「本格的にゲームを楽しみたい」「クリエイティブ作業の効率を上げたい」といった目的でゲーミングPCの購入を考えている方も多いのではないでしょうか?

 一口にゲーミングPCと言っても価格や構成はさまざまです。しっかりとしたスペックのPCであれば快適にゲームを遊べるのはもちろん、本格的なゲーム配信、動画編集などのクリエイティブ用途でも活躍してくれます。

 一方、コンシューマーゲーム機と違って各メーカーから多様なPCが販売されているので、「スペックの違いが判断できない」「どのぐらいの価格の製品を買えばいいかわからない」「最新のCPUやグラボ事情がよくわからない」といったギモンもあるでしょう。

 この記事では基本的なパーツ構成や現在のトレンド、製品購入の際に気を付けたいことなどをなるべく分かりやすく解説していきます。読者諸氏の楽しいPCゲーム生活の導入になれば幸いです。

※マウスコンピューターの提供でお届けします。
※記事情報は執筆時点(2024年2月)のものです。

ゲーミングPC、たとえばこんな感じ

ゲーミングPCはなにがおすすめ? 初心者向けにスペックや選び方を丁寧に解説withマウスコンピューター

 解説に入る前に、現在購入できるゲーミングPCの代表例を挙げてみましょう。マウスコンピューターの“NEXTGEAR JG-A7G70”(ホワイトカラーモデル)です。本稿の商材でもあります(笑)。

 同シリーズの製品はコストパフォーマンスの高さがウリで、これからゲーミングPCに触れるという人には魅力的な選択肢でしょう。

 CPUに“Ryzen 7 5700X”、GPUに“GeForce RTX 4070”を採用。CPUは1世代前のハイエンド製品で、いまとなってはそこそこの性能ですが、GPUは最新世代の強力な製品を搭載しています。

 メモリは最低限の16GB(DDR4-3200)。ストレージは1TB SSD(NVMe)でややデータ保存容量が多めなのがうれしいところ。価格は20万2500円[税込]から。できるところはコストダウンしつつPCゲームの快適さに特化したPCと言えるでしょう。

NEXTGEAR JG-A7G70(ホワイトカラーモデル)

 「ちょうどよさそうなのはわかったけど。いきなりスペックの話をするのはヤメて!」という声が聞こえてきそうな気がします。

 安心してください。以降で超丁寧に解説致します!

大事なパーツはCPU、GPU、メモリ、ストレージ

20240228092315

 ゲーミングPCのスペックについて語る際、必ずと言っていいほど言及されるのがCPUとGPUです

 このふたつのパーツがゲーミングPCの大まかな性能を決定づける。ということだけ覚えてください。

 また、両者に次いで重要なパーツがメインメモリ(メモリ)とストレージです。メモリはPCの作業効率、ストレージはデータの保存容量や読み込み・書き込み速度に影響します。PCのスペックを確認するときは、ひとまずこの4つの項目を見てみるといいでしょう。

CPUは頭脳。コア数と動作周波数の掛け合わせで性能が決まる

20240228092319

 CPU(Central Processing Unit)は、PCの基本的な処理性能を決定づけるとても重要なパーツです。“中央演算処理装置”という名前の通り、PCにおけるほとんどの処理がCPUに集約され、CPU上で実行されます。そのPCの頭脳、あるいは作業を実行する人のようにたとえられることが多いです。優秀であればあるほど、多くの作業の速度が向上するわけです。

 CPUの性能は“コア数”や“動作周波数”(動作クロック)といったスペックの掛け合わせで大まかに決まっていきます。現代的なCPUは、ひとつのCPUにデータ処理を実行するためのCPUコアを複数内蔵(マルチコア化)することで著しく性能を向上させています。

 近年はこのコア数が激増しており、10年ほど前は多くて4コア程度がせいぜいでしたが、最新のハイエンドCPUでは20コアを超えるようなモデルも少なくありません。直近では“特性が異なる2種類のCPUコアを複数内蔵する”ようなCPUも登場しており、構成はやや複雑化していますが、基本的にはコア数が多ければ多いほど高性能な傾向があります。

 動作周波数は、簡単に言えば1秒間にCPUが動作する回数を表しています。単位はGHzで表され、数字が大きければ大きいほど高速に動作できると言えます。

 CPUの動作周波数は、さまざまな処理を実行する際の負荷にあわせて変動します。ゲーミングPCに搭載されるようなCPUは、すべてのCPUコアを安定動作させられる動作周波数の上限“定格クロック”に加え、高負荷時に一部コアの動作クロックを上昇させる“ブーストクロック”を設定していることがほとんどです。

