いよいよ2024年2月29日に発売されるスクウェア・エニックスのプレイステーション5用ソフト『ファイナルファンタジーVII リバース』(※)。
本作は『FFVII』のリメイクプロジェクト第2作目にあたり、魔晄都市ミッドガルを後にしたクラウドたちが広大な大地に足を踏み出し、さまざまなワールドエリアを旅する過程で、奥深いメインストーリーはもちろん、バラエティーに富んだサイドコンテンツなどが堪能できるという、まさに『FFVII』の魅力が存分に味わえる作品になっている。
筆者はこれまで東京ゲームショウ2023のプレイアブルやメディア向けのCHAPTER 2までのプレビュー、そして先日配信された体験版をプレイし、傑作になる匂いを感じまくっているのだが、今回は「ここから先はもう引き返せないよ」というクライマックス手前のメッセージが出るところまでプレイして、その予感がどう変わったのか。ポイントを7つに絞ってお届けしよう。
プレイ時間は77時間(“7”にちなんだ時間まででこの原稿を書いています)。これはクエストなどのサイドコンテンツもじっくりプレイしての時間で、メインストーリーだけを追えばもっと短縮される、ということは明記しておきたい。そしてここまでプレイして予感が確信に変わった。ムチャクチャおもしろいし、正直、ひれ伏すしかない圧倒的なボリューム。もう、スゴい。この時代に生きていてよかったと感謝したくなる作品だった。
※本記事ではネタバレには配慮していますが、気になる方は後日、お読みください。
※『ファイナルファンタジーVII』は『FFVII』と略しているところがあります。
※プレイは4Kのパフォーマンスモードです(プレイ動画も含む)。
その1:世界は美しく広だけじゃない! 探索したくなる配置が絶妙
草原、渓谷、砂漠のほか、海辺のリゾート地やゴールドソーサーの巨大施設など、バラエティーに富んだエリアで構成されている本作の世界。
各エリア自体が広大で、そのエリアでのメインストーリーはしっかりとしたドラマが描かれ、サイドコンテンツも豊富。体感的にはひとつのエリアがちょっとしたオープンワールドゲーム。それがいくつか集まって『FFVII リバース』が構成されているイメージだ。
しかも広大なだけではなく、探索スポットがいいバランスで配置されており、ひとつの探索スポットに向かうと、すぐつぎの探索スポットやクエストの手掛かりが目に入る。するとやはり、そちらをどんどん追ってしまうのが人の性というもの。
乗り物やファストトラベルポイントも細かく用意されていて(しかもロードは爆速)、移動で時間を取られるストレスがないので、ガッツリとプレイしていても疲れを感じにくい。
しかも、探索要素がキャラクターの強化にもつながっている。
また、エリアの一部には、キャラクターの特徴を活かした操作パートで道を切り開くシチュエーションもある。たとえば、レッドXIIIは壁を走ったり、ユフィやシノビらしく鉤縄のようなものを高所に引っ掛けて足場のないところを渡る、といった具合。同じようなプレイにならない工夫もそこかしこに施され、飽きさせない。
『FF7 リバース』7つのショート動画【その1】「キャラの特性を使った探索」
その2:あざとくて何が悪いの? エアリスさん、ティファさんはもちろん、ほかのキャラからも目が離せない
キャラクターが個性的(クセが強すぎるものもいるが)なのも『FFVII』の魅力のひとつ。その魅力が本作ではさらに突き抜けている。
背伸びしてクールなキャラを気取りたいクラウドもそのペースを乱されるイベントが多く、エアリスさんとティファさんは(このふたりは思わず「さん」付けしてしまう筆者)、そんなクラウドをドギマギさせる、あざとい仕草を頻繁に見せてくる(しかも絶妙に原作『FFVII』当時のノリもあり)。
筆者は男性なのでとくにエアリスさん、ティファさんにどうしても注目してしまうのだが、未熟さを隠せないクラウドには大いに共感。
さらに、あのセフィロスもあざとい。(まだ、“いいセフィロス”のときとはいえ)「おやすみ」という優しいひと言をプレイヤーに向けて(正確にはクラウドに)放ってくるシーンはかなりの破壊力だ。
さらに、前作『FFVII リメイク』のウォール・マーケットの嫁オーディションのように、本作でもエアリスさん、ティファさん、そしてユフィもリゾートファッションを披露してくれたりと、期待に応えてくれる。
シリアスな物語が根底にありつつも、こうした甘酸っぱい展開にキュンキュンしたり、コミカルなやり取りにクスッとしたりできるのが『FFVII』らしいところ。
『FF7 リバース』7つのショート動画【その2】あざとくて何が悪いの?
