イクリエから発売予定のフィギュア、“ペルソナ４ ジ・アルティマックス ウルトラスープレックスホールド アイギス エクストリームオルギアモード”（2024年10月発売予定。価格は通常版が33000円［税込］、限定版は35200円［税込］）。
本フィギュアは、『ペルソナ３』で初登場したキャラクター・アイギスの、『ペルソナ４ ジ・アルティマックス ウルトラスープレックスホールド』での姿をモチーフにしたもの。
キャラクターデザインを務めた副島成記氏のイラストをもとに、アイギスの凛々しさや解放された装甲から覗く駆動系など、細部までを忠実に再現し、さらに胸部に埋め込まれたパピヨンハートにはLED発光ギミックが備わった豪華な一品となっている。
現在予約受付中で、予約可能な期間は2023年12月22日まで。今回特別にイクリエが行った本フィギュアの制作に携わったクリエイター陣へのインタビューを転載させてもらうことになった。
回答者は、フィギュアの企画や原型製作を担当した株式会社イクリエ、フィギュアの彩色を担当した合同会社namoji、そして、設定画の制作を担当した雅（まさ）氏。それぞれの回答からフィギュア制作の裏話やこだわり、アイギスの魅力を感じてほしい。
『アイギス エクストリームオルギアモード』の予約はこちら（アトラスDショップ） 『アイギス エクストリームオルギアモード』（限定版）の予約はこちら（アトラスDショップ）原型製作のこだわり：株式会社イクリエ
本フィギュアの企画や原型製作を行った株式会社イクリエ。イクリエからは、今回のアイギスを選んだ理由や、とくにこだわったポイント、LED発光ギミックを持つパピヨンハートの制作秘話などを語ってもらった。
――自社商品フィギュア第1弾として、アイギスを選んだ理由は？
イクリエイクリエはもともとフィギュアメーカーの下請けとして原型データなどを作っていましたが、より多くのファンの方々にキャラクターやフィギュアの魅力を伝えていきたいという想いがあり、フィギュアメーカー事業を立ち上げました。
下請けの立場だと、メーカーから依頼のあったキャラクターの原型データを作るというところがおもなお仕事になりますが、自社でフィギュアを製造・発売するとなると、どのキャラクターをフィギュア化するかという企画面から自分たちで決めていくことになります。
その第1弾としてアイギスを選んだ理由ですが、イクリエは過去にアトラス様の『真・女神転生』シリーズ30周年記念ロゴなどを製作させていただいていたご縁もあり、自社フィギュア第1弾はアトラス様のキャラクターを造りたいという想いがありました。
アトラスタイトルには魅力的なキャラクターがたくさん登場しますが、中でもアイギスは非常に立体映えするデザインですし、エクストリームオルギアモードのフィギュアはこれまで発売されていなかったこともあり、チャレンジする気持ちで自社フィギュアの第1弾とさせていただきました。
――アイギスフィギュアの制作に関わったスタッフの数や役割分担を教えてください。
イクリエ原型制作に携わったチームメンバーは8人で、在籍するほぼ全員の得意分野に応じて役割分担をしています。キャラクター部分3名、メカ部分2名、台座1名でデータを制作し、3Dプリンターでの出力と磨き作業、シリコーン型での複製作業に各1名という体制で制作にあたりました。
また、社内にゲームのPVなどを作っている映像制作のチームもあるので、アイギスのPVも内製しています。企画や生産管理、映像制作なども含めると、社内外合わせて15名以上のスタッフがこの企画に取り組んでいることになりますね。
【フィギュア】『P4U2』 アイギスEXオルギアモード PV
――フィギュアを作る際のツールはどういったものでしょうか？
イクリエ専門的な話になってしまうかもしれませんが、データ制作はおもにZBrushで行い、メカ部分など一部の造形にBlenderや3DCoatを、分割作業にはZBrushとFreeFormを使用しました。出力には3DプリンターのForm3、ELEGOO Jupiter、UniFormation GKtwoなどを使用し、一部細かいメカパーツは高精細アクリル樹脂で出力しています。磨き仕上げと複製は手作業で行いました。
――どういった点にこだわりをもって原型を作ったのでしょうか？
イクリエキャラクター部分では髪の毛のデザインが繊細でボリュームがあり表現に力を入れました。前髪がわずかに目にかかっているのは元イラストの雰囲気に近づけられるように工夫したポイントです。また、骨格や筋肉といった人体に見られる生々しさのような造形をあえて減らし、“人間に近い形をしながらも機械である”というアイギスのキャラクター性を表現できるよう心がけました。
