『ミストトレインガールズ ~霧の世界の車窓から~』や『モンスター娘TD~ボクは絶海の孤島でモン娘たちに溺愛されて困っています~』、『ティンクルスターナイツ』などを手掛ける“クリエイティブチーム くまさん”(以下、くまさん)。
そのくまさんの第4弾タイトルにして、DMM GAMES内製の開発チームが手掛ける新規フラッグシップタイトル『ガールズクリエイション〜少女藝術綺譚〜』(以下、『ガールズクリエイション』)が発表された。
『ガールズクリエイション』のテーマは歴史的な芸術家や芸術作品。それらが美少女化したキャラクターたちとターン制戦略シミュレーションを楽しめるという。対応プラットフォームはPCブラウザ、DMM GAME PLAYER、DMM GAMES ストア(Android)で、今秋リリース予定だ。なお、大人向け版もある。
突如として発表された『ガールズクリエイション』はどのようなゲームなのか、プロデューサーのはせPとディレクターのかがDに話を伺った。
長谷川雄大
『ガールズクリエイション』プロデューサー。株式会社Studio KUMASANの代表も務める。通称“はせP”。
内製の開発タイトルとして5年前から企画が進行
――まずは『ガールズクリエイション』の成り立ちを教えてください。どのような経緯で開発がスタートしたのでしょうか?
はせPじつはプロジェクト自体は5年ほど前からスタートしているんです。くまさんブランドタイトルの第1弾として『ミストトレインガールズ』(以下、『ミストレ』)という作品があるのですが、その『ミストレ』よりも半年くらい前から企画が動いていました。
――そんなに前から?
はせPそうですね。このタイトル自体は『ガールズシンフォニー 〜少女交響詩〜』の姉妹タイトルのような形で企画されました。直接的なつながりはないんですけど。
当時、僕は『フラワーナイトガール』のプロデュース/アートディレクションを行っていました。そんな中で、初代『ガールズシンフォニー』には、現EXNOA(DMM GAMES運営会社)からのオーダーで急遽リリースの数ヵ月前からプロデューサーとして関わることになったんです。どうしても時間的な制約がありまして、完全にはやり切れなかった部分があったと感じます。
――心残りがあったと。
はせPそういった背景もあって、「次世代作はしっかりと作ろう」と。そこが『ガールズクリエイション』の企画の走り出しですね。芸術家やアート作品の擬人化というネタに関しては、KADOKAWAの和田さんと意見を出し合っている中で、アイデアがまとまりました。和田さんにはくまさんのメンバーとして特例で参画していただいているんですよ。
これまでのくまさんのプロジェクトは、基本的に外部の会社さんといっしょにやらせてもらっていました。今後もそういったプロジェクトはもちろんあります。ですが、DMM GAMESという視点で考えたとき、“内製タイトルをきっちり作る”ことは重要です。
――「しっかりとした内製タイトルを作る」もひとつのテーマだったと。事前にお見せいただいた資料に“フラッグシップタイトル”とあったのはそういうことだったんですね。
はせP自分たちのことながら「よく言い切ったな!」という感じではありますね。外部の会社さんは優秀なので、内製タイトルとしては押されていて、なかなか新規タイトルをリリースできていない現実がありました。そう簡単に勝てるという話ではないのですが、新規の内製タイトルを作るとなったら、そこに負けないものを作らなくてはいけない。それは内製でゲームを作る開発チームとしての宿命です。
はせPそこで今回のプロジェクトにかがDが加わったという経緯になります。内製タイトルとしてヒットした『凍京NECRO<トウキョウ・ネクロ> SUICIDE MISSION』のディレクターを務めていた男ですので。
――企画が始まったのが5年前とのことですが、形になり始めたのはいつ頃だったんですか?