 こちらはコア数と違い劇的に数値を向上させるのが難しく、一部のハイエンドモデルを除き、10年前と比べても最大値そのものはそこまで伸びていません。

 プレイするゲームや利用シーンによって例外はあるものの、いまからさまざまなゲームを楽しみたいのであれば、基本的には多コア・高動作クロックのCPUを選ぶのがおすすめです。

CPUはミドルクラス以上、クリエイティブ用途なら上位モデルがおすすめ

20240228092321

 ゲーミングPCに使われる主要なCPUとしては、Intelの“Coreプロセッサー”とAMDの“Ryzen”の2大ブランドが挙げられます。これらのCPUはモデル名をチェックするだけで大まかな製品情報が読み取れるのですが、初心者の方はまずCPUのグレード、世代を確認してみましょう。

 前提として、IntelならCore i3/i5/i7/i9、RyzenならRyzen 3/5/7/9といったように、ブランド名に続く数字で製品の大まかなグレードを示しています。数字が高ければ高いほどコア数や動作クロックが高く、高性能な製品ということです。

 さらに、Coreプロセッサーならその後に続く複数ケタの数字の最初の2ケタ、Ryzenなら最初の1ケタがそのCPUの世代(シリーズ名)を示しています。最初に紹介したNEXTGEAR JG-A7G70の搭載CPUはRyzen 7 5700Xでした。この場合、グレードはRyzen 7、世代はRyzen 5000シリーズということですね。

 「とりあえずゲームがプレイできればいい」という用途で考えるのであれば、CPUのグレードは各ブランドでミドルクラスとされるCore i5、Ryzen 5以上を選ぶといいでしょう。多くの場合、不足を感じることはないと思います。

 世代(シリーズ)が最新であればそれに越したことはないです。Coreプロセッサーの最新世代は第14世代、Ryzenの最新シリーズはRyzen 7000シリーズとなっています。1~2世代前のCPUは性能もそれなりで価格がぐっと安くなるため、コストパフォーマンスを求めるなら選んでみるのもアリでしょう。

 動画の編集、ゲーム配信といったクリエイティブ用途でも利用したい場合はもう少しスペックにこだわってもいいと思います。PCゲームよりもコア数が処理の快適さに直結しやすいので、Core i7やCore i9、Ryzen 7やRyzen 9などの強力な多コアCPUがおすすめです。

ゲームにこだわるならGPUがめちゃくちゃ重要

20240228092324

 CPUがさまざまな処理を司る演算装置であったのに対し、グラフィックスの計算・描画処理に特化した演算装置がGPU(Graphics Processing Unit)です。ゲーミングPCにおいてはもっとも重要と言っても過言ではなく、ゲーム性能にこだわるなら予算をかけたいパーツです。

 ふつうのPCにもGPUは搭載されていますが、一般用途ではそれほど画像処理能力が必要とされないため、CPU内蔵型のコンパクトなGPUを利用して映像を映しています。一方のPCゲーム、とくに3Dグラフィックスを多用する近年の高級タイトルでは非常に高度な画像処理が求められます。

 ゲーミングPCは独立した高性能なGPUを採用することで映像処理能力を補っています。CPUが頭脳だとすれば、GPUは絵を描くための筆などとたとえられます。能力が高いほど緻密な映像を描けるうえに、1秒間に何十回、何百回と画面の絵を更新することで、なめらかな映像描画を実現します。

 デスクトップのゲーミングPCの場合、独立したGPUはそのままPCに接続するのではなく、カード状の基板にGPUや冷却装置を組み込んだグラフィックスカード(ビデオカード、グラフィックボード、グラボなど呼びかたはさまざま)を介して接続されます。GPUとグラフィックスカードは厳密にはイコールではありませんが、人によってはGPUを指してグラボと呼んだりしますし、基本的にはほぼ同じ意味だと思ってもいいでしょう。

 GPUはCPUよりもシンプルな計算に特化しており、数千〜数万個ものGPUコアを使って計算を実施するため、性能の高さがそのまま描画処理能力に表れやすいのが特徴です。具体的には、パワーがあるGPUを使えば1秒間に描けるグラフィックスが多くなる(=映像が滑らかになる、フレームレートが上がる)ことから、ゲームの快適さに直結するというわけです。近年は4Kなど、一般的なフルHDより緻密な描写ができる高解像度設定も流行しています。解像度を上げれば1秒間に描けるグラフィックスは少なくなる(映像の滑らかさが落ちる)ため、よりパワーのあるGPUが必要になってきます。

 なお、グラフィックスの豪華なPCゲームが増えたことで、GPU用に内蔵されるビデオメモリ(VRAM)容量が性能に影響を与える場合もあります。パフォーマンスに大きく影響するレベルのタイトルはそれほど多くないため、こだわりがなければ一般的なフルHD解像度のゲームプレイで8GB程度、WQHD以上の解像度で12〜16GBでも何とかなるように思います。

