかった非操作演出をリアルタイムで表現する事に成功しており、ゲーム本体と乖離しない、等身大の演出を観る事が出来る。また、サブシナリオの面でも全面的な強化が行われており、不死者たちの1000年の時間を垣間見ることが出来る「千年の夢」シナリオは、小説家・重松清氏によって執筆されており、前世代のRPGよりもより世界観構築に力の入った作品となっている。
また、そうした前時代の王道を深化させたゲームシナリオに加えて、バトルシステムなどに大きな改良が加えられており、よりストレスフリーに、より練られたバトルを楽しむことが出来る。
先ず自分が一番好印象だったのは、経験値システムの大きな改良。メイン、サブ問わず各ダンジョンには適正レベルが設定されており、それを下回る場合にはレベル上昇スピードが上がり、上回る場合にはスピードが下がるようになっている。これにより、レベル上げによる時間食いが殆どなく、ダンジョンの攻略そのものに重点を置いてプレイする事が出来るようになっている。また、バトル要素もそれに伴い、レベルや能力値よりもパズル的ロジックが重視されており、考えなしに強い魔法や攻撃を打つだけでは全く歯が立たなくなっている。相手の属性・能力、パーティが持つ特性、攻撃速度など様々な要素を絡めながら、上手く相手の弱点と攻撃順序を見つけていくことで初めて攻略する事が出来る。これによりそれまでのレベル上げや入手装備など外面的要素によるところの大きかったRPGのバトルがぐっと深みを増し、歯ごたえのある出来となっている。
個人的に、今作に於いて一番良く出来ているな、と思ったのがこのバトル要素で、これ程までにロールプレイングの戦闘を楽しく思ったのは本当に久しぶり。育成の楽しさもあいまって、クリア後もあちこちのサブダンジョンを巡ったりなど、この改良のお陰で非常に幅広く楽しむことが出来た。
そして、最後に印象に残っているのが、音楽。それまで坂口氏とタッグを組みファイナルファンタジーシリーズの音楽を製作していた植松伸夫氏がメインで楽曲を製作しており、こちらも非常に完成度が高い。フィールド、バトルなどは主にクラシックを基調としつつも、ゲームミュージックらしい盛り上がりの良い出来で、それとなく気分を高揚させてくれるものになっているほか、一風変わった音楽性を持ち寄って作られた楽曲などもあり、きわめて多彩。中でも終盤のボス戦闘曲は、ゲームミュージック史に残る珍曲・名曲に仕上がっている。
悪かった点
メインキャラクターのボイスの演技に違和感がある。問題があるのは主に不死者たち、カイム・アラゴナー(豊川悦治)、サラ・シスラート(上原多香子)、セス・バルモア(久世星佳)、ミン・ヌマラ(奥貫薫)の四名で、彼らは本業声優ではなく、俳優など他畑の出身であるため、今一つ演技がキャラクターとリンクしていない。声そのものに限ればナイスチョイスだと思うし、単なるネームバリューによる起用でないことはよく分かるのだが、なまじサブキャラクターが本業声優で気持ちが良いために非常に浮いている。(ただ、ヤンセン・フリート役の豊原功補氏などは俳優の割になかなかハマリ役だったので、一概に本業声優以外がダメというわけではかった)
加えて、エンディングがいささか軽く、それまで徹底されていた映画的演出や世界観と比べるとどうにも違和感がある。
不死者たちがいるべき本来の世界とは? 魔導力の本質、その力の在るべき姿とは? 不死者はこの千年を区切りとして、どのように生きていくべきなのか? 千年の時を生きた不死者たちの、生概念の解釈とは? ……悪が善によって打ち砕かれるという形だけでなく、もっと様々な課題がストーリー内で提起されていたはず。形の上では終結されたが深みがなく、スタッフロールを眺めながらううむと考えさせられるような余韻を与えられるな出来には至っていない。シナリオ主導型ロールプレイングとしては、他の要素は文句のつけどころがないように思われるほどによく出来ているために、このエンディングは正直言って拍子抜けだった。
