7人の殺し屋の人格を入れ替えながら進んでいくアドベンチャー!
いまから18年前の2005年(平成17年)6月9日は、ニンテンドーゲームキューブ、プレイステーション2用ソフト『Killer7』(キラー7)が発売された日。
『Killer7』は、『シルバー事件』で一躍話題の人となった鬼才・須田剛一氏が監督、脚本、デザインを手掛け、『バイオハザード』シリーズの三上真司氏が製作総指揮を務めたアドベンチャーゲーム。“多層人格”の殺し屋集団“killer7”を主人公に、テロリスト集団“笑う顔”との戦いが描かれています。なお、“多層人格”は本作独自の言葉。多重人格と違って、人格が切り替わると性格だけでなく容姿や能力も変わるのが特徴です。
Killer7は、すべての決定権を持つ老人ハーマン・スミスの下に構成される7つの人格のこと。ハーマンの部下でリーダー格のガルシアン・スミスを筆頭に、ダン・スミス、カエデ・スミス、ケヴィン・スミス、コヨーテ・スミス、コン・スミス、マスク・ド・スミスがおり、この7つの人格を切り替えながら物語を進めていくことになります。
ゲームを語る上でまず外せないのが、コントラストのはっきりしたトゥーンシェイドのグラフィックや、ダイナミックに切り替わるカメラワーク、アナログテレビの画面のようなメニュー、“殺(ト)る”などの印象的なテキスト、ド派手に飛び散る血の表現……。そんなスタイリッシュさとバイオレンスな要素が美しくもクールに共存する世界は圧巻です。
また、「ヤバイです」が口癖のお助けキャラクターのイワザルやヒーロー姿の犯罪集団であるハンサムマンなど、コミカルで抜けたキャラクターも。真面目だけではなく、かといって悪ふざけをしているわけでもない、須田ゲーならではのカオスな世界観も魅力。音楽も『ダンガンロンパ』シリーズで知られる高田雅史氏が担当しており、ひたすらに格好いいです。本作の持つ唯一無二の魅力のトリコになった人は多いでしょう。
敵である“笑う顔”のほとんどは透明なため、視認することができません。ではどうやって倒すのかというと、ヒントは笑い声。笑い声が聞こえたタイミングで索敵をすると相手の姿を可視化できるようになり、攻撃を仕掛けることが可能になるのです。
攻略のカギは、状況や敵の特性によって人格を切り替えること。たとえば、遠くの敵を狙う場合はスコープ付きの銃を所持しているカエデ・スミス、多くの弾丸を撃ち込まなければいけない場合は二丁拳銃のコン・スミスに切り替える、といった感じ。また、各キャラクターの能力は謎解きにも有効で、元窃盗犯でピッキングが得意なコヨーテは南京錠を開けることができるし、血を吸収でできるカエデは血文字に残された暗号を読むことができます。個人的には障害物をプロレス技で破壊するマスク・ド・スミスが身も蓋もなくて好きです。脳筋サイコー。
ストーリーはプロローグこそわかりやすいですが、それ以降は難解。日本に向けて200発のミサイルが発射され、合衆国が迎撃するべきかという政治的な駆け引きが描かれる第1話の“落日”、起業家を名乗る男のアンドレイ・ウルメイダが自分を殺すようにkiller7を挑発するコメディタッチの第2話“雲男”、子どもの誘拐や臓器売買といった過酷な描写も描かれる第3話の“邂逅”など、テーマの異なるストーリーが展開します。物語の中で答えが描かれない謎も多く、余白の部分をプレイヤー自身で想像したり考察する楽しさがあります。
『Killer7』はいまならSteamで遊ぶことが可能です。
『Killer7』Steamサイト