世界の遊びを一変させた伝説のハード
1983年(昭和58年)7月15日は、ファミリーコンピュータ(ファミコン)が発売された日。本日で発売から40周年という大きな節目を迎えたことになる。
ファミリーコンピュータは、任天堂から発売された据え置き型ゲーム機。“ファミコン”の愛称で親しまれた家庭用ゲーム機の金字塔で“テレビゲーム”というものを世界に広めて一般に根付かせた伝説のハードだ。いまなお語り継がれるほどの凄まじい“ファミコンブーム”を巻き起こした。
海外では“ニンテンドー”の愛称で呼ばれたNintendo Entertainment System(NES)として発売され、やはり日本同様に一大ムーブメントを起こした。本機が存在しなければ、我々が体験してきた世界のゲームの歴史はいまとはまったく違ったものになっていただろう。なお、1983年7月15日はセガ初のゲームパソコンSC-3000と家庭用ゲーム機SG-1000が発売された日でもある。
印象的なのは白とえんじを基調とした本体カラー。ファミコンと言えばこの色で、多くの人がいまでも記憶しているのでは? 後年(1993年12月1日)NEWファミリーコンピュータも発売されているが、そちらは薄い灰色を基調としていたのだが覚えているだろうか。
当時としては格段に高性能なグラフィック性能を有しているにも関わらず、価格が14800円と安価だった点も大ヒットに繋がった要因のひとつ。ファミコン以前に多くあった海外生まれのハードは非常に高価なものが多かったため、子どもには手が出せなかった。
カートリッジ交換式を採用しており、いわゆるカセットを交換すれば異なるゲームを楽しめたところもうれしいポイント。友だちとカセットの貸し借りをするなんて文化もあったので、筆者もよく借りて遊んだ思い出がある。なかにはカセットを借りたことを忘れてしまい、いまも借りたまま……なんて人もいるんじゃないだろうか。
カセット挿入口の近くにイジェクト用レバーがあり、これを使って挿したカセットを押し上げる仕組みだった。イジェクト用レバーの両サイドの左側には電源スイッチが、右側にはリセットボタンが存在。リセットボタンとは初期状態に戻すボタンで、ファミコンでは押すとゲームがタイトル画面に戻ってしまうものなのだが、多くのユーザーにとってなじみ深くて思い出に残るボタンなんじゃないだろうか。
何せめちゃくちゃ押しやすい位置にあるため、ゲームでつまらないミスをした際などに即リセットするプレイヤーが続出。筆者などはあまりに頻繁にリセットをするため、いっしょに対戦をしていた友だちに怒られまくった思い出がある。飼い猫に踏まれてリセットされてしまったなんてケースも後を絶たなかった。現代で“リセット”という言葉が浸透し日常的に使われているのは、もしかするとファミコンの影響もあったんじゃないかな。
当時のゲーム機のコントローラーは縦型でジョイスティックになっている(しかも右手でジョイスティックを動かす)場合も多かったのだが、ファミコンではゲーム&ウオッチ版『ドンキーコング』でも使われていた十字ボタンを踏襲。横長で十字ボタンとA、Bボタンというシンプルな構成のコントローラーは非常に扱いやすかった。ほかに類を見ないこの形は以降、他社のハードを含めてゲーム機のスタンダードとなっていったのだから、まさに革命的だったと言えるだろう。
また、ファミコンのコントローラーと言うと“IIコン”のマイクの存在を思い出す人も多いはず。筆者は『バンゲリングベイ』で「ハドソーン!」と叫んだり、暇を持て余したときに意味なくマイクに息を吹きかけて遊んだりしていたくらいしか思い出がないが、マイク機能を活かしたゲームはそれなりにあった。
有名なものとしては前述の『バンゲリングベイ』で、「ハドソン」と叫ぶと対戦中に戦闘機をスクランブルさせることができた。ほかの有名どころは『たけしの挑戦状』のスナックで歌うイベント、『ゼルダの伝説』のポルスボイスを簡単に倒す際、『スターソルジャー』の裏ステージ出現の際などにマイクが有効活用されている。
ファミコンのローンチタイトルは『ドンキーコング』、『ドンキーコングJR.』、『ポパイ』の3タイトルだった。ファミコンブームの立役者でもある『スーパーマリオブラザーズ』は1985年9月13日の発売。初代『ドラゴンクエスト』は1986年5月27日、初代『ファイナルファンタジー』は1987年12月18日発売だった。最後に公式に発売されたファミコンソフトは1994年6月24日発売の『高橋名人の冒険島IV』となる。
2016年11月10日には、ファミコンの復刻版的な存在の“ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ”が発売され、大いに話題を呼んだ。そこからレトロゲームの復刻版ブームが巻き起こったのは、まだまだ記憶に新しいところだ。
2023年7月15日の本日には、ファミリーコンピュータの40周年特設キャンペーンサイトが開設。1年間掛けてファミコン40周年イヤーとして盛り上げてくれる予定となっている。
ちなみに、週刊ファミ通2023年7月27日号(No.1806/2023年7月13日発売)では、そんなファミコンの40周年を記念して、ファミコンの思い出がたっぷり詰まった40ページの大特集をお届けしている。ファミコンの軌跡を振り返ったり、Nintendo Switch Onlineで遊べるファミコンタイトルカタログを紹介したりと、盛りだくさんの内容になっているので、ぜひ手にとってみてくださいまし!