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『ヨグ=ソトースの庭』クトゥルフ神話モチーフのホテル経営SLGx恋愛ADVのストーリーのもとになったのはスタッフが見た夢。退路を立たれたプロジェクトで起死回生の大ヒットに【BitSummit2026】

『ヨグ=ソトースの庭』クトゥルフ神話モチーフのホテル経営SLGx恋愛ADVのストーリーのもとになったのはスタッフが見た夢。退路を立たれたプロジェクトで起死回生の大ヒットに【BitSummit2026】
 2026年5月22日~24日にかけて、京都・みやこめっせで開催されている日本最大級のインディーゲームの祭典“BitSummit PUNCH”(ビットサミット パンチ)。
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 都合6タイトルの試遊ができた松竹ブースにて、ひときわ目を引いたのが2026年7月23日にNintendo Switch版の発売を控えた『ヨグ=ソトースの庭』。クトゥルフ神話をモチーフにしている本作は、死神、ドラゴン、斬霊師、人造メイドといった“人外美少女”のスタッフとともに負債したホテルを運営していく経営シミュレーション×恋愛アドベンチャーゲームだ。

 2023年10月にSteamにて中国語版、英語版が発売されるや好評を博したのを受けて、日本では満を持してNintendo Switch版が7月23日に発売されることになった(Steam版も日本語対応予定)。パッケージ版も発売されるとのことなので、力の入りぶりもうかがえるというものだ。

 今回BitSummitにあわせて来日したBone Nailのスタッフの方にお話をうかがう機会を得たので、その模様をお届けしよう。

クトゥルフ神話と日本文化を基本の要素に

――まずは、Bone Nailがどんな会社なのか教えてください。

Bone Nail
 オンラインゲームをプレイしていた友だちで立ち上げたインディースタジオです。最初は3人で立ち上げたのですが、最近少し増員していまして、いまは9人在籍しています。あと立ち上げ時から大切なスタッフとして猫がいます。

――猫ですか?

Bone Nail
 はい。6匹の猫がいます。スタッフが猫好きが多いということもあって、開発時の気持ちを維持させるには欠かせない存在です。大切なパートナーである猫たちは、現在はチームメンバーの自宅で暮らす形で飼育しています……。

 「自分たちならではの独自のスタイルを持ったゲームを作っていこう」という会社ですね。
Bone Nailの大切なスタッフである猫ちゃんたち。左から61、Haru、吐司。
――本作は、クトゥルフ神話をモチーフにしたホテル経営シミュレーションxアドベンチャーゲームとのことですが、本作が生まれた経緯を教えてください。

Bone Nail
 最初のきっかけは主要メンバーのひとりがおもしろい夢を見たことに始まります。世界観やストーリーがきっちりと完成していた夢で、すぐに「ゲーム化をしよう!」ということになったんですね。“夢”という要素がアイデアの原点でしたので、私たちは“怪物の夢”をベースにして、その後のシリーズ作品へとつながる世界観の枠組みを構築していきました。
『ヨグ=ソトースの庭』クトゥルフ神話モチーフのホテル経営SLGx恋愛ADVのストーリーのもとになったのはスタッフが見た夢。退路を立たれたプロジェクトで起死回生の大ヒットに【BitSummit2026】
――夢とはユニークですね。

Bone Nail
 最初の段階から、スタッフが好きなクトゥルフ神話をモチーフにしようというのは決めていました。

 もうひとつの核心的な要素は、世界中で流行している“二次元(アニメ風)”のアートスタイルです。私たちはみんな、そうした現代のアニメーション美学に深い影響を受けていたので、クトゥルフ神話と“この独特な美術表現”をベースの要素にしようということになったんです。アドベンチャーゲームに、もうひとつ別のゲーム性を融合させようという発想も最初からありました。

 あとは日本の二次元文化。私たちはみんな日本の文化に影響を受けていたので、クトゥルフ神話と日本文化というのは、基本の要素にしようということになったんです。アドベンチャーゲームにもうひとつ要素を追加しようという発想も最初からありました。

 それで、1作目として2023年4月にリリースした『
苍白花树繁茂之时Blood Flowers』(日本語対応)です。アドベンチャーと謎解きの一作になります。で、2作目として取り掛かったのが、『ヨグ=ソトースの庭』になります。
 アドベンチャーにホテル経営シミュレーション要素が加わったのは、スタッフ間で好きなゲームのジャンルを選んでいったらこうなった感じです。いろいろと議論を重ねた結果、これで行こうと。

 ちなみに2024年10月にリリースした3作目の『
見習い死神シミュレーター』(日本語対応)は、こちらもアドベンチャーにシミュレーション要素を加えた一作になります。同じシミュレーションではありますが、3作目はライフスタイルをモチーフにしたタイトルですね。
――それにしてもクトゥルフ神話とホテル経営という取り合わせはユニークですね。

Bone Nail
 正直な話、1作目の『苍白花树繁茂之时Blood Flowers』の売れ行きがあまりよくなくて、2作目に関しては、「なんとかしなければ」という気持ちが強かったんですね。そこでいろいろと試行錯誤した結果、アドベンチャーとホテル経営シミュレーションの組み合わせはいままであまり見たことがないのでは、ということで決めました。どうなるか予想がつかなかったのですが、「まずはやってみようか」ということになったんですね。

――それが吉と出たということですね。アドベンチャーとホテル経営シミュレーションを組み合わせるうえで苦労したポイントなどはありますか?

