22歳で新社会人になったあなたへ、同窓会の案内状が届いたとする。会場は中学校の校舎。出席してみると、校舎は改修され、そこには当時の学友たちが。さて、どんな気持ちになるだろうか。



そんな同窓会の感覚を味わえたのが、この体験会である。
ネクソンが提供するPC(Steam)向け新作FPS『サドンアタック ゼロポイント』(SUDDEN ATTACK ZERO POINT)。2026年7月3日にメディアやプレイヤー20名を招待した日本最速体験会が開催された。
往年の人気FPS『サドンアタック』が銃器カスタマイズ機能や最大200FPS対応など、最新要素を引っさげて帰ってきた。これはもう同窓会である。普段は“身内ノリ”や“懐古厨”といった印象を持たれない執筆を心掛けている筆者だが、この記事は懐古に全振りしてしまう点を許してほしい。
重ねて、ゲーム画面は開発中のバージョンのものとなるため、正式リリース版とは異なる可能性がある点もご了承いただきたい。

ベースの部分は『サドンアタック』のままだった。

熟練スナイパー同士の人間離れした撃ち合いや組体操(ブーストやトーテムとも言われる)で障害物を飛び越える光景がまた見られるとは思っていなかった。


かつてオフラインイベントで何度も取材させてもらったトッププレイヤーたちが集結。あまりに懐かしさがあふれるイベントだった。
実際に触れてみて、イベントを見学して、ふと思った。複雑なスキルを覚えなくてもいいし、1戦は数分で決着。グラフィックは時代に合わせてきれいになっている。寝る前にチームデスマッチを3戦だけやるとか、セカンドゲームとしてかなり期待値が高いのでは?
伝統は伝説へ、新作なのに“あのころ”のまま
プロデューサーによる『サドンアタック ゼロポイント』プレゼン
まずは本作『サドンアタック ゼロポイント』の概要解説。日本最速体験会のステージに登壇した開発プロデューサー、キム・テヒョン氏のプレゼンをお届けする。

Nexon Games『サドンアタック ゼロポイント』開発プロデューサー キム・テヒョン氏。
本作は2007年~2019年9月に日本でサービスが展開されたFPS『サドンアタック』のリマスタータイトル。単なるリバイバルではなく、刷新したタイトルとして世に送り出される。長年の運営において受け継ぐべきポイントは本作にも継承。伝統を守りつつ、刷新された部分も伝わっていくような展開を目指しているという。
『サドンアタック ゼロポイント』では過去に使用していた物理エンジンを採用しつつ、さらに技術開発を重ねてワイド解像度や安定化、最大200FPS対応など、新グラフィック表現を実装。にも関わらずグラフィックは軽快に描画され、10年前のPCでも快適に動作する快適化も実現した。

1行のスローガン“LEGACYからLEGENDへ”に、強い熱望が込められている。

最新のエンジンでは『サドンアタック』本来のおもしろさやプレイフィールが引き出しきれず、既存エンジンの採用を決定したとのこと。
プレイフィールはそのままに、マップは改善しつつも過去作のものを再現。過去作のプレイヤーは経験を活かせる。グラフィック面ではマップ以外にも、シリーズ伝統のキャラクターのグラフィックを刷新。キャラスキンやエモーションも開発を継続し、個性を出せるように取り組んでいくという。


『サドンアタック』本来の直感的なおもしろさを最新の仕様下で実現。過去の大会で数々の名勝負を生んできたマップも再現されている。

『サドンアタック』に登場していたキャラクターに加えて、新キャラも登場。
新要素としては、FPSにおいてもっとも重要な要素と考えた武器のカスタマイズ機能を導入。プレイヤーそれぞれが自由に武器パーツをセット可能。サービス開始の時点で、約4000個のカスタマイズパーツが用意される予定だ。

豊富なパーツで、性能と外観を好みにカスタマイズできる。
遊び心地はまさに『サドンアタック』
実際にプレイしてみると、プレゼン通りの、いやそれ以上に『サドンアタック』だった。昨今のFPSは“ヒーローシューター”などと呼ばれるジャンルが人気だ。キャラ固有のスキル&ウルトを使いこなし、ローリングやショートダッシュでスピーディーに立ち回る。エリア収縮があるタイトルでは運も重要だ。
『サドンアタック ゼロポイント』にはこれらがない。だからこそFPSとしてシンプルにおもしろいのだと思う。ヒーローシューターでは全キャラのスキルを覚えたほうが活躍しやすく、それをハードルに感じる人もいるだろう。そういう意味では、“とても簡単な”ゲームとも言える。ずっと対戦をくり返していたあのころの感覚が自然と甦ってくるようだ。

