バンダイナムコエンターテインメントより、プレイステーション5、Xbox series X|S、PC(Steam)にて発売予定の『SYNDUALITY Echo of Ada』。発売予定日や価格、販売形態は未定となっている。

 2023年9月21日~24日まで開催される“東京ゲームショウ2023”では、本作の試遊版がいち早く出展。どのようなゲームになっているのか、その末端を体験できる。

 バンダイナムコエンターテインメントではそれに先駆けて、メディア向けに試遊会を実施。本記事では開発陣のプレゼン内容も踏まえて、先行試遊プレイレビューをお届けしよう。なお、画面写真やゲーム内容含めて、すべて開発中のものとなっている。

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プレイ動画

 東京ゲームショウ2023の会場で出展されるバージョンの先行プレイ動画をお届け。

『シンデュアリティ』TGS2023試遊版プレイ動画。メカ×AI少女のサバイバルマルチTPS

アニメ、プラモ、そしてゲーム展開

 『SYNDUALITY』はバンダイナムコエンターテインメント、バンダイナムコフィルムワークス、BANDAI SPIRITSの共同メディアミックスプロジェクト。

 バンダイナムコフィルムワークスではテレビアニメ『SYNDUALITY Noir』を2023年7月より放送しており、BANDAI SPIRITSではプラモデルを展開している。

 原作『SYNDUALITY』をベースに、ゲームとして展開するのが今回紹介する『SYNDUALITY Echo of Ada』だ。

 プロデューサーは『ソードアート・オンライン』ゲームシリーズも担当している、バンダイナムコエンターテインメントの二見鷹介氏が担当。ディレクターは、クリスピーズの片岡陽平氏が務めている。片岡氏と言えば、『TOKYO JUNGLE(トーキョー ジャングル)』のディレクターとしても知られている。

 『SYNDUALITY Echo of Ada』はメカを操縦して戦うTPS(三人称視点型シューティング)で、マルチプレイがメインのPvPvEシューティング。つまり、対人戦と対NPC戦が入り混じるサバイバル系TPSに近い作品となっている。

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メカとAI少女の物語

 舞台となるのは、西暦2222年ごろ。かつて世界は、猛毒の雨“ブルーシスト”により世界人口の92%を失う。残された人類は地上を捨てて、地下国家“アメイジア”を築き、なんとか生き延びた。しかし西暦2222年に謎の事故により、アメイジアは崩壊してしまった。アニメ『SYNDUALITY Noir』は、崩壊から20年後が舞台となっている。

 そんな中、“ドリフター”と呼ばれる発掘師でありメカ操縦者たちは、地上に登って資源や貴重なエネルギー資源である“AO結晶”などを採掘して生計を立てていた。

 ゲームのプレイヤーはドリフターのひとりとなり、さまざまな任務をこなしながら、二足歩行メカ“クレイドルコフィン”と、プレイヤーのパートナーである人型AI少女“メイガス”とともに戦っていく。

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パートナーとなるメイガス
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自機のクレイドルコフィン

 ゲームの詳細なシステムは明かされなかったが、どん底状態のドリフターとしてさまざまなミッションを受けながら、メイガスとの生活や装備を豊かにしていくのが目的だという。自身の立ち回りにより周囲の評価が変わるそうで、進んだ道によって依頼されるミッションも変わるのだとか。

 ドリフターどうしは協力関係にあるわけではないが、協会に属している様子。もしほかのドリフターを倒せば、危険な存在として指名手配のような扱いになってしまうそう。ただし「ドリフターを倒すことが必ずしも悪ではないかも……?」と、片岡ディレクターは語っていた。

 稼いでいけば自身の拠点を拡充することができ、換金システムなどをパワーアップできるほか、よりメイガスと親密になれる空間も作れるそうだ。

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シングルプレイも存在

 メインはマルチプレイモードとなっているが、シングルプレイにも対応。モードというよりはミッションとして依頼されるそうだが、“アメイジア調査”という別ストーリーが用意されている。

 ふたりの監視記録回収を依頼され、戦いながらふたりの記録を追うという、独特の視点からストーリーが語られるようだ。

 通常のオンラインプレイでは装備をさまざまに変更できるが、アメイジア調査については、固定装備で挑むミッションになっているとのこと。

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アルバ
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エイダ
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3D表現だけでなく、バンドデシネとしてもカットシーンが展開される。

プレイヤー単独で挑むサバイバルTPS

 さて、ここからはゲームを実際に試遊してみて、その感想を交えながらゲームシステムの紹介をしていこう。

 操作やアクションは一般的なTPSとだいたい同じもので、銃を覗き込んで狙い撃ちしたり、グレネードを投げるなどして敵を攻撃していく。武器はふたつまで携行できたほか、近接攻撃も可能だった。

