2023年8月27日に、“新生”から10周年を迎えたスクウェア・エニックスのオンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FFXIV』)。週刊ファミ通(2023年9月14日号/No.1813)では、光の戦士として『FFXIV』を楽しんでいる方やクロスオーバーコンテンツの開発に携わった方など、計7名のゲーム開発者の方からお祝いコメントをいただいた。
ここでは8月31日発売の週刊ファミ通誌面では掲載できなかった部分も含め、その全文を公開する。
また、イラストレーター・皆川史生氏からも、描き下ろしスペシャルイラストをいただいたので、そちらもあわせてご覧いただきたい。
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『FFXIV』新生10周年記念おめでとうございます!
新生から早10年、これまで『FFXIV』は数々の挑戦と困難に立ち向かいながら着実に成長し続け、多くの“光の戦士”たちに笑顔と喜びをもたらしました。その考え抜かれたコンテンツと優れた品質は、プレイヤーにとっては欠かせない存在として、後発のサービスにはお手本として求められ続けることでしょう。
これからも更なる進化を目指し新たな課題に挑戦してください。プレイヤーの声に耳を傾け、そのニーズに真摯に応えることで、ますます多くの人々に愛されるゲームとなる筈です。これからの10年が本当に楽しみでなりません。
10周年を祝し、心からお祝い申し上げるとともに、更なる輝かしい未来へのスタートを心から応援しています! 開発の皆さん、頑張ってください。同時にこれまで以上の声援をファンの皆様にお願い申し上げます。
スクウェア・エニックス 齊藤陽介氏
『ファイナルファンタジーXIV』新生10周年おめでとうございます!
もう10年も経つんですねぇ……。よしPを『FFXIV』チームに送り出したのもついこないだのことなんじゃないの? という記憶なんですけども(笑)。
“YoRHa: Dark Apocalypse”の開発では、それぞれがクリエイティブに拘りのある“ヨコオタロウ”と“よしP”の間に入って、最後の方のセリフ回しの着地点を決められたことが良い思い出です!(実装ギリギリだったもんでね……)
その節は、開発スタッフの皆様、ヒカセンの皆様に大変お世話になりました。
ひとりでも多くの方に楽しく遊んで頂けたなら幸いです。
次の10年も期待しております! ヒカセンに栄光あれ!!
スタジオフレア 森 利道氏
この度は『ファイナルファンタジーXIV』、新生10周年誠におめでとうございます!
スタジオフレアでミコッテ→アウラの森利道と申します。
僕が『FFXIV』を始めたのもちょうど十年前という事になるのですね……。
サーバー(ワールド)は言えませんが、『旧FFXIV』で、ウルダハから出れずに、何すりゃ良いんじゃい状態から僕のエオルゼアでの冒険は始まり、得意技で「シールドバッシュ」とまで書かせて頂くまでになりました。
正直、あのときの三蛮神は色んな意味で最高でしたよ。トラウマ的に。“大迷宮バハムート”でも……雷撃背後捨てとか訳わかんないですよ! と、シンジくんばりに叫びたいときもありました。
ちなみに僕の一番好きなバージョンは『漆黒のヴィランズ』です、めちゃめちゃ泣いてしましました。それと暗黒騎士が好きだったので……今はリーパーです。かっこいいは正義です。
ただ、最近会社等を立ち上げた事でちょっと忙しくなり、中々IN出来なく、やっと手に入れたハウスが消えていたことにショックが隠しきれませんでした……。うん、自業自得ですが涙でましたよ。
などなど語り始めるときりが無いのですが、吉田直樹さま、スタッフ方々に
心より御礼と、そして今後の冒険を心待ちにしております。
ブッコロ ヨコオタロウ氏
新生『FFXIV』10周年おめでとうございます!
MMOで10年サービスを維持できるという偉業は(以下略)」というコメントで紙面は埋め尽くされているかと思いますが、ヨコオも、とあるコラボでご一緒させて頂いたんですけど、ええ、頂いたんですけど、そしたら『FFXIV』チームの皆様の懐が思った以上に深く、やりたい事のほとんど全てを出来た上に、ものすごい豪華なバトルとステージになっていてなんかもう、あと100年くらいは頭が上がらない状態になった次第です。お伝えしたい事は以上です。エオルゼアに栄光あれ。
プラチナゲームズ 田浦貴久氏
僕は、オンラインで誰かとプレイするゲームが苦手だった。
これは、ざっくり言うとコミュニケーションに対する積極性の欠落と、極度の不安症によるものなのだが、それでもゲームは好きなので、読んで字のごとく黙々とプレイをしてきてはいた。しかし、そのどれもが長くは続かない……。
『FFXIV』も決して例外ではなかった。新生と同時に開始したときは、「竜騎士になりたい!」という子供の頃からの夢を追って槍術士を選択。無事、思い描いた夢を実現して大満足した後、DPSを中心にその他いくつかのクラスを、そしてジョブを触りながらも、いつも通り、一人である程度楽しんで、独りで静かにフェードアウトしていった。
しかし数年後、事態は一変する。
長いお休み期間を経て、再び興味が沸いたのは、パッチ5.0が発表されたあたり。
苦手とか誘ってくれる友達がいないとか、そんなこと関係なくこれはプレイしてみたい! と強い欲求に駆られつつも、まずはそこに到達せねばならない。勇んでその日のうちに何年振りかのエオルゼアに降り立った。
しかし、以前プレイしていたところまでの内容はさすがに覚えていない。久々に見た自キャラと対面するも、互いに、あ、はじめまして……じゃなかったでしたっけ。お久しぶりです……というような距離感に。
人とのプレイにもドギマギするのに、自キャラにすらドギマギする始末。
ということで、心機一転もう一度最初から始めようと決意。よし……と考え始めたところで、興味を引くクラスは以前一通り触ってはいたので、どうしたものかと、悩む。
別の観点から決めてみよう……そうだ。開始地点だ。となると、グリダニアだ。グリダニアがいい。それだけは譲れない。
美しい自然もさることながら、尽くすならばカヌ・エ様しかいない。功績をあげてカヌ・エ様に褒められたい。認められたい。癒してあげたい。……癒す……そうか! 幻術士だ!