ダッシュがないから移動速度のいちばん早いナイフに持ち替える。そうそう、いつもこうだった。

緊急回避や一発逆転の大技はない。それらはプレイヤー自身のプレイスキルで実現するのだ。
最初は新作だという感覚だった。プレイ開始前の準備段階では、最新作らしいグラフィックと滑らかさ、新要素である武器カスタマイズの豊富さに「これは最新作なんだ」という感想を抱いた。
とくに武器カスタマイズは幅が広く、メインウェポンとなるアサルトライフル、スナイパーライフル、サブマシンガンの3種だけでなく、サブウェポンのハンドガンや短銃身ショットガンにも豊富に用意されていた。リコイル(反動)や機動力など、プレイに大きく影響しそう。


キャラクターのグラフィックも刷新。軍人のお姉さんは筆者的にマイキャラ確定ということで。


武器のカスタマイズが非常におもしろく、同時に悩ましい。パーツを集めるコレクション要素も楽しめそうだ。
長く運営された『サドンアタック』と言えども、7年ぶりとなると完全に新作なのだなと、当然のように受け入れた筆者。ところがいざ対戦が始まると、その悠長な考えが吹き飛ぶことになる。

『サドンアタック』だこれ。
スタート地点に降り立った瞬間、ものすごい勢いで押し寄せてくる懐かしさ。これ新作とかウソでしょう。もちろんいい意味で。
開始するとさらに困惑。ぬるぬるとスムーズに動くキャラクターも建物などの風景のグラフィックも現代的に描かれており、思考が令和に引き戻される。なにこれ、旧作なの? 新作なの?


グラフィックが刷新されていても、『サドンアタック』のマップであるとすぐにわかる。
操作してみると「やっぱり『サドンアタック』だ」という意識はさらに強くなる。キャラの挙動や銃を構える感覚を体が覚えていた。昔のFPSならではの、単純明快な操作ながら緊張感がすさまじい、あの感覚がよみがえる。
それでいて画面やモーションは最新のグラフィックで非常に滑らか。『サドンアタック』経験者からすれば、過去作をそのままワイド画面にし、遊びやすくしてもらった感覚だ。

画面が4:3からワイド画面に変わったことで振り向きの感覚が少し異なるくらいで、プレイ感覚はあのころのFPSそのもの。
プレイ感覚が同じというのは、比喩でもなんでもなく、そのままの意味だ。近年のゲームに慣れていた筆者の体にとっては、むしろこれが新鮮。
どの銃でも連射すれば弾道がブレていくが、初弾はほぼレティクル(照準)の真ん中に飛んでいくのが昔のFPSの伝統的仕様。出会い頭にこの正確な初弾を頭(銃器の威力によっては胴体でもOK)に叩き込めるかどうかで、遭遇戦の流れがほぼ決まる。緊張感がいかほどか、言うまでもないだろう。吐きそうなレベルだが、これが自然と笑えてくるくらいに楽しい。

アーマーや緊急回避がない以上、出会い頭の遭遇戦の選択肢はシンプルだ。先に撃つか、撃たれないように隠れる。
覚えることが少ないため、触ってすぐに緊迫した戦いを楽しめるのは、こういったストロングスタイルの対戦FPSのいいところ。とはいえ、もちろん覚えておいた方が有利なこともある。本作のメインとなる“爆弾解除”は、AとBの2地点いずれかへの時限爆弾の設置と解除を巡る5対5の対戦モードだ。このAB両地点で、防衛側が特定のポイントに陣取ると圧倒的に有利なのだ。これくらいである。

防衛側が有利なのはFPSあるあるだし、強ポジを押さえたほうが強いというのはお作法みたいなもの。爆弾を設置するときの緊張感も当時のまま。
1戦、また1戦と対戦を続ける中で「そういえばこの通路は守る側がめちゃくちゃ有利だった」などと自然に思い出せた。一部の隙間が修正されているなど、細かな部分にアップデートも入っている模様で、研究し直す楽しみもありそう。
世に出てから約20年目のマップで、新たな研究というのもとんでもない話だ。新作なのに。

マップごとに定石となる防衛ポイントがあり、そこをどう突破するかが課題。
参加メディアは2チームに分かれ、それぞれがDiscordで通話しながらのプレイ。「A行きます」、「こちらはBに」など当時そのままのやり取りをしながら、ナイフを持って移動。ナイフを振りながら移動している仲間もいる。
そして通路の曲がり角でのクリアリングや待ち伏せ、ボムの決め投げ。数回プレイすれば、そのポイントで遭遇戦が起きやすいと自然と体が反応する。完全に“あのころ”のFPSだ。