 スライド移動によるダッシュはあるが、ブースト移動などのメカらしいアクションは存在せず、ジャンプ力もそこまで高くないので、全体的には人間的な動き。高低差ダメージも存在していた。

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マップを選んで……。
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装備に保険を掛けるなどして出撃。
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機体にはメイガスが乗り込む棺(コフィン)がある。
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ゲーム中は浮いているように見えるがメイガスは棺に収まっていて、プレイヤーのVRコックピットに表示されているという設定。

 そのため、操作自体はかなりとっつきやすく、アクション性はシンプルなTPSといったところ。HPは数値制で、回復はアイテムを消費することで、機体をリペアできる仕組みだった。

 マッチングは、つねにマップが開かれており、そこに単独で入るという仕組みになっているそうだ。つまり、ルームに入ったり、マッチング人数が定員まで達すると試合が始まるわけではなく、マップの状況問わずにミッションに挑むということ。試遊版の定員は8人のマップとのことだが、マップによって定員は変わるそうだ。

 後述する一期一会のシステムを大事にしているため、ふたりでチームを組んでから出撃(いわゆるデュオ)などはいまのところ考えていないという。

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アイテムボックスなども存在する。
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プレイヤーを支えるパートナー・メイガス

 試遊したバージョンではミッションが“AO結晶を15個回収する”に固定されており、AO結晶を探し出して、ゴールである帰還エレベーターに持ち帰ればクリアーとなる。

 AO結晶の在処は、メイガスのスキャン機能を使うことで、周辺を探知できる。結晶は小型~大型など大きさが違い、大きければ大きいほど取得できるAO結晶が増えていく。

 結晶の発掘自体は単純で、その場に行ってボタンを押せば発掘開始。大きい結晶になるほどに発掘時間は伸びるが、おそらく装備の発掘機の性能でも、その速度は変わりそうだ。

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AOサーチでAO結晶をスキャン。
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 ユニークなのが、メカの隣に浮くメイガスの存在。メイガス一部アクションにも紐づいているが、大きな要素はプレイヤーへの助言をしてくれる部分。

 「敵を倒した」などの一般的な報告に加えて、状況に合わせてさまざまなセリフを言ってくれる。たとえば遠くで射撃音がすれば「遠くから射撃音が聞こえた」、敵に見つかれば「発見された」など、ほとんどの状況を説明してくれる。

 また、戦闘中は「こう戦おう」など、アドバイスをくれることも。メイガスは見たり聞いたりすることで、より成長を遂げていくそうで、経験を積めばより的確なアドバイスをくれるようになるのだとか。セリフは現在で2000以上用意されているほか、まだまだ今後も増えていくほどに膨大だと語られていた。

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メイガスを地上に設置して発掘させる、という要素もあった。中からはレアアイテムが登場した。

 ほかにも、メイガスにはスキルが備わっており、発動することで状況をよくするものや、攻撃・防衛スキルなどを放つことができた。これらはメイガスにインストールすることで使えるようになるそうだ。

 ちなみにメイガスの見た目もさまざまで、パートナーになった際などにカスタマイズできるという。

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スキル発動。
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プロテクションは耐久力が尽きるまで防衛シールドを貼ることができた。
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脅威となるNPC・エンダーズ

 そう簡単に結晶を持ち帰れるわけでは、もちろんない。地上には“エンダーズ”と呼ばれるクリーチャーが徘徊しており、プレイヤーを見つけると襲ってくる。倒せばエンダーズから素材的なアイテムがドロップする。

 基本的には攻撃すればすぐに倒せる個体が多かったが、中には何度攻撃しても倒せないような強敵が出現することも。攻撃も1発くらえば機体耐久力の半分以上持っていかれるほどに強力だった。このあたりは、ほかのプレイヤーとの協力性も生まれそうだ。

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 また、世界を破滅させた猛毒の雨は機体にも影響する。雨が降り始めると機体のHPとは別の抵抗力(RESIST)が減少。経験することはなかったが、最大まで減ると機体は破壊されてしまうそうだ。

 雨ゆえに建物や屋根で身を隠せば減少することはない。また、メイガスのスキルでも防ぐことができた。雨の強さにより減少速度は変わり、豪雨ともなればみるみるうちに抵抗力が低下していった。

 エンダーズのほかにも、NPCの盗賊団ドリフターも存在していた。試遊版ではかなり強力な存在となっていたので、もし試遊する人がいたら、なるべく避けるか遠くから狙い撃ちするのがオススメだ。

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ほかのクレイドルコフィンはスキャンが可能で、その実態や装備を確認できる。