 また、せっかく高性能なGPUを使って高解像度を実現したり、秒間数百回もの滑らかな画面更新をしたとしても、映像を映すモニターが対応していなければ宝の持ち腐れになりかねないことは覚えておいてください。より高い解像度でのゲームプレイやフレームレート(PC側の1秒あたりの画像更新回数。単位はfps)144fps以上の環境を構築する場合、ゲーミングモニターを利用することを強くおすすめします

フルHDならRTX 4060かRX 7600、お財布と相談しながら高性能へ……

20240228092328

 最新世代のゲーミングPC向けのおもなGPUは、NVIDIAの“GeForce RTX 4000”シリーズ、AMDの“Radeon RX 7000”シリーズがラインアップされています。こちらはCPUと同じく下4ケタの最初が世代を表しているのですが、製品グレードはGeForceが下2ケタ+末尾のアルファベット(サフィックス)、Radeonが下3ケタ+末尾のアルファベットで示されます。ちなみにIntelの“Arc”シリーズという選択肢もあるのですが、さまざまな理由からあまり初心者向けではないので今回は触れません。

 現時点での人気度で言えばGeForce RTXシリーズが圧倒的に強いのです。しかし、Radeonが2024年1月に“RX 6000/7000”シリーズで見かけ上の描画フレームレートを劇的に向上させる“AMD Fluid Motion Frames(AFMF)”を正式実装し、注目を集めています。エントリー〜ミドル帯のグラフィックスカードで高負荷タイトルをプレイし、高いフレームレートを出したいのであれば、Radeon RXシリーズも候補に挙がりやすくなっているのは間違いありません。

 最高画質で高負荷なPCゲームをプレイする場合。フルHD解像度でゲームをプレイするならGeForce RTX 4060あるいはRadeon RX 7600がコストパフォーマンス的には有力でしょう。

 より高い解像度でゲームをプレイする場合は、WQHD解像度ならGeForce RTX 4070、GeForce RTX 4070 SUPER、Radeon RX 7800 XTの3つ4K解像度ならGeForce RTX 4080、Radeon RX 7900 XTXあたりがいいでしょう。グレードが上れば性能が著しく向上するぶん高額になるため、どのラインを狙うかは予算と相談するのがベターです。

メインメモリがよければ作業も効率的に

20240228092332

 CPUやGPUほどの性能へのインパクトはありませんが、次いで重要とされるのがメモリです。かんたんに言えばデータの一時的な置き場で、CPUが命令処理を実行する際に、必要なさまざまなデータを格納する場所となっています。しばしば作業机にたとえられます。いくら仕事をする人(CPU)が優秀でも、作業する机が狭く、使い勝手が悪ければ効率的に作業できない、と考えると納得のたとえです。

 代表的なメモリのスペックはデータ転送速度と容量です。実際のところメモリの速度は高速化しても総合性能が劇的に変わるわけではないので、まずは容量を重視しましょう。メモリ容量が小さいとデータが効率的に格納できず、PCの処理がカクついたり、余計な時間がかかったりするなど、大きな影響が出ます。

 必要とされるメモリ容量は年々上がっていますが、現在「ひとまず安心できるのは16GBから」という意見の人が多いように思います。近年は多くの人がマルチタスクでPCを活用しており、「容量8GBでは複数のアプリを同時に実行するとすぐに限界が来てしまう」というのが大きな理由でしょう。一般的なゲーミングPCでメモリ容量は16GB、少し余裕をもって32GBくらいの場合が多いです。

ゲームをするならストレージに余裕を持たせよう

20240228092335

 メモリがデータの一時的な置き場なら、ストレージはデータを継続して保存しておくための領域です。インストールしたゲームやアプリ、作成したドキュメントや動画データなど、PCに保存されるさまざまなデータはすべてストレージ内に保管されています。たとえるなら作業机の引き出しや棚といったところでしょうか。

 一昔前はHDDが代表的なストレージでしたが、近年はより高速なSSDが主流で、ゲーミングPCに採用されているのも基本的にはこのタイプです。最近のSSDには、順次読み込み・書き込み速度でHDDの10倍以上の高速化を実現した製品もあります。その反面、モデルごとの速度差が激しく、市販のゲーミングPCに搭載されるSSDも性能はピンキリです。

 単純なデータコピーを頻繁に実行するなら速度の恩恵が受けやすいですが、いずれにせよ基本的にHDDよりは高速です。メモリと同じようにどちらかと言えばデータ保存容量の大きさを重視したほうがいいように思います。