メカ部分については、設定画に細いアームや小さい歯車が多く描かれていたので、1/6スケールのフィギュアとして造形できるよう見た目を極力変えずにアレンジする必要がありました。イラストの通りに細かく造形するだけではなく、パーツ先端の厚みを抑えるなど視覚効果として小さく薄く見えるように制作しています。
また、デザインされたそれぞれの部品がアイギスの体の一部としてどのように繋がり、曲がり、支えるのか、できる限り説得力を持たせることを意識しました。とくに胴や太腿のカバーはフィギュアとしての可動ギミックこそありませんが、実際に開閉できる形状として制作しリアリティーを追求しています。
台座の瓦礫の質感、鉄骨の錆びた表現、コンクリートから生えた鉄筋にもこだわりました。瓦礫の制作にあたって写真資料を集めたのですが、実際の廃材や鉄骨はそのままだと動きが少ないため、ダイナミックな印象になるよう形状や配置を考えて構成しました。
――とくに目を惹くLEDの機構についてはどのようにして作ったのでしょうか？
イクリエモチーフとしたイラストが胸部を中心として発光しているような表現で非常に印象的だったので、企画の初期段階からフィギュアとしても光らせたいという気持ちがありました。これまで発光ギミックを取り扱った経験者がいなかったため手探り状態でしたが、LEDを組み込めるよう胴体内部を空洞にしたものを用意し、手作りの電子工作で試作を重ねました。
――制作期間はどれくらいかかっているのでしょうか？
イクリエ企画からデコマス（※）が完成するまで2年くらいかかっています。通常のフィギュアと違って設定画を描き起こしたり、LEDの試作もしていたことも考えると、スピーディーに進行したと言ってもいいのではないでしょうか。これはアトラスの監修窓口であるライセンスチームの方や、キャラクターデザイナーの副島さん、プロデューサーの和田さんが非常に精度の高い監修（修正の指示）をしていただいたことにも大きく助けられています。本当にありがとうございました……！
※デコマス：デコレーションマスターの略。量産時のクオリティーの指標となる着彩見本で、予約ページなどに掲載される商品画像もデコマスを撮影したもの。
――フィギュア原型師の視点から、アイギスの魅力はどういったところにあると思いますか？
イクリエ人間に近いけど人間じゃない、少女の持つ柔らかさと機械の持つ硬質な冷たさがシンプルなフォルムの中に同居しており、原型師の腕が試されるデザインだと思います。雅先生に描き起こしていただいた設定画もいままでのアイギスにないメカ部分を強調したものだったので、デジタル造形ならではの繊細な表現と相性がいいと感じました。
――そのほか、伝えたい点などメッセージをお願いします。
イクリエチーム一丸となり力の限りを注いで制作したので、たくさんの人に見てほしいであります。
彩色のこだわり：合同会社namoji
続いてお答えいただくのは、フィギュアの彩色を担当した合同会社namoji（namoji 公式X（Twitter）はこちら）。彩色でこだわった部分、苦労した点などをお答えいただいた。
――namojiはどういった会社なのでしょうか？ 自己紹介をお願いします。
namojiフィギュアのフィニッシャー（※）として10年間ほど活動していまして、2023年から法人化して原型の制作なども含めてフィギュア制作に関わっています。
※フィニッシャー：フィギュアなどを製作する際に、塗装などの仕上げを担当する役割。
――彩色を行うにあたって、事前に打ち合わせなどはされましたか？
namojiイクリエさんに直接赴き、組み上がった原型を見ながら打ち合わせをしました。アイギスを塗ることは事前に聞いていましたが、発光ギミックが入ることや、イクリエさんのブランド第1弾の商品となることなどはその場で聞いたので、とてもワクワクしました。
――イラストの再現で気を遣った部分は？
namojiイラスト内の発光している部分です。その再現のために目の色をかなり明るめにしました。アイギスのボディが特徴的なのと、LEDを使用するとのことで、それに負けないような色の表現、イラストにあるクールさ、いつものアイギスとは違った荘厳なイメージになるようつとめました。
――どういったところにこだわりをもって彩色を行ったのでしょうか？