これまでは、ソロぼっちプレイヤーの性か、どうもイケイケドンドンな方向に思考が偏り、サポートが主軸のキャラクターを作ろうなんて思うこともなかったのだが、新たなロールプレイの可能性という名の扉を発見し、初めてのヒーラーを選択。カヌ・エ様に憧れを抱く見習い幻術士として、グリダニアの門を叩いた。
その後は、個人的かつ一方的なカヌ・エ様への想いという目標が明確だったことが功を奏し、さくさくプレイが進んでいった(いま思えば、開発チームの方々のたゆまぬ努力と調整のおかげです。ありがとうございます)。
そして、ついにやって来た第一関門。サスタシャ浸食洞。言わずと知れた初ダンジョン。ここでいよいよ、自分が最も苦手とする対人プレイが行われる。
とは言っても、最初と最後のあいさつくらいで、それ以外に会話を交わさなきゃいけないようなことはなく、基本的にはすごく気軽にプレイできるように作られているのだが(※普通のプレイヤーは不安視しなくても大丈夫です。とても快適にプレイできます)、ここが極度の不安症の見せどころである。
周りの人に迷惑かけていないかな……あ、さっき一瞬道間違えたけど気づかれていないかな……などなど、持ち前の不必要なマイナス思考が爆発して、ダンジョンが終わる頃には、冬でも手汗脇汗でベトベトになりながら、息を切らしてプレイしていた日々を思い出す。シャキ待ちの間、当時の辛さをフラッシュバックして、緊張と吐き気がピークに達していた。
……ところが、ヒーラーで臨んだ初めてのダンジョンを開始した直後、自身の脳天に、ヴァルサンダーが落ちたような衝撃が走る。
ヒーラーとしてのプレイフィールが、自分のゲームプレイスタイルと、捻じれた性格に対して、信じられないほどのシンクロ率を叩き出していたのだった。キャラクターを操作しながら、その衝撃に身を任せ、ふと自分のこれまでの道程を思い返す。
学生時代。仲の良かった4人グループで、よく遊んでいた。
どこだったか。まぁ場所はどこでもいい。いつものように、遊びに行こうぜ!となったときに、自分が先陣を切って歩き出すことは、まずない。そのすぐ後ろで、2人並んで前後に気を配りつつ楽しい話題を振りまくようなことも、まぁ、まずない。自分は……そう。いつも一番後ろを無言でトボトボとついていくだけの人間だった。
一番後ろは、いい(ちなみに端っこも好き)。状況が、状態が、手に取るようにわかる。
前を行く友達の靴紐がほどけていても即座に指摘してあげられたし、後ろから迫る車にもいち早く気づき、「車来たよ! 危ないよ!」と警鐘を鳴らすこともできた。往くべき道を覚えていなくてもいい。次の話題に困って脇汗を滲ませる必要もない。ちょっとした段差に躓いたとしても、誰にも見られてはいない。気楽だ。
――ハッとした。コレだ。
タンクが走り、DPSが続き、最後にカヌ・エ様を癒したいという欲望によってのみ生み出された幻術士見習いのヒーラーがゆっくりと後を追う。
陣形の一番後ろにいるというだけで、とてつもない“しっくり感”に包まれていた。
コイツは、間違いなく俺だ。……とシンガリを務めるヒーラーを見ながら、感じていた。
戦闘が始まったら、我先にとそれぞれが行動を開始する中、少し距離を取って構え、時折攻撃に参加しつつも仲間をサポートする。
誰も倒れなかった。無駄なく的確に回復できた。そのうえで攻撃にも参加した。と、なんと結果のわかりやすいことか。さすがの不安症な自分でも、こればかりは仲間に迷惑をかけていないことがわかる。一目瞭然。いや、それどころか、かなり貢献できているのではないか。
自分の居場所を見つけたような感動が、そこにはあった――
自分を受け止めてくれたような温かさを、確かに感じた――
気が付くと、鯱牙のデェンが倒れていた。
今までとは明確に違う。自分の服は、カラッカラに乾いていた。握りしめたコントローラーが不必要にベタつくこともなかった。空気が、澄んでいた。
鯱牙のデェン……生きる道を教えてくれたこの男(?)を眺めながら、この先に待つであろう長い道のりを、今度は折れずに歩き切れるという確信を、胸の中に抱いていた。