はせP今回の発表に至るまでに紆余曲折がありまして……。先ほどもお話ししたとおり、『ガールズシンフォニー』で積み残しがあったので、僕の中では「いい作品にならない限りは世に出せない」という思いがありました。正直にお話しすると、何度も何度もスクラップアンドビルドしています。
本格的に「この方針でいこう」と決まったのは、僕がStudio KUMASANの代表として独立しながらEXNOAの執行役員になる少し前ですね。そこで内製開発チームでちゃんとフラッグシップタイトルになれるようなゲームを作るという方針を示したのが、だいたい2022年の4月くらいです。
もちろん、(アートなど)途中まで作っていたものは活かしつつ、新体制としてメンバーを一新し、各分野のエキスパートを集め、そのうえでゲームの根幹部分のスクラップアンドビルドを行いました。
――最初に資料読ませていただいて気になったのは「なぜいま擬人化ネタなのか」ということです。いまのこのご時世、擬人化系は落ち着いてきていますよね。
はせP『ミストレ』より前から始まった企画ですので。逆に言うと、いま目新しくなってしまったという感じですね……(笑)。
――『ガールズシンフォニー』は音楽がテーマで、クラシック音楽がイメージになっていますよね。今回はそれに近い絵画や芸術作品がテーマになっていますが、テーマはすんなりと決まったのでしょうか?
はせPいえ、かなり苦戦しました。もともと姉妹タイトルとして企画が始まって、積み残しがないようにきっちりと作るというところから走り出しているので、逆に言えば、僕の思い入れが深かったからこそ長引いたんだと思います。
弊社はプラットフォーマーでもありゲーム開発会社でもある。だから、外部会社さんのハイクオリティなタイトルに負けないように、内製で開発するゲームはフラッグシップタイトルを目指す必要がある。それがやり切れないのであれば、そもそも自分たちでゲームを作るべきではないかもしれない。
組織変更もしましたし、何度もスクラップしました。かがDの下にいる多くの優秀なスタッフがこのタイトルを作っているのですが、その中には「(僕のことを)何だこいつ」と思っている人たちもいると思います。ただ、それだけの責任を持ってやらなくてはいけないという覚悟を持って、企画を進めてきました。
――だからこその、“新規フラッグシップタイトル”であると。
はせPそうです。いまのDMM GAMESで大ヒットしているのは、多くは外部の開発会社さんが作ったタイトルなんですよ。大前提として、どこも超優秀。たしかに強いんですけど、DMM GAMES側にいる立場として、「(それらのタイトルに)内部の開発チームが負けちゃってもしょうがないよね」とは言えません。
そのタイトルを頼っているだけではダメで、いっしょにプラットフォームを盛り上げなくてはいけない。だからこそ、足に食らいついてでも勝ちにいく。これはもう(プラットフォーマーが持つ開発チームの)宿命です。そういった強い思いと覚悟があります。
はせP覚悟決めてやらないと、内製の意味がありませんからね。いまでこそ、外部の会社が僕たちの先生のような立ち位置になっていますが、本来であれば、DMM GAMESが作ったタイトルが先生にならなきゃいけないんです。外部の会社の方々を「すごいな。自分たちもこういうタイトルを作ろう」という気持ちにさせないといけない。
いまは僕たちが後ろから追いかけているので、それはダメだなと。先を走れないんだったら自分たちで(ゲームを)作るべきではないと、これまでのインタビューでもお話してきました。Studio KUMASANの立ち上げや執行役員になったタイミングから、「作る部分の全責任を持ってやってくれ」という話になって……だからすごく責任が重いんです。
――プレッシャーがすごそうですね。
はせPそうなんです。だからもう、今回これを失敗したら業界からいなくなっているかもしれません(笑)。
――キックオフのインタビューで、失敗の話はご遠慮いただけますと(笑)。
はせPそれくらいの覚悟を持って臨んでいると受け取ってください。スタッフ全員、本当に死ぬ気で作っているんですよ。内部でテストをくり返していて、反応は過去最高。僕が見ても「いいクオリティーだな」、「内部で作らないとこのレベルは無理だろう」というレベルにはたどり着いています。
そういったバックボーンもあって、今回はそうとう気合いが入っています。『ガールズシンフォニー』はKADOKAWAさんにシナリオ部分で協力していただいて開発を始めた原点で、今回も同じ形で開発を進めています。そういった意味でも、『ガールズクリエイション』はその姉妹タイトルとして、しっかりやり切らないといけません。
つねに“攻め続け”、テンポよく状況が変化。独特なシミュレーションバトル
――それでは、具体的にどのようなゲームなのか教えてください。
かがD最初にオープニングムービーをお見せしますね。楽曲はアサノハヤトさん(※)。ほかのゲーム楽曲にもすべてサウンドディレクターとして関わっていて、魅力的な世界観を作り上げていただいています。
※アサノハヤト氏:コーエーテクモゲームスの『アトリエ』シリーズなどを手掛ける作編曲家。
――おお、フルアニメーションだ。すごい。
はせPアニメーションを手掛けているのはポイント・ピクチャーズさんです。これまでにも僕が携わったタイトルのアニメーションを多く手掛けてくださってる会社さんで、長い付き合いがあります。
――(映像を見終えて)ゲームというよりテレビアニメのオープニングみたいですね。
かがD最近は、オープニングがフルアニメーションのタイトルも増えています。これでようやくスタートラインに立てたかなと感じますね。いまはβの開発自体は完了していて、デバッグ調整を行ってリリース版に向けて実装していくフェーズ。あらかた完成はしていますが、さらにブラッシュアップしていくところです。
――ゲーム内にはどのようなコンテンツが用意されているのでしょうか?
