カリフォルニア州北部地区米国連邦地方裁判所はアメリカ現地時間の2023年7月11日、米連邦取引委員会(FTC)がマイクロソフトに対して起こしていた海外大手ゲームパブリッシャーのアクティビジョン・ブリザード買収の仮差し止め請求についてFTCの申立を棄却した。

 これは、2022年1月18日に発表されたマイクロソフトによる687億ドル(当時の為替レートで約7兆8700億円)の買収計画をめぐって行われていたもの。FTCは昨年12月に買収阻止を求めて提訴しており、来月8月2日から公聴会が開かれる予定だが、今回棄却されたのはその開始に先駆けて仮差し止めを求めたものとなる。なお、FTC側は7月14日までに控訴が可能とされている。

 今回の判決により、マイクロソフト側は7月18日に買収合意の期限が迫っていた中で、成立に向けて一歩前進した形となる(仮に期限を超えた場合は解約金の支払いが必要となり、合意は再交渉になる)。次の焦点となるのは、英国の競争・市場庁(CMA)からクラウドゲーム分野での懸念に基づいて取引阻止の判断がくだされている件。だがこちらはマイクロソフト側とCMA側のいずれも懸念点の解消に向けた調整に向かっているようだ。

 マイクロソフトのブラッド・スミス社長は今回の米地裁の決定を歓迎するとともに、CMAが承認できるよう取引内容を調整する意向を公表。一方、海外業界紙のGamesIndustry.bizの記事によるとCMA側も調整後の再提案を検討する準備がある旨をコメントしている。

 なおこの買収計画に関しては、欧州委員会は調査の結果を経て今年5月に最終承認を行っている一方、日本でも3月に公正取引委員会が独占禁止法上の問題はないとの判断を下している。