その3:原作を知っている人も知らない人もドキドキしながらプレイできる
『FFVII リメイク』で運命の壁を越えたクラウドたち。物語は原作『FFVII』と同じ展開で進みながらも、ところどころ原作と違いがあるため、原作をプレイした人はその違いを時代による表現の変更なのか、原作で描けなかったシーンをより深く掘り下げたのか、それとも何かの伏線か……などと興味深く見ることができる。
しかも、(原作ではミッドガル手間で悲劇に見舞われた)ザックスの生還なんていう、とんでもないシーンもトレーラーで公開されているわけで、「では、あの悲劇はどうなるのか!? 変わる可能性も!?」などと期待はもちろん、不安も止まらない。そういうドキドキをつねに抱えながらプレイできる、というのはリメイク作品ならでは。ちなみに、下の動画はユフィが仲間になる手前のやり取り。原作とはシチュエーションがちょっと違う。
『FF7 リバース』7つのショート動画【その3】「原作とは違う展開」
その4:ユフィやレッドXIII、ケット・シーも加わり、戦いのバリエーションがさらに豊富に
本作のバトルは『FFVII リバース』のバトルシステムをベースに、パーティキャラとの連携要素を加えたもの。
弱点を突くコマンドRPGらしい戦略性と、キャラを思うように操作できるアクション性が融合した爽快感はそのままに、連携アビリティや連携アクションで攻撃の選択肢がさらに広がった印象。
連携アビリティはド派手でダメージも期待できるため、リミット技と双璧をなす大きなダメージ源。
連携アクションはATBを消費しないので、どのキャラもATBゲージが溜まってないジリ貧状態のときに重宝する。ATBが溜まってないけどHPも残り少ないので攻撃もガードなど。ATBを溜める行動もとりづらい、といったときに手詰まり感があったが、本作では連携アクションという選択肢が増えた。
また、攻撃のなかには敵を空中に打ち上げる技もあり、そこから空中コンボのような追い打ちも可能になっているなど、爽快感もかなり上がっている。
さらに、新たにユフィ、レッドXIII、ケット・シーもパーティに加わるため、それぞれの特徴を考慮したバトルが楽しい。
ちなみに、自分の現在のメインパーティはクラウド、バレット、ユフィ。ユフィは忍術で弱点を突けるし、近距離と遠距離のどちらの攻撃もできるので、とても使い勝手がよろしい。
『FF7 リバース』7つのショート動画【その4】「ユフィたちも加わり、さらに充実のバトルに」
その5:狂気すら感じるミニゲームの豊富さとその完成度の高さ
『FFVII』といえば多彩なミニゲーム。もちろん、本作でもミニゲームは充実。原作からのミニゲームを進化させたものから、本作のオリジナルミニゲームまで盛りだくさんだ。レースやリズムゲーム、カードゲームにリアルタイムストラテジーなど、ジャンルも幅広い。ジュノンの社長就任式典でのパレードのミニゲームもリズムゲームに進化し、パレード自体のスケール感も大幅アップ。前半のハイライトのひとつとなっている。
そんな社長就任式典のパレードに代表されるように、各エリアにちなんだミニゲームも多数用意されていて、新たなエリアを訪れる度に異なる遊びが楽しめるのもうれしい。
『FF7 リバース』7つのショート動画【その5】多彩な遊びの中からパレードのミニゲームを紹介
そんなミニゲームで特筆すべきは、カードゲーム“クイーンズ・ブラッド”。この“クイーンズ・ブラッド”は『FFVII リバース』の世界中で流行っており、各エリアに複数のカードバウター(対戦相手)が存在。個人的にはこういったミニゲームは後回しにする性格なのだけれど、ゲームをプレイして気づけば、カードバウターを倒してカードを手に入れるのが新たなエリアを訪れる楽しみのひとつになっていた。“クイーンズ・ブラッド”もそうだが、ミニゲームは「やり込もうとすると奥が深いが、1回勝つくらいなら意外とイケる」といった、気軽に挑める絶妙なバランスで、ついつい挑んでしまうのだ。
さらに、ミニゲームとしてはカウントされていないが、“召喚獣の祠”や“ライフスポット”といった場所でそれらを起動する際にもちょっとした遊び要素があるなど、「あらゆる要素に遊び要素を入れてやる」といった執念を感じるほど、いろいろなものにインタラクティブ要素がある。
そうしたこだわりからも、開発陣も『FFVII』に対する深い愛がひしひしと伝わってくる(そして、そんな思いが伝わってくるゲームは傑作が多い)。
その6:好感度による反応の変化は旅の随所に!? テーマソングに感動したあとのゴンドラデートではクラウドの成長を感じた
原作『FFVII』同様、クラウドの行動や会話の選択などによって、仲間たちが抱く好感度が変化することは明かされており、ゴールドソーサーでのデートイベント、さらにはその劇場で上演される古典叙事詩“LOVELESS”を原作にした舞台でも、好感度によってルーザ姫を演じる仲間や舞台劇の脚本が変化するという。
ただ、プレイしていると、それ以外にも「これは好感度によるイベントの変化では?」と思わせるシーンもチラホラ。デートイベントや舞台以外にもプレイによって内容がちょっとずつ変わりそうな予感。好感度は会話の選択肢のほか、クエストや連携アビリティの発動などでも変化するので、推しと関係がありそうなものは積極的にこなしていくといい。もちろん、カードゲームの相手を選ぶ、といった誰かに絞るシチュエーションもちょこちょこある。
『FF7 リバース』7つのショート動画【その6】好感度問題。誰を推す?