ここから、壮大なストーリーを追いつつ、白魔道士へと成りあがる辺りでカヌ・エ様に別れを告げ、ラヤ・オ様に尽くすことを誓った後、なんやかんや占星術師を経て、結局はやっぱり忍者が最高でしょ期を越え、あとなんか他にも色々やりながら自分の作ったゲームがとてもありがたいことにコラボさせていただくことになったり、賢者が楽しすぎてテンションがぶち上がり続けたり、というかシナリオ面白過ぎるでしょこのゲーム……と、まだまだ書き連ねていきたいところではあるのですが、それをやっていると仕事に支障が出るのでこの辺で……。
……つまるところ、これ一体、何を言いたいのかというとですね。
基本的にはオンラインゲームが苦手なのは今も変わらないのですが、『FFXIV』は、一辺倒ではない楽しみ方ができ、さまざまなプレイヤーを抱き締めてくれる寛容さがあり、自分にマッチした遊び方を見つけることができることで、オンラインが苦手な自分でも、こんなにも夢中になれる素晴らしいゲームである! ということです。
今日まで、それなりに長い時間をエオルゼアで過ごさせていただきましたが、いまだにフレンドは0人。FC、LSってなんですか……? という名実ともにソロプレイヤーなのですが、そんなこと関係なく楽しみ続けられる、一生この世界に浸っていたい……と思わせられるゲームであることを、もし、同じように誰かとプレイするのが苦手という方がいれば、この場を借りてお伝えしたかったのです。
大丈夫。気負わなくてもいい。一人でも本当に楽しいです。
そして、こんなにも素晴らしいゲームを作ってくださった方々には、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。新しいゲームの楽しみ方を教えていただき、ありがとうございました。
最後に、ようやく本題となります……。
『FFXIV』新生10周年、語りつくせぬほどの思いを込めて、本当に、心より、おめでとうございます!
パッチ6.0を終えたあとはお仕事の関係もあって落ち着かせておりますが、いよいよ7.0、『黄金のレガシー』が発表され、トレーラーを今まさに貪り尽くさんとしているところです。
今後も、開発に携わっておられるすべての関係者様の健康と繁栄を願いながら、この先20年、30年と邁進されることを期待しています。
引き続き、いち光の戦士として、楽しみにしております!
ミストウォーカー 坂口博信氏
『FFXIV』新生10周年、おめでとうございます!
吉Pとの対談きっかけで、2021年9月27日からプレイを開始し、約2年間プレイしつづけています。現在の累積プレイ時間が137日11時間23分(2023年7月21日現在)です。人生の約20%を『FFXIV』で過ごしている計算ですね。なんて言ったらいいかわかりませんが(汗)、ありがとうございます!
生きている実感増幅度は20%を超えて、50%増しくらいな感じです。
もともと大好きなMMORPGですが、それに加え、『FF』旧作のエッセンスたっぷりな、まさしく“FFテーマパーク”に、日々感動しています。こんなかたちで「自分の半生をふり返りつつ楽しめるワールド」に出会えるとは思いませんでした。この世界に“人間”というものが生まれてから、これほどまでに楽しんだ者はいないのでは? というくらい、楽しませてもらっています。
いやいや、まじで、サンキューです。
『FFXIV』、ばんざい!
未来永劫つづくことを祈って!
レベルファイブ 日野晃博氏
『FFXIV』新生10周年おめでとうございます! 星が落ちてきたあの日から10年が経ったとは。
実は、『FFXIV』は、新生前からずっと楽しませてもらっているので、こんな長い時間遊んできたという事実に、いちプレイヤーとしても、なかなか感慨深いものがあります。
“邂逅編”から始まった高難度レイドも、出るたびにむっちゃ予習してなんとかクリアしていたという記憶がよみがえりました。
生活の一部になってしまうほど長く遊べるゲームってそうないと思うんですが、『FFXIV』は紛れもなくそういうものになっていますよね。
アイテムレベル引き上げによって、シーズントレンドを変更し、プレイヤーの格差をうませないようにするなど、長く続けるための工夫が数多くされており、『FFXIV』の成功は開発側の工夫のたまものだと思います。
よしP、『FFXIV』チームの皆さん、さらなる20周年を目指し、これからもがんばってくださいませ!
皆川史生氏描き下ろしのスペシャルイラストを公開!
2019年まで週刊ファミ通の『FFXIV』記事にて4コママンガ“じゅうよんコマ”を連載されていた皆川史生氏。その新生10周年お祝いイラストがこちら!