2023年8月27日、横浜デジタルアーツ専門学校にて開催されたインディーゲームイベント“横浜ゲームダンジョン”。ここにFoxy Boxy Gamesより発売中の『ROBO OH』が展示されていて、新作というわけでもないのだが、つい気になって遊ばせてもらった。

 本作を端的に説明すると、“どっかで見た感じのロボ”たちが戦うドット絵の格闘ゲームだ。“ファミコン風格闘ゲーム”をテーマにしており、弱攻撃と強攻撃の2ボタンのみというシンプルさが特徴になっている。

 格闘ゲームの祭典“EVO Japan 2023”でサイドトーナメントが開催されたとのこと。やりこみ勢が多く集まり盛況だったそうだ。

 今回の展示では今後発表予定の新バージョンをプレイできた。新バージョンではおもにグラフィックの進化とジャンプ攻撃の強化、一部キャラクターのアッパー調整、そしてタッグバトルの追加が予定されているとのこと。

 ただし、記事内で使われているスクリーンショットは、筆者が後日撮影した旧バージョンのもの。その点はご注意いただきたい。

どっかで見たロボ×ドット格闘ゲーム『ROBO OH』。友だちと遊んでゲラゲラ笑う! 懐かしの“味”を再現しているのにコンボは意外と現代風【横浜ゲームダンジョン】
これが新バージョンを直撮りした写真。この後でずらりと並ぶ従来バージョンと見比べてみよう。
『ROBO OH』Steamストアページ

友人の家でワイワイ遊んだあの感じ。シンプルゆえに“すぐ遊べる”という魅力

 さて、そんな本作のシステムを見ていこう。リーチの短い弱攻撃と攻撃力の高い強攻撃を使い分けて、相手の体力を先に減らしきった方の勝ち。シンプルな格闘ゲームだ。

 昨今の格闘ゲームと違う点として、攻撃力が高めだったりジャンプが緩やかだったりと、少し大味に仕上げている印象。ジャンプ攻撃→強攻撃→必殺技みたいなお手軽コンボ(いわゆる飛び3段)でもけっこう体力を減らせて、これがまた爽快だ。このごっそり減る感じが好きで、たまにレトロ格ゲーをやりたくなる格闘ゲーマーは多いのではないだろうか? 筆者もそのひとりである。

どっかで見たロボ×ドット格闘ゲーム『ROBO OH』。友だちと遊んでゲラゲラ笑う! 懐かしの“味”を再現しているのにコンボは意外と現代風【横浜ゲームダンジョン】

 キャラクターはどこかで見たことあるようなロボたちが勢ぞろい。イケてるロボからいい塩梅にダサい(気がする)ロボまで、なんかこう、いい感じなロボたちがより取り見取りである。とくに戦隊ロボが好きな人たちに刺さりそうなデザイン。これはおそらく狙ってのことだろう。

 そもそも、なんでこのロボたちで格闘ゲームを作ろうと思ったのか。開発スタッフ(外国の方だった)に聞いたところ、「大好きな戦隊ロボがカッコよく動くゲームを作りたかったから!」とにこやかに語ってくれた。格闘ゲーム→戦隊ロボではなく、戦隊ロボ→格闘ゲームという流れで本作は生まれたらしい。

どっかで見たロボ×ドット格闘ゲーム『ROBO OH』。友だちと遊んでゲラゲラ笑う! 懐かしの“味”を再現しているのにコンボは意外と現代風【横浜ゲームダンジョン】

 攻撃モーションにも“どっかで見たような技”が多く、格闘ゲームファンならニヤリとすること間違いなし。たとえばRINGKINGは、ダッシュしながらストレートをしたり、ダッシュしながらアッパーをしたり、ダッシュしながらローブローを撃てる。「オアーッ!」という幻聴が聞こえてきたのだが気のせいだろう。

 これが主人公機みたいな立ち位置にいるのもおもしろい。

どっかで見たロボ×ドット格闘ゲーム『ROBO OH』。友だちと遊んでゲラゲラ笑う! 懐かしの“味”を再現しているのにコンボは意外と現代風【横浜ゲームダンジョン】

 格闘ゲームということで編集部のミス・ユースケと対戦してみた。シンプルなレトロ風格ゲーなので、インストカード(コマンドが書かれた紙)を見ながらワイワイ遊ぶのが最高だ。

 「この技ツエ―(笑)」、「こいつタイガーって言いそうじゃない?」なんて言いながら、ワチャワチャ対戦するこの感覚が、かつて経験した“友だちの家にあった格ゲーで遊ぶ記憶”とクロスオーバー。この体験は時代が移り変わっても不滅で、なんだかんだでおもしろいのである。2ボタンかつ簡単コマンドという本作のカジュアルさがあればこそだろう。

どっかで見たロボ×ドット格闘ゲーム『ROBO OH』。友だちと遊んでゲラゲラ笑う! 懐かしの“味”を再現しているのにコンボは意外と現代風【横浜ゲームダンジョン】
どっかで見たロボ×ドット格闘ゲーム『ROBO OH』。友だちと遊んでゲラゲラ笑う! 懐かしの“味”を再現しているのにコンボは意外と現代風【横浜ゲームダンジョン】
放課後の小学生のごとくはしゃぐ二人。楽しいんだよな、こういう対戦。インストカードを見ると、初心者の壁になりがちなナナメ入力が一切なく、必殺技を出しやすくなっていることがわかる。