かがDクエストをはじめ、さまざまな恒常コンテンツを用意しています。それに加えて期間限定のイベントコンテンツにも挑戦できる。昨今としてはオーソドックスな作りだと思います。
少し変わった要素としては、ほかのプレイヤーの方と競い合いは、初手としては重視してません。ひとりで遊んでいただけるという部分に注力しています。まずはメインクエストを進めて、ストーリーの雰囲気を楽しんでほしいですね。
――それにしても、キャラクターがすごく動いていますね。モーションのこだわりを教えてください。
かがDキャラクターはフルボイスで、表情やモーションにすごくこだわって作っています。モーションの滑らかさを含めて、DMM GAMESの中でもトップに近いクオリティになっているかなと。この手触り感は『ガールズクリエイション』のコンセプトテーマのひとつでもあって、かなり細部まで作り込んでいます。
はせP(ほかに多数のタイトルに関わっている)僕から見てもクオリティは高いと感じています。
かがDはせPとの勝負、みたいなところもあります。
――(はせPが担当している他タイトルを)倒す気持ちで行きましょう。こだわりを具体的に教えてもらえますか。
かがDたとえば……アドベンチャーシーンにおける芝居付けですかね。いまではキャラクターアニメーションやフルボイスを採用しているアドベンチャーゲームは珍しくありませんけど、『ガールズクリエイション』では各キャラクターに細々とした芝居がついているんですよ。静止画だと伝わりづらいかもしれませんが。
はせP美少女ゲームの系譜に連なるゲームですからね。キャラクターを魅力的に見せる手法は重要です。美少女ゲームの最先端を走るために、すごく工数をかけてキャラクターのモーションやエフェクトを作っていきました。丁寧に丁寧に。そのぶん、動きは滑らかで自然。これが没入感につながって、物語に入り込める作りを目指しています。
――1枚絵をポンと置いただけでもゲームとしての楽しさは伝わってくると思いますが、その先を行きたいわけですね。
かがD登場するキャラクターのモチーフは芸術家や芸術作品。芸術家は“藝術家”、芸術作品は藝術家と協力する“イマージュ”という存在として登場します。それぞれ美少女化したキャラクターですね。藝術家とイマージュは、物語上でも接点があるという感じになっています。それぞれ専用のアニメーションやエフェクトがついています。
はせPアドベンチャーシーンの1枚絵でも、細かく動くようにしています。正直、莫大なコストをかけました。
かがD1枚絵が動くのは珍しいポイントだと思います。ほかにも、シナリオ上で登場する固有名詞を辞典で確認できる機能も用意しています。辞典は物語を進めるごとにアップデートされていって、「この用語は何だっけ?」となったときに読み返していただけるかなと。
――便利な機能ですよね。始めたばかりのころは固有名詞が多くて覚えきれないことも多いんですけど、こういった辞典機能があると助かります。読みものとしてもおもしろいですし。
かがD『ガールズクリエイション』では“アテネス”という街で起こる事件を藝術家たちが解決していくストーリーが展開して、シナリオ上に多くのキャラクターが登場します。一気に進めると混乱してしまいますけど、そういうときに辞典機能は便利ですね。世界観の確認もできますので、より深く世界を堪能できるかなと思います。
――続いてバトルパートについて。どのような特徴があるのでしょうか?
