ポケモンワールドチャンピオンシップス2023の『ポケモンユナイト』部門の予選大会“ファミ通カップ”が、2023年5月7日(日)に開催された。
本記事では大会の見どころをリポートするとともに、見事1位に輝いたチーム“T2”へのインタビューも掲載しているので、こちらも要チェックだ。
なお、ファミ通カップの模様はYouTubeのファミ通TUBEチャンネルにて生放送されていた。大会を見逃してしまった方やもう1度見返したいという方は、アーカイブが残っているのでそちらを視聴してほしい。
【公式大会】『ポケモンユナイト』ファミ通 カップ|WCS2023 日本予選
『ポケモンユナイト』ファミ通カップ 概要
- 大会日程:2023年5月7日(日)
- エントリー期間:2023年4月9日〜5月7日(大会当日)9時00分
- 配信場所:ファミ通TUBE
- 試合形式:スイスドロー 8ラウンド BO3方式
- 参加チーム数:上限なし
- 進出チーム条件:
- 2敗 or 3敗で強制ドロップ(敗退)(※参加チーム数によって変更となります)
- 勝率が同じの場合、オポネントマッチウィンパーセンテージにて順位決定を行う(※同じ勝敗数でも次回大会への進出権の有無が分かれる場合があります)
- 上位8チームが5月予選 DAY2へと進出
本大会である“PJCS2023 ポケモンユナイト部門”には合計8チームが進出可能。
“ファミ通カップ”以外の進出方法や、大会の最新情報は『ポケモンユナイト』WCS2023アジア予選の公式ページや公式Twitterをチェック!
珍しいイワパレスや新たに参戦したシャンデラの活躍は如何に。注目の試合をピックアップ!
本大会はスイスドロー形式で8ラウンド行われることが予定されていたが、ラウンド6終了時点で全勝のチームが2チームとなったため、ラウンド7では当該2チームがマッチングして順位が確定することとなった。
そのためラウンド8は行われず、大会はラウンド7で終了することに。となると生放送の時間に余裕ができるため、急遽ラウンド7は2試合が放送されることとなった。この2試合がどちらも白熱した戦いとなったため、以下で試合の模様をお届けしよう。
Monolith 対 Freesing
これまでに行われてきた大会でも結果を残している強豪どうしのマッチアップ。お互い5勝1敗で、勝てば上位8チームに入ることがほぼ確定。逆に負ければ入れない可能性があるラインなので、絶対に負けられない戦いだ。
そして第1試合のチーム構成は以下の通り。Monolithはシャンデラを、Freesingはエーフィをメインのダメージ源として採用し、それらに対抗するためのポケモンとしてマリルリ&ハッサム、ドードリオ&ファイアローがそれぞれピックされた。構成のコンセプトが似ているだけに、どちらがやりたいことをできるかの勝負となる。
また、本大会ではドラフトモードを採用。両チームともに1匹ずつ使用禁止のポケモンを選んだ後、交互に使用ポケモンを選んでいくが、それぞれが使用禁止にしたポケモンはもちろん、相手がすでに選んだポケモンも使用できないようになっている。
試合は序盤からかなり拮抗した状況が続いたが、中盤からはFreesingのファイアローがどんどん相手のポケモンをK.O.し、レベルも残り4分時点で13とハイペースで進行していた。
そのままFreesing優位な状況でラストスパートに突入するが、直後の集団戦で勝利したのはなんとMonolithだった。ヤミラミを倒されてしまったものの、相手のエーフィとオーロットを倒したことで人数差を作り出した。
直前にファイアローのHPを減らすことに成功していたため、ファイアローが前に出られず集団戦に参加できなかったことが大きく影響したように見える。
そうしてできた人数差を活かして、Monolithはすぐさまレックウザを倒しにかかる。Freesingの面々を寄せ付けずにそのままレックウザを倒しきり、続々とゴールを決めていっきに逆転。第1試合はMonolithの勝利となった。
続く第2試合は、第1試合で活躍したシャンデラをFreesing側が禁止に。そして第1試合ではMonolithが禁止していたゾロアークが使用可能になったのを見てFreesingがピック。以下のようなチーム構成に。
このゾロアークが、第2試合では大暴れすることとなった。大きく試合が動いたのは残り時間6分段階のレジエレキをめぐる攻防。
