2023年11月23日の勤労感謝の日に、“Shibuya Sakura Stage 竣工記者発表会・内覧会”が、東急不動産により開催。ファミ通取材陣は一路渋谷へと赴いた。
“Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ)”は、渋谷西口の桜丘地区に建設中の複合施設。ご存じの通り、渋谷はいま“100年に一度”とも言われる再開発の最中にあり、“5街区”の呼称のもと、“渋谷ヒカリエ”、“渋谷ストリーム”、“渋谷スクランブルスクエア”、“渋谷フクラス”が建設。発表会での東急不動産 代表取締役 星野浩明氏の言葉によると、“Shibuya Sakura Stage”は「駅中心地区のラストピース」となる。
ちなみに、建築方面にはいっさいうとい記者が調べたところによると、“竣工”とは“予定していた建築物などの工事が完了すること”を指すらしい。つまり、「渋谷再開発の最後のピースが完成しましたよ!」というのをお披露目する場が今回の発表会となる。“Shibuya Sakura Stage”は11月30日に竣工され、イベントなどが適宜実施。2024年7月26日には、全施設がオープンしての“まちびらきイベント”が開催される。
ここ数年の渋谷の変遷ぶりはすさまじく、取材などで訪れるたびにその姿を変える渋谷に対して、「すごいなあ」と口をあんぐりと開けるばかりであったが、まさに再開発も最終段階に入ったようだ。
かような場に、「なぜファミ通が取材を?」というのは、誰しも抱く疑問かとは思うが、そう、この“Shibuya Sakura Stage”に“ゲームを起点としてインディーゲームクリエイターの聖地”ができるのだ。
というわけで、順を追って説明しよう。発表会に登壇したのは、東急不動産 代表取締役 星野浩明氏と都市事業ユニット 渋谷開発本部 執行役員本部長 黒川泰宏氏のふたり。
そもそも東急グループは、多様なカルチャーを継承して発展させていく街づくりを継続してきたとのこと。「渋谷には、ゲーム、音楽、ITなど日本を代表するクリエイティブ産業が集積しており、そのアドバンテージを活かして、次世代のクリエイターやアーティストが交流するようなクリエイション拠点の場作りなど、渋谷に関わる人やコミュニティーが多様な形で混ざり合うソフト面の仕組みも整備していきたい」(星野氏)とのこと。そのうえで、“Shibuya Sakura Stage”の竣工をきっかけに、「多様性のある感性の高い人がさらに渋谷に集まってきて、自然とすぐれたカルチャーやコンテンツ、ビジネスが生まれるにぎわいの好循環がさらに加速していく」ことを期待しているという。
実際のところ、渋谷には多くのゲームメーカーやIT企業がオフィスを構えているが、“Shibuya Sakura Stage”のオフィス塔に入居が決まっているIT・エンタメ企業の比率がおよそ8割というから、いかに渋谷がIT企業に愛されているかがわかる。
そんな“Shibuya Sakura Stage”における今後の施策のひとつが“「GAME」を起点としたインディーゲームクリエイターの聖地”作り。次世代クリエイターの海外進出支援や、海外の優れたクリエイターを誘致する国際交流拠点を、2024年7月に、“Shibuya Sakura Stage”の商業エリア4階フロアに開設するという。「国内外の優れたクリエイターが集積する場を作りたい」と黒川氏。
さて、“Shibuya Sakura Stage”に設けられる“インディーゲームクリエイターのための国際交流拠点”がどのようなものなのか、内覧会時に、実際に拠点ができる4階フロアで、一般社団法人渋谷あそびば制作委員会の代表理事・小川弘純氏と村上雅彦氏が説明してくれた。
あそびば制作委員会とは、クリエイティブ領域で活躍中のクリエイターやプロデューサーと東急不動産が共同で「渋谷を巨大な“あそびば”と捉え、新たなクリエイティブシーンを生み出す」ことを目的に、この6月に設立された団体で、幅広い領域の人材が揃う。代表理事の小川弘純氏はカロリーの代表取締役にしてフードプロデューサー。村上雅彦氏はSkeleton Crew Studio 代表取締役にして、BitSummitの理事でもある。
施設の名前は“404 Not Found”。「遊びと人を起点としたコミュニティーの場の集合施設プロジェクトとしてこの場からさまざまなコンテンツを発表することを目的に作りました」(小川氏)、「“シブヤの空き地でなにして、あそぶ?”というテーマでインディーゲームクリエイターのために渋谷のために空き地を作りました。自由にクリエイティブをしたりコラボができる場所を作りたいと思っています」(村上氏)とのこと。
約150平米の空間で、飲食店舗や販売店舗、配信スタジオとしても利用可能な“404 Not Found”だが、その最大の特徴は最新式270度のLEDモニターを擁していること。「大きな発表やゲームプレイなどにも使える」(小川氏)という。
“404 Not Found”に関しては、多くの各国の政府やゲーム関連企業、団体とパートナーシップを結んでおり、「渋谷から生まれたクリエイターやゲームを世界に届けたり、世界からインディーゲームのクリエイターをここに集めたりといったことを考えています」(村上氏)とのこと。また、毎年京都で開催されているインディーゲームの祭典BitSummitを、渋谷でも開催したいという。
内覧会での説明後、村上氏に少しだけお話をうかがう機会があった。
「施設名を“404 Not Found”にした理由は、ネタ的な感じもあるのですが、まだ世の中に出ていない若いクリエイターの人たちやクリエイティブをここで“Found”されて、外に出て行ってもらって、外に出ていった人たちが、またつぎの“Not Found”の人たちを育てていくという循環的なことを考えています。ご存じの通り “404”はアクセスしても住所がないWeb上のエラーコードなのですが、ここを空き地という形で、とくに何かの目的があって作られるエリアというよりは、クリエイターの人たちが自由に遊べる場所という意味合いもあります。
まだ、何も見つかっていないという。つねにクリエイターの人たちが何かを発信する場所として、イベントであったりとか、展示会であったり、ときにはゲームセンターになったりとか、つねに何かをしている状態になります。
クリエイターからの「こういうことをやりたい!」という提案も待っていますし、我々が主導して、インディーゲームクリエイターに集まるような場所を作って、そこに参加していただく形でも大丈夫です。希望としては、「自分としてはこういうことをしたい」というのを言っていただくのがいいかもしれません。
“404 Not Found”がオープンするのは来年(2024年)7月26日なのですが、ちょうどいいのが来年のBitSummitの開催が7月19日、20日、21日なんですね。BitSummitの翌週が“404 Not Found”のオープンということで、BitSummitで起こったことをここに持ってきて、連携をしたいと思っています」
どうやら、2024年7月26日からの“404 Not Found”のオープニングは、BitSummit 12(仮称)の出展タイトルの東京でのお披露目となるようだ。“渋谷をインディーゲームクリエイターの聖地に!”との思いがどのように実を結んでいくのか、期待したい。
最後に……内覧会で撮影した“Shibuya Sakura Stage”の施設の様子をお届けする。11月30日に竣工し、一部のスペースは開放され、イベントなども行われるようなので、足を運んでみてもいいかも。