それから、ストーリーに大きく関わる世界観説明やシナリオをサブダンジョンに入れ込むのはあまりよろしくないと思った。特に、悪の象徴であるガンガラが世界征服を企み実行するまでの手記や記録を、サブダンジョンに投げ打ってあるのはお世辞にも褒められたものではない。これを見るかどうかで悪側に対しての解釈が大きく変わるし、ガンガラの悪者ぶりが漠然とした、今一つはっきりしないものになってしまう。旧時代のRPGを踏襲した作りになっているのにもかかわらずどうにもシナリオ構成の面で粗が見えたのは残念だった。
総評
シナリオ演出、音楽、ゲーム性、映像美の4つが揃った秀作に仕上がっており、それまでのロールプレイングゲームの主流であったシナリオ主導型RPGの一つの完成形だと言って良い。
終盤のシナリオや声の演出などで若干のけちがつくものの、00年代以降のロールプレイングゲームを語る上では欠かせないであろう出来で、ロールプレイング・ファンであるならすべからくプレイすべき。
Xbox360というマイナーハード独占のゲームではあるが、最近では本体価格も20000円を切り、ソフトウェアも2000円台から購入できるため、興味があれば是非購入を検討して欲しい(露骨な宣伝)
ミストウォーカーの坂口博信氏が
XBOX360に送り込んだ大作RPGです。
「ブルードラゴン」と今作で、
360は大幅に本体販売数を伸ばしました。
最近でも、
「テイルズオブヴェスペリア」
「インフィニットアンディスカバリー」
「ラストレムナント」で、
順調に販売数を伸ばしていると思います。
「スターオーシャン4」も控えていますし、
まだまだ売れそうですね。
旧XBOXは
大幅な値下げ策を施し続けても全く売れませんでしたから、
日本でゲーム機を売るには、
やっぱりRPGなんだな、と、改めて思いますね。
ま、それはそれとして、
ロストオデッセイは360を代表するRPGの1つということで、
非常に王道なRPGらしいです。
「らしい」と言うのは、
筆者がこれ以前にプレイした最も新しいRPGは、
PS版のドラクエIVで、
それ以前となると
PCエンジンの天外魔境IIまでさかのぼらなければならないほど、
RPG離れが激しいからです。
最近のRPGがどういう傾向にあるのかなんて
まったく判りません。
ま、そんな筆者でも本作はなかなか楽しめましたので、
RPGファンにはたまらない内容なんだと思います。
ストーリー重視なためムービーシーンが多く、
戦闘時の読み込みも長いので、
全体的にテンポが悪いのが欠点ですね。
それ自体は慣れればそう気になるものでもないのですが、
セーブポイントが少ないため、
ダレやすいけどやめたい時にやめられない、
というのが大きなマイナスポイントでした。
それでも、
トレーティングカードゲームのデッキ構築のように、
限られた数の中で効率的なものを
自由に選んでセットするスキルシステム楽しく、
戦闘は、テンポが悪いながらも結構楽しめます。
メインのシナリオもなかなか楽しめますし、
謎解きも簡単すぎず難しすぎずで、
それだけでも十分合格点なのですが、
何といっても、 ゲーム中に挿入されるサウンドノベル
「千年の夢」が秀逸です。
ゲームの主人公、カイム不老不死の肉体を持っており、
1000年という長い時を生きてきました。
今は記憶喪失になっており、
なぜ不老不死なのか、
どんな人生を歩んできたのか、
それらは序盤は判らないのですが、
旅を続けていると、ふと、昔の記憶が蘇ることがあります。
これが「千年の夢」というサウンドノベルで語られるのですが、
そのノベルを手がけたのは、直木賞作家の重松清氏。
1000年という長い時を生きてきた
カイムの虚しさ、悲しさ、そして時にうれしさ、が、見事に描かれており、
1作1作、涙無しに読むことができません。
出版もされており、
重松清氏のファンの方からも最高傑作と評さえることも多い、至宝の1作なのです。
もともと筆者はカードゲームとサウンドノベルは大好きなので、
今作はRPGながらも
なかなかツボにはまった作品となったわけです。
と、言うわけで、
今作は、戦闘、ストーリー、そしてサウンドノベル、
それぞれが非常によく出来ているのですが、
よく出来ているがゆえに、
各々の要素が見事にケンカしている気がしてなりません。
戦闘を楽しんでいると
ムービーシーンによるストーリー展開が割り込み、
謎解きをしていると戦闘が邪魔くさくなり、
街を出て冒険に出ようと意気込んでいると