レジエレキこそMonolith側が倒したものの、その直後の集団戦ではゾロアークの“つじぎり”が4人に突き刺さった。4連続K.O.で相手がいなくなったフロントゴールを破壊すると、そのままの勢いでミドルゴールまで攻め上がり大量のゴールを決めることに成功した。
その後も実況・解説を唸らせるほどの好プレイをゾロアークが連発。終始圧倒したまま、第2試合はFreesingが勝利。1勝1敗で勝負は最終戦にもつれ込んだ。
運命の第3試合では、たまらずMonolith側が再度ゾロアークを禁止に。Freesingは引き続きシャンデラを禁止して構成を組み上げていく。お互いのチーム構成は以下の通り。
最近の環境では珍しいイワパレスの選択にどよめきが起こるも、注目は今大会から使用可能となったラプラスか。ラプラスはディフェンス型のポケモンでありながら相手にダメージを与えることも得意としており、戦闘能力が高い。
また、ユナイトわざの“ライドオン!ラプラス”は味方のポケモンを自身の背中に乗せて移動させるというラプラスらしいユニークな効果を持っている。
さて、試合展開はというと序盤からFreesing側が圧倒的な有利を握っていた。下ルートでのイワパレス対エーフィのマッチアップがエーフィに大きく傾いており、エーフィがとんでもない速度で成長していくのを誰も止められないという状況が続いた。
その育ったエーフィがいない状況でも集団戦に勝てず、エーフィは悠々とほかの場所で野生のポケモンを倒していく。
すでにスコアも300点差とかなり絶望的な状況に見えたが、ここでMonolithが大勝負に出た。ラストスパート直前のレジエレキをめぐる攻防で、3対4と人数差がある状況ながら、ラプラスがユナイトわざを使って仕掛ける。
“ライドオン!ラプラス”の味方を乗せる効果こそ使用しなかったものの、発生した波がFreesingの3人にヒットして大ダメージと行動妨害を与えた。
それが功を奏した形でレジエレキのラストヒットを無理やりかっさらうと、キュワワーによる回復も受けつつ耐えているあいだに味方のミュウとニンフィアが合流。MonolithがFreesingを押し返し、エーフィとカビゴンをK.O.することに成功した。
勝機はここしかないとばかりに、すぐさまレックウザを倒しにかかるMonolithの面々。ラストヒットの取り合いとなるがニンフィアの“ハイパーボイス”でこれを制し、全員でFreesingのゴールへとなだれ込む。
Freesingも負けじとゴールを入れ返すものの、最終的に560対528の32点差でMonolithが大逆転勝利をもぎ取った。
これにて2勝したMonolithがマッチを制し、上位8チームに名を連ねた。
T2 対 Secret Ship
WCS 2022にも日本代表として出場していた強豪2チームが、本大会の最終戦で激突。両者6勝0敗どうしでの頂上決戦となった。
さっそく第1試合のお互いの構成から見ていこう。機動力が非常に高いドードリオをT2がピックし、ドードリオに対して有効な対策とされているアブソルを返したSecret Shipという構図。最近では珍しいカイリューのピックにどのような意図があるのかが気になるところ。
そのカイリューは上ルートを単騎で任されるものの、ミニリュウの段階ではパワーが足りない。T2もその弱点を的確についてくるため、なかなかカイリューへと進化ができず苦戦を強いられていた。
一方のT2はウーラオスとドードリオが順調に育っており、Secret Shipはまともにぶつかることができない状況が続く。なんとか相手の反対側で野生のポケモンを倒そうとするものの、フーパの“いじげんホール”やユナイトわざ“ときはなたれし光輪”によるワープで素早く集合するT2が試合のテンポを握り続ける。
結局その圧倒的なリードを最後まで崩さなかったT2が、第1試合をものにした。
続く第2試合では、第1試合で大暴れだったウーラオスをSecret Ship側が禁止に。それによって第1試合では禁止されていたシャンデラが使用可能となったため、T2側がシャンデラをピック。そしてSecret Shipはカイリューのピックを継続する形に。