レトロゲー風味のシステムながら、随所に最新ゲームのスパイスも

 しっかりレトロ格ゲーとしてよくできていたので、200円で現行バージョンを購入して自宅でやり込んでみた筆者。すると、意外と現代格ゲーのエッセンスが取り入れられていることに気づく。

どっかで見たロボ×ドット格闘ゲーム『ROBO OH』。友だちと遊んでゲラゲラ笑う! 懐かしの“味”を再現しているのにコンボは意外と現代風【横浜ゲームダンジョン】

 相手に攻撃を当てると溜まる“必殺技ゲージ”があり、マックスまで溜めると最大3つストックできる。これの使い方がかなり現代的なのだ。

 ひとつ消費すると強化版の必殺技を使用可能。通常、空中に吹っ飛んだ相手には特殊技以外で追撃できないのだが、強化必殺技ならヒットする。アッパーから強化アッパーみたいなお手玉コンボにつなげられるのだ。

 気をよくしてコンボルートをコツコツ研究してみると、意外と幅広いコンボができることに驚く。

  • コンボ例:しゃがみ弱→しゃがみ弱→立ち弱→弱アッパー→強化アッパー×3

 けっこうつながるでしょ?

どっかで見たロボ×ドット格闘ゲーム『ROBO OH』。友だちと遊んでゲラゲラ笑う! 懐かしの“味”を再現しているのにコンボは意外と現代風【横浜ゲームダンジョン】
少し体が黄色に変化しているのがお分かりだろうか? これが強化したアッパーである。

 さらにコンボの幅を広げているのが、ゲージをふたつぶん消費して発動できる“強化状態”。通常技や必殺技から前を2回入力をすると発動でき、体が青色に変化している間は通常必殺技でも空中への追撃が可能になる。『ストリートファイター6』のドライブラッシュと『ザ・キング・オブ・ファイターズ』のMAX発動を合わせたものと思ってくれればOKだ。

どっかで見たロボ×ドット格闘ゲーム『ROBO OH』。友だちと遊んでゲラゲラ笑う! 懐かしの“味”を再現しているのにコンボは意外と現代風【横浜ゲームダンジョン】

 発動時のダッシュモーションによって相手との距離が詰まるので、近距離から強力なコンボを叩き込める。ボクサーのRINGKINGでコンボ例を挙げると、

  • ジャンプ攻撃→強攻撃→弱ストレート→<発動>→強攻撃→弱アッパー×3→前入れ強攻撃→強化ダッシュアッパー

 みたいな長いコンボもできた。体力半分を奪えるし、いっぱいアッパーが入るので視覚的にも操作的にも気持ちいい。

どっかで見たロボ×ドット格闘ゲーム『ROBO OH』。友だちと遊んでゲラゲラ笑う! 懐かしの“味”を再現しているのにコンボは意外と現代風【横浜ゲームダンジョン】
このダメージである。左下に9HITと書いてあるとおり、けっこうつながった。

 ゲージを消費しなければ追撃できない関係上、ゲージを使うタイミングが重要になってくる。最近の格闘ゲームで言うところのリーサル判断(※)がやり込みポイントになっているわけで、いかにも現代格ゲー風味である。

※リーサル判断:自分の必殺技ゲージなどの状況から、どのコンボを選択すれば倒せるかを見極めること。

 言うなればレトロと現代のいいとこどりをしているゲームなわけで、筆者は気付いたら1時間以上ぶっ通しでプレイしていた。カジュアルに遊べるのに、研究しようと思ったら深い。ずぶずぶと沼にハマっていく感覚。

どっかで見たロボ×ドット格闘ゲーム『ROBO OH』。友だちと遊んでゲラゲラ笑う! 懐かしの“味”を再現しているのにコンボは意外と現代風【横浜ゲームダンジョン】
キャラクターによって技の構成が違うので、コンボパーツの研究がこのゲームの深さになっている。
どっかで見たロボ×ドット格闘ゲーム『ROBO OH』。友だちと遊んでゲラゲラ笑う! 懐かしの“味”を再現しているのにコンボは意外と現代風【横浜ゲームダンジョン】
MASAMIOHでスシ=シュリケンを投げたい人にもオススメ。

 格闘ゲーム好きとして十分に楽しんだ1本なのだが、格闘ゲームをやったことない人にもおすすめ。コマンドがわかりやすいし、システムも操作もシンプル。オンラインマッチでランクを上げなければいけないわけでもないので、「格闘ゲームってこういうものなんだー」という入門編として優秀な印象だった。

 価格は200円と激安。気になった人はとりあえずSteamストアページをのぞこう。

どっかで見たロボ×ドット格闘ゲーム『ROBO OH』。友だちと遊んでゲラゲラ笑う! 懐かしの“味”を再現しているのにコンボは意外と現代風【横浜ゲームダンジョン】
『ROBO OH』Steamストアページ