千年の夢が始まる……なんだか終始こんな風で、
いまいち歯車がかみ合っていない感じです。
ま、そういうものだと割り切って遊べば、
あんまり気にならないかとも思います。
「テイルズ〜」や「ラストレムナント」で360を買った人は、
とりあえずこれと「ブルードラゴン」は
やっておいて損はないと思うので、
クリアしたらぜひどうぞ。
決定ボタンをAボタンかBボタン好きな方に設定できるのも、
何気に新しいですし。
超が付く程の王道RPG。
目新しさは全く無いが、
坂口氏らしい生死がテーマのシナリオ。
植松氏らしい記憶に残るゲームミュージック。
これだけでも遊ぶ価値はあるでしょう。
井上氏のキャラデザは、個性が強すぎるのもあり、
慣れるのに時間はかかったが、魅力は十分あると思った。
戦闘は属性の概念の強さと、GCシステム(※)があり、
コマンド戦闘の割には思考要素が強い。
レベルが強制的に調整されるため、
雑魚戦から常に油断の出来ない状態が続くし、
ボス戦が緊張感あるものになっているのも良いかと思う。
エンカウント低めで、1戦闘長めといった感じ。
ロードがとてつもなく長いのが大きなマイナス点だが、
今後、360アップデートで改善されそうなので点数には反映せず。
千年の夢は話自体は面白いのだが、
ゲーム中断して読むような形になるのでテンポが悪くなるのが残念。
読まないとキャラクターの過去が分からないのも少々厳しいところ。
360RPGの中では、オブリビオンと並んで最もオススメなRPGです。
※GCシステム
前列に配置された仲間が背後にいる仲間を守るというシステム
タイトルこそロストオデッセイだけど、
中身は、まんま「ファイナルファンタジー」である
ただ、キャラが好き嫌いがハッキリわかれそう
私は嫌いである、、
キャラデザインを野村さんにしてくれれば
なんの文句のつけどこがなかったのに。
序盤は、最初のボスなど難易度が高めに
設定されているのかと思いきや
地道にレベル上げしていくうちに
普通に進めれるようになる。
育てる要素が充実していて
本編そっちのけで、スキルを上げたくなるほど
熱中度は高め!音楽もいいし画像きれいなんだけど
いかんせんロードが長め・・ Xbox 360は、
ハードディスクにキャッシュを読み込ませ
ロード関係はピカイチに早いのに
こんな所で手を抜いたかな??って感じ
まっ。ロードもやってくうちに慣れるけど
最近はアマゾンなどでも破格の値引き価格で
販売されているので、4枚組なのに新品3980円なら
かなりお買い得です。今時、壮大な感じが体験できる
RPGは坂口さんくらいです。
自分が好きなRPGは初代・幻想水滸伝(PS)や、
クロノトリガー(SFC)と、割とサクサクした感じのものが
好きです。なので、ロストオデッセイは遊ぶべきでは
なかったのかも知れません。
ストーリーは良いです。まだ全部クリアしていませんが、
ところどころ差し込まれる短編の内容は好きです。
(文字が動く演出がちょっと安っぽい気がしましたケド)
ゲームとしての面は、戦闘ごとのロード時間…
コマンド入力スタンバイまでの時間がどうしても
長くて、ストレスたまります。テンポが良くないなぁ、と。
ワイングラスを片手にゆったり遊ぶのが正しいのかも知れません。
自分のようなせっかちサラリーマンにはキビシイです。
あと、苦言を呈すと、、、絵は異常に綺麗なんだけど、
モーションがあらかじめ用意されたものばかりで。
不自然に思うことが多いです。
海外ゲームなどを見ると、プロシージャル(演算による
動的な絵の生成)だったり、物理演算による演出が当たり前の
ように使われていて、結果、自然に見えるものが多いです。
ゲームらしくデフォルメするのも良いんですが、絵だけリアル
なのに挙動が追いついてないってのはやっぱりおかしい。
ソッチを目指すなら取り入れて欲しいところ。
戦闘の駆け引きも、自分にはイマイチに思いました。
タイミングよく右トリガを引くとダメージが増加する仕組みも
良し悪しとは思うけど、ちょっとめんどくさい。
結論としては、次世代なのは絵の描き込み、解像度の高さ
だけでした。技術的にもう一歩、前に進んで欲しかったなぁ、
という感じの作品です。
クロスレビュー