マップの広さからしても即座に接敵するので、気が緩む時間はない。
懐かしさと新しさが押し寄せてくるプレイを終えて確認してみると、爆弾解除モードでも1マッチでかかった時間は8分くらい。短時間なのにプレイ体験は濃密だ。
ウルトやスキルといった逆転要素がないから、相手の行動パターンを絞り込みやすい。どこでミスがあったのか、あそこでこうすればよかったなどの反省点がわかりやすく浮き彫りになる。このシンプルさが「もう一回、今度こそ」につながるのだ。

つぎにどうすればいいのか、経験で強くなれるのがおもしろい。1戦のコンパクトさはリピートしやすさに拍車をかける。
同窓会となった体験会で神業ふたたび
メディア先行体験会に続き、会場では20名のプレイヤーを招いての日本最速体験会が実施された。招待されたのは、元NabD、元Kmn-Gaming、元iZoNe……と、まさに“あのころ”の『サドンアタック』プレイヤーたち。MCと解説者もまた、何度も取材したおなじみの面々だった。

左から、OooDa氏、まりぽ氏、yukishiro氏。ネクソン運営のFPSの実況・解説と言えばOooDa&yukishiroである。
会場では「久しぶり!」「え、あいつ来てるの?」など、親しげな歓談が絶えなかった。『サドンアタック』日本サービス終了から7年。懐かしい再会も多かったことだろう。
記事冒頭で触れたとおり、韓国での『サドンアタック』誕生から20年あまり、サービス終了から7年ぶりとなると、新社会人や新成人の中学校同窓会とほぼ同じ時間感覚になるわけだ。

いちばん乗りしたREJECTのYamatoN氏は、「あ、もう触っていいんですか?」とすぐに会場奥のプレイ席へ。あまり『サドンアタック』のイメージはないが、大会の審判をやっていたそうだ。





体験会では、参加プレイヤーが5名ずつの4チームに分かれてトーナメント戦が行なわれた。本格的な対戦に入る前の準備時点で「カスタマイズだと機動力が重要じゃない?」などと、新要素を鋭く分析している猛者がいた。さすがのひと言。
とはいえ会場はアットホームな雰囲気。観客席からは試合を終えたプレイヤーたちからの声援が上がり、ときには「相手ハンショ!(1発銃弾が当たっている状態)」のようなアドバイスも飛び交う。大会などでやったらだめだが、こういうイベントならセーフ(たぶん)。


Kmn-Gamingはトーナメント初戦敗退。声出しでイベントを盛り上げたのでプラマイゼロ。


“第3補給倉庫”や“プロバンス”といったマップ名やスタート地点を見ただけでも、会場が盛り上がる。
7年ぶりということでブランクがあったものの、対戦内容は非常にハイレベル。7年前の『サドンアタック』公式大会の、洗練され続けて極まった決勝戦の記憶が鮮明に甦る。
最初に衝撃を覚えたのは、スナイパー同士の対決シーンだ。昔の『サドンアタック』大会では、1チームでスナイパーライフルは2丁までという制限のもと、勝敗を決する重要なポジションとして狙撃を得意とするプレイヤーが大活躍。当時の大会そのままの風景がそこにあった。

狙撃のテクニックに会場から感嘆の声が挙がる。なぜあんな一瞬のスコープ照準で、ほぼ百発百中になるのだろうか。

有利ポジションへの流れるような防衛配置など、ずっとプレイしていた現役勢なのではと思える動きも。
そして、当時の“定石”をまた見られて興奮した。当たり前のようにやっているが、よくよく考えると奇妙な戦術。通気ダクトからの奇襲や予想したうえでの迎撃は比較的ふつうとして、『サドンアタック』と言えば味方キャラクターに乗って(足場にして)より高いところに登る移動テクニックである。久しぶりに垣間見た奇策に、つい声を上げてしまった。

味方同士でも衝突判定があるため、こうした組体操のようなことが可能。グラフィックが刷新されても変わっていないのだ。


建物の向こうにある進軍ルートへと、ボムを投げる“空爆”の構え。実況席と会場が大いに盛り上がった。
かつての著名プレイヤーたちの神業は健在。本作がまさに『サドンアタック』の生まれ変わりだと確信できた。正直なところ、ここまで過去作と近い感覚だったのは驚きだ。かといって古くさいわけではなく、いまプレイしてもおもしろかったので安心。
開発エンジンが昔と同じとは思えないくらいに美麗なグラフィック表現でありながら、プレイしてみると20年来の『サドンアタック』そのもの。この挑戦的なプレイ感覚が今後どのようにプレイヤーに受け入れられていくのか、そして今作でも公式大会でさらに進化した神業が見られるのかと、期待は高まるばかりだ。
2026年7月9日(木)から13日(月)にかけて、本作の最終クローズドベータテストが開催される。こちらでの各プレイヤーの反応や感想にも、ぜひ注目していきたい。

このシンプルなFPSが、いまはむしろ新鮮に感じる。過去作を知らない新規プレイヤーの反応もぜひ見てみたい。