2002年5月から運営を開始し、今年2023年で21周年を迎えたスクウェア・エニックスのオンラインRPG『ファイナルファンタジーXI』(以下、『FFXI』)。今年の大きな動きとしては、プロデューサーが松井聡彦氏から藤戸洋司氏に交代。藤戸氏はディレクターも兼任する形だ。また、2020年から開始された新シナリオ『蝕世のエンブリオ』が、2023年5月24日のバージョンアップでついに完結となり、『FFXI』は新たなフェーズを迎えている。そうしたゲーム自体の動きに加え、2023年8月にはリアルイベント“FINAL FANTASY XI ヴァナ・ディールの秘蔵展”が開催される。
 
 本記事では、『蝕世のエンブリオ』の完結を受けて、プロデューサー兼ディレクターの藤戸氏と、『蝕世のエンブリオ』のメインプロットを担当したプランナーの佐藤弥詠子氏からコメントをいただいたので、紹介しよう。

『FF11』新シナリオの完結を受けて、藤戸洋司氏と佐藤弥詠子氏のコメントが到着。リアルイベントも開催で、運営22年目も衰え知らず!

佐藤弥詠子氏からのコメント

 泣いても笑っても、いよいよクライマックス。『蝕世のエンブリオ』、とうとう完結いたします。21年もの間、眠っていたネタたちを掘り出して、出来得る限り日の目を見るように尽力いたしました。ヴァナ・ディールの隅から隅まで縦横無尽に駆けずり回り、思い出深いキャラクターたちと再会する旅……。皆様、楽しんでいただけましたでしょうか?

 私自身は、とても楽しく旅することができたと感じております。5000年という悠久の時を超えた物語において、光が当たっていなかった獣人やモンスターたちの物語を描くことは無上の喜びでした。彼らもまた『FFXI』の大事な主役と言えましょう。彼らの新たな一面を知って、ファンとなってくださる方が一人でも増えることを願って止みません。

 また、『蝕世のエンブリオ』は、ガルカという個性的な種族が抱えていた秘密を探る旅でもありました。それ故、皆様には(特にガルカの皆様には)、是非とも最後まで見届けていただきたく思います。

 そして、皆様が、その長い旅路で幾度となく行ってきた「選択」について、想いを馳せていただければ幸いです。『FFXI』は最初から最後まで、皆様の「選択」を大事にし、尊重しようとしてきました。これからもヴァナ・ディールでの冒険を続けるにあたり、時にはドキリとする選択や、ニヤリとする選択を選んでみてください。

 では、またどこかで……アプカリッチョ!

藤戸洋司氏からのコメント

 『蝕世のエンブリオ』は「ヴァナ・ディールの星唄」の完結後、ストーリー要素が不足した時期に、お客様の求めに応える形で生まれたコンテンツです。

 ストーリーとしては「ヴァナ・ディールの星唄」で完全に、しかもきれいに終わっている状況だったので、まだ語られていないNPCの日常やその後を描こう、という松井Pの方針のもとで企画を進めたのですが、制作進行は困難を極めました。制作環境の維持と制作人員の確保など相当綱渡りでしたが、それ以上に危なかったのがコロナ禍で開発体制そのものを揺さぶられたことです。

 そんななかでも、各個の工夫と努力で何とか乗り切ってここまでたどり着きました。開発メンバーみんな、本当によく我慢してくれました。そのおかげで、冒険者の皆さんが集う世界に広がりと潤いを与えられたと思います。この場を借りて、制作メンバーには敬意を表します。ありがとう。

 ところで、ゲーム的な側面では、ストーリー完結後に始まるプライムウェポン強化が皆さん気になるところでしょう。なんだか強そうだし、これまで作った武器の意味がなくなるじゃないか。そういう声もすでにうかがっております。

 なんでこんなものを用意したのか?

 一言で言うと、プライムウェポンの強化は「上位デイリー目標」なんです。もうやるべきことはやってしまったと感じてらっしゃる方のために、モチベーションとなるべく作ったものです。ゆえに性能も上向きですが、その仕様の意図は「プライムウェポンがそれなりに行きわたるくらいの時間は最低限運営を続けるよ」という意思表明にほかなりません。

 冒険者がいらっしゃる限り、この世界を維持し続けるつもりです。
これからもどうぞヴァナ・ディールをよろしくお願いいたします。

2023年8月にリアルイベントを開催!

 リアルイベント“FINAL FANTASY XI ヴァナ・ディールの秘蔵展”が2023年8月に開催決定。詳細はまだ不明だが、公式サイトが立ち上がっているので、続報はこちらでチェックしてほしい。