そしてたどり着いたゴールドソーサーで筆者のデート相手になったのはティファさん。『FFVII』の魅力のひとつでもあるデートイベントは今回、かなり力が入っており、テーマソング『No Promises to Keep』が流れるシーンを筆頭に見どころたっぷり。その後のゴンドラのシーンは原作をベースにしつつ、正座して観ていた筆者はメガネをクイッとして思わず「おおおおおおおおおおお」と身を乗り出してしまうほどの衝撃シーンも。クラウドよ、成長したな……。そして、後でティファさん以外のデートシーンも必ず観ようと思いました。
そんなゴンドラシーンはほぼこれ↓です(壮大な誇張あり)。
その7:サイドコンテンツにはコンピキャラや気になるキャラもたくさん! こんなのあり!? なクエストも
メインストーリーはもちろん、クエストなどのイベントシーンも見逃せない。それらサイドコンテンツには、『FFVII リメイク』に登場したミッドガルの個性派キャラも多数登場する。
ファイナルトレーラーには嫁探しに余念がないドン・コルネオや美の探求者アニヤン・クーニャンの姿も。
ここで、ネタバレ覚悟で紹介したいのが、みんな大好き(?)ジョニーにまつわるクエスト。クラウドをアニキと慕うジョニーは本作でも登場するのだが、本作ではジョニー軍団とも言える複数のジョニーが登場する。「なんで?」という疑問はさておき、そんな狂……いや、攻めたクエストを『FFVII リバース』にブチ込んでくるのがスゴイ。これが若さか。
『FF7 リバース』7つのショート動画【その7】攻めてるクエストもいっぱい
また、エンシェントマターという連続性のあるコンテンツでは、『FF』シリーズではおなじみのあの剣豪も『FFVII』に初登場するというサービスっぷり。そう、サービスが過ぎる!
そして何だかこれらのユルさに新世代の『FFVII』を感じる。
スクウェア・エニックスにしか作れないゲーム
まだゲーム途中だが、この段階で振り返ってみても、魅力的なキャラクターで奥深いストーリーをたっぷりと描くという日本的なRPGという側面と、自由度とボリューム感のあるオープンワールドゲームのような側面を合わせ持つ、RPGのひとつの到達点のようなゲームで、これまで最先端の技術で日本的なRPGの代表格である『FF』シリーズを開発し続けてきたスクウェア・エニックスにしか生み出せない作品という印象。
あと今回、『FFVII』の物語の奥深さに改めて感服。原作をプレイしたのは20代のころだったけれど、正直、雰囲気だけで理解した気になっていたけれど、「そういうことだったのか!」と気づかされることも多々あった。原作をプレイした人も、いまプレイするとまた新たな気づきがあるのでは、と思う。
さて、ここまでプレイした『FFVII リバース』は楽しいことばかりだったが、“忘らるる都”まで描かれる『FFVII リバース』がどんな結末を迎えるのか。楽しみよりも怖さも感じつつ。でも、どんな結末になっても第3部へと希望も託せる(笑)、ということを拠りどころを胸に『FFVII リバース』を楽しみたい。でも、覚悟か決まるまで、しばらくはやり込み要素(まだまだ残っている)をプレイしようと思う。