アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の続編がゲームで登場したことにビックリ!
2003年(平成15年)11月20日は、プレイステーション2用ソフト『新世紀エヴァンゲリオン2』が発売された日。本日で発売20周年を迎えました。
複雑な世界観に多くの謎という秘密めいた作風がアニメ専門誌のみならず、テレビ番組や雑誌、新聞など、さまざまなメディアで取り上げられて一大ブームとなった『新世紀エヴァンゲリオン』。筆者はテレビアニメ放映時に主人公の碇シンジと同じ14歳だったこともあり、ドハマリしました。
その続編である『新世紀エヴァンゲリオン2』がゲームとして発売されること、さらに『高機動幻想 ガンパレード・マーチ』を作った芝村裕吏さんが制作するということでとても驚きました。
システムは『ガンパレード・マーチ』に似ていますが、筆者が『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』の公開前に、本作について芝村さんに直接インタビューしたところ(電撃PLAYSTATION2007年9月14日号付録「Re:Play VOL.9」収録)、“『ガンパレード・マーチ』とは、NPCがいっぱいいて動くことくらいしか共通点がない”と語っています。
というのも、アニメではキャラクターは好感度が蓄積されず、たとえばアスカがデレ期になったと思ったらつぎの回では落ち込んでいたりする。そのため、好感度が上がっていく『ガンパレード・マーチ』とは根本的に違うと教えてもらいました。『新世紀エヴァンゲリオン2』は芝村さんたちゲームのスタッフが庵野さんにお会いして、その考えをトレースした“庵野AI”というものを搭載しているとのことでした。
とはいえ、ゲームのサイクルなどは『ガンパレード・マーチ』と同じ。キャラクターのひとりとなって、ほかのキャラクターと仲よくしたり、襲来した使徒を迎え撃つことになります。自由に行動するフリーターンでは、昼休みは食堂に人が集まったり、夜は就寝していたりと、それぞれのキャラクターが人間らしい暮らしをしていますが、プレイヤーが好かれてくると、ミサトの家に大勢が集まってきて、すし詰め状態になったりすることも。こういう変わった状況が生まれるのもゲームという媒体ならではの楽しみでした。
キャラクターは“A.T”というゲージがあり、このゲージが高いほど使徒戦で有利に。シンジはアニメでおなじみのオーディオプレイヤーである“SDAT”を持っており、このアイテムのせいで“A.T”が上がりづらいという特徴がありました。原作を再現している部分とはいえ、ゲームに慣れてくると、さっさと彼から奪い取ってしまう人も多かったのではないでしょうか。
使徒とのバトル以外にもセントラルドグマの奥に侵入して、世界観の謎に迫るようなプレイも可能。加持と仲よくなって協力したり、ゲンドウや冬月と親しくなってIDカードをもらったりと、原作ファンならワクワクする展開が楽しめます。
トウジやカヲルと最後までいっしょに戦うといったIFも可能な本作で、筆者がいちばん好きなのは最終戦であるエヴァ量産機との戦いにジェットアローンまで駆けつけてくれるところ。原作のエヴァ量産機との戦いは絶望しかありませんでしたが(だからこそ美しいのですが)、本作では条件さえ満たせば、全パイロットとジェットアローンで迎え撃つという少年漫画のような展開に。
本編では成し得なかった展開に胸が高鳴りましたね。また、シンジとゲンドウが和解していっしょに釣りに行くエンディングも用意されており、「物語の結末にはこんな終わりかたもあったのかもしれないな」とうれしくなりました。
使徒とのバトルに関してはリアルタイムで進行するシミュレーション。エヴァと使徒の双方がA.T.フィールドを展開していて、このA.T.フィールドを貫通しないと本体にダメージが与えられなかったり、エヴァはアンビリカルケーブルで電力を供給していないと5分しか活動できなかったりと、原作の設定をゲームに落とし込んでいました。フリーターンで得たA.T.の貯蓄量によってシンクロ率(攻撃力)とA.T.フィールドの強度が変動するなど、日常と戦闘がうまく絡み合っているのも好きでしたね。
2006年4月27日には多彩なエピソードを追加した『新世紀エヴァンゲリオン2 造られしセカイ』がプレイステーション・ポータブル(PSP)で発売。テレビアニメ版準拠のシナリオも実装され、原作を知らない人でも楽しめるようになりました。また、原作再現でダッシュができずに歩くことしかできなかった冬月やカヲルも走ることができるようになり、プレイフィールが向上しました。
2021年3月に公開された『シン・エヴァンゲリオン劇場版』で、満足して燃え尽きたファンは多いと思いますが、ゲームならではの体験が詰まった本作も見どころ満点。まだプレイしたことがない人はぜひとも遊んでみてほしいですね。