第1試合ではうまく育てられなかったカイリューをどのように運用するのか注目が集まるが、そこはさすが経験豊富な強豪チーム。ワタシラガをサポートとして付けたことや中央エリアの戦いでゾロアークがストライク相手に有利を握ったことが影響し、第2試合ではスムーズにカイリューへと進化することに成功した。
序盤の有利は完全にSecret Shipが抑え、レジロックをめぐる攻防でもT2を速やかに追い出したうえで悠々と獲得に成功。そのままフロントゴールも破壊した。しかしT2も中盤からはシャンデラの成長が追い付き、徐々に無視できないダメージを出し始める。
勝負はラストスパートに突入するも、依然有利はSecret Ship。上ルートでゾロアークがダメ押しのゴールを決めたことで点差はさらに離れ、T2側は仕掛けないといけない立場となる。
そこで先陣を切ったのは、なんとニンフィアだった。ユナイトわざ“フェアリーハーモニー”でまもり状態になることを活かして相手の集団に単身で突っ込んでいく。
一見無理な形での開戦に見えたが、ニンフィアが相手の攻撃を受け持っているあいだに遅れてやってきたT2の面々が後ろから攻撃を加えることでSecret Shipが続々とやられていく。
最後はオーロットのウッドホーンが3匹にヒットし、動きが止まったところにシャンデラの追撃が叩き込まれてSecret Shipが全滅。
一方で誰も倒されなかったT2は残り時間20秒でチームを分ける。シャンデラ、ニンフィア、ストライクとダメージを出せるポケモンたちが素早くレックウザを倒しているあいだに、オーロットとフーパは相手のゴールへと走る。
ちょうどオーロットとフーパが別々のゴールにたどり着いたタイミングでレックウザが倒され、すぐさまゴールを決めた。この土壇場で恐ろしいくらい冷静な連携プレイに、世界で戦ってきたチームの凄みを感じた。
直後に試合は終了。T2が勝利し、2対0でマッチを制した。
これでT2は7勝0敗で本大会の1位に輝いた。ファミ通.comでは、そんなT2のメンバーにインタビューを行うことができたのでその模様をお伝えしよう。
ファミ通カップ1位通過“T2”にインタビュー!
――ファミ通カップを1位で通過した率直な感想を教えてください。
Ajun1位通過することができて、ひとまずは安心しています。ですが、まだまだここは通過点にすぎないので、この先の大会に向けて気を緩めずに頑張りたいと思います!
――ここが通過点ということは、目標はやはり……。
Supercell世界大会です!
――ファミ通カップに向けて、チームでどのような練習をしてきたのか教えてください。
Ruin個々の役割を全員が理解できるように練習しました。半年以上同じチームで活動しているので、そのぶん理解度も深まっていると思います。
――チーム全体でとくに意識していたポイントはありますか?
Hobachiとにかく勝つことだけを意識しました!
――今回の勝因としてもっとも大きかったのは何だと思いますか?
Haruta試合を有利に運ぶためのドラフトが組めたことが大きかったと思います。そのために対戦相手の研究を念入りに行ってきたので、成果が出てうれしいです。
――ドラフトモードにはどんな印象を持たれていますか?
Ruinドラフトモードが実装されたことで、さまざまなポケモンが使えるようになって楽しいです!
――今後の活動、試合への意気込みをお聞かせください。
Ruin世界大会出場に向けて、残りの時間を大切によりいっそう頑張って練習します!
――改めまして、1位通過おめでとうございます! 今後の活躍にも期待しております。
ポケモンWCSまでの流れをおさらい
ファミ通カップは以下のような結果となった。上位8チームは5月21日に行われる5月大会 Day2の出場権利を獲得している。
さらに今後の大会スケジュールは以下の通り。インタビューでAjun選手が仰っていたように、あくまで今回のファミ通カップは通過点だ。6月11日のPJCS2023、そして8月11日~13日に行われるポケモンワールドチャンピオンシップス 2023に向けて、各チームがそれぞれ研鑽を重ねることだろう。
また、ファミ通カップには参加できなかったという人も、上画像の通りまだまだ出場チャンスのある大会が複数残っているので、ぜひ仲間を集めて参加してみてほしい。
もちろん選手として参加せずとも、『ポケモンユナイト』は配信で観戦するだけでも楽しめる。それぞれに合ったやりかたで、今後も『ポケモンユナイト』を楽しんでもらえれば幸いだ。