namojiボディの色は白とアイボリーの中間になり、シャドウは汚くならないようグレーを抑えています。アイギス自身はキレイに、台座はボロボロな感じを強くして、台座とアイギスのコントラストを強くしました。また、肌とボディの色の明るさの差を少なくして、リボンなどの赤い部分は鮮やかにして、全体的に人間ではない雰囲気を演出できればと考えながら塗りました。
――フィニッシャーの視点から、アイギスの魅力はどういったところにあると思いますか？
namojiメカと言うとメタリックなイメージが強いなか、アイギスは流線形で女性的な白いボディなのに足や腕に急にメカっぽくなっていて、フェミニンであり兵器であるという世界観がとても不思議で魅力的です。
――そのほか、伝えたい点などメッセージをお願いします。
namoji『ペルソナ３ リロード』楽しみです！ フィギュアの発売も楽しみです。フィギュアを通して世界観の魅力を広げる手助けになれば幸いです。
設定製作のこだわり：雅（まさ）
最後に登場するのは、今回のフィギュア制作の要となる設定画の制作を担当した雅（まさ）氏。以前は、『ペルソナ』シリーズの開発チーム“P-STUDIO”のアートチームに所属しており、現在はフリーイラストレーター/デザイナーとして活動中。2023年1月～3月にテレビアニメ第1期が放送され、先日第2期の制作決定も発表された『とんでもスキルで異世界放浪メシ』では、原作のイラストを担当している。そんな雅氏に、設定製作を担当することになった経緯や、こだわりを答えてもらった。
――今回、設定制作を担当することになった経緯や、引き受けたときの気持ちを教えてください。
雅自分はもともとアトラスに在籍していたのですが、そのことをご存じだったイクリエ様から声が掛かりました。お仕事の話を受けた当時は、新しい依頼が来てウキウキ楽しみで「やってやるぜ！」という前向きな気持ちでしたが、『ペルソナ』に携わるのが久しぶりなので感覚を忘れているかも……という不安や、また『ペルソナ』に関わることになった感慨深さなどもあり、いろんな感情が混ざった賑やかな心持ちでした。
――元となった『P4U2』のイラストは上半身のみのもので、それをベースに下半身や背中の設定を新たに作るお仕事でしたが、苦労された点などは？
雅前述したとおり久しぶりにアイギスに触れることになったので、設定を創る楽しさももちろんありましたが、どういうデザインラインで作っていたかを思い出す必要があったり、そもそも自分のセンスでそえじ……アイギスのデザイナーさんを納得させられるかという不安感がつきまとって手の震えを抑えるのに苦労しました。
――とくに注目してほしいところは？
雅内部メカの奥行き感など、メカ物の立体物として見応えあるよう意識したデザインとそれを踏襲した造形表現。あと、可憐さがありつつ凛々しいアイギスの表情、お顔の造形でしょうか。あとはやはり発光ギミックは見所でしょうね。
――アイギスの魅力はどういったところにあると思いますか？
雅かわいらしさの中にも凛々しさ、カッコ良さも兼ね備えた完璧なキャラ造形……でしょうか。それはもちろん、デザイン・見た目だけでなく中身もともなっている、とにかく魅力的なキャラクターだと感じます。あと、メカ的な浪漫もたくさん詰まっていますし、そういう面でも大好きなキャラクター、デザインですね。
――そのほか、伝えたい点などメッセージをお願いします。
雅この内容でこのお値段のフィギュアはとてもお買い得ですよ！ お客さん！ ぜひ実際に手にとっていただき、その造形と込められた情熱に直に触れてみてくださいませ！
それぞれの視点で今回のフィギュアを語ってもらったが、そのこだわりの一端が伝わっただろうか。くり返しになるが、“ペルソナ４ ジ・アルティマックス ウルトラスープレックスホールド アイギス エクストリームオルギアモード”は、現在予約受付中。予約は2023年12月22日で締め切られてしまうので、気になる人は早めにチェックしよう。なお、アトラスD-shopと東京フィギュアではオリジナルラバーマットが付属する限定版も予約可能。こちらも要チェックだ。
商品詳細
- 商品名：ペルソナ４ ジ・アルティマックス ウルトラスープレックスホールド アイギス エクストリームオルギアモード
- 受注締切：2023年12月22日
- 発売予定：2024年10月予定
- 価格：
【通常版】33000円［税込］
【限定版】35200円［税込］ - 仕様：1/6スケール プラスチック製 塗装済み完成品 専用台座付属 ※パピヨンハートLED発光ギミック内蔵
- サイズ：約30cm
- 原型：株式会社イクリエ
- 彩色：namoji
- 製作協力：キムラユヅル(MellowYellowLab)
- 発売元：株式会社イクリエ
- 販売元：株式会社東京フィギュア