 とくにここ数年のPCゲームは、大作になれば1本インストールするだけで100〜200GBもの容量を必要とする場合もしばしば。SSDは残り容量が少ない場合に性能が低下してしまうため、200〜256GBでは不足を感じることが多いでしょう。少なくとも500GB以上、できれば1TB(約1000GB)以上の容量を確保しておきたいところです。

NEXTGEAR JG-A7G70はちょどいいゲーミングPC

ゲーミングPCはなにがおすすめ? 初心者向けにスペックや選び方を丁寧に解説withマウスコンピューター
モニターは別売りです。

 ゲーミングPCの基本的な構成要素について解説してきましたが、改めて冒頭で紹介したNEXTGEAR JG-A7G70のスペックを確認してみましょう。

 CPUはRyzen 5000シリーズのハイグレードCPUのRyzen 7 5700Xです。Ryzenの最新シリーズはRyzen 7000シリーズですが、デスクトップ向けのRyzen 6000シリーズは諸々の事情によりスキップされているので、5000シリーズは事実上最新からひとつ前のシリーズということになります。

 コア数は8コア、動作周波数は定格3.4GHz、最大ブーストクロックは4.6GHzと、スペック自体はそれなりに優秀。コストパフォーマンスに優れるため、いまだに各メーカーのゲーミングPCでは採用例が多いです。ゲーム用途に関しては十分な働きを見せてくれるでしょう

 GPUはNVIDIAのGeForce RTX 4070で、WQHD以上の高解像度ゲーミングにも耐えられる高性能モデルです。フルHD解像度なら基本的にはあらゆるゲームで最高画質設定を適用しつつ、フレームレートも高めの144fps越えは当然、といった環境を構築できます。タイトルによっては4K解像度でのプレイも可能ですが、相応のモニターが必要になります。こちらも性能とコストのバランスがよく非常に人気のあるGPUです。

 メモリは容量16GB、速度はDDR4-3200という規格に準拠しています。ストレージは容量1TBのSSDで、高速な転送規格であるNVMeに対応します。保存容量に余裕があるため、複数の大作ゲームをインストールするのも難しくありません。

 スペックをさらってみると、ゲーミングPCとしては申し分のないスペックを備えていることが分かります。

NEXTGEAR JG-A7G70(ホワイトカラーモデル)
ゲーミングPCはなにがおすすめ? 初心者向けにスペックや選び方を丁寧に解説withマウスコンピューター

 外観に目を向けると、流行のホワイトカラーや内部パーツが見えるガラス製のサイドパネルを採用するなど、デザインにもこだわりがうかがえる点は好印象です。

ゲーミングPCはなにがおすすめ? 初心者向けにスペックや選び方を丁寧に解説withマウスコンピューター

 最大6個のケースファンを備えており、トップには240mm水冷ラジエーターを取付可能。CPUに高負荷がかかった場合も安定したゲームプレイが期待できます。

ゲーミングPCはなにがおすすめ? 初心者向けにスペックや選び方を丁寧に解説withマウスコンピューター

 トップ部分に1ヵ所、ケース底面に1ヵ所、ホコリの侵入を防ぐフィルターを装着できます。電源ボタンやLEDボタン、USBポートやオーディオ端子がトップにまとまっているので使い勝手もいいです。カスタマイズでRGBファンを装着している場合、LEDボタンを押すことでライティングが切り替わります。

ゲーミングPCはなにがおすすめ? 初心者向けにスペックや選び方を丁寧に解説withマウスコンピューター
ゲーミングPCはなにがおすすめ? 初心者向けにスペックや選び方を丁寧に解説withマウスコンピューター
ゲーミングPCはなにがおすすめ? 初心者向けにスペックや選び方を丁寧に解説withマウスコンピューター
ゲーミングPCはなにがおすすめ? 初心者向けにスペックや選び方を丁寧に解説withマウスコンピューター

 また、マウスコンピューターの製品はBTO(Build to Order=受注生産)に対応しています。注文時にメモリの変更やストレージの追加といったカスタマイズが可能なので、スペックにこだわりたいならチェックしてみるといいでしょう。

ゲーミングPCで快適なゲームライフを!

 高画質・高解像度設定やさまざまなゲーム用アプリ・周辺機器の利用、豊富なタイトルラインアップなど、コンシューマーゲーム機とは異なる独自の魅力を備えているのがPCゲームです。ある意味では「ゲーミングPCを購入する」というのが最初にして最大のハードルになりがちなのですが、そこさえしっかり超えてしまえば快適なPCゲームライフが待っています。これまで購入を迷っていた方も、この機会にPCゲームデビューしてみてはいかがでしょうか。

NEXTGEAR JG-A7G70(ホワイトカラーモデル)