かがDバトルのベースはシミュレーションRPGです。移動して敵の上を通過することで通常攻撃がくり出されるという、珍しいタイプに仕上がっています。
――なるほど。移動先を指定して攻撃するのが一般的ですが、それとは大きく異なるんですね。
かがDそうですね。味方の上を通るとその味方にバフが付与されたりもします。ちなみに、移動後にはスキルを使えます。
戦闘のポイントとなる要素がひとつ。フィールドの左下のマスから崩れ落ちていって、右上に新たなマスが発生するんです。落ちるマスの上にキャラクターが乗っていると、そのまま落下してしまうので、どんどん奥に進みながら敵を倒していくゲームになっています。
――どんどん右奥に進んで局面が変化し続ける。プレイ感覚が一般的なシミュレーションゲームとは違いそうですね。
かがDそうですね。自分もシミュレーションゲームを何作か作ってきましたが、どうしても敵が自分たちの攻撃範囲に入ってくるまで備え“待ち”が強くなりがちなんです。ただ、それだとどうしてもテンポが悪くなってしまう。気持ちよく遊んでもらうことにフォーカスしたのが、このシステムですね。
――じっくりと戦いを楽しむのもいいんですけど、いわゆるソーシャルゲームと呼ばれるジャンルではテンポも大事。“待つ”というシミュレーションゲームの鉄則を崩すこのシステムは、すごくおもしろそうです。
かがD基本的には、マスの崩落に巻き込まれないように奥へと進みながら、登場したボスを撃破していくのがステージの目標。あとは“絶技”という超必殺技的な要素も。マップに落ちている玉を取るとゲージが溜まっていって、それを消費して発動させます。派手なアニメーションのテンポがよくて気持ちいいですよ。
はせP僕の傘下に技術のスペシャリストチームがいるんですよ。そこのメンバーも全投入して、内部の開発チームの中でも優秀なメンバーを集めて、演出のクオリティーアップを図っています。みんな本気で作ってます。
――「やらなくてもゲームとして成立するけどやったほうが楽しいよね」みたいな空気を感じます。キャラがずっと動いてるとか。動いてなくてもゲーム性は変わらないけど、やっぱり動きがあると魅力的に映る。
かがDSDキャラクターによるアニメーション演出だけでもかなりのボリュームがありますので、まだまだ絶賛製作中です。
はせP最後の最後で「もっと(クオリティーを)アゲてけ」となることも多いですから。もうね、尋常じゃないコストがかかっています。チームメンバーの覚悟もすごいんですよ。僕もそこまでやるか! っていつも感心してます。
あと、バトルの雰囲気がアゲアゲになっているのは、アサノさんの楽曲がすごい。曲があるとないとでは全然違うんですよ!
かがD機能的にはほぼできあがっていて、チーム内や会社内での評判も上々。あとはテンポを高めるブラッシュアップ。ローディングが気になると嫌じゃないですか。そういうストレスを極力減らせるようにシーンを修正したり、細々とした部分の調整を行っている最中です。
――わかります。ローディングでテンポを妨げないのは本当に大事。
はせPローディングが長いのはストレスですよね。自分でプレイしていてもそう感じますし、継続して遊ばなくなってしまう。これはユーザーさんも同じだと思います。ですので、よりロードの短いDMM GAME PLAYER版も用意しています。ただ、やはりブラウザでも快適に遊べるようにしっかりと調整していきたいなと。
かがD画面の暗転をいかに減らすかが重要だと思っていて、ゲームの軽量化と合わせて順次進めている状態です。
『艦隊これくしょん』の建造や『刀剣乱舞ONLINE』の鍛刀のような要素も
――アドベンチャーとバトルパートのほかに、“ミュージアム”、“工房”などのシステムも用意されているとのこと。概要を教えてください。
かがD“ミュージアム”はいわゆる放置機能に近いですね。プレイヤーそれぞれが美術館を持っていて、館長として発展させていく仕組みです。手に入れた美術品をそれぞれの部屋に配置していくと、SDキャラクターのお客がどんどん来館。美術品を見て、感動したり悲しみを覚えたりして、“感情資源”と呼ばれるものを生み出していきます。
――集めた“感情資源”にはどのような用途があるのでしょうか?
かがDこの資源を用いて、藝術家がイマジネーションを高めてモノを作るという構造になっています。集めた資源と藝術家を組み合わせて、イマージュや新たな芸術作品を創作していくイメージですね。
美術館に飾る作品は、藝術家が作ったり、イベントで入手できたりします。美術館の部屋を開放するための条件も設定されているので、まずはその条件達成を目指す形になるかなと。
――集めた感情資源と藝術家を使って、新たな作品を生み出していくわけですね。
かがDそうですね。その創作を行うのが“工房”。ここではふたりの藝術家が共作してモノを作っていきます。
はせP百合チックな。
――言わないでおこうと思っていたのに、言っちゃうんだ。
かがD選んだ藝術家や4種ある感情資源を分配して使用することで、生み出されるイマージュや芸術作品が変わってきます。
――つまり……『艦隊これくしょん』的な?