Bone Nail
 技術的な課題はあまりなかったのですが、パラメーター調整がたいへんでした。本作には、複数の素材を消費して新たなアイテムを生み出す錬金システムがあるのですが、リリースした当初はけっこうバグがあったんですね。まあ、そのバグも「けっこう好き」と言ってくださるユーザーさんもいらっしゃったのですが……。

 そのため、ゲーム体験に支障がないと判断した後は、進行に影響を及ぼさない一部のバグについては、あえて修正せずにそのまま残すという選択をしました。
『ヨグ=ソトースの庭』クトゥルフ神話モチーフのホテル経営SLGx恋愛ADVのストーリーのもとになったのはスタッフが見た夢。退路を立たれたプロジェクトで起死回生の大ヒットに【BitSummit2026】
――1作目から2作目の発売まであまり間が空いていませんが、開発はかなりなスピード感で進めたようですね。

Bone Nail
 企画から制作を含め、開発全体にはかなりの時間を費やしましたね。けっこう残業しました(笑)。最初のタイトルの売り上げがそんなによくなかったので、食べていくためにもがんばりました。

――本作で日本のゲームファンにとくに注目してもらいたいポイントを教えてください。

Bone Nail
 本作は“アニメ風”の色彩が非常に濃い作品ですので、日本のゲームファンからどのようなフィードバックをいただけるか、とても楽しみにしています。“アドベンチャー×ホテル経営シミュレーション”というゲーム性が、日本のプレイヤーにどこまで受け入れられるかも気になるところです。

 じつはリリース初期、膨大なテキスト量に対して予算と時間が不足していたため、すぐに日本語翻訳を実装することができず、非常に心残りでした。しかし、SNSを通じて多くの日本のプレイヤーから、作品への愛と熱意がこもったメッセージをいただきました。それがモチベーションとなり、前向きに日本語翻訳の実装を進める大きな原動力となりました。本当に感謝しています。

 キャラクターを大事にしているタイトルなので、キャラクターを好きになってもらえるとうれしいです!

 また、本作にはさまざまなこだわりの演出やちょっとした工夫も盛り込んでいますので、皆さんがどのような反応をしてくださるか楽しみにしています。シリアスなシーンだけではなくて、日常パートやキャラクターどうしの掛け合いもあるので、楽しみにしていただきたいです。

 あと、お伝えしておきたいことは、本作はクトゥルフ神話をモチーフにしているとは言え、ご存じでない方も楽しめるようになっているということです。
『ヨグ=ソトースの庭』クトゥルフ神話モチーフのホテル経営SLGx恋愛ADVのストーリーのもとになったのはスタッフが見た夢。退路を立たれたプロジェクトで起死回生の大ヒットに【BitSummit2026】
――2023年に発売されたSteam版に対する印象的なフィードバックがありましたら教えてください。

Bone Nail
 うれしいことに、1000時間プレイしてくださったユーザーさんもいました。このゲームは1周だいたい20時間から40時間なのですが、それ以上の時間をかけてじっくりと楽しんでくださる方も多いようです。本作を細かく分析して楽しんでくださっているユーザーさんが多いのは印象的でした。

 あと、さきほど触れたこだわりの要素以外にも、本作にはたくさんのネタを仕込んでいます。ちょっとした隠し要素ですね。それを見つけ出していただければうれしいです。ちなみに、ゲームのチュートリアルの部分にルーン文字が入れ込んであるのですが、そのルーン文字を翻訳してサイトで公開してくださっているユーザーさんもいましたね。

 あるユーザーさんは切り絵を勉強してくださって、4人のキャラクターの切り絵を作ってくれて開発チームにプレゼントしてくれました。それもすごく感動しました。

――熱心なファンの方が多いということですね。ちなみに1作目は売れなかったとのことですが、『ヨグ=ソトースの庭』は累計50万本以上の販売本数とのことですね。

Bone Nail
 はい。自分たちで作ったゲームが認められたことは、やはり素直にうれしいです。あと、ホッとしたというのもあります。「これからまだがんばっていけるんだ」という気持ちが湧いてきました。この作品が売れなかったら、チームの存続はきびしかったかもしれません。

――Switch版が発売されることに対する感想を教えてください。

Bone Nail
 初めてSwitch版を作れるということで、興奮してうれしかったです。チームメンバーたちはかなりゲームが好きで、Switchのすばらしいタイトルもたくさんプレイしていて、自分たちが作ったゲームがその仲間入りを果たせるというのは、言葉では言い表せないくらいの興奮感というか、うれしさがあります。

 それが、パッケージ版ともなると、うれしさはひときわです。コレクションしてもらえたりして、皆さんのお手元においていただけるというのがいちばんうれしいですね。

――最後に日本のゲームファンにメッセージをお願いします。

Bone Nail
 この世界でゲームの楽しさを存分に味わってみてください。
『ヨグ=ソトースの庭』クトゥルフ神話モチーフのホテル経営SLGx恋愛ADVのストーリーのもとになったのはスタッフが見た夢。退路を立たれたプロジェクトで起死回生の大ヒットに【BitSummit2026】

世界観やナラティブ、そしてキャラクターが魅力的

 取材に同席していたプロデューサー京井勇樹氏に、松竹がなぜ本作を手掛けることにしたのかをうかがってみると……。

 「本作は、世界観やナラティブ、そしてキャラクターが魅力的だと思っています。松竹ゲームズでは、ヒットしたゲームのクロスメディア展開も戦略として考えていまして、中国でもコアなファン、熱心なファンがいる本作に対して、いろいろな展開ができそうだと期待したところもあります。それでパブリッシングをさせていただきました。

 今回Switch版をリリースしますが、キャラクターグッズはすでに販売したりしています。そういったマーチャンダイジングの展開なども含め、今後イベントなど、いろいろな展開を検討していきたいです。

 シリアスなストーリーでありながら、かわいいキャラクターというふたつのよさは日本のゲームユーザーの皆さんにも受け入れていただきやすいかと思っているので、日本でも熱心なファンに支持していただけたらと期待しています」
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