敵か味方か? ほかのドリフター

 最大の特徴となるのが、ほかのドリフター。つまり別のプレイヤーとの関係性だ。ほかのプレイヤーは同じマップで別のミッションに挑んでいるわけだが、協力関係ではなく、敵でもない。その選択がプレイヤーの自由となっている。

 ほかのプレイヤーとはメイガスの通信を通してコミュニケーションを取ることができ「協力しましょう」などと発言することもできた。しかし、言葉とは裏腹に別の行動を取ることもできる。

 プレイヤーを倒すと、プレイヤーの持っている弾薬や資源、集めた結晶もすべて奪うことができるのだ。結晶を集めることがミッションならば、ほかのプレイヤーが回収した結晶を奪えば手っ取り早く達成できるというわけ。

 プレイヤーがいい人か悪い人なのかは、協会の評価などをメイガスがスキャンして調べてくれていたので、おそらくほかのプレイヤーを倒しすぎると、危険人物だとわかるようになっているのではないだろうか。

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ほかのプレイヤーもスキャン可能。

 対人プレイの体験もしたかったので筆者は残虐非道に問答無用で襲いまくっていたわけだが、通信は遠くからでもできるほか、セリフもたくさんあるのである程度の意思疎通も取れそうだ。

 強いエンダーズがいれば、いっしょに倒すのも手段のひとつ。ミッションの目的や、ドロップする素材の重要性などで共闘要素も生まれるのではと予想している。ただ、倒したあとの素材はどう分ける? 共闘相手を倒せばひとり占めできるのでは? などと考えると、ゾクゾクしてくる要素だ。

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エモーション+通信で、挨拶などができる。ちなみに挨拶してみたところ、返事なしで撃たれた。悲しい。

脱出するまでがドリフターの仕事

 帰還エレベーターは起動することで、数十秒後にせり上がってきて、一定時間経過後の下降するときに乗り込んでいれば帰還完了。持っている資材や結晶、ゲットした武器などをすべて持ち帰れる。

 エレベーターはマップの特定の場所にいくつか用意されており、呼び出したことはほかのプレイヤーにも通知がいくので、もしかしたらエレベーターにほかのプレイヤーが集まってきて、倒されてしまうかもしれない。

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せり上がったエレベーターに乗り込み、一定時間経過で降下する。この間も、倒される危険性がある。
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 機体が破壊されると数秒内に脱出装置を使わないと、メイガスが閉じ込められたまま機体、素材をすべてロストしてしまう。脱出装置を使うと、メイガスだけを連れ出す形で脱出可能だ。

 とはいえ、所持品からクレイドルコフィンの装備もすべてロストする。出撃前にコストを払うことで装備には保険を掛けられるようで、おそらく倒されてもロストせずに戻ってくるのではないだろうか。

 “メイガスが閉じ込められたまま機体、素材をすべてロスト”と書いたが、メイガスをロストするということはないようで、メイガス自体は生き残る。自分の力でプレイヤーのもとに帰ってくることもあるそうだが、その代わり、ほかのプレイヤーにメイガスを拾われるとコストを払わないと戻ってこないのだとか。

 その際には、メイガスなしの状態での出撃になることもあるとのこと。スキャンもスキルも使えない状態でミッションに挑まなくてはならないほか、非常に寂しい思いをしそうだ。ちなみに爆発に巻き込まれたメイガスは、コメディタッチにアフロヘアーとなる。

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機体が破壊されて脱出しないとメイガスが取り残されてしまう。
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脱出するとメイガスだけは助けられる。

“本物”の緊張感を早く味わいたい!

 試遊では結晶が集まりやすいので、ほかのプレイヤーを襲うメリットはあまりなく、むしろ相手に倒されてしまうかもしれないリスクのほうが大きいように感じた。

 このあたりは試遊版ゆえに、自分のコストや装備、素材アイテムなどを集める根幹のメリットやうれしさを体験できていないから、わからない要素だと思う。実際に自分のデータでプレイしたときに、ようやく“相手を攻撃する、または攻撃される恐ろしさ”や、“倒したときの愉悦”、“相手のアイテムを奪う罪悪感や喜び”が得られるのではないだろうか。

 ちなみに、本当は機体が破壊されると、プレイヤーデータやセーブデータがすべて削除されるくらいシビアにしたかったと片岡ディレクターは語っていた。さすがにいろいろな事情から実現には至らなかったのだとか。

 本作の末端を体験したが、独特のマルチプレイ要素は昨今流行している、アイテム取得を目的としたサバイバルゲームに近い印象。そこに本作ならではの要素として、メカカスタマイズのほか、メイガスといっしょに探索・戦闘をくり広げる体験が加わった印象だ。

 運営型のタイトルとして、発売後はマップ追加なども予定しているそうだが、まだまだ明かしていないシステムも多いそうなので、ぜひ今後の続報に期待しよう。

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