かがDそうですそうです。『艦隊これくしょん』の“建造”や『刀剣乱舞』の“鍛刀”などに近しいシステムとなっています。人気の高い機能ですし、遊んでいて楽しいので、内製タイトルで作るものとしてはやっぱり(近い仕組みを)入れたいよねという話がありまして。
――自分で何かを作る感覚はこの手のゲームにとって重要だと思います。課金ガチャでが手に入れるのもいいんですけど、少し味気ないと言いますか。
かがD無課金でも十分に遊べる仕組みがあることは重要です。1日に何度かミュージアムにアクセスして感情資源を収集。そこで集めた資源を使って、さらなるイマージュや芸術作品を手に入れる。同じ芸術作品を複数手に入れると、作品レベルが上昇してさらに集客が捗る仕組みになっていますので、長い期間で楽しめるかと思います。
――配置した藝術家や資源によって、完成するものが変わるんですよね?
かがDはい、ふたりの藝術家と使用する感情資源の種類の組み合わせによって、これが創作されやすいなどの組み合わせがあるイメージです。
――リリース直後は「この組み合わせでこれができた」とか、SNSを中心に情報共有されて盛り上がりそうです。
かがDそうなるとうれしいですね。ほかにも、特定の目標を達成すると報酬がもらえる“ミッション”などの要素も用意しています。従来のゲームにもあるわかりやすい要素も大切ですので。ここまでに説明したのが、おもなゲームの構造になっています。
- クエスト(バトル)でキャラクターのレベルを上げたり、アイテムを収集
- 合間にミュージアムにアクセスして感情資源を集める
- 集めた資源を用いて工房で創作し、美術館を強化してパラメータアップを目指す
というのが基本的なゲームサイクルです。
――ガチャのシステムはどうなっているのでしょうか?
かがDガチャでは、藝術家とイマージュが排出されます。イマージュは先ほどお話した工房での創作でも入手できて、ガチャと工房では、各イマージュが持っているポテンシャル(いわゆるアビリティ)が異なる形となっています。このポテンシャルは、同じイマージュどうしを合成することで引き継げます。
――おー、“悪魔合体”的なシステムですね。
かがDここで「はい」とは言いにくいんですけど、近いとは思います(笑)。ガチャ産イマージュが持つポテンシャル、工房産イマージュが持つポテンシャルはそれぞれ異なるので、それを組み合わせて強化していくイメージです。
――(ガチャを引くシーンを見て)演出が豪華ですね。
かがDここもこだわって作りました。アニメーションと3Dが組み合わさったような演出で。
はせP3Dの技術はガチャだけでなく、随所に導入しているんです。3Dの要素をしっかり確立できれば今後のタイトルにも役立つ可能性がありますからね。
かがDバトル画面やミュージアムも一部に3D表現を取り入れています。内製で開発するタイトルとしてのチャレンジングな部分ですね。
――技術的な検証も含めて、これまでやってこなかった表現にチャレンジしているわけですね。
――ちなみにゲーム内に登場する藝術家ですが、史実の芸術家をもとにしたものですよね?
かがDそうですね。非常に有名な芸術家が集まっています。
――リリースの段階で、藝術家とイマージュはどれくらいの数が実装予定なんですか?
かがD基本的には藝術家10体、イマージュ30体を予定しています。その中で衣装差分があったりするんですけど。
――キャラクターの入手方法はどのような感じでしょうか。最近はベースのキャラがいて、衣装違いやイラスト違いをガチャやストーリーで入手するのが主流ですが。
かがDその認識で概ね合っています。藝術家はベースとなるキャラクターがリリース時点で10体程度いて、レアリティの異なる衣装差分も用意しています。イマージュに関しては、ひとつの作品で1キャラクター、それが30数体いるイメージです。
まだ未確定な部分ではありますが、長期的に見ると、イマージュも「この子をもう1回出したいね」となって、バリエーション違いを登場させる可能性もあります。ただ、現状ではイマージュはひとつの作品に対して1キャラクターですね。
――名前からするとヨーロッパの芸術家が多くモデルになっているようですが、たとえば日本画家も登場するのでしょうか。
かがDリリース直後では、浮世絵師の鳥山石燕がモチーフのセキエンが登場します。妖怪画で知られている人ですね。
はせP『ガールズクリエイション』のストーリー構成が、1本のストーリーにいろいろなキャラクターが関わるという作りではなくて、メインキャラクターたちがそれぞれ事件を追いかけていく展開になっています。各キャラクターのストーリーを深掘りしていくので、キャラクターを数多く作るというよりは、各人の物語を深掘りする形になっています。
――藝術家の性格やストーリーも、モデルとなった芸術家の影響を受けているのでしょうか。たとえば、アルテはどんなキャラなんでしょう?
かがD詳細はまだ話せないですねー。記憶喪失の藝術家で、その正体は……!? というキャラクターになっていますので、ぜひとも実際にリリースされてからその目で確かめていただけると。
それぞれのキャラクターにはモチーフ的な要素を取り入れています。詳しい人が見たらこれがどの芸術家、芸術作品のキャラクターなのかがわかるようになっていると思います。
はせPかなり細かく調べてキャラクターを作っているので、気づく人は気づくかなと。
――擬人化コンテンツは、そのあたりの作り込みでファンを唸らせることが重要ですよね。『艦隊これくしょん』なんてすごいですし。
はせPそのこだわりこそが『艦隊これくしょん』のすばらしいところと思いますね。僕も大好きです! 細かなバックボーンがあるから、プレイヤーの皆さんの思い入れも強い。『ガールズクリエイション』もそういった作品になるように開発を進めていきます。
かがDこれまでにもお話ししましたが、各キャラクターのモーションや演出も、ほかのタイトルに比べてかなり多いと思います。アルテですと、エントランスの待機画面で、バラの花びらが飛ぶようなエフェクトが入っていたりして。そのほかにも、単純にキャラクターが動くだけでなく、キャラクターのアニメ、静止画を動かすだけだと表現できなかったようなエフェクトを用意しています。
――演出面の豪華さは大事ですよね。手を抜いていると感じたら一気に萎えちゃうというか。キャラクターのモーションや演出とか、遊んでいて気分がいいというのはすごく重要な要素だと思います。
かがD『ガールズクリエイション』はあらゆる要素で「気持ちがいい」を突き詰めたタイトルになっているかなと。回転するアニメーションをきれいにつなげるのが難しかったり、平面に見えてじつは奥行きのある動きだったりと、本当に細かい部分までこだわって作っています。
――莫大なコストをかけたぶん、いい作品ができあがったということですね。
はせPほかにも僕の傘下で内製開発中のタイトルはあるのですが、『ガールズクリエイション』はその指針になるようなタイトルでもあって、技術的なありとあらゆる要素を取り入れています。今後に活かすためのタイトルでもあるので、“きっちりとすべてをやり切る”ということに注力しました。
かがDたとえば、編成画面ひとつとっても静止している画面がないとか。そういった細かい部分のブラッシュアップは現在も続けています。それだけ機能が多いので、プレイヤーの皆さんが混乱しないように、機能をわかりやすくしたり導線を整理をしている最中です。
バトルは藝術家とイマージュの組み合わせで必殺技の効果が変わる仕組みになっていて、かなり奥深いものになっています。それに加えてバトル中に発動できるスキルを3つセットできて、さらに差別化装備もあったりして……と、やり込みがいのある要素も用意しています。
――スキルの組み合わせを考えるのはおもしろそうですね。
かがD もちろん、ゲームを始めたばかりの頃はそのあたりの要素を気にせずともステージがクリアーできるバランスになっています。さらに突き詰めることもできますよ、くらい。そのあたりの細かい部分もしっかりと作り込んでいるので、さまざまなプレイヤーの方々に楽しんでいただけるんじゃないかなと。
はせPくまさんと僕がプロデュースするタイトルとしては『ガールズクリエイション』以降、1年以上新規タイトルはない予定になっています。そのぶん『ガールズクリエイション』をはじめ、既存の運営中タイトルにしっかりと注力していきたいと考えています。
『ガールズクリエイション』は今後の内製開発タイトルの礎になるタイトルでもあるので、すべての要素に対して手を抜かず、細かい部分まで手を入れています。我々としてもおもしろい作品になったと自負しているので、ぜひとも遊んでみてほしいです。